9月30日、プーチン大統領は併合式典でウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州、南東部ザポリージャ州、南部ヘルソン州の4つの州を併合すると定めた文書に署名しました。
また、プーチン大統領は、「停戦交渉の用意がある」とも語っています。
併合は住民投票で決められましたが、投票は戸別訪問で行われ、その際には威嚇役の軍人が同行するなど、正当な住民投票とは言い難いものでした。
ウクライナや欧米諸国は、このような住民投票は受け入れられないとしています。
今後、ロシアはこれらの地域での紛争に対して、自衛の原則に基づき対応することが懸念されます。
今回の住民投票は、急遽前倒しで実地されていました。
『部分的動員』に関する反発も強く、ロシアは焦っているのではないか?といった声も聞かれます。
4地域の併合に関しては、欧米諸国が経済制裁を発動し、米国はロシアの議員や要人の資産凍結を発表しました。
また、ロシアを支援する団体に対しても、制裁を警告しています。
併合翌日の10月1日、ウクライナ軍は東部ドネツク州リマンを奪還に成功しました。
これにより、ロシア側は更に追い込まれています。
今回の住民投票も、このような戦況の悪化とは無関係でないと思われます。
ウクライナの攻勢が伝えられる中、ロシアの軍部内からは劣勢を覆すために核兵器の使用を求める声も上がっています。
ドル円相場の振り返り−ファンダメンタルズ分析
それでは先週(9月26日~9月30日)のドル円相場の動きを振り返ってみます。
ドル
19日週はFOMCが発表され、予想通り75pbの利上げとなりましたが、ドットチャートが上方修正され、ドル買いの流れとなりました。
また、英国の大幅減税が発表され、強いポンド売りとなり、強いドル買いとなりました。
26日、大幅減税後のポンド売り・ドル買いの流れを引き継ぎ、ポンドは急落します。
1985円の主要な安値を割り込み、セリリング・クライマックスが発生しました。
クライマックス後は自律反発で、強いポンド買い・ドル売りとなっています。
市場の注目はポンドに集中しており、ドルの値動きもポンドの影響を多大に受けています。
FRBが注目している⓭米PCEは総合、コアとも上昇しました。
ピークアウトが期待されていましたが、引き続きインフレを示す結果となりました。
原油価格の下落を受け、エネルギー関連は改善していますが、サービス関連のインフレが目立ちます。
❻消費者信頼感指数でも、原油価格の下落が要因となり、2か月連続の上昇となりました。労働市場も堅調であり、楽観的なムードも漂っています。しかし、住宅意欲は低下しており、こちらは懸念材料です。
❺米8月新築住宅販売件数は予想を上回る結果となりましたが、住宅ローンは上昇しており、一時的な上昇とみられています。
9月20日の8月住宅着工件数でも着工許可件数は大幅減となっており、金利上昇の影響を受け、2023年の住宅販売は急速に落ち込むと予想されています。
円
英国の大幅減税発表後以降、ドルと円は強い正の相関で動いています。
先週末以降、市場の関心はポンドに移っており、本邦当局者の発言にも鈍い反応となりました。
ドル円に関しては、為替介入が意識されており、上値の重い状況が持続中です。
ユーロ
ウクライナ情勢の緊迫化、欧州経済の悪化を受け、長い下落トレンドを形成しています。
英国の大幅減税が発表されると、ユーロにも資金が流れ、強いポンド売り・ユーロ買いとなりますが、ドルが大きく買われたため、ユーロドルは下落しています。
- ドイツの9月IFO企業景況感指数は予想を下回る結果となり、IFOのクレメンス・所長は「ドイツ経済はリセッションに突入した」と述べています。
- 英中央銀行が長期国債の購入を実施すると、ドル売りの流れとなり、ユーロドルは上昇します。
- ノルドストリーム破損&ガス漏れが発見され、ユーロが下落しています。
欧州各国首相は、ロシア側の破壊工作であると主張しています。
ユーロのネガティブ要因が続きますが、
❾英中央銀行が長期国債の買い入れを実施するとリスクオフの流れが後退、
❽ラガルドECB総裁、⓫デギンドスECB副総裁のタカ派的な発言が後押しとなり、ユーロは上昇に転じています。
また、29日にはロンフィク絡みのユーロ買い、❾を受けたドル買いへの巻き戻し(ドル売り)もあり、ユーロドルは大きく上昇しています。
ポンド
23日、トラス新政権が大規模な減税を発表しましたが、財政悪化への懸念から株・通貨・債権のトリプル安となっています。
この状況を受けて、緊急利上げの可能性も浮上しましたが、❾長期国債の無制限購入を実施しました。
購入は9月28日から10月14日までとなっています。期限後(期限直前)のポンドの値動きには注意が必要です。
- トラス首相はインタビューで『経済政策は適切な措置』と語っており、政策持続の旨を伝えました。
- 英中銀金融政策委員会委員兼チーフエコノミストのピル氏は、
「11月の定例会で重要かつ必要な行動を取らなければならない」
「緊急利上げを発表する可能性は小さい」
と述べています。
現在、市場を牽引しているのは「英国の大幅減税に対する財政悪化懸念」を受けた、ポンド買い、ドル売りです。
今週も、英国政府の要人発言に注目していきます。
豪ドル
- 小売売上高は予想値を上回りました。
インフレ率や金利が上昇しているにもかかわらず、堅調な結果となったことで、利上げ継続の可能性が高まっています。
現在はリスクオフが継続しており、オセアニア経済も浮上しづらい状況です。
引き続き、各国株式市場やエネルギー市場に振り回される展開が予想されます。
今週の重要指標・発言
時間 | イベント |
---|---|
10/3(月)8:50 | 日本 7-9月期日銀短観 |
22:45 | 米国 9月製造業購買担当者景気指数(PMI・改定値) |
23:00 | 米国 9月ISM製造業景況指数 |
28:10 | 米国 ウィリアムNY連銀総裁の発言 |
10/4(火)8:30 | 9月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く) |
12:30 | 豪洲 RBA政策金利発表 |
22:00 | 米国 ウィリアムズ米NY連銀総裁の発言 |
22:15 | 米国 メスタ―米クリーブランド連銀総裁の発言 |
24:00 | 米国 ジェファーソンFRB理事の発言 |
10/5(水)時刻未定 | OPECプラス、閣僚級会合 |
10:00 | NZ RBNZ政策金利発表 |
21:15 | 米国 9月ADP雇用統計 |
21:30 | 米国 8月貿易収支 |
22:45 | 米国 9月サービス部門購買担当者景気指数(PMI・改定値) |
23:00 | 米国 9月ISM非製造業景況指数 |
10/6(木)時刻未定 | 黒田日銀総裁の発言 |
9:30 | 豪洲 貿易収支 |
15:00 | ドイツ 8月製造業新規受注 |
20:30 | ECB理事議事要旨発表 |
26:00 | クックFRB理事の発言 |
10/7(金)6:00 | 米国 ウォラーFRB理事の発言 |
7:30 | 米国 メスタ―米クリーブランド連銀総裁の発言 |
9:30 | 豪洲 RBA半期金融安定報告 |
21:30 | 米国 9月雇用統計 |
23:00 | 米国 ウィリアムズNY連銀総裁の発言 |
相場分析−テクニカル分析−
本日は以下のテクニカルを中心に分析していきます。
・節目を使用した環境認識(SP500)
節目を使用した環境認識(SP500)
リスクオン・オフの確認は米国株式を見るのが有効です。
今回は、米国の代表的な株価指数であるSP500の月足分析を行います。
続落中ですので、どこまで落ちるのか?
値下げターゲットを探っていきます。
また、両者のポイントが近い事から、
「3256付近」~「3193付近」を『下値抵抗のゾーン』として捉えています。
重複ポイントが多い事から、本命は「3256付近」です。
下抜け後の流れについては、チャートに青大文字で記入してあります。
トレンドの勢いが強い程『戻りをつけずに下落するケース』が多くなります。
本日のトレード方針
本日はユーロドルで売買方針を示していきます。
アクション | 価格 |
---|---|
エントリーポイント(買い逆指値) | 0.98541 |
利益確定ポイント(T/P) | 0.98813 |
損切りポイント(S/L) | 0.98249 |
エントリー取消ライン | 0.97338下抜け |
『ストップが集中するポイント』を狙い、ブレイクアウトを仕掛けます。
また、「0.97338」を下抜けた場合、エントリー注文は取り消します。
この「0.97338」をブレイクすると、一定幅の下落が見込めますので、そちら側にもブレイクアウトを仕掛けても良いです。
(但し、現在の上値は更新しないことが条件)
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