FXの複利運用って何?
複利の計算ってどうやるの?
「複利」と聞いて上記のような疑問をもつ方も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、FXにおいて複利の知識は必須になります。
しかし実際のところ、FXをやっている人の中で複利についての正しい知識を持っている人は少ないです。
この記事では以下の3つについて解説していきます。
- FXの複利・積立とは?計算方法を解説
- FXの複利シミュレーション|10万円から100万円までの道筋
- FXの複利運用における注意点
この記事を読めば、FXで大切な複利について理解することができます。
FXの複利積立とは?計算方法を解説

人類最大の発明は複利である。
アルバート・アインシュタイン
天才物理学者のアルバート・アインシュタインは以上のような名言を残しています。
それほどまで、複利が持つ力は絶大です。
複利を知っているかどうかで、FXに対する向き合い方は大きく変わってきます。
ここでは複利に関する以下の4つを解説していきます。
- FXの単利と複利の違い
- Excel(エクセル)でFXの複利計算シートを作る方法
- FXで複利運用するためのロット計算
- Webで公開されているFXの複利計算機
それでは見ていきましょう。
FXの単利と複利の違い
複利の解説を始める前に、単利についても知っておく必要があります。
単利とは、当初の元本に対してのみ金利が適用されることを指します。
FXにおいては、トレードごとの許容損失額がずっと一定であることを指しています。
口座資金が100万円、1回のトレードあたりの許容損失額が2万円だったとします。
3回全てのトレードでリスクリワード2のトレードを成功させたとき、口座資金は
100万円+2万円=102万円
102万円+2万円=104万円
104万円+2万円=106万円
以上のように増えることになります。
一方で複利とは当初の元本にプラスして利息分に対しても金利が適用されることを指します。
FXにおいては、トレードごとの許容損失額がトレードごとに推移することを指しています。
口座資金が100万円、1回のトレードあたりの許容損失額が口座資金の2%だったとします。
3回全てのトレードでリスクリワード2のトレードを成功させたとき、口座資金は
100万円×102%=102万円
102万円×102%=104万400円
104万400円×102%=106万1,280円
以上のように増えることになります。
単利と複利の口座資金の推移からわかるように、単利運用では口座資金は等差的に増え、複利運用では等比的に増えていきます。
以上の例のようなたった3回のトレードだけでは差がわかりにくいですが、長期間に渡って複利的にトレードに取り組むことで口座資金は驚くほどの額に達します。

Excel(エクセル)でFXの複利計算シートを作る方法
では視覚的に複利の効果を確認するために、Excelを用いて複利計算シートを作成していきましょう。
なお、ExcelでなくてもGoogleスプレッドシートでも同様の方法で複利計算シートを作成することが可能です。
今回は初期の口座資金が10万円、目標の月利を2%に固定した場合、複利運用でどれだけの利益を見込めるかを計算していきます。

まず、「期間(月)」「口座資金」「月利」「利益」「合計」の5つの項目を作成します。
1ヶ月目の欄に数値や計算式を入力していきます。
利益:=C3*D3
合計:=C3+E3
次に2ヶ月目の欄にも同様に数値や数式を入力していきます。

月利は後ほど変更できるようにするために、計算式を用いて互換性を持たせます。
口座資金:=F3
月利:=D3
利益:=C4*D4
合計:=C4+E4
3ヶ月目以降に関しては、オートフィル機能で埋めることができます。

「期間」の欄は2行分を選んでドラッグすると、12までオートフィルすることができます。
2ヶ月目の範囲を選択して、12ヶ月目までドラッグします。
それ以外の項目に関しては2ヶ月目の「口座資金」「月利」「利益」「合計」を選択して、12ヶ月目までドラッグします。
すると以上のように、オートフィルによって複利の計算をすることができます。
FXで複利運用するためのロット計算
複利運用をする上で、どのようなポジションサイズ(ロット)でトレードすれば良いかも知っておく必要があります。
昨今の取引プラットフォームの中には、ロット計算を自動的に行ってくれるようなものもありますが、ロット計算の方法も必ず押さえておきましょう。
ここでは、エクセルでロット計算の演算システムを作成しながら、ロット計算の方法について解説していきます。

まず、シート上に以下の項目を配置します。
- 「口座資金」
- 「資金率」
- 「許容損失額」
- 「エントリー価格」
- 「損切り価格」
- 「ロット(10万通貨)」
- 「クロス円のレート」
ロットの計算方法は「円」を含む通貨ペアとそれ以外で異なるので、それぞれ分けて計算することになります。

次に以上のように「口座資金」「資金率」「許容損失額」に数値や計算式を入力していきます。
許容損失額:=A3*B3
ここからは「円を含む通貨ペアのロット計算」と「円を含まない通貨ペアのロット計算」に分けて説明していきます。
円を含む通貨ペアのロット計算
ここではUSDJPYでロット計算を行うことを目的に、シートを作成していきます。

「エントリー価格」と「損切り価格」を入力し、その右側には損切り幅を計算できるように計算式を入力します。
損切り幅はロット計算を考慮して、絶対値で表示させるように処理します。
損切り幅:=ABS(B6-B7)
最後にロットの計算式を入力していきます。

ロットあたりの通貨量は個人の好みで設定することが可能ですが、今回は大口トレードも想定して、1ロットあたり10万通貨として計算式を組み立てます。
ここで重要なのは、複利的に運用するためにはロット数はエントリー時の口座資金に基づいて決定される必要があるということです。
つまり、トレードの損切り幅に応じてロット数を変更する必要があります。
ロット(10万通貨):=C3/C6/100000
今回はトレードできる最小取引量を0.01ロット(10万通貨)としているので、小数点第2位までの表示にしました。
これで「円」を含む通貨ペアでのロット計算のシートが完成しました。
続いて、「円」を含まない通貨ペアでのロット計算のシートを作成していきます。
円を含まない通貨ペアのロット計算
「円」を含まない通貨ペアのロット計算の際には、通貨ペアの右側の通貨のクロス円レートを乗じる必要があります。

「エントリー価格」「損切り価格」「損切り幅」に関しては同様に入力していきます。
損切り幅:=ABS(B12-B13)

上の例ではEURUSDの「エントリー価格」と「損切り価格」を入力しているので、「損切り幅」の単位はUSDになります。
口座資金が円建てなので、ロット数を計算するためにはUSDをJPYに変換する必要があります。
したがって、エントリー時点でのUSDJPYのレートを取得して、損切り幅に乗じます。

「通貨ペアの右側の通貨のクロス円レート」を見ると覚えてください
ここでは、エントリー時のUSDJPYのレートが130.559だとして入力します。
クロス円のレートを入力できたら、最後にロット計算の計算式を入力します。
ロット(10万通貨):=C3/(C12*C14)/100000
これによって円建ての許容損失額を、円建てに直した損切り幅で割ることができます。
今回もトレードできる最小取引量を0.01ロット(10万通貨)としているので、小数点第2位までの表示にしました。
これで「円」を含まない通貨ペアのロット計算のシートが完成しました。
Webで公開されているFXの複利計算機
ここまで複利計算やロット計算のシートの作成方法について解説してきましたが、今ではネット上に自動で複利計算を行ってくれる計算機が公開されています。
基本的にはFXへの理解を深めるためにも、ロット計算や複利の計算はご自身でされることをオススメしますが、シートの作成が不安な方は利用してみても良いでしょう。
FXの複利シミュレーション|10万円から100万円までの道筋


ここでは、10万円から100万円までを複利運用で増やすシミュレーションをしていきます。
先ほど作成した複利運用のシートは、月利を元にシミュレーションを行っていました。
しかし、FXにおいて目標とする月利を安定して達成し続けることはかなり困難であるため、月利をベースにシミュレーションをすることはあまり得策ではありません。
そこで今回はトレードごとの期待値を元にシミュレーションを行っていきます。
トレードごとの期待値は以下の計算式で算出することができます。
期待値=勝率×平均利益額ー負率×平均損失額
期待値とはトレード1回あたりに期待できる利益を表したもので、勝率や平均利益額、平均損失額をベースに算出することができます。
なお、平均利益額と平均損失額に関してはシート上ではリスクリワード比率として表すことで、計算を簡略化しています。
では、期待値をベースにして10万円から100万円までの道筋をエクセルでシミュレーションしていきましょう。




まず、用いる手法の「勝率」「リスクリワード比率」「資金率」をバックテストで算出しておきましょう。


ここでは「勝率:50%」「リスクリワード比率:2」「資金率:10%」の手法でシミュレーションをしていきます。
また、それ以外にも以下の項目をシートに表記しておきます。
- トレード数
- 口座資金
- 許容損失額
- 期待値
- 1トレードごとの利益の期待値
- 合計
1トレード目の数値や計算式を入力していきます。


許容損失額:=C6*D6
期待値:=B1*B2-(1-B1)
1トレードごとの期待値:=E6*F6
合計:C6+G6
次に2トレード目の数値や計算式を入力していきます。


口座資金:=H6
許容損失額:=C7*D7
期待値:=F6
1トレードごとの利益の期待値:=E7*F7
合計:=C7+G7


3トレード目以降はオートフィル機能で算出することが可能なので、2トレード目を選択して、下にドラッグしていきます。
作成したシートを見ると23トレード目には口座資金の合計が30万円を超えるとされていますが、実際には勝ちトレードと負けトレードはランダムに分布しているので、増減を繰り返しながら30万円まで到達するようなイメージです。
では口座資金が100万円を超えるまでシートをドラッグしていきましょう。


すると、48トレード目に口座資金が100万円を超えていることがわかります。
この方法でシートを自作することによって、様々な条件下でFXの複利シミュレーションを行うことができます。


FXの複利運用における注意点


ここまでFXの複利運用に関することを詳しく解説してきました。
しかし、FXの複利運用の計画を立てる上で必ず注意するべきポイントがあります。
ここでは以下の2つについて解説していきます。
- あくまでも”理論上”である
- 市場の不確定要因によるドローダウン
それでは見ていきましょう。


あくまでも”理論上”である
ここまでエクセルで複利運用のシミュレーションの解説をしてきましたが、それらは全て理論上の話であることを忘れてはいけません。
期待値によるシミュレーションは正確な資産曲線までは予測することはできません。
先ほど紹介した期待値のシート上では48回目で100万円を達成できると算出されていましたが、実際に48回目のトレードで100万円に到達するとは限りません。
48回目よりも早い段階で100万円に到達することもあれば、48回目を過ぎても100万円に到達していないこともあるでしょう。
つまり、100万円に到達するまでにランダムに勝ち負けが到来するので、トレードの資産曲線はジグザグのような形を描いていくことになります。
また、エントリーや決済のタイミングが遅れてしまうことや、スプレッド分の損失などを考慮すれば、シート上の想定よりも悪い結果になってしまうでしょう。
したがって、シートで算出したシミュレーションはあくまでも目安として捉えるようにしましょう。


市場の不確定要因による急激なドローダウン
実際にトレードをしていると、ファンダメンタルズ要因による大きな値動きで口座資金の大半が一気になくなってしまうこともあります。
このような状況下では損切りの逆指値を置いていたとしても、正常にロスカットが働きません。
ロスカットが正常に働かなければ、トレードごとの資金率が変わってきてしまうので、シート上でのシミュレーションの結果通りにはならないでしょう。
シート上ではこのような急激なドローダウンが発生することまでは反映することはできないことを覚えておく必要があります。
まとめ:複利を味方につけて、効率的な運用をしよう
ここまでFXの複利運用について解説してきました。
この記事のポイントは以下の通りです。
- 複利的にFXをすることで効率的に資産を増やすことができる
- エクセルなどで複利運用のシミュレーションを行うことが可能
- 実際の市場は不確実であり、計画通りの複利運用ができるとは限らない
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