日銀の利上げ観測高まる!植田総裁と氷見野副総裁の発言とドル円への影響まとめ

日本銀行は1月23日から24日に予定される日銀金融政策決定会合で追加利上げを実施する可能性が高まっています。この動きは、昨年の「異次元緩和」終了後の金融政策正常化の一環として注目されています。

目次

日銀の利上げの背景と市場の期待

日銀が利上げを検討する背景には、日本経済の回復基調や賃金・物価の上昇が挙げられます。2024年は33年ぶりの高水準となる賃上げが実現し、消費者物価も安定的に上昇しています。これにより、日銀が掲げる2%の物価安定目標に近づく状況が整いつつあります。

市場では、今回の会合で政策金利を現在の0.25%から0.5%へ引き上げるとの見方が強まっており、金利スワップ市場ではその織り込み確率が8割を超えています。ブルームバーグによる調査でも、エコノミストの74%が1月会合での利上げを予想しており、市場全体で期待感が高まっています。

植田総裁と氷見野副総裁の発言

1月の日銀金融政策決定会合での利上げ観測が高まった背景には、植田総裁と氷見野副総裁の発言があります。以下、それぞれの発言をまとめました。

植田総裁の発言

植田総裁は1月16日、第二地方銀行協会が主催する賀詞交歓会で挨拶を行い、1月23~24日に開催される金融政策決定会合に向けた見解を述べました。そこで、「利上げを行うかどうかについて議論し、判断する」と述べました。これが利上げ観測を強めました。

この他、日本経済が持続的な改善を続けていることを背景に、政策金利引き上げの可能性について改めて言及しました。特に、2024年度以降の賃上げ動向や価格転嫁が良好な結果を示している点を強調し、「今年も経済・物価情勢の改善が続くなら、それに応じて政策金利を引き上げる」と述べています。

また、来週の会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)が議論される予定であり、その内容が利上げ判断に影響を与えると示唆しました。特に、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価(コアコアCPI)の見通しが上方修正される可能性が高いことが利上げを後押しする要因になると述べています。

さらに、トランプ新政権の経済政策や為替市場への影響についても注視していると述べました。新政権の政策が日本市場や世界経済に大きな混乱をもたらさない限り、金融緩和度合いを調整する環境が整いつつあるとの見解も示しています。

氷見野副総裁の発言

氷見野副総裁は1月14日、神奈川県金融経済懇談会で講演を行い、1月の日銀金融政策決定会合に向けた見解を述べました。

氷見野副総裁は、1月会合で公表予定の展望リポートにまとめられる経済・物価見通しを基礎に、「利上げを行うかどうか政策委員の間で議論し、判断する」と述べました。ただし、政策変更のタイミングについては「難しく、かつ重要だ」と慎重な姿勢を示しました。この発言が基で、日銀の利上げ観測が強まり始めました。

この他、2025年度の賃上げについて前向きな見方を示しました。具体的には、高水準が続く企業収益や人手不足、最低賃金引き上げなどの要因から、「2024年度に続いて強い結果を期待できる」と述べています。このような賃金動向が追加利上げの判断材料となることを示唆しました。

また、トランプ次期大統領の米国次期政権の経済政策についても言及し、「来週の就任演説で政策の大きな方向性が示される可能性がある」と述べました。これにより、米国経済や世界経済、日本経済への影響を注視しながら判断する姿勢を強調しました。また、米国経済が当面強いパフォーマンスを維持するとの見方も示しています。

なお、市場における利上げ観測が高まる中で、過度な混乱を避けるため慎重な議論が必要だと述べました。特に円安進行や物価上昇リスクへの対応として、利上げが選択肢となる可能性を残しつつも、その実施時期については明言を避けています。

日銀の利上げ観測の高まりによるドル円相場への影響

日銀の利上げ観測の高まりは、為替(ドル円)相場にも大きく影響しています。ドル円相場は円高へとトレンドが転換し、158円台前半から、一時155円を切るまで下落しました。

なお、この円高トレンドには日銀の利上げ観測の強まりの他、米12月CPIでコアCPIが予想を下回ったことで、アメリカの早期利下げ観測が高まったことで、日米金利差の縮小が意識されたこともあります。

現在、ドル円相場は1ドル155円前半で推移しています。(以下、ドル円チャートです)

なお、今後の日銀政策については、2025年内にさらに1回以上の追加利上げが行われる可能性も指摘されています。ただし、そのペースは緩やかであり、市場との対話を重視した慎重な運営が求められるでしょう。

免責事項
トレードの際は自身の投資経験、目標、財務状況、リスクを取る能力等について十分検討する必要があります。
本記事はあくまでも情報提供を目的としており、投資を推奨するものではありません。
また、本記事を参考して投資した結果被った損失について、弊社は一切の責任を負いかねます。

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

WikiFXでは、テクニカル分析のやり方から、FX会社の安全性に関する情報まで『今日から役立つFXの情報』を幅広く発信しています。
そして私たちは、FX会社アフィリエイトを一切していません。
だからこそ、正しく・信頼性の高い情報を読者の皆様にお届けする自信があります。