まだ新型コロナウィルスのパンデミックが記憶に新しく、新型コロナウィルスと同様、中国で流行しているということで、多くの人が心配しています。
そこで、この記事ではヒトメタニューモウイルスについて、わかりやすく解説します。
ヒトメタニューモウイルスとは?

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は、主に冬から春にかけて流行する呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。
2001年に発見された比較的新しいウイルスですが、小児の呼吸器感染症の5~10%を占めるなど、近年その重要性が注目されています。
hMPVはRSウイルス(風邪のような症状)と同様に気管支炎や肺炎を引き起こすことが知られています。
感染すると、発熱、咳、鼻水などの一般的な風邪と症状が発症します。
症状は通常1週間程度で軽快しますが、乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ人では重症化し、呼吸困難や肺炎を伴う場合もあります。
hMPVは近年、小児の呼吸器感染症の原因として注目されています。
なぜなら、小児にとって罹患率が高く、重症化のリスクがあるからです。
また、hMPVによる入院患者が増加することで、医療機関の負担が大きくなるという問題も発生するため、小児科医の注目を集めています。
なお、hMPVは診断がとても難しいです。
なぜなら、一般的な風邪やインフルエンザと症状が似ているからです。
さらに、hMPVのワクチンと特効薬はまだ開発されていません。
そのため、hMPVの治療は対症療法が中心であり、重症化を防ぐための予防が特に重要視されています。
ヒトメタニューモウイルスの症状

hMPVの症状は風邪に似ています。
なお、乳幼児や高齢者では重症化するリスクがあります。
hMPVに感染すると、一般的に以下の症状が発症します。
- 発熱:微熱から高熱まで、人によって様々です。
- 咳:乾いた咳や湿った咳など、咳の種類も人によって異なります。
- 鼻水:水様性の鼻水がでることが一般的です。
- 喉の痛み:喉が痛むこともあります。
- 倦怠感:体がだるく、いつもより疲れやすいと感じます。
hMPVは軽症であるため通常、数日から1週間で自然に治癒します。
しかし、乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人などでは、重症化することがあります。
重症化すると、以下の症状が現れ、場合によっては数週間続くこともあります。
- 気管支炎:気管支が炎症を起こし、咳がひどくなったり、喘鳴(ぜーぜー、ヒューヒューという音)が聞こえたりします。
- 肺炎:肺に炎症が起こり、呼吸困難やチアノーゼ(皮膚や唇が青白くなる)などの症状が現れます。
- 心不全:心臓に負担がかかり、心不全を起こすことがあります。
また、以下のような症状が出ることもあります。
- 下痢:特に乳幼児では、下痢を伴うことがあります。
- 嘔吐:下痢と同様に、乳幼児では嘔吐を伴うことがあります。
- 頭痛:発熱に伴って頭痛が現れることもあります。
- 筋肉痛:体のだるさや筋肉痛を感じることもあります。
hMPVは一般的な風邪の症状とよく似ているため、HMPV感染症と診断するのは簡単ではありません。
ヒトメタニューモウイルスと風邪との違い
hMPVと風邪の症状は非常に似ています。
しかし、いくつかの違いがあります。
以下、わかりやすく表にまとめました。
hMPV | 風邪 | |
原因 | ヒトメタニューモウイルス | 風邪のウィルス(200種類以上) |
主な症状 | 発熱、咳、鼻水、喉の痛み | 発熱、咳、鼻水、喉の痛み |
特徴 | 乳幼児が多く感染し重症化しやすい | 一般的な風邪 |
診断方法 | PCR検査 | 症状から診断 |
ヒトメタニューモウイルスとインフルエンザとの違い
hMPVはまたインフルエンザとも症状が非常に似ています。
hMPVとインフルエンザとの違いをまとめました。
hMPV | インフルエンザ | |
原因 | ヒトメタニューモウイルス | インフルエンザウィルス |
主な症状 | 発熱、咳、鼻水、喉の痛み | 高熱、全身倦怠感、筋肉痛、咳、頭痛 |
重症化 | 乳幼児や高齢者が重症化しやすい | 高齢者や基礎疾患を持つ人に合併症のリスクが高い |
流行時期 | 主に冬から春 | 冬に流行する傾向が高い |
診断方法 | PCR検査 | PCR検査、迅速診断キット |
予防 | ワクチン・特効薬がなく対症療法が中心 | ワクチン接種が有効 |
hMPVか風邪かインフルエンザかは、症状だけではわかりづらいため、症状が出たら、医療機関を受診し、検査を受けましょう。
ヒトメタニューモウイルスの感染経路

hMPVの感染経路は主に飛沫感染と接触感染の2種類です。
飛沫感染は咳やくしゃみによってウイルスを含む飛沫が空気中に飛び散り、それを吸い込むことで感染します。
接触感染はウイルスが付着した手や物に触れた後、口や鼻と触れることで感染します。
特に保育園や幼稚園など、人が密集している場所で感染しやすいです。
hMPVは以下のような人が感染しやすいです。
- 乳幼児:生後6ヶ月頃の乳幼児は、母親から受け継いだ免疫が弱まっているため、特に感染しやすいとされています。
- 高齢者:免疫力が低下している高齢者は、重症化のリスクが高くなります。
- 基礎疾患を持つ人:慢性呼吸器疾患、心臓疾患、免疫不全など、基礎疾患を持つ人は、重症化しやすい傾向があります。
- 集団生活を送っている人:保育園、幼稚園、学校など、集団生活を送っている人は、感染する機会が多くなります。
hMPVは以下の環境で感染しやすいです。
- 冬場:HMPVは、冬場に流行する傾向があります。気温が低く、湿度が低い環境は、ウイルスの生存率を高めるため、感染リスクが高まります。
- 閉め切った空間:換気が不十分な場所では、ウイルスが空気中に滞留しやすくなり、感染が広がりやすくなります。
- 免疫力が低下している状態:ストレス、睡眠不足、栄養不足などにより、免疫力が低下している状態では、感染しやすくなります。
ヒトメタニューモウイルスの予防

hMPVは特効薬やワクチンがないため、日頃から予防することが重要です。
ここではhMPVの予防・対策をご紹介します。
まず、基本的な対策として、以下があります。
- 手洗い
- うがい
- マスク
- 換気
手洗い
外出から帰宅後や食事の前など、こまめな手洗いを心掛けましょう。
また、石鹸を使って、流水で20秒以上しっかり洗いましょう。
うがい
うがいをすることで、口の中にウイルスが付着しているのを洗い流すことができます。
マスク
人が多い場所や公共交通機関を利用する際は、マスクを着用することで、飛沫による感染を防ぐことができます。
換気
こまめに部屋の換気をすることで、部屋の中のウィルスを外に出し、空気をきれいに保ちましょう。
基本的な予防・対策の他、免疫を力を高めることで、hMPVにかかりにくくなります。
以下の方法で、免疫力を高めることができます。
バランスの取れた食事
ビタミンやミネラルをバランスよく摂取することで、免疫力を高めることができます。
十分な睡眠
睡眠不足は免疫力を低下させます。
そのため、質の高い睡眠を心がけましょう。
適度な運動
運動は、身体の抵抗力を高めることができます。
ストレスの軽減
ストレスは免疫力を低下させるため、ストレスを溜めないようにしましょう。
ヒトメタニューモウイルスに関するよくある質問

以下、hMPVに関するよくある質問に回答します。
Q:ヒトメタニューモウイルスはどんな病気ですか?
hMPVは、呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。
主に冬から春にかけて流行し、咳、鼻水、発熱などの風邪のような症状が現れます。
特に乳幼児や高齢者では、気管支炎や肺炎などの重症化のリスクが高まることがあります。
Q:ヒトメタニューモウイルスと普通の風邪との違いは何ですか?
hMPVと普通の風邪は、どちらも似たような症状を引き起こすため、素人には区別が難しい場合があります。
しかし、hMPVは特に乳幼児に多く感染し、重症化しやすいという特徴があります。
また、PCR検査などを行うことで、より正確な診断が可能です。
Q:ヒトメタニューモウイルスとインフルエンザは同じですか?
hMPVとインフルエンザは、どちらも呼吸器感染症ですが、異なるウイルスが原因です。
症状や重症度、流行時期なども異なります。
Q:ヒトメタニューモウイルスに感染するとどれくらいかかるのですか?
症状は人によって異なりますが、一般的には1週間程度で軽快します。
しかし、重症化する場合には、数週間続くこともあります。
Q:ヒトメタニューモウイルスはどのように感染するのですか?
hMPVは感染者の咳やくしゃみによって飛び散った飛沫を吸い込むことで感染します。
また、ウイルスが付着した手で口や鼻に接触することで感染することもあります。
Q:ヒトメタニューモウイルスの予防策は?
手洗い、うがい、マスクの着用、部屋の換気で予防できます。
Q:ヒトメタニューモウイルスに効く薬はありますか?
現在、hMPVに特効な薬はありません。
そのため、主に症状を緩和するための対症療法が行われます。
Q:ヒトメタニューモウイルスは何度もかかることがありますか?
一度感染しても、再度感染する可能性があります。
Q:子供がヒトメタニューモウイルスに感染したらどうすればいいですか?
子供がhMPVの症状が現れたら、まず小児科を受診しましょう。
医師の指示に従って、安静にし、水分を十分に摂るようにしましょう。
Q:高齢者がヒトメタニューモウイルスに感染したらどうすればいいですか?
高齢者は、免疫力が低下しているため、重症化のリスクが高くなります。
肺炎や呼吸困難などを起こす可能性があるため、早めに病院やクリニックなど医療機関を受診しましょう。
ヒトメタニューモウイルスは怖くない!
この記事では、現在中国で流行中のヒトメタニューモウイルス(hMPV)について解説しました。
hMPVは基本的に風邪に似た症状です。
しかし、ワクチンや特効薬がないため、注意が必要です。
また、子供がかかりやすく、特に乳幼児や高齢者は重症化のリスクがあります。
hMPVは風邪やインフルエンザと同様、手洗い、うがい、マスクの着用、部屋の換気で予防でき、免疫力を高めることで対策できます。
この冬はhMPVにかからないよう十分に予防・対策し、健康な生活を送りましょう。