ニューヨーク時間と聞いてもよく分からないために、意識せずに取引していませんか?
FXには、東京時間やロンドン時間と呼ばれる時間帯がありますが、
その中でもニューヨーク時間は、注目度が高い時間帯の一つとされています。
というのも、一番値動きが活発化する時間帯なので、稼ぎやすい時間帯と言われているからです。
ですが値動きの特徴を理解していないと、思わぬ損失を生む危険性があります。
- ニューヨーク時間の時間帯(夏時間と冬時間)
- ニューヨーク時間の特徴5つと戦略2つ
- ニューヨーク時間のおすすめ手法3つ
この記事を読めば、ニューヨーク時間の時間帯や特徴、トレード戦略だけでなく、おすすめの手法まで理解できます。
ニューヨーク時間は夜を中心にトレードする方には必須の時間帯なので、ぜひ今後のトレードに役立ててください。
ニューヨーク時間とは?夏時間と冬時間で異なるので注意
ニューヨーク時間とは、ニューヨーク市場が開場する22時(夏時間なら21時)から翌3時(夏時間なら翌2時)に取引が活発化している時間帯のことです。
ニューヨーク時間の夏時間と冬時間は、下記の通りです。
夏時間or冬時間 | 日本時間 | 適用時期 |
---|---|---|
夏時間 | 21時~翌2時(夏時間) | 3月~11月 |
冬時間 | 22時~翌3時(冬時間) | 11月~3月 |
夏時間(サマータイム)とは、日の出が早まる時期(3月~11月)に、時計を1時間早めて、太陽が出ている間に行動しようという欧米の考え方のことです。
夏時間ではない時期の時間帯は、冬時間(11月~3月)と呼ばれ、夏時間よりも1時間遅くなります。
そのため、夏時間から冬時間、もしくは冬時間から夏時間に移行する時期には時間帯が変わるため、注意が必要です。
時間移行 | 移行時期(米国時間) |
---|---|
夏時間→冬時間 | 11月の第1日曜日 |
冬時間→夏時間 | 3月の第2日曜日 |
ニューヨーク時間の特徴は5つ
ニューヨーク時間は東京時間や欧州時間とは異なり、特徴が5つあります。
- 1日の中で相場の変化が最も激しい
- スプレッドが狭くなる
- 要人発言や経済指標の影響度が大きい
- 24時にNYオプションカットがある
- 1時にロンドンフィックスがある
上記の特徴はFX取引に大きな影響を与えるので、しっかりと理解しておきましょう。
特徴1.1日の中で相場の変化が最も激しい
特徴の1つ目は「1日の中で相場の変化が最も激しい」です。
変化が激しくなる原因は、最も取引高が多いロンドン市場と開場時間が重なるからです。
市場 | 開場している時間帯(日本時間) |
---|---|
ロンドン市場 | 16時~翌1時(夏時間) 17時~翌2時(冬時間) |
ニューヨーク市場 | 21時~翌6時(夏時間) 22時~翌7時(冬時間) |
【世界の外国為替市場規模 国別ランキング・推移】
順位 | 国名 | 取引高(単位:百万US$/日) |
---|---|---|
1位 | イギリス | 3,576,409 |
2位 | アメリカ | 1,370,119 |
つまりニューヨーク時間は、取引高1位のロンドン市場(イギリス)と2位のニューヨーク市場(アメリカ)が同時に開場している時間帯なので、相場の変化が激しくなります。
ロンドン市場とニューヨーク市場の開場が重複している時間帯は、日本時間で下記の通りです。
- 夏時間なら「21時~翌1時」
- 冬時間なら「22時~翌2時」
特徴2.スプレッドが狭くなる
特徴の2つ目は「スプレッドが狭くなる」です。
理由は「特徴1:1日の中で相場の変化が最も激しい」と同じで、取引高が多いロンドン市場とニューヨーク時間の開場時間が重なるからです。
ロンドン市場とニューヨーク市場という2大市場が開場していれば、取引高が1日の中で最高になります。
ロンドン市場とニューヨーク市場の開場が重複している時間帯は、日本時間で下記の通りです。
- 夏時間なら「21時~翌1時」
- 冬時間なら「22時~翌2時」
上記の時間帯なら取引高の増加から様々な価格で売買注文が出るため、相場の流動性が高まります。
そのため、スプレッドが狭くなるのです。
特徴3.要人発言や経済指標の影響度が大きい
特徴の3つ目は「要人発言や経済指標の影響度が大きい」です。
なぜなら要人発言や経済指標は、米ドルに直接影響を与える場合が多いからです。
- FRB(米連邦準備制度理事会)議長
- FOMC(米連邦公開市場委員会)
- アメリカ大統領
- 米国雇用統計(失業率)
- FOMC議事録
- フェデラル・ファンド金利(FF金利)
- ISM製造業景気指数
- 米国四半期GDP
- 消費者物価指数(CPI)
特に要人発言なら2018年2月から就任中の「パウエルFRB議長の発言」、経済指標なら「雇用統計(失業率)」と「フェデラル・ファンド金利(FF金利)」の影響力が絶大です。
必ずチェックするようにしましょう。
特徴4.24時にNYオプションカットがある
特徴の4つ目は「24時にNYオプションカットがある」です。
NYオプションカットとは、アメリカのニューヨーク市場におけるオプション権利行使の締め切り時間のことです。
NYオプションカットは24時(夏時間は23時)に行われますが、この時間が近づくにつれて価格もオプション価格に近づいていきます。
なぜならオプション権利を買った側と売った側の双方で、自分が有利になるように売買が行われるからです。
例えば、USD/JPYのオプションの売買で、
- 「100円の買いオプションを大量に売ったAさん」
- 「Aさんから買いオプションを大量に買ったBさん」
の二人がいたとします。
NYオプションカット時間が近づくと、二人はそれぞれ次のような思惑で行動することが多くなります。
Aさん
「100円より安ければBさんがオプション行使しなくなるから、自分のポジションを売らずに済む。
そうなれば、オプションプレミアム(オプションの売買によって得られる利益)が残せる。
だから少しでもUSD/JPYを売って、相場を下げよう。」
Bさん
「100円より高ければ、安くオプションで買ってすぐ売れば利益になる。
だから少しでもUSD/JPYを買って、相場を上げよう。」
このようにオプション売買をした人たちによる攻防が、相場に現れるのです。
そのためNYオプションカット時間では、相場がオプション価格に近づくことを意識して取引しましょう。
特徴5.1時にロンドンフィックスがある
特徴の5つ目は「1時にロンドンフィックスがある」です。
ロンドンフィックスとは、ロンドン市場において金の取引価格を決定する時間のことです。
金は基本的にドル建てで取引されるので、時間になるとドルストレートで大量の注文が発生します。
そのため、ロンドンフィックスがある1時(夏時間なら24時)前後ではドルストレートが大きく動くので、注意しましょう。
ニューヨーク時間の戦略は2つ
ニューヨーク時間で取引するなら、前もってどのような戦略でトレードをするか考えておきましょう。
ここではニューヨーク時間で役に立つ戦略を、2つご紹介します。
- 通貨は米ドルとカナダドルのペアを選ぶ
- 取引はニューヨーク市場の開場から翌1時までが勝負
戦略1.通貨は米ドルとカナダドルのペアを選ぶ
戦略の1つ目は「通貨は米ドルとカナダドルのペアを選ぶ」です。
これらの通貨を選ぶ理由は、2つあります。
- アメリカとカナダの経済指標が発表されるから
- 地政学リスクが反映されやすいから
1つ目の理由は、ニューヨーク時間中にアメリカとカナダの経済指標が発表されるからです。
アメリカとカナダで発表される重要な経済指標は、以下の通りです。
- 米国雇用統計(失業率)
- FOMC議事録
- フェデラル・ファンド金利(FF金利)
- ISM製造業景気指数
- 米国四半期GDP
- 消費者物価指数(CPI)
- BOC政策金利
- カナダGDP
- カナダ雇用統計
上記の経済指標は、発表直後に米ドルとカナダドルが影響を受けて相場が動くため、発表前から注目しておきましょう。
2つ目の理由は、地政学リスクも影響して相場に反映されやすいからです。
地政学リスクとは、地域が抱える政治的、軍事的、社会的な影響から来るリスクのことです。
- 2001年の「アメリカ同時多発テロ」
- 2014年の「イスラム国の拡大」
- 2022年の「ロシアのウクライナ侵攻」 など
経済は世界中で密接に繋がっているため、世界のどこかで上記のような出来事が起こるとFX相場に影響を与えます。
有事の際にはキャッシュ化の動きが加速するため、世界的に米ドルが買われる「有事のドル買い」と呼ばれる現象が起こります。
そのためドルストレートでは、ドル高になることが多いです。
戦争やテロなどの軍事活動の類いは分かりやすいので、普段からニュースなどはチェックするように心がけましょう。
戦略2.取引はニューヨーク市場の開場から翌1時までが勝負
戦略の2つ目は「取引はニューヨーク市場の開場から翌1時までが勝負」です。
というのも翌1時(冬時間なら翌2時)に取引高1位のロンドン市場が閉場するため、ボラティリティ(価格の変動幅)が下がるからです。
ニューヨーク時間が始まる21時以前と以後で、EUR/USDのボラティリティの変化(夏時間)を確認してみました。
上図から、ニューヨーク時間外の1時から21時(オレンジ枠)まではボラティリティが小さいです。
しかしニューヨーク時間中の21時から翌1時(紫枠)なら、ニューヨーク時間外よりも3倍以上のボラティリティが発生しています。
そのためニューヨーク時間で取引するなら、翌1時(冬時間なら翌2時)までを勝負処として集中して行うのがいいでしょう。
ニューヨーク時間のおすすめ手法は3つ
ニューヨーク時間で取引するなら、おすすめの手法が3つあります。
- トレンドフォロー(順張り)
- 経済指標トレード
- ニューヨークボックス手法
それぞれ押さえておきたい手法なので、ぜひ覚えておきましょう。
手法1.トレンドフォロー(順張り)
おすすめ手法の1つ目は「トレンドフォロー(順張り)」です。
トレンドフォローとは、チャートでトレンド(方向性)が発生しているときに、その方向に乗る形でエントリーする手法のことです。
トレンドフォローは「順張り」とも呼ばれ、トレンドが転換しない限り利益を出し続けてくれるため、ニューヨーク時間ではおすすめできます。
また初期にエントリーすれば、利益を伸ばしやすいという特徴もあります。
もしエントリーするときには、
- 上昇トレンドなら「押し目買い」
- 下降トレンドなら「戻り売り」
が有効です。
トレンド | 有効なエントリー |
---|---|
上昇トレンド | 押し目買い |
下降トレンド | 戻り売り |
「押し目買い」とは、上昇トレンド中に発生する一時的な価格の下げ(押し目)で買うことです。
上昇から下げに転じる点で買うよりも安く買えるため、利益が確保しやすいというメリットがあります。
上図は、USD/JPYの5分足チャートで押し目買いをしている場面です。
この相場ならニューヨーク時間の22時以降(夏時間なら21時以降)で、2回の押し目買いができます。
「戻り売り」とは、下降トレンド中に発生する一時的な価格の上げ(戻り目)で売ることです。
下降から上げに転じる点で売るよりも高く売れるため、利益が確保しやすいというメリットがあります。
上図は、USD/JPYの1分足チャートで戻り売りをしている場面です。
この相場ならニューヨーク時間の22時以降(夏時間なら21時以降)で、3回の戻り売りができます。
手法2.経済指標トレード
おすすめ手法の2つ目は「経済指標トレード」です。
経済指標トレードとは、経済指標の発表後に相場が大きく動くのを利用して稼ぐ手法のことです。
ニューヨーク時間では、
- 雇用統計(失業率)
- フェデラル・ファンド金利(FF金利)
- ISM製造業景気指数
などの重要な経済指標が発表されるため、経済指標トレードがしやすい時間帯と言えます。
また、経済指標の結果が予想よりも離れた数値であればあるほど相場は動く傾向があるので、おすすめできます。
例えば、2022年6月16日3時頃に行われたFOMCのFF金利発表時のチャートを見てみましょう。
予想では「0.5%」でしたが、結果は「0.75%」だったため、大陽線をつけた後に大きく下落しています。
経済指標の発表直後は相場の上下動が激しいですが、しばらく経つとトレンドが形成されることが多いです。
上記のチャートなら下降トレンドの確認が出来次第、トレンドフォローの戻り売りが有効でしょう。
手法3.ニューヨークボックス手法
おすすめ手法の3つ目は「ニューヨークボックス手法」です。
ニューヨークボックス手法は、ニューヨーク時間が始まる直前7時間前で形成したボックスをブレイクしたら、その方向へ順張りする手法です。
具体的には、下記の手順で行います。
- 15分足に設定
- ニューヨーク時間直前の7時間前の高値・安値でボックスを形成
- ニューヨーク時間開始後に、2のボックスをブレイクした方向へエントリー
- エントリー後、利確は30pips、損切りは20pipsに設定
この手法がおすすめできる理由は、ニューヨーク時間中は1日の中で最も値動きが激しいため、初動を捉えるのが難しい点を解決する手法だからです。
つまり初動を捉えるために、「ボックスをブレイクした方向へエントリー」というニューヨークボックス手法が有効なのです。
ただし、ブレイクを確認するまではエントリーするのは控えましょう。
なぜならダマシによる見せかけのブレイクで、チャートがボックスへ戻ってくることがあるからです。
そのためブレイク後の次のローソク足が出現したタイミングで、エントリーするようにしましょう。
まとめ:21時(冬時間なら22時)以降にトレードするなら必須の時間帯
ここまで、ニューヨーク時間の時間帯や特徴などを解説していきました。
- 夏時間なら21時~翌2時、冬時間なら22時~翌3時がニューヨーク時間となる
- 「スプレッドが狭くなる」や「NYオプションカット」などの特徴がある
- 米ドルとカナダドルの通貨ペアを中心にトレードする
- おすすめ手法は「トレンドフォロー(順張り)」や「経済指標」、「ニューヨークボックス手法」である
ニューヨーク時間は、1日の中で最も価格変動が激しい時間帯です。
夏時間なら21時、冬時間なら22時から開始するため、夜を中心にトレードする方にはうってつけでしょう。
例えば会社帰りのサラリーマンやOLの方なら、一番取引しやすい時間帯となるはずです。
また値動きが激しい時間帯でもあるため、うまく取引すれば利益を出しやすい時間帯とも言えます。
後は一度、ニューヨーク時間で実際に取引してみましょう。
なぜなら、実践が何よりもの経験になるからです。
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