MT4とMT5がダウンロードできなくなってる!
これからトレードするときはどうすればいいの?
FXの取引ツールとして世界中で利用されている「MT4/MT5」が、2022年9月29日にAppleのアプリストア(App Store)から削除されてしまいました。
MT4/MT5が利用できなくなってしまうと、多くのFXトレーダーにとって、注文を出す機会が著しく制限されてしまいます。
この記事では、現在MT4/MT5に何が起こっているのかを詳しく説明していきます。
- MT4/MT5がApp Storeから削除!何が起きているの?
- MT4/MT5がApp Storeから削除された原因は?
- 今後MT4/MT5が使えなくなる可能性は?
- MT4/MT5が使えなくなったらどうすれば良い?
MT4/MT5がApp Storeから削除!何が起きているの?

ここでは、今回のMT4/MT5がApp Storeから削除された事件の概要について解説していきます。
- MT4/MT5って何?
- MT4/MT5がApp Storeから削除された経緯
MT4/MT5って何?
MT4、MT5はロシア企業のメタクオーツ社が開発したものであり、FX、商品、暗号通貨、株価指数、株のCFD取引にも対応している取引ツールです。
MT4/MT5には、移動平均線やRSIなど含めた、30種類以上のインジケーターが標準搭載されており、様々な角度からのテクニカル分析が可能です。
また、MT4/MT5の特筆すべき点は、「拡張性の高さ」にあります。
MT4/MT5に標準搭載してあるインジケーターだけでは物足りない場合は、外部からインジケーターをダウンロードしたり、オリジナルのインジケーターを自作することもできます。
また、MT4/MT5ではEA(Expert Advisor)と呼ばれる自動売買ツールを自由に作成、搭載することができます。
インジケーターと同様に、EAも外部からのダウンロードが可能です。
以上のことから、MT4/MT5は世界中のトレーダーから人気の高い取引ツールです。

MT4/MT5がApp Storeから削除された事件の概要
世界中のトレーダーからの人気が高いMT4/MT5ですが、9月24日以降App Storeからアプリが削除され、ダウンロードができなくなってしまいました。
iPhone/iPadにダウンロード済みのMT4/MT5アプリについては引き続き利用可能で、Android版のMT4/MT5はまだダウンロード可能です。

MT4/MT5のPC版、ブラウザ版も引き続き利用できます。
MT4/MT5がApp Storeでダウンロードできなくなった件に関して、メタクオーツ社は詳細な発表をしておらず、MT4/MT5が削除された明確な原因はわからないままです。
MT4/MT5がApp Storeから削除された原因は?


MT4/MT5がApp Storeから削除された明確な原因はわかりませんが、以下の2点が原因であると考えられています。
- MT4/MT5が詐欺アプリへの送金を助長しているから
- メタクオーツ社がロシアへの経済制裁の対象になったから
MT4/MT5が詐欺アプリへの送金を助長しているから
MT4/MT5がApp Storeから削除された原因の一つが、MT4/MT5が詐欺アプリへの送金を可能にしており、暗号通貨詐欺の被害を拡大させていると判断されたからです。
近年、SNSやマッチングアプリを通して投資詐欺を行う、国際ロマンス詐欺が注目されています。
国際ロマンス詐欺では、正規の取引所で暗号資産を購入させて、MT4やMT5を通して、偽のアプリに送金をさせるという手口が横行しています。



MT4/MT5自体が詐欺アプリではなくても、MT4/MT5が詐欺アプリへの橋渡しとなっていることが問題視されています。
また、AppleやGoogleが詐欺アプリをアプリストアで提供していることも問題になっています。
2022年7月、米上院議長のシェロッド・ブラウン氏は、暗号通貨の偽アプリがAppleとGoogleのアプリストアを介して、拡散していることに関して、書簡を送っています。
書簡では、両企業が暗号通貨の取引アプリをどのような基準で精査し、アプリストアでの提供を許可しているのかの説明を求めました。
実際過去には、App Storeで提供されていたアプリで仮想通貨の詐欺事件が発生しています。
仮想通貨ウォレットである「Toast Wallet」と酷似した偽アプリ「Toast Plus」がApp Storeで提供されており、仮想通貨詐欺被害が発生しました。
被害者であるDiep氏は、App Storeにある「Toast Plus」を、仮想通貨ウォレットの「Toast Wallet」のサービスの一部と誤認し、2020年3月にXRPを同アカウントに送金しました。
しばらくすると、アカウント内のXRPは消失しており、アカウント自体も程なくして消えてしまいました。
Diep氏は、「Apple社は、Toast Plusが詐欺アプリであるのを認識していながら、App Storeでの提供を続けていた」と主張して、Apple社に対して訴訟を起こし、話題になりました。
このように、MT4/MT5を介した暗号資産の詐欺被害が多数報告されていることから、App StoreでのMT4/MT5の提供を停止したのではないかと考えられています。
メタクオーツ社がロシアへの経済制裁の対象になったから
もう一つの原因は、ウクライナ侵攻を行ったロシアに対する経済制裁の一環として、ロシア企業であるメタクオーツ社のMT4/MT5を削除したと考えられます。
メタクオーツ社の本社はキプロスに位置していますが、元々はロシアの企業であり、ロシア人社員も多数在籍しています。
実際、2022年の2月にウクライナ侵攻が発生した際には、SNS上ではMT4/MT5が利用できなくなるのではと心配の声が上がっていました。
また、Apple社はウクライナ侵攻の後に、ロシアでのApple製品の販売を中止する措置をとっています。
したがって、App Storeでもロシアの息がかかったMT4/MT5を削除したのではないかと考えられています。
今後MT4/MT5が使えなくなる可能性は?


今後、MT4/MT5に対する規制が強まった場合、
- Android版のMT4/MT5もダウンロードできなくなる
- PC版、ブラウザ版のMT4/MT5にもアクセスできなくなる
- そもそもMT4/MT5にログインできなくなる
以上3つのことが起きる可能性があります。
まず、米上院議員のシェロッド・ブラウン氏は、Apple社だけでなく、Google社に対しても書簡を提出しています。
Apple社がその書簡に応える形でMT4/MT5を削除したのであれば、Google社がApple社同様にアプリを削除するのは時間の問題と考えられます。
PC版のMT4/MT5はFX業者の公式サイトからダウンロードするので、FX業者自体がMT4/MT5の取り扱いをやめない限り、PC版のMT4/MT5を入手することはできます。
しかし、iPhone版とAndroid版のMT4/MT5を新規にダウンロードできないとなると、FX業者はMT4/MT5を取引ツールとして取り扱うメリットが少なくなってしまので、将来的にPC版のMT4/MT5もダウンロードできなくなってしまうかもしれません。



代わりに、cTraderやTradingviewなどの代替ツールか、FX業者オリジナルの取引ツールを使うことになるでしょう。
また、メタクオーツ社が経済制裁の被害を真向に受けてしまった場合は、MT4/MT5のサービスを提供すること自体が難しくなり、ログインすらできなくなってしまうかもしれません。
MT4/MT5が使えなくなったらどうすれば良い?
MT4/MT5が使えなくなってしまった場合、ほかの取引ツールを利用してFXをする必要があります。
MT4/MT5の代わりとなる取引ツールとしておすすめなのが、Tradingviewです。
Tradingviewは世界中で使われているクラウド型の取引ツールで、10万種類を超えるインジケーターを使える他、オリジナルのインジケーターも作成することが可能です。
MT4/MT5はインストールが必要ですが、Tradingviewはクラウド型の取引ツールなので、アプリのダウンロードが必要ありません。
Tradingviewについては以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。


まとめ
ここまで、MT4/MT5がApp Storeから削除された事件について解説してきました。
この記事の要点は以下の3点です。
- MT4/MT5が突然App Storeから削除されたが、明確な説明はされていない
- MT4/MT5がApp Storeから削除された原因は、MT4/MT5を介した暗号資産詐欺が多いから
- ロシアのウクライナ侵攻も、MT4/MT5がApp Storeから削除された原因の一つである可能性がある
記事執筆段階では、メタクオーツ社からの明確な説明がなされていないので、今後のMT4/MT5の動向については、随時チェックしておく必要があります。