ふるさと納税ってFXの節税になる?
そもそもふるさと納税ってなに?
「ふるさと納税」と聞いて上記のようにお悩みの方も多いのではないでしょうか?
FXで一定の利益をあげた場合は確定申告にて納税を行う必要がありますが、ふるさと納税を行なっていれば節税につながると考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし実際のところ、そもそもふるさと納税の仕組みや手続きの方法を知らなければ、ふるさと納税を行うことを検討することも難しいですよね。
そこでこの記事では以下の3つについて解説していきます。
- ふるさと納税の基礎知識
- FXの収入がある場合のふるさと納税はどうなる?
- ふるさと納税の手続きを解説
- FXのふるさと納税に関してよくある質問
この記事を読めば、FXをやっている人がどのようにふるさと納税を活用できるのかを理解することができます。
ふるさと納税の基礎知識
ふるさと納税を行うことは義務ではないので、聞いたことはあるが内容は全く知らないという人もかなり多いでしょう。
そこでまずはふるさと納税の基礎知識について解説していきます。
ここでは以下の3つについて解説していきます。
- そもそもふるさと納税とは?
- ふるさと納税による控除を受ける方法は?
- ふるさと納税による控除額の上限は?計算方法を解説
そもそもふるさと納税とは?
ふるさと納税とは、自分が応援したい自治体に対して寄付を行うことで、その返礼品としてその自治体の特産品を受け取ることのできる制度のことを言います。
返礼品は寄付額の3割に相当する特産品を受け取ることができ、以上のような「ふるさと納税サイト」からは寄付金に応じた返礼品の一覧を見ることができます。
ふるさと「納税」という名称になっているのは、寄付額から2,000円を差し引いた額が所得税や住民税から寄附金控除として差し引かれるからです。
言いかえれば、2,000円の自己負担でふるさと納税を行なっているということになります。
次にふるさと納税による控除を受ける方法について解説していきます。
ふるさと納税による控除を受ける方法
控除を受ける方法 | 控除先 | 条件 |
---|---|---|
確定申告 | 所得税と住民税 | なし(ベーシックな手段) |
ワンストップ特例制度 | 住民税 | 確定申告を行わなくても良い給与所得者ふるさと納税を行なった自治体が5つ以下の者 |
ふるさと納税による控除を受けるためには、「確定申告を行う」か「ワンストップ特例制度を利用する」のどちらかをする必要があります。
確定申告を行なった場合は、ふるさと納税による控除を所得税と住民税の両方から受けることになります。
具体的にはすでに納めた所得税の一部が確定申告の1、2ヶ月後に還付され、住民税は今後納める金額から控除されることになります。
一方でワンストップ特例制度を利用した場合は、ふるさと納税による控除を住民税のみから受けることになります。
以前はふるさと納税による控除を受けるためには確定申告を行わなければなりませんでした。
しかしそのせいで本来確定申告の必要がないサラリーマンのような人たちの負担が増えてしまい、ふるさと納税が世間にあまり浸透しませんでした。
そこで設けられたのが「ワンストップ特例制度」で、一定の条件を満たした場合には確定申告なしでふるさと納税による控除を受けることができるようになりました。
給与所得者向けの制度ということですね
ワンストップ特例制度が利用できるのは以下の条件に当てはまる人です。
- 確定申告や住民税の申告を行う必要のない給与所得者
- ふるさと納税を行なった自治体が5つ以下の者
この条件に該当する人は源泉徴収により所得税の納税は会社が行なってしまっているので、自動的に住民税からのみの控除になります。
ふるさと納税は魅力的な制度ですが、控除額には上限があることに注意する必要があります。
ふるさと納税による控除額の上限は?計算方法を解説
ふるさと納税による控除額には上限が存在し、それは所得や扶養家族の有無などによって異なってきます。
それぞれのふるさと納税の限度額を求めるための計算式は存在しますが、いちいち自力で計算するには大変な労力がかかります。
そこで、ふるさと納税の控除上限額を計算してくれるシミュレーションツールを使用することで、正確に早く求めることができます。
以下2つのサイトにあるツールは様々な働き方に合わせてふるさと納税の上限額を詳細に計算してくれるので、「副業としてFXをしている人」や「専業トレーダー(個人事業主)」でも使いやすいです。
また、総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」では控除上限額の目安が一覧になっているので、大まかな控除上限額を知りたい場合はこちらを参照することも可能です。
例えば「共働きで高校生の子供が1人」かつ「給与所得が600万円」の方がふるさと納税を行う際のふるさと納税の目安は「69,000円」ということがわかります。
FXの収入がある場合のふるさと納税はどうなる?
ここまでふるさと納税の基礎知識について解説してきました。
ここではFXでの収入がある場合のふるさと納税の手続きを4つの場合に分けて説明していきます。
- 【給与所得者】FX等の利益が20万円以下でふるさと納税を行う場合
- 【給与所得者】FX等の利益が20万円超でふるさと納税を行う場合
- 【非給与所得者】専業FXトレーダーがふるさと納税を行う場合
- 【株】源泉徴収ありの口座を利用
【給与所得者】FX等の利益が20万円以下でふるさと納税を行う場合
給与所得者の場合、海外FXなどの給与所得以外の収入が20万円以下であった場合は確定申告を行う必要がありません。
しかし住民税に関しては別途申告する必要があるので、残念ながらワンストップ特例制度を使用することはできません。
ふるさと納税のために確定申告を行う際には、当然FX等で稼いだ利益に関しても申告する必要があるので、課税対象額をむやみに大きくしてしまい、儲けを減らすことになってしまいます。
この場合、「ふるさと納税を行うこと」と「確定申告を行わずに節税すること」のどちらがお得かを判断する必要があります。
一方でFXで損失が発生している場合はふるさと納税を行なったほうが良いケースがあります。
それは国内FX業者を利用していて、年間利益がマイナスだった場合です。
国内FXであれば確定申告を行うことで最大3年間の繰越控除を受けることができるので、たとえ利益が出ていなかったとしても確定申告を行うメリットが大きいのです。
したがって、国内FXの損失分に関して確定申告を行うと同時にふるさと納税を行えば、節税しながら返礼品ももらうことができます。
ただし、海外FXの損失に関しては確定申告をしても繰越控除を受けることはできないので注意しましょう。
【給与所得者】FX等の利益が20万円超でふるさと納税を行う場合
給与所得以外の利益が20万円超の場合は確定申告を行う必要があります。
確定申告を行うので、ワンストップ特例制度を利用することはできません。
したがってふるさと納税を行なった際には確定申告で寄付金控除の手続きも同時に行いましょう。
給与所得以外の収入が20万円超の場合に注意しなければならないのが、ふるさと納税を行うタイミングです。
FXの性質上あらかじめ年間の損益を把握するのは難しく、年末にならなければFXの利益にどれだけの税金の支払いが必要なのかを把握するのは難しいです。
前述のようにふるさと納税は控除上限額が決まっているので、もしFXの利益を多く見積もってしまっていた場合は、ふるさと納税の寄付額が控除上限額を上回ってしまうことになります。
控除上限額を上回った寄付額に関しては控除を受けることはできないので、完全な自己負担となってしまいます。
したがって、給与所得分については年収の目処がついたタイミングでふるさと納税を行い、FXの利益分は年末に行うなどの対策をしましょう。
10月〜12月はふるさと納税が急増する時期なので、欲しい返礼品がある場合は気をつけましょう
【非給与所得者】専業FXトレーダーがふるさと納税を行う場合
給与所得がなく、個人事業主のような形でFXのみ生計を立てている人の場合、毎年確定申告をする必要があります。
確定申告を行うので、ワンストップ特例制度を利用することはできません。
したがって確定申告の際には寄付金控除の手続きも同時に行いましょう。
国内FXと海外FXはどちらも雑所得に該当する収益ですが、それぞれで適用される課税方法が異なるので、ふるさと納税をする際には注意が必要です。
国内FX業者を利用している場合は利益に対して申告分離課税が適用されるため、税率は一律20.315%です。
所得金額 | 税率 | 控除額(円) |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000 |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000 |
一方で海外FX業者を利用している場合は利益に対して総合課税が適用されるため、税率は累進課税になります。
国内FXと海外FXで同じ金額の稼ぎがあったとしても発生する税金は異なるので、ふるさと納税の寄付金上限額の計算には気をつけましょう。
【株】源泉徴収ありの口座を利用
FX口座には源泉徴収制度がないため、利益が発生した場合には確定申告か住民税の申告のどちらかを必ず行う必要があります。
つまりFXの収益がある以上、ワンストップ特例制度は使用することはできません。
一方で株取引の口座には源泉徴収ありの特別口座が存在します。
株取引で源泉徴収ありの口座を利用している場合は確定申告を行う必要がないので、ふるさと納税による寄付金控除をワンストップ特例制度を利用して受けることができます。
ふるさと納税の手続きを解説
ここでは実際にふるさと納税を行なってから確定申告するまでの手順を解説していきます。
また、ワンストップ特例制度の申請方法も最後に紹介していきます。
- ステップ1:控除限度額を算出
- ステップ2:寄付する自治体や返礼品を選んで、申し込む
- ステップ3:返礼品と寄付金受領証明書が届く
- ステップ4::確定申告を行う
- ワンストップ特例制度の申請方法
ステップ1:控除限度額を算出
まずはどれだけの額のふるさと納税を行うことができるのかを算出する必要があります。
計算には、先ほど紹介した【ふるさと納税バイブル】寄付上限額シミュレーション を使用します。
※現在、FX所得についてのシミュレーターが改修中ですので、下記で紹介させてもらっている機能が閉鎖している状況ですが、「給与所得者版、副業・パラレルワーカー版、個人事業主・フリーランス版、個人事業・フリーランスかんたん版」の機能は利用可能ですので是非使用してみてください。
まず、ふるさと納税バイブルの寄付上限額シミュレーションのリンクをクリックします。
自分の働き方にあうものを4つの項目から選択します。
専業副業にかかわらず、FXをしている場合は「副業・パラレルワーカー版」か「個人事業主・フリーランス版」のいずれかになります。
ここでは給与所得者がFXを行なっているという想定で入力していきます。
画面を下にスクロールし、空欄に情報を入力していきます。
源泉徴収票をもとに給与所得を空欄に入力し、配偶者がいる場合は配偶者の給与所得も入力します。
FXの収入は「副業の収入」の欄には書かないようにしてください。
代わりにすぐ下の「株式、仮想通貨、FX、その他の収入がありますか?」の質問の部分で「はい」にチェックをつけてください。
チェックをつけると新たな項目が表示されるので、「FXの売却益」の欄に国内FX口座と海外FX口座(ここでは国外FX口座)の利益を入力します。
これ以降の「ご家族について」「保険料等について」「住宅ローン減税について」の項目に関しても自身の情報に沿って入力していきます。
全ての入力が終了すると、寄付上限額を算出することができます。
次に、ふるさと納税サイトにアクセスして実際に返礼品を選んでいきます。
ステップ2:寄付する自治体や返礼品を選んで、申し込む
ふるさと納税サイトにアクセスし、返礼品を探しましょう。
寄付を行うのは一年中いつでも大丈夫なので、目当ての返礼品の在庫がある時期などを狙うこともできます。
あらかじめ新規会員登録をしておくことをオススメします
返礼品が決まったら「カートに入れる」を押します。
返礼品の選択が終わったら、「この地域の寄付手続きへ進む」をクリックします。
すると、申し込みの手続きが始まるので寄付者情報の入力をして、申し込みを完了します。
ステップ3:返礼品と寄付金受領証明書が届く
しばらくすると返礼品と寄付金受領証明書が届きます。
返礼品や寄付金受領証明書が届くまでの期間は自治体によって異なるので、マイページや公式サイトから確認しましょう。
以下のリンクからは自治体ごとの寄付金受領証明書の発送目安を確認することができます。
国税庁が指定した特定の事業者を利用した場合には、寄付金控除に関する証明書で一括して処理できるようになりました。
国税庁で指定したふるさと納税サイトは以上の通りです。
したがって寄付金受領証明書の提出義務はありませんが、確定申告書への入力の際には必要なので保管しておきましょう。
ステップ4:確定申告を行う
最後に寄附金控除を受けるために、確定申告を行います。
確定申告の際には、以下のものを用意しましょう。
- 寄付金受領証明書
- 通帳やキャッシュカード
- 印鑑
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
- マイナンバーカード
確定申告書を作るために国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスします。
FXによる収入がある場合の確定申告の書き方については以下の記事で解説しているので、ここでは寄付金控除を入力するパートについて解説していきます。
所得控除のパートに「寄附金控除」があるので、「入力する」をクリックします。
「入力する」をクリックします。
「寄附年月日」には寄付金証明書に記された年月日を入力します。
「寄附金の種類」では「都道府県、市区町村に対する寄附金」を選択します。
ふるさと納税の内容を入力していきます。
全ての入力が終わったら「入力内容の確認」をクリックします。
寄附金の入力が全て終わったら、「次へ進む」をクリックします。
これ以降は別の記事で紹介している確定申告書の記入方法にならって進めていってください。
ワンストップ特例制度の申請方法
ここまでは確定申告により寄附金控除を受ける方法を解説してきました。
源泉徴収ありの口座(特別口座)がないFXではワンストップ特例制度を使用できる機会はありませんが、株取引を特別口座で行なっている場合などは、ワンストップ特例制度を利用することができます。
ここではワンストップ特例制度の申請方法についても解説していきます。
まず、ワンストップ特例制度の申請書類(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)をふるさと納税サイトからダウンロードします。
申請書には住所や名前、個人番号を記入します。
同様に上記の赤枠の部分にも記入を行います。
記入が終わったら、併せて提出する必要のある本人確認書類を用意します。
本人確認書類は以下の3つのパターンのどれかである必要があります。
- マイナンバーカードの写し(両面)
- 通知カードの写しor 住民票の写し(個人番号入り)と運転免許証の写しor パスポートの写し
- 通知カードの写しor 住民票の写し(個人番号入り)と健康保険証、年金手帳、提出自治体が認める公的書類のうちいずれか2点の写し
これら「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」と「本人確認書類」を翌年の1月10日までにふるさと納税をした自治体に送付する必要があります。
自治体の住所はふるさと納税サイトから検索して調べるようにしましょう。
ふるさと納税に関してよくある質問
ここではふるさと納税に関してよくある質問に回答していきます。
- ふるさと納税をしたらFXが会社にバレる?
- FXで繰越控除をしている場合のふるさと納税の限度額は?
- ふるさと納税に節税効果はある?
- 寄附金控除の手続きを忘れてしまったらどうなる?
ふるさと納税を使えば会社にFXがバレないですむ?
会社にFXなどの副業がバレる原因の多くが、住民税額が増えていることを会社の経理が気づくことです。
ふるさと納税では住民税を寄附金控除により減らすことができるため、副業などで増えてしまった住民税を減らすことができると考えるひともいるかもしれません。
しかし、実際にはふるさと納税を使ったとしても住民税を通して副業のFXの存在はバレてしまいます。
なぜならふるさと納税による税額控除前の金額はすでに会社側が年末調整を行なった際に把握しているからです。
副業としてのFXの存在をバレないようにするには、住民税の納税方法を「普通徴収」にすることがもっとも効果的です。
詳しくは以下の記事をご参照ください。
ふるさと納税に節税効果はある?
ふるさと納税には節税効果はありません。
むしろ、確定申告より前に寄付を行うことになるので、一時的な出費が増えてしまうというデメリットがあります。
しかし、それでもふるさと納税がお得だと言われるにはしっかりとした理由があります。
まず、寄付の見返りとして返礼品を受け取れることです。
例えば、ふるさと納税を1万円行なったとします。
ふるさと納税を行うにあたっては2,000円を自己負担しなければなりませんが、全体的な支出は1万円から変わりません。
一方で返礼品として寄付金の3割相当のものがもらえるので、3,000円の価値のある返礼品を受け取ることができます。
すると、自己負担の2,000円を考えても、1,000円相当の得をしたことになります。
また、ふるさと納税をすることによって自らが納めた税金の使われ方を指定できるという利点もあります。
源泉徴収や確定申告では税金は特に使われ方もわからないまま納めることになる一方で、ふるさと納税なら寄付金は自治体の活性化のために使われることが明確であるので、納税に対する心理的なストレスを軽減することができるのではないでしょうか。
このようにふるさと納税は税務上の節税にはなってないにせよ、お得感や納得感のある制度となっています。
寄付金控除の手続きを忘れてしまったらどうなる?
寄附金控除を受けるためには確定申告を忘れてしまった場合でも、提出期限から5年以内に「更正の請求」をすることで寄附金控除の適用を受けることができます。
「更正の請求」は本来申告するべき金額よりも「過大に」申告してしまった時に利用することができます。
過少に申告した場合は脱税になってしまう可能性があるので気をつけましょう
- 年分所得税及び復興特別所得税の更正の請求書
- 寄付金受領証明書
- 本人確認書類
「更正の請求」は5年以内であればいつ提出しても大丈夫なので、以上の必要書類と合わせて税務署に提出しましょう。
まとめ:ふるさと納税はFXの節税にはならないが、お得感や納得感がある
ここまでFXでの収入がある場合のふるさと納税について解説してきました。
この記事のポイントは以下の通りです。
- FXの利益がある場合はワンストップ特例制度は利用できない
- ふるさと納税を行なった際は、確定申告書の寄附金控除の欄への入力を忘れないこと
- ふるさと納税はFXの節税にはならないが、お得感や納得感があるという点ではオススメできる
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