MT4 EAのおすすめの選び方は?プロのEA開発者が解説します

MT4 EA(FX自動売買)を使ったトレードは、裁量トレードと比べて感情のコントロールがしやすく、気軽に活用できる事からFXトレーダーに人気の手法です。

と言ってもこの記事を読んでいるという事は、EAについて興味があるか、既に使って人がほとんどではないかと思います。

皆さんはどうのようにEAを選んでいますか?

「フォワードテストが公開されていて、勝率が高く右肩上がりの資産曲線を描いている」「バックテストのPFが高い」など人それぞれ指標が色々あると思いますが、私はほとんどの人が間違った選び方をしていると思っています。

本記事では、プロのEA開発者だからこそ分かる、正しいEAの選び方について詳しく解説しますので、是非参考してください。

目次

EAの選定が上手くいかない本当の理由

EAを新しく導入し、ワクワクしながら稼働を開始したけれども損を出してしまい、すぐに稼働を辞めてしまった。
これを繰り返している人が本当に多く見られます。

こうなってしまう理由は、EAの性能が悪いという事よりも、EAへの向き合い方に問題があると私は考えています。

向き合うというのはもっと具体的に言うと、EAの素性を理解して信じるという事です。

この向き合い方を正しく理解して実践していけば、自ずとEAの選び方も正しくなっていくと思いますので、まずはこの向き向き合うという事について解説したいと思います。

EAと向き合うということ

上述したように、EAと向き合うということは、EAの素性を深く理解して信じるという事です。

なぜそれが重要であるかというと、どんな高性能なEAでも必ず調子の悪い時期があるからです。

その調子の悪い時期に稼働を止めてしまい、そのあとの復活期にはもう稼働していないという事を繰り返していては資産が増えていくはずがありません。

一度選定したEAは、自分が最初に決めた稼働停止基準に到達するまで使い続ける。これがEAと向き合うということです。

ではなぜEAと向き合う事ができればEAの選定がうまくのでしょうか?

EAと向き合う事でEA選定がうまくいく理由

その理由は、ドローダウン(一時的な資産の下落)を許容できるようになるからです。

長期的に稼ぎ続ける優秀なEAは、連戦連勝で右肩上がりに利益を積み上げていくようなタイプではなく、1時的にドローダウンを発生させながらも、調子の良い時に資産をグンと伸ばしてくれるようなタイプのEAです。

なぜならば、右肩上がりの聖杯のような資産曲線を描いているEAは、そのように見せるために短期間に集中的に利益が積み上げられるようにロジックを組んでいるためです。

例えば、損切りをしないEAなどがそれに当たります。損切りをしないEAを使った人の末路は、ほとんどの場合が破綻です。もちろんそういったEAを上手く扱える人は別ですが、ほとんどの人は扱いきれないでしょう。

話を元に戻すと、それが分かっている人は、最初からある程度のドローダウンを許容しますので、正しいEA選定ができるという事になります。

では次に、EAの選定方法について具体的に解説したいと思います。

実はEAは短期投資よりも長期投資の方が向いています。
長期的な目線考えるようにしましょう。

EAの選定方法

EAを選定する上で必要なスキルは2つです。

一つは個別のEAを選定するスキルで、もう一つは、EAでポートフォリオを組むスキルです。
まず最初にポートフォリオを組む方法を解説し、次にEAの選定方法について解説したいと思います。

EAトレードで重要なポートフォリオ運用とは?

EAトレードにおけるポートフォリオ運用とは、複数のEAを同じ口座で稼働させるという事です。
そのメリットは何でしょうか?

それは、複数のEAがお互いのドローダウンをカバーし合えるという事です。

前述したように、どんなに優秀なEAでもドローダウンは必ず発生します。
それは避けられないため、性質の異なるEA、すなわちドローダウンの時期が異なるEAを同時に稼働させ、ドローダウンを低減させる事が重要になります。

参考に、3つの全く性質の異なるEAを組み合わせた時の資産曲線がどうなるか例を見てみましょう。
下図の青色の曲線が単体でEAを稼働させた時の資産曲線で、赤色が3つを同時に稼働させた時の資産曲線です。

このように、3つのEAはそれぞれはドローダウンが大きくても、ポートフォリオにする事でこのように右肩上がりの資産曲線を作ることができます。

資産曲線が綺麗になるだけではなく、ドローダウンを低減することができるため、ロットを大きくすることもできます。
ポートフォリオをうまく組む事で、持っているEAの性能を最大限に引き出すことができるのです。

ポートフォリオ運用とEA選定の関係

実はこのポートフォリオ運用は、EAの選定に大きく関わってきます。
その理由は、ポートフォリオ運用において重要な事は、性質の異なるEAを選ぶ必要があるからです。

せっかくポートフォリオを組んでも同じ時期にドローダウンが発生してしまっては、さらにドローダウンが大きくなってしまいます。ではどのようなEAを選定して組み合わせれば良いのでしょうか?

私のオススメは「異なる時間足のEAを組み合わせる」、「ロジックの異なるEAを組み合わせる」です。

それぞれ解説していきましょう。

・異なる時間足のEAを組み合わせる

これを簡単に解釈すると、スキャルピングとデイトレード、またはスイングトレードを組み合わせるということになります。

それぞれのトレードスタイルは全く異なる資産曲線を描くことが多く、ドローダウン時期が分散される傾向にあります。

・ロジックの異なるEAを組み合わせる

最も簡単なのは、順張りのEAと逆張りのEAを組み合わせるということです。

例え同じ時間足であったとしても、これらが同じようなポイントで仕掛けと手仕舞いをすることはほとんどありません。
したがって、この方法もドローダウン時期が分散される傾向にあります。

上記2つほどの分散の効果はありませんが、通貨ペアを複数選択するのも一つです。
ただし、相関の高い通貨ペアもありますので、相関が高くならないように注意しましょう。

それでは次に、具体的にどのように個別のEAを選定していくのかを解説したいと思います。

EA選定のノウハウ

優秀なEAの選定は、困難を極めます。
なぜならば、ほとんどのEAは、都合のいいように、良い成績だけを一般ユーザに見せているからです。

なぜ巷でEAが簡単に手に入るのでしょうか?
それは、一般ユーザーに自分が開発したEAを使ってもらうことで収益が得られるからです。

そのため、一般ユーザーにEAを使ってもらおうと、バックテストやフォワードテストを良く見せる業者や個人が沢山いるのが実態です。

もちろん良心的で信頼できるEA開発者もいますが…

では本当に優秀なEAを一体どのように見分ける事ができるのか、その方法を解説したい思います。

フォワードテストとバックテストの評価方法

最初に確認しなければならない事は、バックテストとフォワードテストの乖離です。
これは必ず発生するものと考えておく必要があります。

その理由は、スリッページやスプレッド、業者の呑み行為など様々ありますが、長期的に見てフォワードテストの結果がバックテストの結果よりも優れているということはほとんどあり得ません。

この乖離をバックテストに反映した状態での長期のバックテスト結果を評価する必要があるのです。

そしてこの作業は必ず自分で実施しなけばなりません。また、デモトレードでフォワードを計測するのも不可です。少ロットでも良いので必ずリアル口座で計測するようにして下さい。

それを実施することで、意図的に良く見せられたバックテストやフォワードテスト結果に騙されることなくEAを選定することができます。

では具体的な方法を説明しましょう。

下の図は、同じ期間におけるバックテストとフォワードテストの損益分布を比較したものです。ご覧の通りかなり乖離があります。

そしてこの分布はおおよそ7ドルの乖離があることが分かります。
これは、バックテストとフォワードテストの期待値が7ドルの差があることを示します。

ということは、このEAのバックテストは1取引あたり7ドルをマイナスして考えないといけないという事になります。

そこで用いる方法が、スプレッドを7ドル分余分に見てバックテストをするという方法です。これによりバックテストの結果が信頼できるようになりますので、是非試してみて下さい。

次に、EAのパフォーマンスの見方について解説します。

数値で見るEAの選定方法

バックテストを正しく評価する方法を知ったところで、次にバックテストのデータからEAを選定する方法を解説します。

私がオススメしている方法は「期待値」、「リカバリーファクタ(純益÷最大ドローダウン)」、「トレード数」の値を確認する事です。

これらの値はバックテストレポートの以下の赤枠から確認ができます。

順番に解説していきましょう。

・期待値

期待値とは、1トレードあたりに得られる利益額です。
これがマイナスであれば、そのEAは絶対に儲けることができません。

したがって、この値は必ずプラスである必要がありますが、プラスであれば良いというわけではなく、ある程度の数字が必要になります。

その理由は、余裕度がないと、トレードロジックに不利な何らかの事由が発生した時にたちまちマイナスの期待値となってしまうからです。

私の判断基準は1.5 pips以上です。これ以下である場合には、リアルトレードにおいて慎重に観察を行い、ダメなら早めに停止の判断をする必要があります。

・リカバリーファクタ

これは、純益を最大ドローダウンで割った値です。

なぜこの値が重要かというと、これが本当の儲けの指標になるからです。

純益が高ければ高いほど利益があげられ、最大ドローダウンが小さければ小さいほどロットを高く設定できます。

私の判断基準は5以上です。少なくとも3以上はないと絶対に採用しません。

・取引数

取引数は多ければ多いほど良いですが、これが少ない事による最大の心配点は、過剰最適化です。

過剰最適化とは過去の相場にフィッティングさせてロジックを組んでしまう事です。
過剰最適化されたEAはバックテストでは素晴らしい資産曲線を描きますが、リアルトレードでは全く儲けることができません。

なお、トレード数における私の判断基準は2000回以上です。
それより少ない場合は、必ずバックテストとフォワードテストの資産曲線を結合して違和感がないかを確認しましょう。
これで過剰最適化の有無を見分けることができます。

下図は過剰最適化されたEAの資産曲線です。このようなEAは採用しないようにしましょう。

最後に

今回はEAの選定方法について解説しました。

一般的に解説されるようなものとは少し異なる切り口での解説だったと思いますが、何千個もEAを開発し、失敗も成功も経験したプロのEA開発者である私だからこそできる解説になったかと思います。そして自信がある内容です。

ぜひ参考にして頂き、あなたのトレードライフがより良いものになれば幸いです。

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コメント コメント 1

コメント一覧 (1件)

  • 本当に初心者で申し訳ないのですが、EAの基礎を教えて頂けませんか。
    バックテスト、フォワードテストはどうやってやるのでしょうか?
    具体的に教えて頂けたらうれしいです。

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