基礎編の記事では、酒田五法の基本知識について解説しました。
世界でも知られているチャート分析の発祥は日本だったのです。
ヘッドアンドショルダーやトリプルトップなどのチャートフォーメーションも、日本が発祥でした。
日本は、世界でも有数の投資先進国だったのです。何だか少し嬉しい気がします。
酒田五法の基本知識や覚えておきたいローソク足の形などについては、以下の記事で詳しく解説をしています。
さて、今回は、酒田五法を使った実際のトレード手法を解説していきたいと思います。
酒田五法は「プライスアクション」なので、スキャルピングトレーダーにおすすめです。
もちろん、スイングトレードでも利用できます。
気になるポイント!TOP3
・酒田五法はどの時間足でも活用できる?
・酒田五法を活用したトレードの実際例は?
・酒田五法を利用してトレードの勝率を高くするには?
酒田五法だけでなく移動平均線や水平線など様々なテクニカル分析を組み合わせることがポイントです。
サラリーマントレーダーの方や主婦の方でも、酒田五法を利用すれば、昼間や夜の空いている時間を狙って勝率の高いスキャルピングの考え方が理解できるようになります。
1.酒田五法はプライスアクションの原点【準備編】
この章では、酒田五法とプライスアクションの関係について解説をしていきます。
1-1 プライスアクションって何?
プライスアクションという言葉を聞いたことがあると思います。プライスアクション(Price Action)とは、価格の動きを分析してトレードする古典的な分析手法です。
欧米のトレーダーに愛用されている手法ですね。
酒田五法は、プライスアクションの原点と言えます。
相場の状況を最も早く反映するのは「価格」です。
つまり、「ローソク足」の形に反映されます。
ボリンジャーバンドや移動平均線などは、どうしても遅れて反応します。
そのため、エントリー・決済の判断が遅れてしまうことも、頻繁に起こります。
テクニカル分析をするトレーダーであっても、プライスアクションを理解することは非常に重要です。
プライスアクションを理解できれば、価格の重要な節目やトレンドが反転する兆候、トレンドが続くのかなどを他のトレーダーよりも早く判断できるようになります。
1-2 酒田五法の勝率は実際どう?
前半の記事で酒田五法の「三川」と呼ばれる3本のローソク足の組み合わせ、「三山」などのチャートフォーメーション分析などについて解説しました。
しかし、実際のチャートを見てみると、酒田五法のローソク足の組み合わせは数えきれないぐらい出現しています。
やはり時間軸が小さくなるほどダマシも多くなってしまうので、勝率が低くなってしまいます。
また、トレーダーによって解釈が分かれる形も多く、正確な勝率は分かりません。
私の経験上、次のローソク足が予想どおりになる勝率は、50%ぐらいではないかと考えています。
酒田五法を使ったプライスアクションで重要なのは、節目となっている価格帯の付近でローソク足がどのような形になっているかを確認することです。
どちらにしろ、酒田五法だけを使っても継続的に勝ち続けることは難しいのではないかと思います。
1-3 酒田五法の勝率を上げるには
酒田五法のプライスアクションと水平線などを組み合わせる
酒田五法だけだと、トレードの優位性のあるポイントを正確に見極めることが困難です。おすすめは、水平線やチャートパターンなどと組み合わせて酒田五法を活用することです。
例えば、下図の相場について考えてみましょう。
上記のチャートは、安値切り上がりのトライアングルを形成しています。
トライアングルの上限をブレイクアウトしたとき、エントリーできると検討できますね。
しかし、ダマシになってしまう可能性も否定できません。
そこでローソク足の形に注目するプライスアクションを活用します。
酒田五法の三川の1つ、「明けの明星」の形になっていますね。
水平線のブレイクアウトと同じタイミングで、上昇シグナルである明けの明星の形になっているので、信頼できるブレイクアウトと判断することが可能になります。
他にも移動平均線やダウ理論、水平線、一目均衡表などのシグナルと組み合わせてみても良いでしょう。
2.酒田五法のスキャルピング手法【実践編】
2-1 酒田五法とマルチタイムフレーム分析を組み合わせる
酒田五法のスキャルピングを始める前に上位足の動きを確認することが重要です。
複数の時間足の環境認識をすることを『マルチタイムフレーム分析』と呼びます。
マルチタイムフレーム分析に興味のある方は以下の記事をご覧ください。
上位足の動きに合わせてトレードをすると、勝率がアップしやすくなります。
例えば、「宵の明星」「明けの明星」と呼ばれる酒田五法「三川」の組み合わせについて考えてみます。
相場の反転シグナルは底値圏/高値圏で発生する
どちらも反転シグナルですが、「底値圏」「高値圏」で出現したときに、有効なシグナルとなります。
1分足や5分足などでは底値圏/高値圏なのかが判断しにくくなってしまいます。
価格が底値圏/高値圏にあるかを判断するためには、日足や週足を見る必要があるでしょう。
トレンドが発生しているかを見極めるためには、上位足でも同じ方向へのトレンドが発生しているかを確認する必要があります。
例えば、酒田五法の三法ですがトレンド継続のシグナルです。
つまり、トレンドが発生している最中に出現した場合、有効のシグナルということになります。
トレンドが発生しているかどうかは、移動平均線などを表ャートを確認したりします。
1つの時間軸のみだと、「信頼できるトレンド」なのか判断ができません。
強く長く継続するトレンドもあれば、すぐに終わってしまう「ダマシのトレンド」も存在するからです。
上位足でも長く継続しそうなトレンドが続いている最中に、15分足や5分足などで酒田五法の三法の組み合わせが出現しないか注目しましょう。
2-2 ボラティリティのある時間帯にトレードする
酒田五法を使ったスキャルピングは、ボラティリティのある時間帯に有効です。
例えば、日本時間の朝方などは窓や十字線などが多数発生しますが、ほとんど意味をなさないシグナルです。
該当通貨ペアのボラティリティが高い時間帯を選ぶことがポイントです。
ユーロ(EUR)やポンド(GBP)などの欧州通貨は日本時間の午後にボラティリティが高くなります。
また、原油などと関連性が高いカナダドル(CAD)は、原油市場がオープンしている日本時間の深夜の時間帯が最もボラティリティが高くなります。
大勢の市場参加者がいる相場で形成されたローソク足に意味があるという考え方です。
スキャルピングをする前に通貨ペアごとの動きの特徴を覚えましょう。
例えば、ドル円であれば、基本的にはレンジ相場が大半を占めるのですが、首相が交代する、ドル高傾向が強くなるなどの要因で一気に大きなトレンドが発生します。
1年に2~3回ぐらいは大きな波が発生します。
一方、ユーロやポンドドルは、レンジ相場を抜けると、どこまでも突っ込んでいく性質があります。
基本的には押し目買い/戻り売りを狙って攻める方針がおすすめです。
闇雲にスキャルピングをするのではなく、特徴をつかんでトレードをしてみましょう。
2-3 酒田五法でも高値/安値を意識しよう
最安値を更新している陽線・最高値を更新している陰線に注目する
相場の基本は、高値/安値です。
ダウ理論でもそうですが、相場が高値/安値を更新したら、新たなステージへと進んだと判断しますね。
酒田五法のトレードでも同じように高値/安値を意識してみましょう。
上記はポンドドルのチャートです。
Aの部分を見ると、上昇の勢いが弱くなっていることを示す「赤三兵思案星」の並び方になっています。
その後の3本のローソク足を見ると、「宵の明星」の並び方になっていますね。
そして、Bの部分では、「下げ三法」の並び方になっています。
4本目のローソク足が安値を更新しています。
最初に注目するのは、高値を更新しているローソク足(A)です。
このとき、最高値を更新しているのは、十字線ではなく、3本目のローソク足です。
この特別な「宵の明星」のローソク足の並び方になったら要注意です。
通常の「宵の明星」シグナルよりも信頼性が高くなります。
3本のローソク足でも、2本のローソク足でも同じです。
以下にまとめてみました。
どちらのシグナルも非常に有効なシグナルです。
どの時間足でも活用できますが、日足などで発生しているとチャンス相場が近いと判断できるかもしれませんね。
2-4 短期トレードがおすすめ【決済の考え方】
どの時間足でも有効ですが、エントリーした時間足から2本目ぐらいで決済してしまうのがおすすめです。
スイングトレードというよりも短期トレードに適しています。
というのも、酒田五法の解釈はトレーダーによっても異なり、すぐに別のシグナルが発生してしまいます。
そのため、1分足であれば5分以内のスキャルピング、1時間足であれば数時間、日足であれば数日単位のトレードがおすすめです。
3.酒田五法を極める【応用編】
3-1 酒田五法を知るのにおすすめの本は?
酒田五法は奥が深いため、すべてを解説することできません。
そこで、もっと酒田五法を学びたい方向けにおすすめの本を紹介したいと思います。
【初中級者向け】酒田五法は風林火山―相場ケイ線道の極意
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酒田五法の分析方法に加えて、実際に酒田五法をどのように活用するかという実践編もあります。
ただし、FXではなく株式相場です。出版は昭和43年なのですが、現在でも役立つ理論をそのまま学ぶことができます。
内容は非常に深く、中級者も満足できると思います。
定本酒田罫線法【玄人向け】
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「定本酒田罫線法」は、非常にボリュームのある本ですが、酒田五法の本質を知りたい熟練のトレーダーにおすすめしたい本です。
林輝太郎氏が酒田法の研究者にインタビューした内容や酒田法の歴史などがまとめられています。
酒田法の名著とも呼ぶ人もいるぐらいで、ローソク足の原点を知ることができます。
ただ、高価かつ難解な本なので、一度読んだだけでは理解できないという人もいます。
何回も読むうちに味わいが出てくる本です。
3-2 TradingViewアプリなら酒田五法を確認しやすい
TradingViewでも酒田五法を自動検出できるインジケータがありますが、すべて英語表記になってしまいます。
おすすめのインジケータは『CandleStick Scanner』です。
代表的な英語表記を以下の表にまとめてみました。
英語 | 日本語 |
---|---|
Morning Star | 明けの明星 |
Evening Star | 宵の明星 |
Bullish Engulfing | 包み足 |
Bearish Harami | はらみ足 |
Rising Three Methods | 上げ三法 |
Falling Three Methods | 下げ三法 |
上記のローソク足の形だけでも、優位性のあるエントリーポイントを見つけやすくなります。
TradingViewであれば、スマホアプリでもインジケータの表示ができるので、外出先でも酒田五法のパターンが出現していないか確認できます。
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4. 酒田五法は奥深い
酒田五法のパターンを頭に入れるだけでも、瞬時に良いエントリーポイントなのか、ダマシになりやすいエントリーポイントなのかを見極めることができるようになります。
非常に奥深い手法ですが、300年以上も受け継がれてきており、現在も有効というのは驚きです。
日本の職人魂を感じますね。
経験がものをいうので、チャートを見て、酒田五法の並び方が出現していないかどうか確認してみてください。
三尊(ヘッドアンドショルダー)や高値/安値のローソク足など価格の動きを住した考え方なので、相場の動きに遅れることなく反応できます。
ぜひ酒田五法をトレードで実際に活用してみてください。
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