トランプ大統領は2月4日から発効となるカナダ、メキシコ、中国に対して関税を課す旨の大統領令(トランプ関税)を2月1日に署名しました。
週明け2月3日の市場はこれを受け、大混乱しました。日経平均株価は一時1100円下落し、ドル円相場は一時155.8円まで上昇しました。

トランプ関税には多くの懸念が寄せられていました。経済学者や業界団体は、関税が北米全体の貿易と供給チェーンに深刻な影響を及ぼし、物価上昇や経済成長の鈍化を招く可能性があると警告していました。また、カナダとメキシコは即座に報復関税を示唆し、地域的な貿易戦争への懸念も高まっていました。そのため、トランプ関税を1ヶ月間延期する決定をしました。
トランプ関税の延期決定は、カナダとメキシコが国境管理強化に向けた具体的な措置を講じることを約束した結果として実現しました。
カナダのジャスティン・トルドー首相は、1.3億ドル(約901億円)規模の国境セキュリティ強化計画を発表しました。この計画には、新たなヘリコプターや技術、人員配置が含まれています。また、「フェンタニル対策責任者」の任命や犯罪組織対策チーム設立も行う予定です。
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、10,000人の国家警備隊員を米国との国境に派遣し、フェンタニル密輸や違法移民対策を強化することを発表しました。また、アメリカ側も高性能武器のメキシコへの密輸防止に協力することを約束しました。
1ヶ月間の猶予期間中、アメリカとカナダ、メキシコ両国はさらなる交渉を行い、恒久的な解決策を模索します。しかし、この一時停止措置にもかかわらず、不確実性が残っています。特に、自動車産業など北米全体で深く統合された供給チェーンへの影響が懸念されています。自動車部品や完成車が頻繁に国境を越える現状では、高率関税が導入されれば製造コストが増加し、消費者価格にも波及する可能性があります。
なお、中国に対する関税は現時点では延期されていません。トランプ大統領は今後、中国の習近平国家主席との会談を予定しており、これが貿易交渉の進展につながる可能性もあります。
カナダ、メキシコに対するトランプ関税の延期を受け、ドル円相場は154円前半まで下落しました。ドル円相場は現在、1ドル155円台前半で推移しています。
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