FXのロンドン時間とは?特徴やトレード戦略をプロが徹底解説

ロンドン時間と聞かれたときに、何時から何時までで、どんな特徴があるのかなどを答えられますか?

FXには東京時間やニューヨーク時間と呼ばれる時間帯が存在しますが、その中でもロンドン時間は注目度が高いです。

なぜならロンドン時間は、取引高が一番多いロンドン市場のトレーダーが参加するため、値動きが本格化する時間帯と言われているからです。

また他の時間帯にはない特徴もあるので、ポイントを押さえて取引したいところです。

この記事でわかること
  • ロンドン時間の時間帯(夏時間と冬時間)
  • ロンドン時間の特徴6つと戦略2つ
  • ロンドン時間でおすすめの手法2つ

この記事を読めば、ロンドン時間の時間帯や特徴、戦略、おすすめの手法までを理解できます。

ロンドン時間の理解が深まれば、自分なりに対策や手法も立てられるようになるので、ぜひ最後までご覧ください。

動画での解説はこちら
目次

ロンドン時間とは?夏時間と冬時間で異なるので注意

ロンドン時間とは、ロンドン市場が開場する17時(夏時間なら16時)から翌2時(夏時間なら翌1時)に取引が活発化している時間帯のことです。

夏時間or冬時間取引が活発化する日本時間適用時期
夏時間16時~翌1時(夏時間)3月~11月
冬時間17時~翌2時(冬時間)11月~3月
ロンドン時間の夏時間と冬時間

夏時間(サマータイム)とは、日の出が早まる時期(3月~11月)に、時計を1時間早めて、太陽が出ている間に行動しようという欧米の考え方のことです。

ただし夏時間ではない時期の時間帯は「冬時間(11月~3月)」と呼ばれ、夏時間よりも1時間遅くなります。

そのため、夏時間から冬時間、もしくは冬時間から夏時間の移行時期では時間帯が変わるため、注意が必要です。

時間移行移行時期(米国時間)
夏時間→冬時間11月の第1日曜日
冬時間→夏時間3月の第2日曜日
夏時間・冬時間の移行時期

また基本的にロンドン時間と呼ぶ場合は欧州時間を指す場合が多いので、「ロンドン時間」≒「欧州時間」と考えて問題ありません。

なぜなら、ロンドン市場が欧州地域でのトレードの中心地となるからです。

ロンドン時間の特徴は6つ

ロンドン時間の特徴は、ロンドン市場に関係するものが多く、6つあります。

ロンドン時間の特徴
  1. 東京時間よりも値動きが活発になる
  2. BOE(イングランド銀行)の政策が反映されやすい
  3. イギリス経済指標の影響度が大きい
  4. 英国債と外国債の利回り差が相場に影響を与える
  5. 19時前後の昼休みで値動きが落ち着く
  6. 1時にロンドンフィックスがある

ロンドン時間で取引するなら覚えておきたいものばかりなので、しっかりと理解しておきましょう。

特徴1.東京時間よりも値動きが活発になる

特徴の1つ目は「東京時間よりも値動きが活発になる」です。

なぜならロンドン時間は、世界で最もFX取引高が多いロンドン市場が開場する時間帯だからです。

順位国名取引高(単位:百万US$/日)
順位国名取引高(単位:百万US$/日)
1位イギリス3,576,409
5位日本375,505
出典:GLOBAL NOTE「世界の外国為替市場規模 国別ランキング・推移」

上記の通り「国別の市場規模ランキング」でロンドン市場があるイギリスは、5位の日本の約10倍に相当する額で1位となります。

そのためロンドン市場が参加すると取引量が一気に増加するため、東京時間よりも値動きが活発になるのです。

特徴2.BOE(イングランド銀行)の政策が反映されやすい

特徴の2つ目は「BOE(イングランド銀行)の政策が反映されやすい」です。

BOEは内部機関のMPC(金融政策委員会)で下記2つを決定しているため、ロンドン時間、つまり英ポンドに与える影響は大きいものがあります。

MPC(金融政策委員会)が決定するもの
  1. レポ・レート(政策金利)
  2. 公開市場操作

1つ目は「レポ・レート(政策金利)」で、イギリス財務省がインフレ目標を達成するために使う基準金利のことです。

目的レポ・レート英ポンド
インフレ抑制上げる通貨高
インフレ促進下げる通貨安
レポ・レートと英ポンドの関係

MPCがインフレ抑制したい場合はレポ・レートを上げるので、英ポンドは他の通貨よりも通貨高となります。
逆にインフレ促進したい場合はレポ・レートを下げるので、英ポンドは他の通貨よりも通貨安となります。

2つ目は「公開市場操作」で、BOEが市場のマネーサプライ(資金供給量)をコントロールすることです。

公開市場操作を行うと市場の資金量が変化するので、英ポンドの通貨価値が変動します。

マネーサプライ英ポンド
下げる通貨高
上げる通貨安
マネーサプライと英ポンドの関係

例えばマネーサプライを下げたいなら、BOEが国債などを売り、販売代金として市場の英ポンドを回収します(売りオペレーション)。
すると市場のマネーサプライが減少するので、結果的に英ポンドは他の通貨よりも通貨高になるのです。

逆にマネーサプライを上げたいなら、BOEが国債などを買い、購入代金として英ポンドが市場へ放出されます(買いオペレーション)。
すると市場のマネーサプライが増加するので、結果的に英ポンドは他の通貨よりも通貨安になるのです。

また公開市場操作は不定期で発表されますが、BOEのレポ・レートは「英中銀政策金利」という形で発表されます。

発表時期発表時間
2月21時
3月20時or21時
5月20時
6月20時
8月20時
9月20時
11月20時or21時
12月21時
英中銀政策金利(レポ・レート)の発表スケジュール

基本的に英中銀政策金利の発表は、四半期インフレ報告が行われる

  • 2月
  • 5月
  • 8月
  • 11月

が多いです。

さらに3月と11月は夏時間・冬時間の切り替え時期と重なるため、年度によっては発表時間が20時や21時になるので、注意が必要です。

そのため前もって英中銀政策金利(レポ・レート)が何時頃に発表されるか、チェックしておきましょう。

特徴3.イギリス経済指標の影響度が大きい

特徴の3つ目は「イギリス経済指標の影響度が大きい」です。

なぜならロンドン時間で多く取引されている英ポンドは、イギリス経済指標の影響を直接受けることが多いからです。

イギリス経済指標
  • BOE政策金利発表(英中銀政策金利発表)
  • 資産購入プログラム
  • 失業保険申請件数
  • 失業率
  • 四半期GDP(国内総生産)

「資産購入プログラム」とは、MPS(金融政策委員会)が英国債や英社債などを購入することにより、市場のマネーサプライ(資金供給量)をコントロールすることです。

つまり「資産購入プログラム」は「特徴2.BOE(イングランド銀行)の政策が反映されやすい」で解説した、「公開市場操作」にあたります。

そのため発表内容により、英ポンドの相場が変化します。

「資産購入プログラム」の発表はBOE政策金利発表と同時に行われるので、一緒にチェックしておきましょう。

特徴4.英国債と外国債の利回り差が相場に影響を与える

特徴の4つ目は「英国債と外国債の利回り差が相場に影響を与える」です。

理由は、ファンドマネージャーの多くが英国債と外国債の利回り差を意識してトレードしているからです。

具体的には、

  • 英国債と米国債
  • 英国債とドイツ債

が注目されます。

英国債と米国債の利回り差は英ポンド/米ドルに影響を与え、英国債とドイツ債の利回り差はユーロ/米ドルに影響を与えます。

正確に言うと、利回りが高い方の通貨は買われる傾向があるため、国債利回りが高い国の通貨高が進むのです。

例えば、英国債の金利は据え置きで米国債の金利が上がれば米ドルが買われるため、英ポンド/米ドルは下がります。

逆に、英国債の金利が上がり米国債の金利が据え置きなら英ポンドが買われるため、英ポンド/米ドルは上がります。

そのためロンドン時間で取引するなら、英ポンドクロスに影響を与える英国債と外国債の金利差がどの程度かチェックしておきましょう。

ロンドン時間前に金利差をチェックしておけば、どの方向へトレンドが形成されるか判断がつきやすくなります。

特徴5.19時前後の昼休みで値動きが落ち着く

特徴の5つ目は「19時前後の昼休みで値動きが落ち着く」です。

というのもロンドン市場の関係者は、19時前後で昼休みをとることが多いからです。

実際19時前後では、英ポンドクロスのボラティリティ(価格変動)は下がる傾向があります。

19時前後のボラティリティ(GBP/USD)
19時前後のボラティリティ(GBP/JPY)

もし19時前後に取引してもなかなか相場が動かないと思ったら、

昼休みの影響で、相場が動かないのだな

と考えましょう。

またその日にトレードしにくいと感じるなら、21時(冬時間なら22時)になるまで待つのもおすすめです。

なぜなら、この時間帯からニューヨーク市場も開場するので、再びボラティリティが上がってくるからです。

特徴6.1時にロンドンフィックスがある

特徴の6つ目は「1時にロンドンフィックスがある」です。

ロンドンフィックスとは、ロンドン市場において金の取引価格を決定する時間のことです。

金は基本的にドル建てで取引されるので、ロンドンフィックスが近づいてくると英ポンドをドルストレートへ大量に両替する動きがあります。

そのため、ロンドンフィックスがある1時(夏時間なら24時)前後では英ポンドクロスやドルストレートが大きく動くので、注意しましょう。

ロンドン時間の戦略は2つ

ロンドン時間で取引するなら、前もってどのような戦略でトレードするのか考えておきましょう。

ここではロンドン時間で役に立つ戦略を、2つご紹介します。

ロンドン時間の戦略
  1. 通貨は英ポンドクロスか英ポンド/米ドルを選ぶ
  2. 開始直後は「東京市場高安試し」によるブレイクアウトのダマシに注意する

戦略1.通貨は英ポンドクロスか英ポンド/米ドルを選ぶ

戦略の1つ目は「通貨は英ポンドクロスか英ポンド/米ドルを選ぶ」です。

これらの通貨を選ぶ理由は「世界で取引量の多い通貨ペアランキング」でGBP/USDが3位の9.6%と、英ポンドの存在感が大きいからです。

出典:IG証券「世界で取引量の多い通貨ペアランキング」

ロンドン時間の中心地はロンドン市場であり、イギリスです。

そのため、イギリスの自国通貨である英ポンドが絡んだ通貨を中心にトレードすれば問題ないでしょう。

戦略2.開始直後は「東京市場高安試し」によるブレイクアウトのダマシに注意する

戦略の2つ目は「開始直後は『東京市場高安試し』によるブレイクアウトのダマシに注意する」です。

というのも、ロンドン市場の関係者たちは「東京市場高安試し」と言って、東京時間で設置されたストップオーダーを刈り取る動きをするからです。

基本的に東京市場高安試しは、

  • 冬時間なら「16時~17時」
  • 夏時間なら「15時~16時」

と、ロンドン市場が開くまでの直前1時間で発生します。

東京市場高安試しによるブレイクアウト(GBP/USD)

上記の相場なら、東京時間で形成されたチャネルラインが16時の東京市場高安試しで、下にブレイクアウトしています。

しかしその後の反転で上昇しているので、このブレイクアウトはダマシです。

そのため、もしブレイクアウトの時点で売りエントリーしていたら、損失になっていた可能性が高いです。

このように動く理由としては、ストップオーダーを巻き込んで新たなトレンドを作ろうとする勢力が一定数いるからと考えられています。

よって開始直後は「東京市場高安試し」に気をつけて、初動1時間は見守る方針がベストと言えます。

ロンドン時間のおすすめ手法は2つ

ロンドン時間で取引するなら、おすすめの手法が2つあります。

ロンドン時間のおすすめ手法
  1. 月末・期末のロンドンフィックストレード
  2. ブレイクワンタッチ

それぞれ押さえておきたい手法なので、ぜひ覚えておきましょう。

手法1.月末・期末のロンドンフィックストレード

手法の1つ目は「月末・期末のロンドンフィックストレード」です。

月末・期末(四半期の3月末・6月末・9月末・12月末)のロンドンフィックスでは、レートが大きく変動します。

なぜならイギリスの年金機構や大手銀行、ヘッジファンドなどが月末のロンドンフィックスで決算することが多いからです。

またイギリス企業の多くは、期末のロンドンフィックスで決算します。

特にイギリス企業の77%が3月末と12月末に決算を行うので、この時期は絶好のトレードチャンスと言えます。

決算期会社数割合
1月33%
2月22%
3月1717%
4月33%
6月44%
7月22%
9月66%
10月11%
11月11%
12月6161%
出典:ニッセイ基礎研究所「英国FTSE100構成銘柄の決算期別分布(2019年4月1日時点)」

例えば、GBP/USDでのロンドンフィックストレードによる値動きは、以下の通りです。

ロンドンフィックス前後の値動き(GBP/USD)

上記の画像から、以下のメカニズムで相場が動いていると考えられます。

ロンドンフィックス前後での値動きのメカニズム
  1. ロンドンフィックス前は、金相場のドル建て目的で英ポンドが売られて米ドルが買われる(GBP/USDが下がる)
  2. ロンドンフィックス後では、自国通貨に買い戻す動きが出るため、英ポンドが買われて米ドルが売られるという逆行が始まる(GBP/USDが上がる)

もしロンドンフィックスでトレードするなら、ロンドンフィックストレードが有効です。

ロンドンフィックストレードのやり方
  1. 英ポンドクロスで5分足に設定する
  2. ロンドンフィックス30分前に下落しているか確認する
  3. ロンドンフィックス(夏時間:24時、冬時間:1時)開始以降のローソク足で、反転を確認してからエントリーする
  4. 損切りは、一つ前のローソク足の安値に設定する
  5. 含み益が出たら、順次トレール注文を行う
ロンドンフィックストレード(逆張り)(GBP/USD)

注意点として、必ずロンドンフィックス前後でこのような値動きになるわけではありません。

そのためロンドンフィックスの30分前に下落しないのであれば、エントリーは見送りましょう。

手法2.ブレイクワンタッチ

手法の2つ目は「ブレイクワンタッチ」です。

ブレイクワンタッチとは、チャネルラインをブレイクアウトした後の戻りでエントリーする手法です。

この手法を使えば、「戦略2.開始直後は『東京市場高安試し』によるブレイクアウトのダマシに注意する」で解説したダマシを回避できます。

ブレイクワンタッチのやり方
  1. 英ポンドクロスで5分足に設定する
  2. 東京時間でチャネルラインを形成する
  3. 東京市場高安試し(夏時間:15時~16時、冬時間:16時~17時)でブレイクアウトを確認する
  4. チャネルラインにワンタッチしたら、エントリーする
  5. 直近安値で損切り設定する
  6. 直近高値で利確する
ブレイクワンタッチ(EUR/GBP)

もしブレイクアウト後にそのまま上昇した場合は、エントリーを見送りましょう。

基本的にロンドン時間では、「東京市場高安試し」のようなダマシが多く発生します。

そのためダマシかどうかを判断するなら、チャネルラインまで戻ってワンタッチするかを確認しましょう。

まとめ:ロンドン時間は値動きが活発になるので、稼ぎやすい

ここまで、ロンドン時間の時間帯や特徴などを解説していきました。

本記事をまとめると
  • 夏時間なら「16時~翌1時」、冬時間なら「17時~翌2時」がロンドン時間となる
  • 「19時前後の昼休みで値動きが落ち着く」や「1時にロンドンフィックス」などの特徴がある
  • 英ポンドクロスか英ポンド/米ドルでトレードする
  • おすすめ手法は「月末・期末のロンドンフィックストレード」や「ブレイクワンタッチ」がある

ロンドン時間は、世界で一番取引高が多いロンドン市場が開場する時間帯です。

そのため東京時間よりも値動きが活発になるので、ロンドン時間なら利益を狙える場面が増えます。

ですが同時にリスクも増大するので、東京時間よりも慎重に取り組む姿勢も大切です。

できれば、ここで紹介した内容を熟知した上で、ロンドン時間で取引するようにしましょう。

そうすれば前よりも相場を理解して、上手にトレードできます。

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

WikiFXでは、テクニカル分析のやり方から、FX会社の安全性に関する情報まで『今日から役立つFXの情報』を幅広く発信しています。
そして私たちは、FX会社アフィリエイトを一切していません。
だからこそ、正しく・信頼性の高い情報を読者の皆様にお届けする自信があります。

コメント コメント 0

コメントする