FXはパラボリックだけで勝てる!使い方や手法をプロが解説

パラボリックはJ.W.ワイルダー氏によって考案された、FXのトレンド系テクニカル指標です。

SAR(ストップアンドリバースポイント)という独特のラインが相場のトレンドをわかりやすく表してくれます。

パラボリックはMT4を始めとする多くのプラットフォームにおいて標準で表示させることができ、「パラボリックSAR」という呼び名が一般的です。

ここではパラボリックSARについてプロが徹底解説していきます。

特徴や使い方、パラボリックSARを用いたトレード手法についても解説していきますので、FXのトレンド系テクニカルに興味のある方はぜひ最後までご覧ください。

目次

FXの重要テクニカル「パラボリックSAR」とは

パラボリックSARは、優れたトレンド系のテクニカル指標です。

トレンド系のテクニカル指標といえば、移動平均線やボリンジャーバンドも有名ですね!

まずはその特徴を詳しく見ていきましょう。

パラボリックSARの特徴

パラボリックSARのパラボリックとは「放物線状の」という意味です。

その名の通り、チャートにパラボリックSARを表示させると、SARが放物線を描いてトレンドを示してくれます。

上昇トレンド時には価格の下、下降トレンド時は価格の上にSARは表示されます。ひとつひとつのドットが線となり、視覚的にもわかりやすくトレンドを把握することができます。

またパラボリックSARはトレンドを示してくれるだけではありません。

パラボリックSARは本来、トレンドと価格の転換ポイントを判断するために考案された指標です。

SARの正式名称は「Stop And Reverse Point」です

つまり、Stop(止まる)&Reverse(反転する)ポイントを見極めるのに活用できるということです。

上のチャートからわかる通り、SARと価格が交わった時点からトレンドが転換しています。

このSARが特徴的なのは価格を追尾しながら「加速」し続けることです。

よく見てみるとSARは最初はゆっくりと上昇し、トレンドの勢いとともにドット同士の間隔が広がり加速しているのがわかります。

SARはトレンドが終焉しても加速を続けるため、最終的にはSARが価格に追いつきトレンドの転換点を示すというわけです。

このようにパラボリックSARは、トレンドを示してくれるとともに、トレンドの潜在的な転換点を示す特徴を持った指標になります。

SARの計算方法

独特な動きをするSARですが、ここではその算出方法をご紹介します。

SARの計算式は以下の通りです。

SARの計算式

SAR=直近のSAR +AF×(EP -直近のSAR)

補足

✔トレンドが変化した直後のSARの初期値

上昇トレンドに変化したときの初期値→前回の下降トレンドの最安値

下降トレンドに変化したときの初期値→前回の上昇トレンドの最高値

✔EP→Extreme Point(極限点)

上昇トレンド中に価格が到達した最高値 or 下降トレンド中に到達した最安値

✔AF→Acceleration Factor(加速係数)

初期値は0.02

EPが記録される毎に0.02ずつ増加し最大で0.20

このEPとAFを用いて計算することによって、価格を追尾し加速していくSARが導き出されます。

パラボリックSARのパラメータ設定値について

チャートにパラボリックSARを表示させる際、パラメーターの設定値を変更することができます。

MT4やMT5ではステップと表示され、他のチャートですと加速因子と表示されるこの数値は前述したAF(加速係数)の値のことです。

初期値は0.02になっており、値を小さくするとSARが変化するタイミングが遅くなり、値を大きくすると変化するタイミングが早くなります。

設定に関しては初期値の0.02で全く問題ありません。

むしろ値を大きくし過ぎてしまった場合などは、SARが反応するタイミングが早くなり「ダマシ」が発生しやすくなってしまいます。

特に初めてパラボリックSAR使用する場合には、デフォルトの設定のまま使用することをおすすめします。

FXのトレードにおけるパラボリックSARの使い方

ここからは環境認識や実際のトレードに役立つパラボリックSARの具体的な使い方について解説していきます。

トレンドの強弱を分析

パラボリックSARではトレンドの方向性を判断できるだけでなく、トレンドの強さも把握することができます。

上のチャートで注目していただきたいのがドットの間隔です。点と点との間隔が広いほど強いトレンドが発生しているのがわかります。

これはドットの間隔がトレンドの強弱と比例しているためです。

このようにパラボリックSARは、トレンドの方向性だけでなくその強弱を判断する際にも有効活用できます。

エントリーポイント

パラボリックSARはトレンドの転換点を示してくれます。具体的にはSARの点とローソク足が交差する箇所が、トレンドの転換点です。

具体的にはSARの点とローソク足が交差する箇所が、トレンドの転換点です。

上のチャートですと◯で囲った部分が転換点。SARとローソク足が交差し、そこから逆側にSARが表示されています。

つまり、パラボリックSARが示すトレンドの転換点をそのままエントリーポイントとすることも可能だということです。

パラボリックSARはたとえ5分足であろうが、1分足であろうがしっかりとトレンドの転換点を示してくれます。そのためパラボリックSARはスキャルピングを行う際にも非常に効果的なテクニカル指標と言うことができるでしょう。

決済の目安

パラボリックSARのトレンドの転換点を示すという特性を活かし、パラボリックSARを決済の目安に使うこともできます。

例えば次のチャートの場合。

この時売りのポジションを保有しているならば、SARは非常にわかりやすい利益確定ポイントです。

SARはトレンドが続く限りローソク足と一定の距離を保ちながら追尾していきます。
またSARは加速しながら追尾していきますので、トレンドの勢いが弱まるとローソク足に追いつくことになります。

つまりパラボリックSARはトレーリングストップとしても使えるということです。

SARを決済の目安とすることで、損失を限定しながら利益を最大化させることができます。

FXはパラボリックSARだけで勝てるのか?メリット・デメリットを検証

ここまで見てきたように、パラボリックSARは的確にトレンドの転換点を示してくれるとても優秀なトレンド系テクニカル指標です。

ともすればパラボリックSARだけでFXは勝てる気さえしてしまいますが、現実はそう上手くはいきません。
ここではパラボリックSARのメリットとデメリットについて深堀りしていきます。

パラボリックSARのメリット

パラボリックSARの最大のメリットは、強いトレンド相場において効果を発揮する点です。

強いトレンド発生時のエントリーや利益の伸ばし方というのは意外と難しいもの。
しかしパラボリックSARを使えば、エントリーポイントはもちろん、前述したように決済に関しても明確な判断材料が得られます。

FX上級者であれば、ポジションを決済してすぐに反対売買を行ういわゆる「ドテン」の売買をすることもできるでしょう。スキャルピングとも非常に相性の良いテクニカル指標です。

また、視覚的にトレンドと転換点をすぐに把握できるのも大きなメリット。そのため、FX初心者から中上級者までの幅広い層に適しているテクニカル指標と言うことができます。

パラボリックSARのデメリット

パラボリックSARの最大のデメリットはレンジ相場に弱いということです。

レンジ相場のような方向感の無い、一定の値幅の中で価格が推移する場合には、SARの価格を加速しながら追尾するという特性が裏目に出てしまいます。

上のチャートのようなレンジで相場ではSARが機能していないのがわかります。

もしこの場合においてSAR通りに売買してしまうと、いわゆる往復ビンタの状態。売っても買っても微益もしくは損切りになってしまいます。

パラボリックSARでは、トレンドが終焉して方向感が無くなれば無くなるほど上記のような「ダマシ」が発生しやすくなりますので気をつけましょう。

優秀なテクニカルであるパラボリックSARも万能ではないということです。

【FX実践編】パラボリックSARを使ったトレード手法

ここからは実践編です。パラボリックSARを使った効果的なトレード手法について解説していきます。

長期足で環境認識・短期足でエントリー

これはパラボリックSARのトレンドが、2つ以上の長期足と短期足で揃った時点でエントリーするという手法になります。

やり方としましては、例えばデイトレードだとしたら「4時間足」「1時間足」の方向性が揃い、なおかつ「15分足」も揃った段階でエントリーするといった具合です。

USD/JPY 4時間足

4時間足の赤いラインの部分でパラボリックSARのシグナルが出ます。

USD/JPY 1時間足

まもなく1時間足にも買いのシグナルが出ますので、あとは15分足でエントリーのタイミングをはかります。

ポイントは2つ以上の長期足で環境認識することです。

もし普段1時間足でトレードを行っているなら「日足」と「4時間足」、5分足を使ってトレードしているなら「1時間足」と「15分足」といった具合。

重要なのは2つの長期足と短期足の方向性がバラバラだとしたらエントリーしてはいけないということです。

前述しましたように、パラボリックSARはレンジ相場ではダマシが多くなるためあまり機能しません。
そのためパラボリックSARのみを使ってトレードを行う場合はトレンドの有無が非常に重要になります。

そのトレンドの判断を長期足と短期足を使って行うことによって、エントリーの精度が格段に上がるというわけです。

他のFXテクニカル指標とパラボリックSARを組み合わせる

パラボリックSARは他のテクニカル指標と組合わて使うことによってよりその効果を発揮します。

その中でも代表的な組み合わせのトレード手法を、初心者から上級者までレベル別にご紹介していきます。

【FX初心者向け①】パラボリックSAR+移動平均線

まずは移動平均線1本とパラボリックSARの組み合わせによる初心者向けの手法です。
移動平均線で大まかなトレンドを見極め「売り」か「買い」どちらかに絞ってトレードを行います。

具体的には、ローソク足が移動平均線の上にあるなら買いのみ、ローソク足が移動平均線下にあるなら売りのみを行い、エントリータイミングはパラボリックSARで判断するというシンプルなものです。

なお、表示させる移動平均線は多くのトレーダーが使っている「100SMA」「200SMA」「800SMA」あたりがおすすめ。

上のチャートですとローソク足が移動平均線の上にあるので大きな流れは買い目線です。

その流れとパラボリックSARのシグナルが一致したところのみでエントリーします。

大きな流れに沿ってトレードすることによって、パラボリックSARのダマシに合う確率が減り、優位性の高いトレードをすることができます。

【FX初心者向け②】パラボリックSAR+移動平均線+平均足

こちらは先ほどのパラボリックSAR+移動平均線に、普通のローソク足の代わりに平均足を用いる手法です。

平均足とは、相場のトレンドを明確に表すために改良を加えられたローソク足のこと。

価格の「始値・終値・高値・安値」の四本値をそれぞれ平均するなど修正を加え、トレンドが視覚的にわかりやすいように描かれたローソク足です。

(白=陽線 赤=陰線)

上のチャートのように陽線の連続は上昇トレンド、陰線の連続は下落トレンドを表します。

この平均足をパラボリックSARと移動平均線とともに表示させたのが次のチャート。

「売り」「買い」の判断は、前述したパラボリックSAR+移動平均線の組み合わせの場合と一緒です。平均足が移動平均線の上にあるなら買いのみ、平均足が移動平均線の下にあるなら売りのみを行います。

エントリーのタイミングはパラボリックSARと平均足のシグナルが揃った時です。

とてもシンプルですが、エントリーポイントが明確でなおかつ優位性が高いところでエントリーすることができますので、FX初心者にはおすすめの手法になります、

【FX中級者向け】パラボリックSAR+ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドはパラボリックSARと同じくトレンド系のテクニカル指標なりますので、相性は抜群です。

特にボリンジャーバンドの強いトレンドのシグナルであるバンドウォーク発生時にはパラボリックSARのシグナルが役立ちます。

上のチャートではボリンジャーバンドの2σ上にローソクが並ぶバンドウォークが起きており、強いトレンドが発生しているのがわかります。

ただ、このバンドウォークはダマシになることもありますし、いつまで続くのかということに関しても不確実です。

しかしパラボリックSARを使えばトレンド判断の確実性が増し、決済ポイントも明確になります。

上のチャートのように、パラボリックSARを表示させることによって、エントリーポイントと決済ポイントがはっきりしました。

2つのテクニカルが示す方向にエントリーしますので優位性が高く、決済に関してもSARの価格を追尾する特性を活かして利益を最大化できます。

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【FX上級者向け】パラボリックSAR+DMI(ADX)

こちらはパラボリックSAR開発者であるJ.W.ワイルダー氏が推奨しているトレード手法です。

同じくワイルダー氏によって開発されたDMI(ADX)という指標を用い、パラボリックSARのダマシを回避する方法になります。

DMIはMT4などでは「Average Directional Movement Index」と表示されており、別名ADXとも呼ばれるトレンド系の指標です。価格の変動幅からトレンドの有無や強弱を読み取ります。

注目するのはADXのラインです。ADXが上昇している場合はトレンドが強く、下降している場合はトレンドが弱いことを示しています。

つまり、ADXが上昇している場合のみ、パラボリックSARのシグナルに従いエントリーするということです。

上のチャートのようにADXが下降してる場合にパラボリックSARシグナルが出ても、ダマシの可能性が高くなります。

トレード回数が増えれば増えるほどダマシに合う確率も高くなるものです。
これはそのような1日に何度もトレードを行う上級者向けの手法になります。

まとめ

パラボリックSARがとても優秀なテクニカル指標であることがおわかりいただけたかと思います。

ただ、パラボリックSARは万能ではありません。
レンジ相場ではその機能を十分に発揮できないこともしっかり頭に入れておいてください。

優位性を上げるには、他のテクニカル指標と組み合わせて使うことがおすすめです。
ここでご紹介した移動平均線やボリンジャーバンド、DMI(ADX)はほぼ全てのチャートにも標準で備わっています。

色々試してみて、自分に合ったテクニカル指標の組み合わせを見つけてみましょう。

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この記事を書いた人

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コメント一覧 (2件)

  • 名古屋在住の今年で70になるものです。約50年ほどは損保に勤務していたので為替の経験はありませんが以前より為替には興味があり2〜3年前より本などで自分なりではありますが取り組み、少額ではありますが今年よりよりリアルにてトレードを始めたものです。今の所当初思っていたような成果は出てはいませんがマイナスも最小限できているかとは思っています。そんな簡単な事ではないことぐらいは解ってはいましたが正直手強いですね!まだまだ初心者ではありますが何故か過信でしょうか?出来るような気持ちが離れずこの先も続けて行くつもりでいます。まだリアルで取り組み半年余りではありますが今この記事を読ませていただき一時期リアルから離れ今一度初心に戻って一から学んでいき自分なりのトレードスタイルが見つかればいいかなと思い今回メールさせていただきました。ここのスタイルがあるかとは思いますが何から手をつけたらいいか?考えては見ましたが迷いもあり何かアドバイスしていただけることがあれば教えていただきたく思います。勝手なご連絡かとは思いますが宜しくお願い致します。

  • わかりやすい解説ありがとうございます。何点か教えていただきたくコメント致しました。現在5月23日20時30分時点のドル円で5分足 15分足 60分足にパラボリックとSMA200を表示しています。まず環境認識のためSMAを見ていますが60分足では上げかと思いますが15分足は横向きのレンジかと見ています。5分足に関してもSMAの下にはあるもののやはり横向きですのでレンジと判断した為ポジションは持っていませんがもしこの先5分足が下げに入った場合ですが60分足は当分は上げになっていると思いますが各ローソク足が200SMAの上か下に揃う時ポジションは持たない方が良いのでしようか?あとケースによって違うかとは思いますが逆指値はどのくらい取った方が良いのでしょうか?ちなみに5分足を使ったスキャルピングです。ご指導のほど宜しくお願い致します。

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