FXで絶対勝てる手法があるって聞いたけど本当?
3すくみという手法が最強と聞いたけどどうなの?
FXには数百種類以上の手法が存在するといわれていますが、その中でも「絶対に稼げる」という触れ込みで一時期その名が広まったのが「3すくみ」と呼ばれる手法です。
FXSuitという海外FX業者や「億トレーダー」として有名な「アキラ」という人物が広めた手法でしたが、後に出金拒否などで詐欺だと騒がれた危険な過去も存在します。
本記事では、3すくみ手法の概要や特徴、詐欺騒動の真相など様々なポイントを誰でもわかるように解説していきます。
解説を参考に、本当の意味で勝ち続けられる手法と詐欺同然の悪質な手法を見分けられるよう、トレーダーとしての洞察力を高めていきましょう。
FXの3すくみとは
FXの3すくみに関して学ぶ前に、「すくみ」という言葉の正しい意味を理解しておきましょう。
じゃんけんに例えるとわかりやすいですが、グーチョキパーそれぞれが相手に対する得意不得意を持っており、絶妙なバランスでゲームが成り立っています。
これをFXに置き換えて、米ドル/円・ユーロ/米ドル・ユーロ/円という3通貨ペアのポジションを持った場合の損益を検証してみましょう。
通貨の動き | 米ドル/円(買い)の損益 | ユーロ/米ドル(買い)の損益 | ユーロ/円(売り)の損益 |
---|---|---|---|
米ドルが10%上昇 | +10%の利益 | -10%の損失 | 変動なし |
ユーロが10%上昇 | 変動なし | +10%の利益 | -10%の損失 |
円が10%上昇 | -10%の損失 | 変動なし | +10%の利益 |
各通貨ペアに関連する通貨の価格が上下すると、それぞれの通貨ペアで同じ割合の利益や損失が発生しているため、常に利益と損失が拮抗する「3すくみ」が発生しています。
また、5通貨ペアで損益の拮抗が発生している状態は「5すくみ」と呼ばれます。
実際に、以上のポジションを細かく分解してみると以下のようになるため、利益も損失も発生しない意味のないポジション保有になっているのがわかるでしょう。
各通貨ペアのポジション | 米ドルの取引状態 | ユーロの取引状態 | 円の取引状態 |
---|---|---|---|
米ドル/円の買いポジション | 買い | 保有なし | 売り |
ユーロ/米ドルの買いポジション | 売り | 買い | 保有なし |
ユーロ/円の売りポジション | 保有なし | 売り | 買い |
全ての通貨で同じ数量の「買い」と「売り」を行っているので、何時間経っても証拠金は1円も変動しません。
ただし、特殊な条件下においては「すくみ」の状態を利用しながら利益を上げられる方法があるので、それぞれ見ていきましょう。
FXで使われる3すくみ手法
3つの通貨において同じ数量だけ「買い」と「売り」を保有する「3すくみ」の状態ですが、これを利用して利益を上げる2つの方法を見ていきましょう。
通貨相関を利用したさや取りトレード
先ほどのように、米ドル・ユーロ・円という3つの通貨の変動率を確認して利益を上げるトレードを解説していきます。
3つの通貨の相関チャートを表示してみると、比較的値動きが安定している場面と各通貨が激しく変動しているタイミングが見られるのがわかります。
以上のチャートでは、特に変動率が高いタイミングで以下のような通貨の動きが見られました。
変動が大きいタイミング | 米ドルの状況 | ユーロの状況 | 円の状況 |
---|---|---|---|
①の範囲 | 価格上昇 | 通常 | 価格下落 |
②の範囲 | 価格下落 | 通常 | 価格上昇 |
激しい値動きは経済状況や各国の大企業の業績、戦争など様々な情勢によって発生しますが、数ヶ月〜数年かけてゆっくりと適正値に戻っていくのが特徴です。
割高になった通貨を売って割安になった通貨を買う方向のポジションを保有すれば、長期的に利益を獲得できるというのが「さや取りトレード」の内容です。
今回のケースに当てはめると、各タイミングで以下のポジションを保有すると利益を獲得できるでしょう。
変動が大きいタイミング | 各通貨の状況 | 利益を取れるポジション保有 |
---|---|---|
①の範囲 | ・ドルが割高 ・ユーロは通常の範囲内 ・円が割安 | 米ドル/円の売りポジション |
②の範囲 | ・円が割高 ・ユーロは通常の範囲内 ・ドルが割安 | 米ドル/円の買いポジション |
最終的に、価格の変動率が適正値まで戻ってきたタイミングで決済を行えば、利益を得られる可能性は非常に高いでしょう。
株式や仮想通貨は大きな問題がなければ上昇を続けていきますが、各国の通貨は国同士のバランスを保つために一定の水準に戻りやすい傾向があるので「さや取り」が成り立つのです。
ただし、実際に2024年時点で騒がれていた円安相場は半年以上進行し続けたように、長期目線での取引ではポジションを保有し続ける相当な握力も必要となってきます。
通貨相関を利用したスワップトレード
FX通貨ペアを保有すると2国間の金利差によってスワップポイントが発生するので、3すくみを利用してスワップによって継続的な利益を得るスワップトレード手法を組み立てられます。
「FXの3すくみとは」で説明したように、米ドル/円とユーロ/米ドル、ユーロ/円をそれぞれ価格変動だけでは損益が発生しないようにポジションを保有します。
スワップポイントは毎日加算されていくものなので、各ポジションをそれぞれ1ロット保有すると以下のようなスワップポイントが証拠金にプラスされていきます。
使用するFX証券会社 | 保有するポジション | 1日に発生するスワップポイント |
---|---|---|
みんなのFX | 米ドル/円の売りポジション | -220円 |
FXブロードネット | ユーロ/米ドルの売りポジション | +71円 |
マネースクエア | ユーロ/円の買いポジション | +202円 |
スワップポイントは証券会社によって異なるので、今回は特に有利なスワップ設定になっている業者を選定しています。
3すくみの状態で3つのポジションを保有しておくだけで、1日あたり53円のプラススワップを確実に得られるのがわかります。
3つのポジションを保有するため証拠金は通常の3倍必要になりますが、1つの通貨ペアが大損の状態になっても他の通貨ペアで利益が出るため、ほぼノーリスクで証拠金を増やせます。
ただし、3すくみを利用したスワップ手法には以下のようなデメリットもあるため、理解したうえで運用する必要があるでしょう。
- 1日53円というリターンに対する10万円以上の必要証拠金リスクが大きい
- スワップポイントの変動によっては1日の合計損益がマイナスになる
このように、比較的安定したリターンを得られる反面、突発的な値動きによるリスクを内包しているのが、3すくみスワップ手法の特徴です。
多少のリスクを負ってでも、しっかり勉強してトレードで勝てるような実力を付けた方がいい気がしますね。
スワップポイントを活用して利益を上げるためのアイデアは以下の記事にも記載されているので、チェックしてみてくださいね。
FXの3すくみ手法が詐欺といわれる理由やデメリット
これまでに説明した通り、FXの3すくみ手法は正しく使えば稼ぎやすい手法の1つですが、あまり有名ではないため詐欺に悪用されてしまった過去もありました。
SNS上で話題になった詐欺事件の1つなので、今後の長いトレーダー人生において詐欺に騙されないよう参考にしてください。
怪しいトレーダーがSNSで推奨していた
FXの3すくみ手法を「リスクなしで稼げる手法」としてX(当時のTwitter)で宣伝していたのが、saekinomao氏とアキラ氏という2人のトレーダーでした。
彼らは1億円以上をトレードで稼ぐ「億トレーダー」という触れ込みで名が知られていましたが、今では「海外FX業者の回し者」や「詐欺師」として認識している人も多くいます。
2019年6月頃から、saekinomao氏が新興海外FX業者であるFXSuitの幹部と直接の交渉を行い、日本人が開設したアカウントのみスワップポイントの優遇が可能になったとポストしました。
これにより、「通貨相関を利用したスワップトレード」で説明したスワップ手法が簡単に実現できるとして当時話題を呼びました。
FXSuitを含む新興FXブローカーは警戒されるケースも多くありましたが、実際に口座を開設してみると非常に優れたスワップポイントでの取引が可能となっていました。
しかし、最終的には「FX Suitによるトラブルが報告されている」で解説するように、最終的には出金拒否による大きな詐欺事件に繋がる布石に過ぎませんでした。
現在でも、Xでは様々なトレーダーが手法の販売やFX業者とのコラボによるキャンペーンを行っていますが、発信者と業者の両者が信頼できるかは必ず確認する必要があります。
FX Suitによるトラブルが報告されている
「怪しいトレーダーがSNSで推奨していた」で説明した通り、saekinomao氏とFXSuitの協業によって実現したのが「3すくみを活用した日本人限定スワップトレード」。
同時に、FXで14億円を稼いだというプロフィールで数万人以上をフォロワーを獲得していたアキラ氏が、「かなり稼げる」という触れ込みでスワップ手法を紹介していました。
さらに、アキラ氏が14億円を運用していたのがFXSuitだったこともあり、一部トレーダーはその言葉を信じてFXSuitに続々と入金を始めていきました。
実際に、最大500倍のレバレッジや有利なスワップポイントによって有利にトレードできるFXSuitで、多くのトレーダーが利益を獲得していったのは事実です。
ただし、問題は獲得した利益の出金時に起こってしまいました。
FXSuitは出金や取引に関して主に3点の制限を設けているため、通常のFX業者に比べて出金の難易度が高くなっています。
- 入金から期間が経過していない早期出金では出金手数料30%が発生
- 悪質と判断される手法での取引を禁止
- リスクなしで利益を得られる手法での取引を禁止
「早期出金」の具体的な期間は定められていないため、出金をすると1〜2年にわたりスワップ手法で得た利益がほとんど差し引かれてしまうリスクがあります。
さらに、スワップ手法は「リスクなしで稼げる手法」と紹介されていたので、まさにFXSuitが禁止する手法に該当すると言えるでしょう。
saekinomao氏はFXSuitとスワップポイントの交渉を行っただけで、スワップトレード自体はFXSuitが公式に認めた手法ではありません。
そのため、いくらFXSuitの幹部と交渉した結果可能になった手法でも、規約違反による出金拒否が発生してしまう可能性は十分にあったのです。
さらに追い打ちをかけるように、2020年ごろにはFXSuitでは以下のように様々なトラブルが連発するようになりました。
- 不特定多数のユーザーを対象とした出金拒否
- スプレッドを一時的に4,000pipsまで広げて大量のユーザーのロスカットを誘発
3すくみスワップ手法を使用していたユーザーは、これらの行為によって入金額と利益額のほぼ全てを失うような大損失を受けましたが、業者側からの補填は一切ありませんでした。
これにより多くの資金がFXSuiteの懐に入っていき、関係していたsaekinomao氏とアキラ氏もFXSuiteへの入金を促す内通者であったのではないかという憶測が広がりました。
実際に本人からのカミングアウトがあったわけではないので断定はできませんが、複数のアカウントが関わった大規模な詐欺事件であると多くのトレーダーに記憶されています。
悪質な大規模詐欺事件の主犯格としての汚名を広めてしまったFXSuitに関しては、以下の記事でも詳細を解説しています。
GEMFOREXでも同様のスワップ手法が存在した
2023年5月に多くのユーザーを巻き込んだ大規模な出金拒否をして、突然のサービス終了により波紋を呼んだGEMFOREXですが、この業者でもスワップ手法が存在していました。
GEMFOREXではユーロと米ドル、南アフリカ・ランドの3すくみにより、以下の通り1ロットずつのポジション保有だけで非常に高額のスワップを獲得できる環境がありました。
保有するポジション | 1日に得られるスワップポイント |
---|---|
ユーロ/南アフリカ・ランドの売りポジション | +1,320円 |
ユーロ/米ドルの買いポジション | +27円 |
米ドル/南アフリカ・ランドの買いポジション | +74円 |
当時のレートで見ると、8万円程度の証拠金で1日あたり1,421円のスワップポイントを得られるので、年利800%という驚異的な投資成績を叩き出せました。
GEMFOREXが出金拒否によるサービス終了を予測している人は少なかったため、スワップ手法参加者で被害を被ったトレーダーも多くいました。
FXSuitとGEMFOREXだけでなく、1業者内でスワップ手法が成立してしまうとFX業者だけが一方的にリスクを負ってしまうため、スワップ手法は複数業者を利用しないと成立しないようになっています。
このように、1つの業者でリスクなしで稼げる手法が発見されている状態は、業者自体の脆弱性を証明する材料になってしまうため注意が必要です。
FX業者が禁止するアービトラージに該当する
本記事で開設している手法は「さや取り(アービトラージ)」に該当する手法の一種なので、多くのFX業者が禁止している手法に該当する可能性があるため注意が必要です。
特に、3通貨ペアを利用したすくみトレードでは複数の業者間をまたぐポジション保有を行うため、特に海外FXではほとんどの業者が禁止している行為に該当します。
逆に国内FXでは成立させやすい手法であるといわれており、その理由は最大損失発生時の海外FXと国内FXでの対応の違いにあるためです。
FX業者の種別 | 証拠金以上の損失が発生した際の対応 |
---|---|
国内FX | 損失が広がり追証が発生する |
海外FX | ゼロカットシステムにより証拠金が0になる |
海外FXでは、証拠金以上の損失が発生した際にゼロカットシステムが発生して証拠金以上の損失は出ませんが、国内FXは証拠金以上の損失は追証による追加入金で補填する必要があります。
そのため、国内FXであっても3すくみ手法は確実に安全とはいえず、証拠金に余裕を持って運用しないと追加入金の危険があるリスクのある手法といえるでしょう。
逆に、ゼロカットシステムが採用されている海外FXであればリスクを最小限に抑えた運用が可能ですが、大手業者であるXMTradingでも出金拒否の報告はされています。
そのため、すくみを利用したアービトラージ手法は完全にリスク0で稼げる手法でないという理解のもと運用しなければ、想定していなかった損失に悩まされる可能性もあります。
やはり、FXで稼ぐには自力で相場を分析する力が必要になってくるんですね。
FXの3すくみ以外にも注意するべき詐欺の実例
FXの3すくみ手法を悪用した詐欺の実例を紹介してきましたが、それ以外にも注意しておくべき詐欺の実例は数多く存在します。
それぞれの内容を確認しておき、親切を装った詐欺師に騙されないよう知見を蓄えておきましょう。
自動売買やMAMを悪用した詐欺
「勝てる自動売買やMAMがある」という触れ込みで行われる詐欺は、SNSだけでなく知人や友人経由で騙されてしまった人も多い、ポピュラーな手法です。
悪質な自動売買やMAMなどのツールは、以下の通り様々な方法によって紹介が行われています。
- ネット広告
- Xなどの広告ポスト
- 投資家を装ったアカウントからのDM
- 知人や友人からの紹介
ネット広告やXなどの広告ポストの中には詐欺ツールを用いたものもあり、MT5など実際の取引画面を使って「利益が出ている」と感じさせるような広告画面も多くみられます。
広告や紹介に従って自動売買やMAMを導入すると特定のFX業者の口座開設を求められるケースが多いですが、開設した口座と紹介元であるツール運営者が繋がります。
FX業者からツール運営者に対しては取引量に応じたアフィリエイト報酬が支払われるため、この時点で運営者には儲けが発生しています。
ツールを利用すると最初の数週間〜数ヶ月は利益が取れますが、数ヶ月後に大きな損切りをして資金がなくなってしまうケースも。
キャッシュバックによってある程度の金額を稼げる運営者からすれば、一度大きな損切りをしても別のツールで新たな利用者を集めればいいだけなので、ツールの質は低いものも多くあります。
「年利100%」や「10万円で月100万円」など魅力的な文言で紹介されているツールには、特に注意が必要でしょう。
存在しないFX業者を偽った詐欺
存在しないFX業者を利用したりマイナーFX業者と協力したりして行われる詐欺も非常に多いため、知識として頭に入れておく必要があります。
先ほど説明した「自動売買やMAMを悪用した詐欺」とも似た部分がありますが、「月利50%で稼げる」など魅力的な文言で利用者を集める広告は多く存在しています。
広告に乗ってツール導入やプロジェクト参加をしようとすると、一度も聞いたことがないFX業者の口座開設を求められるでしょう。
最初の数ヶ月程度は大きな利益をあげられるケースも多いですが、「半年以内は出金手数料50%」などの条件が科されており、多くの場合資金がロックされてしまいます。
最終的に、資金を引き出せないうちにスプレッドの拡大などのトラブルにより大きな強制損切りが発生してしまい、再起不能なレベルの損失が発生してしまいます。
ここで悪質なのが、資金を入金したはずのFX業者はもともと存在せず、利用者の資金は全て運営者に流れているという点です。
最初に開設したマイナーなFX業者というものは最初から存在せず、利用者は運営者が持つ口座に向けて入金をしているだけという状態になっています。
資金運用中に見れる損益画面はただのダミーのため、実際の資金は運営者のもとで1円たりとも動かず詐欺師の稼ぎとして計上されているのです。
聞き覚えのないFX業者を使って行われる「稼げるプロジェクト」は詐欺である場合も多いため、参加を検討する際は特定の口座を開設する必要があるのかもチェックしましょう。
偽物のMT5を見分ける方法を解説している記事もあるので、必ず目を通してくださいね。
国際恋愛を装った送金詐欺
外国人との恋愛を錯覚させて資金を奪い取る送金詐欺も近年横行しており、「ロマンス詐欺」などと呼ばれ話題を呼んでいます。
まずはマッチングアプリやSNSなどを用いて外国人の異性を騙り「付き合いたい」「結婚したい」などというメッセージを送り、親密度を深めていきます。
外国人という言葉が通じにくい立場だからこそ、直接的な表現で相手との距離を詰めやすいんですね。
2人の仲が深まって被害者が完全に信じ切ったタイミングで「結婚を前提に2人で投資を始めたい」と迫り、投資について詳しい人物の紹介をされます。
FXや株、仮想通貨など様々な投資手段を提示して入金を促し、大金が詐欺師の元に渡った時点で音信不通になってしまい、被害者は大きな損失を被ってしまいます。
特に、最初は利益が出ているように見せかけて更なる入金を煽り、最初は10万円程度で始めた投資でも最終的には数百万円以上の送金額になってしまうケースも。
実際に、2020年には日本国内の男性2人が合計1億4,000万円を騙し取られた事件が大々的に報じられており、被害額の大きさからも広く知られる事件になりました。
恋愛感情や家族の療育など、詐欺の入り口として使われる理由も複雑化してきているので注意してください。
恋心を悪用した、ロマンス詐欺のさらに詳しい手口に関しては以下の記事でも解説しているので、参考にしてくださいね。
投資スクールや教材を高額で販売する詐欺
投資に関するスクールや教材は幅広くリリースされていますが、その中には詐欺に利用されている商材も存在します。
トレーダーとして正しい考え方や正しい手法を教えるスクールもありますが、「絶対勝てる」など魅力的すぎる言葉を掲げている商材には注意してください。
悪質な商材ほど高額な料金が設定されており、中身が保証されていない教材の購入だけで数十万円以上の費用が発生してしまう可能性も。
さらには、友人や知人をセミナーに紹介すれば参加金の数十%を返還するなどの条件を提示して参加者を増やす、マルチやネズミ講のような形態の詐欺グループも存在します。
実際に、2022年に摘発されたFX投資スクールの詐欺グループでは被害額が19億円と報じられており、日本全国で被害が相次いでいます。
金融庁に登録している正式なグループであれば詐欺の可能性はないので、聞き覚えのない無名グループが主催するセミナーや商材には手を出さないのが賢明です。
他にも、FXに関連する詐欺は多岐にわたる手法で展開されており、新しい詐欺手法が日を追うごとに増えています。
以下の記事でも、近年見られる詐欺手法に関して解説しているので、ぜひ参考にしてください。
FXの3すくみなどの詐欺を見抜く方法
FXの3すくみを含む詐欺は投資界隈で横行している現在進行形の問題なので、詐欺を見抜く方法を知っておきましょう。
「FXは自分の力で稼ぐ」という前提の意識が必要なので、詐欺も自分自身の目で見抜く必要があります。
「絶対に稼げる」という甘い文言に注意する
「FXの3すくみ以外にも注意するべき詐欺の実例」でも紹介した通り、FX投資詐欺には共通してみられる文言があります。
- 絶対に稼げる
- 絶対に損をしない
- 初心者でもすぐに儲けられる
FXは大きな利益を得られる可能性がある魅力的な投資ですが、どんな手法であっても基本的に損をしてしまう可能性は内包しています。
3すくみを利用したスワップトレードは一見負けなしの手法に見えますが、経済指標の発表などのイレギュラーが発生するとスプレッドが拡大して損切りになってしまう可能性もあるのです。
どれだけ優れた手法でも必ず穴は存在するので、FXにおいては「絶対勝てる」という言葉は本来成立し得ない言葉です。
自動売買やMAMなどのツールを提供する側の人間であればFXに関してかなり研究しているので、安易に「必ず勝てる」という文言は使用しないでしょう。
そのため、教材やセミナー、自動売買などの提供を行うグループや人物が使う宣伝文句に関しては、必ず細かく確認しておくのがおすすめです。
口コミや評判は必ずチェックする
資金を投入しようとしている取引ツールや投資スクールなど、使用前には口コミや評判をチェックしておきましょう。
一例として、「絶対稼げる」といわれている投資プロジェクトで無名なFX業者の口座開設を求められた場合、その業者に関する評判を検索してみてください。
例えば、国内で有名なFX業者であるトライオートFX(インヴァスト証券)であれば、1サイトだけでも数十件以上の口コミが集まっているのがわかるでしょう。
その反面、詐欺プロジェクトで使われるようなFX業者であれば口コミも存在しないか、XなどのSNSで悪い口コミが集まっているかのどちらかです。
本記事で紹介した、3すくみ手法で使用されたFXSuitに関しても以上のように悪い口コミが集まっているので、プロジェクト自体に危機感を持って検討できるでしょう。
なお、WikiFXでは国内外の様々なFX会社に関する安全性チェックを公開しているので、新しい
出金条件を確認する
自動売買やMAMなどを利用するFX投資プロジェクトに参加する場合、出金に必要な条件を事前に確認しておきましょう。
今回紹介した詐欺事件の中心となった業者「FXSuit」では、以下のように曖昧な出金条件が公表されています。
- 入金から期間が経過していない早期出金では出金手数料30%が発生
- 悪質と判断される手法での取引を禁止
- リスクなしで利益を得られる手法での取引を禁止
FXSuit側が判断する「早期」という基準に沿って出金手数料が確定するほか、業者側が「悪質」と判断したトレーダーに至っては出金拒否されて元本すら取り返せない可能性も。
各FX業者にはそれぞれ利用規約が用意されているため、口座開設前に必ず確認して不安な場合は入金前にサポートセンターに問い合わせてみるのがおすすめです。
曖昧な基準で記載されている利用規約は、ほとんどがユーザー側にとって不利な条件提示になってしまうため注意が必要です。
数十万円以上の教材やセミナーは購入・入会しない
FXトレーダー向けに販売・開催されている教材やセミナーの中には無料のものから数十万円以上のものまで様々ですが、数十万円レベルの出費が発生する商材には警戒してください。
非常に高い価格設定がされている商材は、利用規約をよく見ると「いかなる場合も返金には応じない」という文言が書かれているケースも多く、泣き寝入りになってしまう人が後を絶ちません。
逆に、数百円で購入できるような教材であっても十分に役立つものも多く、今ではネット上にも様々な情報があり無料でも学習できる環境は整っています。
なお、セミナーや教材を購入する我々は「消費者」という立場になるため、購入や入会に支払った金額を返金してもらえるクーリングオフ制度の対象です。
契約から8日以内であれば、無条件で取引を無効にして返金と返品を行える制度
クーリングオフは消費者庁が主導で取り決めている制度なので、いくら詐欺業者であっても拒否する権利は持っていません。
ただし、詐欺業者側としてもクーリングオフを拒否できるように様々な対策を売っているので、一度でもお金を払ってしまうのは大きなリスクです。
FXは自分自身で学習・検証をしながら稼いでいく必要があるので、教材やセミナーには頼りすぎないようにしましょう。
正確なデータに基づいた損益記録を確認する
詐欺に使われるような自動売買やMAMは「月利80%!」など単純で目を惹きやすいコピーを採用していますが、以下の通り細かい損益記録を確認してから導入を検討しましょう。
- 年間単位の損益実績
- 最大ドローダウン率
- プロフィットファクターやリカバリーファクター
- 勝率
- 連勝数や連敗数
特に、参加するプロジェクトが数ヶ月単位だけで好成績を残していても、数年以上のスパンで利益を出していないツールはいつ大きな損切りが発生してしまうかわかりません。
さらに、最大ドローダウン率が80%などの数値になっていると、資金の80%を失ってしまうタイミングが今後も訪れる可能もあるでしょう。
また、連敗数が10や20以上になっていると数日〜数週間にわたり損切りが続いてしまい、安定しないメンタルでの資金運用が続いてしまいます。
こういった指標によって初めてプロジェクトに参加するかの判断ができるので、詳細なデータが公表されていないツールを導入するのは避けましょう。
住所や連絡先などの企業情報は必ずチェックする
商材やセミナー、ツールなどにお金を出す前に、運用元の企業情報は必ず確認しておきましょう。
FXなどの金融系商材を取り扱う際は、金融庁に「投資助言業」を行う業者であるという登録を済ませていないと「無登録業者」として処罰の対象になります。
例えば、国内で有名なFX業者であるマネックス証券やLINE証券などは、金融庁への登録をしたうえで運営しているため信頼できるといえます。
逆に、海外FX業者は拠点が海外にあるため、いくらユーザーが多い業者であっても日本国内では「違法」という扱いになるのです。
FX詐欺に使われる取引業者としては海外FX業者が圧倒的に多いので、注意が必要です。
同じく、投資セミナーを主催する業者にとっても金融庁の登録が必要で、未登録の業者が主催するセミナーは詐欺の可能性が大きく上がります。
金融庁に登録されている企業は一覧形式で公開されているため、魅力的な投資案件を見つけた際は必ず確認してください。
FXの3すくみは怪しい詐欺!自分の目で見分けて被害を防ごう
FXの3すくみは正しく使えば安定して稼げる優れた手法ですが、それを悪用してトレーダーから資金を奪い取ろうとする詐欺師は多く存在します。
実際に、3すくみ手法は自身でスワップや通貨ごとの変動率を調べ、避けられないスプレッド拡大などのリスクも飲み込んで運用する必要があります。
「絶対に稼げる・絶対に損しない」という概念は投資に存在しないため、甘い言葉で誘惑してくる詐欺師には十分に注意しましょう。
FXで長期的に稼ぐには誰かの力を借りるのではなく、自分自身で相場を分析してルールに則ったトレードを継続する必要がある点は理解して取り組むのがおすすめです。
ネットに掲載されている無料の記事や動画でも、十分に勉強できる環境は整っていますよ。
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