モメンタムが分かればエントリーの迷いが減り、トレンド相場の持続性が分かることから保有ポジションの調整にも役立ちます。
チャート分析にプラスする指標として、FXのモメンタムは使いやすくておすすめです。
- FX モメンタムの計算式や設定などの基本と注意点
- FX モメンタムの使い方と勝率を高めるトレード手法
モメンタムは相場の勢いを評価するテクニカル指標で、FXに限らず様々な金融商品の分析に使われています。
FXでもモメンタムを上手に使うことでトレードの勝率を高めることができます。
本記事より、FXのモメンタムで相場の勢いやトレンドの持続性を判断する方法を手に入れてください。
FXにおけるモメンタムとは?
FXのモメンタムとは現在の相場の勢いや方向性を測る指標です。
過去の値動きをもとに算出され、値動きの加速や減速、トレンドの方向性を判断する目安になります。
モメンタムには先行性があり、価格変動よりも先にトレンド転換を測ることができます。
FXにおけるモメンタムの計算式
FXにおけるモメンタムの計算式は次の通りです。
モメンタム = 現在の終値 - n本前の終値
現在の終値を特定の過去の終値で引いて「値動きの変化率」を算出しています。
モメンタムは「0を基準」にして上下に動くオシレーター系指標です。
一例としてドル円を見てみましょう。
計算式に各数値を入れてみます。「n」はTradingviewの初期設定値「10」を使っています。
モメンタム= 現在の終値 - n本前の終値 = 134.388円(①) - 127.093円(②) = 7.295(③)
モメンタムは7.295(③)となり、①の終値は10日前の終値(②)より高いことが数値でも分かります。
FXのモメンタムは、グラフ化することで相場の勢いの変化や転換を視覚的に分かりやすくしてくれます。
なお、モメンタムは次の式もよく使われます。
モメンタム = 現在の終値 ÷ n本前の終値
使い方や考え方は差を求めるモメンタムと同じです。
FXにおけるモメンタムの設定
モメンタムの設定についてn値は自由なため、概ね次の数値が参考になります。
- n=5:短期トレンドの値動きの勢い
- n=20:中期トレンドの値動きの勢い
- n=50以上:長期トレンドの強さ・流れ
各インジケーターの初期値も共通していませんが、10または14が多いようです。
n値を設定するときの考え方は大きく2通りです。
- n値が小さければ、モメンタムの小さな変化を予測する
- n値が大きければ、モメンタムの大きな流れを予測する
モメンタムのn値が小さいほど相場のノイズを拾い、大きくすればトレンド把握の正確性が高まります。
さらに、FXで使用する時間足が短いほどモメンタムのノイズが多くなり、時間足が長いほど数値の信頼性は高まります。
【FX】モメンタムの使い方・見方
FXでのモメンタムの使い方・見方は大きく3つに分けられます。
- 基準値でモメンタムを判断
- トレンド相場でモメンタムを分析
- トレンド相場でモメンタムを分析
一つずつ解説していきます。
基準値でモメンタムを判断
FXモメンタムの計算式を再確認しましょう。
モメンタム = 現在の終値 - n本前の終値
モメンタムの基準値の見方は次の通りシンプルです。
- モメンタム = 0:現在の終値はn本前の終値と同じ
- モメンタム > 0:現在の終値はn本前の終値より高い
- モメンタム < 0:現在の終値はn本前の終値より低い
モメンタム = 0を基準にして相場の方向性を次のように考えます。
- モメンタム > 0 が続くとき:相場は上昇が続いている
- モメンタム < 0 が続くとき:相場は下落が続いている
注意点は相場の方向性・継続性のみを判断しており、値動きの勢いを見ていないこと。
モメンタムの変化率または継続性のどちらに注目するかがポイントです。
「モメンタム = 勢い」と訳されますが、トレンドの方向性・継続性も大まかに測ることができます。
トレンド相場でモメンタムを分析
トレンド相場の強さ・弱さを判断する時にFXのモメンタムは客観性をもたせてくれます。
- モメンタムが0よりも大きければ大きいほど、上昇トレンドが強い
- モメンタムが0よりも小さければ小さいほど、下降トレンドが強い
併せてモメンタムのグラフの傾きに注目して下さい。
- 角度が急なほど、上昇・下降トレンドの形成が短期間に加速したことを示す
- 角度が緩やかなほど、トレンドの勢いが弱まっていることを示す
FX モメンタムの数値と角度からトレンドの方向性・強弱・形成速度を測ることができます。
トレンド転換をモメンタムで予測
トレンド相場の転換についてもFXのモメンタムは客観性をもたせてくれます。
下降トレンドから上昇トレンドへの転換をモメンタムで予測する方法は次の通りです。
- チャートの押し目に対応するモメンタムの安値が切り上がる(赤斜線)
- 前回のモメンタムの下落幅を上昇幅が上回る(橙矢印)
ドル円の日足で確認します。
価格チャートもモメンタムと同じ状態であれば、トレンド転換の可能性がさらに高まります。
モメンタム単独で判断せず、価格チャートとセットで確認することがポイントです。
【FX】モメンタムの使い方・トレード手法
FXのモメンタムを使って勝率を高める4つのトレード手法をご紹介します。
- モメンタムのレンジブレイク
- モメンタムで押し目買い・戻り売り
- モメンタムのトレンドラインを活用
- モメンタムのダイバージェンスで反転狙い
順番に解説していきます。
モメンタムのレンジブレイク
レンジ相場でモメンタムもレンジを形成しているとき、ブレイクアウトは有効なトレード手法です。
- モメンタムが高値をブレイクしたら買い
- モメンタムが安値をブレイクしたら売り
ドル円のレンジ相場で使い方を確かめます。
チャートは上昇トレンドなので、モメンタムのレンジ上限(赤四角)をブレイクしたら買いでエントリーするのが基本です。
またチャートと同じく、直近の高値を重視してエントリーする手法もあります。
理由は、過去高値の売りポジションは時間経過とともに解消されていることも多いからです。
つまり、直近の高値ブレイクは損切りを巻き込んだ値幅ある上昇を期待できます。
モメンタム単独でのトレードは難しいですが、価格チャートとの相関性なども併せて分析することで勝率を高めるトレード手法です。
モメンタムで押し目買い・戻り売り
FXのトレンド相場において、モメンタムで価格の押し目と戻り目を測ることができます。
- 上昇トレンド:モメンタムが0を下抜けた後、再び上抜けたら押し目買い
- 下降トレンド:モメンタムが0を上抜けた後、再び下抜けたら戻り売り
ドル円の上昇相場で使い方を確かめます。
チャートはドル円の1時間足です。
①②ともにモメンタムが0を割ったあと、再び0を上抜けたので押し目だったと判断して買いでエントリーします。
上昇トレンドにおける高値掴み、下降トレンドにおける安値売りによる含み損を防げるトレード手法です。
トレンド形成に乗り遅れないためにも1時間足以下の使用をおすすめします。
モメンタムのトレンドラインを活用
価格チャートと同じく、モメンタムのグラフにもトレンドラインが作られます。
ドル円の日足で使い方を確かめます。
ローソク足とモメンタムがともに高値切下げ・安値更新をしており、下降トレンドラインを引くことができます。
チャートは長期上昇トレンドなので、押し目買いを狙うところです。ローソク足とモメンタムはともに下降トレンドラインをブレイクし、値動きが加速しています。
FX モメンタムのトレンドラインを活用することでテクニカル分析の信頼性を高めるトレード手法です。
モメンタムのダイバージェンスで反転狙い
価格とモメンタムが反対の動きを見せたら、トレンドが終了するサインになります。
ダイバージェンスとは:オシレーター系指標が価格と反対に動くことで、トレンド転換のサインになります。
ドル円の日足で使い方を確かめます。
FXモメンタムのダイバージェンスの使い方は次の通りです。
- 価格は高値を更新しているが、モメンタムが高値を切下げていれば売りサイン
- 価格は安値を更新しているが、モメンタムが安値を切上げていれば買いサイン
モメンタムをはじめ、オシレーター系指標のダイバージェンスは出現率が低いために信頼性の高いトレード手法です。
【FX】モメンタムのインジケーター
世界中のトレーダーが利用するプラットフォーム「MT4」と「TradingView」より、FX モメンタムのインジケーターをご紹介します。
MT4の「Momentum」インジケーター
MT4の「Momentum」は相場の勢いを測るオシレーター系のインジケーターです。
Momentumの計算式は次の通りです。
モメンタム = 現在の終値 ÷ n本前の終値 × 100
基準値を100として、相場の勢いやトレンドの継続性・転換を予測していきます。
なお使用方法は「FX モメンタムの使い方・見方」をご参考ください。
MT4の「Momentum Histo」インジケーター
MT4の「Momentum Histo」は相場の勢いを測るオシレーター系のインジケーターです。
モメンタムがヒストグラムで表示されるため、相場の勢いを視覚的に判断しやすくなります。
Momentum Histoの計算式は次の通りです。
モメンタム = 現在の終値 - n本前の終値
基準値を0として、相場の勢いやトレンドの継続性・転換を予測していきます。
なお使用方法は「FX モメンタムの使い方・見方」をご参考ください。
TradingViewの「Mom」インジケーター
TradingViewの「Mom」は相場の勢いを測るオシレーター系のインジケーターです。
Momの計算式は次の通りです。
モメンタム = 現在の終値 - n本前の終値
基準値を0として、相場の勢いやトレンドの継続性・転換を予測していきます。
なお使用方法は「FX モメンタムの使い方・見方」をご参考ください。
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【FX】モメンタムの注意点は?
FXのモメンタムを使う上で大きく3つの注意点があります。
- モメンタムは売買サインではない
- モメンタムはダマシが多い
- モメンタムの水準感の逆張りは危険
一つずつ解説していきます。
モメンタムは売買サインではない
FXのモメンタムは「買われすぎ」や「売られすぎ」を判断する明確な数値はありません。
0を基準値にして、変化率やトレンドの継続性、モメンタムグラフの角度から独自に活用していきます。
そのため、モメンタムの設定値を固定してチャートと照らし合わせながら継続使用し、相場に応じた微妙な変化をとらえていく必要があります。
RSIのように70%~80%を超えたら売りの目安など判断できたら便利ですね。
モメンタムはダマシが多い
モメンタムの設定期間を短くするほど、適用する時間足が短くなるほどダマシが多くなります。
また基準値0を上下に動いているときは価格も方向感がなくトレードに使うことができません。
モメンタムのダマシを避ける方法は、設定期間を長くして長期のトレンド把握に利用することです。
また、チャート分析の補足として使うこと、そして他のテクニカル指標と併用することで精度が高まります。
モメンタムの水準感の逆張りは危険
トレンド相場においてモメンタムが過去の高値・安値に達したとき、値ごろ感で逆張りをするのは危険です。
高値・安値ブレイクのエントリーは順張りトレードの基本ですから、トレンド形成が加速するポイントでもあります。
FXのモメンタムで逆張りをするなら、先述の「ダイバージェンスで反転狙い」に限定するくらいが良いでしょう。
まとめ:モメンタムでシンプルにトレンドを読み解こう
ここまでFX モメンタムの計算式・設定や使い方を確認し、実際のチャートでトレード手法を解説しました。
簡単に使えるので独自のトレード手法に活用しやすいのではないでしょうか。
- FXのモメンタムは相場の勢いとトレンドの持続性や転換の予測に役立つ
- FXのモメンタムはチャート分析の精度を高める
FXでは難しいテクニカル指標がトレードの妨げになることがあります。
戦場に使い方の分からない武器を持ち込み、操作に迷っていたらどうなるでしょうか。
FXのモメンタムは極めてシンプル!
チャート分析の補足や他の指標と併せて勝つためのトレードにお役立てください。
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