東京外国為替市場に目を向けると、米雇用統計の結果を受けてドル円は堅調に推移すると予想されますが、週末に控える日銀金融政策決定会合への警戒感から、上値は限定的と見られています。特に注目されるのは、1-3月期の実質国内総生産(GDP)改定値の発表です。速報値がマイナス成長を示していた中、プラス成長への上方修正があるかどうかが市場の焦点となっています。
実質賃金の低迷が続き、GDPもデフレギャップを抱える中、日銀の金融政策正常化は時期尚早との見解が示されています。米国の雇用統計における事業所調査と家計調査の結果には相違があり、どちらが労働市場の正確なシグナルかについて議論が起こっています。事業所調査では27.2万人の増加が見られた一方で、家計調査では失業率が4.0%、就労者数が40.8万人減少しています。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は、事業所調査に基づく非農業部門雇用者数を重視し、金融政策を運営しています。その結果、米10年債利回りは4.43%台へ上昇し、ドルは全面高となっています。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループによる「フェドウオッチ」では、利下げ開始の時期が雇用統計発表前の9月FOMCから11月FOMCへと変更され、12月FOMCでは据え置きが見込まれています。これにより、年末のFF金利誘導目標は5.00-25%となっています。
日本の通貨当局は、4月29日と5月2日にドル売り・円買い介入を実施しましたが、その原資は米国債の売却であったことが明らかになっています。5月末の外貨準備は前月末比で474億ドル減少し、1兆2316億ドルとなりました。外貨預金は12億ドル増加し、証券残高は505億ドル減少しています。財務省は、証券の減少率が過去最大であると表明しています。
鈴木財務相は、為替介入は抑制的に行われるべきであり、急激な変動には市場をならす行為が必要であると述べています。今後も為替市場を注視し、必要に応じて対応をとるとの姿勢を示しており、ドル円が157円台後半へ上昇した場合には警戒が必要です。このような市場の動向を踏まえ、投資家は慎重な対応が求められます。
現在、ドル円相場は1ドル156円台後半で推移しています。
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