FXで一定の利益が出ている以上は、しっかり確定申告を行い税金を納めなくてはいけません。
それは海外のFX会社でも、国内であっても同様です。

でも、税金はできるだけ低く抑えたいですよね。
そんな時に頭をよぎるのが『法人化』です。
「法人口座を作り、法人としてトレードすることによって法人税の適用を受ける…」
FXで利益を出し続けているトレーダーであれば、一度は検討したことがあるのではないでしょうか。
ただ国内のFX会社であれば、法人化に関する情報は調べればいくらでも出てくる一方、
海外FXでは法人化に関してまだまだ不透明な部分が多いのも事実です。
そこで本記事では、海外FXの法人化についてWikiFXがプロの立場から徹底的に解説していきます。
あくまでも事実ベースに基づき客観的に解説していきますので、海外FXで法人化するメリット・デメリットが知りたい方は、ぜひ最後まで読み進めていってください。
海外FXでも法人化することは可能です


日本国内のFXと同様に、海外FXでも法人化することは可能です。
海外法人をわざわざ設立する必要はありません。
日本の法人として法人口座を開設することができます。
海外FXで法人化する目的はひとつと言っていいでしょう。
ずばり節税対策です。
日本国内のFX会社の場合だと、個人口座に比べて法人口座の方がレバレッジを高くできるという特徴があります。
それに対し海外FX会社では、個人口座と法人口座の間にレバレッジや取引条件の違いはありません。
そのため、海外FXで法人口座を開設しているトレーダーの多くは、法人税の適用による節税が目的と言えます。
海外FXで法人化する際の注意点としましては、トレードで安定して利益が出るようになってから法人化を検討すべきということです。
詳しくは後述しますが、法人設立には時間やコストがかかり、さらにはたとえ赤字であっても税金が発生します。
また、兼業でFXを行っている方が法人化して役員報酬を受け取ってしまうと、それは立派な副業扱いになってしまいます。
副業禁止の企業に勤めていたり、公務員の方は特に注意が必要です。
海外FXの法人化に関しては、メリットやデメリットをよく精査した上で検討することをおすすめします。
海外FXで法人化するメリット


海外FXで法人化するメリットは以下の5点です。
- 税率を下げられる
- 経費の幅が広がる
- 損益通算ができる
- 損益繰越ができる
- 含み損を損失計上できる
いずれも節税という観点からは大きなメリットになります。
それぞれ詳しく見てきましょう。
税率を下げられる
海外FXで法人化することによって、FXによる利益が法人の利益ということになり法人税が適用されます。
通常、個人で海外FXを行う場合には所得税が課せられ、税率は以下の通りです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額(円) |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000 |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000 |
所得税は累進課税方式で、利益が大きくなるほど税率が上がっていきます。
このほか住民税が利益の10%かかりますので、個人では最大55%の税率がかかることになります。
それに対し法人税率は以下の通りです。
課税される収益 | 法人税率 |
---|---|
800万円以下 | 15% |
800万円以上 | 23.2% |
このほか、法人住民税や法人事業税が課されます。
法人住民税は法人税の12%+7万円。法人事業税は所得の3~7%です。
個人と法人を比べてみると、利益によってはその差は歴然。
利益を大きくあげているトレーダーほど、法人化のメリットがあると言えるでしょう。
経費の幅が広がる
海外FXを個人で行う場合であっても経費は認められますが、法人化することによって使える経費の幅が格段に広がります。
ちなみに個人で認められている経費は以下のようなものです。
・パソコン関連費用
・通信費
・机・いすなどの備品
・書籍代
・セミナー代
個人だとこの程度なのですが、法人化することによって以下の費用も経費として認められます。
・接待交際費
・住居を役員社宅として経費計上
・出張(海外旅行)の経費
・交通費
・生命保険の掛け金
・退職金
これら全て事業に使ったことを説明できれば、ある程度は経費にすることができます。
経費計上できる額が増えることにより課税対象額が少なくなりますので、節税という面では大きなメリットと言えるでしょう。
損益通算ができる
海外FXで法人化すると損益通算の範囲が広がります。
法人として海外FXで利益が出たとしても他の事業で損失が出ている場合、これらを相殺して課税対象額を計算することができますので、結果的に税金を低く抑えることができます。
個人でも損益通算することはできますが、その範囲は狭く、他の海外FX会社間の損益や暗号通貨(仮想通貨)の損益、アフィリエイト収入などに限定されます。
法人として他に何か事業がある場合にはたいへん大きなメリットです。
損益繰越ができる
海外FXを個人で行う場合、発生した利益と損失の決算を必ずその年に完結しなくてはいけません。
しかし、法人では9年間まで損益繰越をすることができます。
個人にはない法人ならではのメリットです。
含み損を損失計上できる
法人特有のメリットとして、含み損を損失として計上できることもあげられます。
決算時期に保有しているマイナスポジションを損失として計上すれば、課税対象額を減らすことができ、節税につながります。
当年度の利益を考慮しつつ柔軟な対応が取れますので、大きなメリットと言えるでしょう。
海外FXで法人化するデメリット


海外FXで法人化するデメリットは以下の5点になります。
- 法人設立費用がかかる
- 固定費・維持費がかかる
- 利益の引き出しが自由にできない
- 役員報酬の引き上げや変更が簡単にできない
- 決算処理が複雑
共通しているのは、法人化には様々なコストがかかることと、個人にはないルールに従わなくてはいけないことです。
それぞれ詳しく見てきましょう。
法人設立費用がかかる
海外FXで法人口座を開設するためには、法人を設立することから始めなくてはいけません。
海外FXにおける代表的な法人の形が株式会社と合同会社になりますが、いずれの場合も定款を作成し法人として登記するための費用がかかります。
固定費・維持費がかかる
法人には維持費や固定費が発生することもデメリットのひとつです。
社員を雇うとなると、給料と別に社会保険や厚生年金、雇用保険や労災保険などの保険料が固定費として発生します。
社労士などと契約するとさらに費用がかさむでしょう。
法人に課せられる法人住民税はたとえ決算で赤字だったとしても、毎年発生します。
個人にはない税金になりますので注意が必要です。
利益の引き出しが自由にできない
法人の場合、海外FXで出た利益はいったん法人としての利益となります。
つまり、たとえ社長であろうが、いち個人が法人口座からは利益を自由に引き出せないということです。
法人ではあらかじめ定められた役員報酬という形で、個人への報酬が支払われることになります。
役員報酬の引き上げや変更が簡単にできない
法人の役員報酬というのは、事業年度開始から3ヶ月以内に決めるものです。
一度、決めた役員報酬は原則として1年間変更することができません。
FXでは一般のビジネスと異なり収益予想が立てづらいものです。
思いの外利益が出た場合などには、役員報酬が低すぎるとその分課税対象額が増えてしまいます。
そのため役員報酬の決定には非常に難しい判断が必要と言えるでしょう。
決算処理が複雑
法人の決算処理は非常に複雑です。
法人の会計処理や税務処理の煩雑さは、個人の確定申告とは比べ物にならないでしょう。
しかし、だからといって適当に済ませていいものではありません。
法人である以上、税務調査が入ることも十分に考えられます。
そのため、きちんとした決算処理を行うには税理士や会計士と契約を結ぶことが一般的です。
そういった費用がかかるのも法人化のデメリットのひとつになります。
海外FXで法人化する適切なタイミングとは


海外FXで法人化する適切なタイミングを単純な利益と税率ベースで判断してみると、
法人税率の「収益が800万円以下は15%」というのが基準になってくるでしょう。
課税される収益 | 法人税率 |
---|---|
800万円以下 | 15% |
800万円以上 | 23.2% |
個人の所得税率が15%を超えてくるのは、利益が330万円〜695万円以下の税率20%からです。
課税される所得金額 | 税率 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
195万円を超え 330万円以下 | 10% |
330万円を超え 695万円以下 | 20% |
695万円を超え 900万円以下 | 23% |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
したがって単純に利益と税率ベースで判断すると、利益が330万円以上あれば法人化を検討した方がいいということになります。
しかし、法人住民税や法人事業税などの法人税以外の税金や、法人設立費用や固定・維持費などを考慮してもう少し利益を上増しして考えた方がいいでしょう。
ましてや、FXでは長期的な収益の見通しが立ちづらいという側面もあります。
複合的に法人化のタイミングを鑑みると、利益が695万円を超えてきた時点で法人化を検討し始め、利益が900万円を超えた時点で実際に法人化に向けて動き出すのがいいでしょう。
世間ではきりのいい1,000万円を超えてからの法人化を押す声も多いようです。
いずれにせよ、法人には損益繰越が認められるとはいえ、安定して700万円〜1,000万円の利益が継続的に出せるようになってから法人化を進めるのがベストです。
海外FXの法人化にまつわる口コミ


ここからは、SNS上に見られた海外FXの法人化に関する口コミを取り上げていきます。
これから法人口座を開設しようとしている人や実際に開設した人のリアルな反応を見ていきましょう。
口コミ1.課税所得が1000万円を超えたら
「個人の課税所得が1,000万円を超えるくらいから、海外fxは雑所得扱いなので法人化した方が有利です。
月次2,000万円達成したら法人化して、個人所得分は節税に事務所職員にガッツリ賞与を渡したいと思います」
きりのいい1,000万円という数字はひとつの目安になりますね。
口コミ2.税率最大55%
「海外FXなので税率最大55%になるらしいです
なので法人化しましたw」
税率55%=4,000万円超の所得があるということ。法人化した方がお得です。
口コミ3.負けた時に損失繰越できるのは大きい
「海外FXで一年で500万以上負けてるなら資金力があるって事
それならいっその事、法人化をオススメする
法人なら損失繰越しできる
法人維持費も多少は必要になるけど個人でやるより法人でやる方が年間で負けた時に損失繰越しできるのは大きいかと
個人との決定的な差は税金以外にもあるのはこれの事」
損益繰越ができるのは法人化の大きなメリットということですね。
口コミ4.定款って
「海外fx口座の法人化ってどーすればええの。定款ってfxのこと書かなくてええんやっけ」
たしかに法人の定款作りや登記手続きは簡単ではありません。
わからない場合は司法書士にお願いしましょう。
口コミ5.アキシオリーをメインに
「今自分が目指すべきは海外fx法人化!
その時はアキシオリーをメインにしようと思ってる」
アキシオリーとは海外FX会社の「AXIORY」のこと。詳しくは後述しますが、海外FX会社には法人口座が開設できないところも多数あります。
「AXIORY」は法人口座を開設できる海外FX会社のひとつです。
法人口座を開設することができる海外FX会社
法人口座を開設することができる主な海外FXをご紹介していきます。
海外FX会社では法人口座を開設できるところが限られていますので注意してください。
- AXIORY
- GEMFOREX
- HotForex
- iForex
- Land-FX
- TitanFX
日本で知名度の高い海外FX業者の中では、上記の6社で法人口座を開設することができます。
海外FX会社と国内の法人口座を比較


海外FX会社と国内の会社では法人口座にかかる税金に違いはありません。
どちらにも法人税が適用され、税率に関しては前述した通りになります。
違いがあるのは、国内FX会社の法人口座が個人口座と比べて最大レバレッジが変わる点です。
国内の個人口座は最大レバレッジが25倍に統一されていますが、法人口座は通貨ペアによって週毎に変動します。
例えば、2021年のドル円だと約100倍前後。ユーロドルですと110倍前後で推移しています。
海外FX会社には個人口座と法人口座に取引条件に変わりはありませんので、大きな違いと言えるでしょう。
また、法人・個人いずれの口座にも言えることですが、海外FX会社と国内FX会社の大きな違いに安全性があげられます。
国内のFX会社は金融商品取引業の登録が義務付けられ、金融商品取引法によって資金管理方法や証拠金維持率などが厳格に定められています。
一方海外FX会社については、金融ライセンスを取得している業者から完全無登録業者まで様々です。
トラブルが発生しても日本の法律で対応できないケースも多く、事実として多くの詐欺被害や出金トラブルが発生しているのが現状です。
WikiFXは、個人・法人問わず、日本国内のFX会社を利用してトレードされることを推奨しております。




法人化できる海外FX会社の安全性は?
日本国内のFX会社は金融庁への登録が必須であり、金融商品取引法に基づく厳格なルールのもと営業を許可されています。
FX会社の預託金(資本力)や完全信託保全の実施状況なども、定期的に厳しくチェックを受けます。
安全な日本のFX会社と比較してしまうと、海外のFX会社は不安な部分が多いかもしれません。



トレード以外の部分で詐欺被害やトラブルが発生するのは決まって海外のFX会社です。
WikiFXは全世界のFX会社の情報を収集し、安全性についてのスコアリングを行っています。
また金融ライセンスの取得状況や、FX会社に対するトレーダーの口コミも包み隠さず掲載しています。
下記は先ほどご紹介した会社については、下記のリンクから安全性をチェックすることができます。
まとめ:国内FX会社の法人口座を使うのがおすすめ


ここまで海外FXの法人化ついて詳しく見てきました。
FXの利益が安定して700万円〜1,000万円ほど出ているのであれば、法人化によって得られる税金の面でのメリットは大きいでしょう。
繰り返しになりますが、WikiFXとしましては、
同じ法人口座でも海外ではなく国内のFX業者のものを利用されることをおすすめします。
海外FX会社には安全面やサービスクオリティの面で不安があると言わざるを得ません。
先にあげた法人口座を開設できる海外FX会社においても、出金拒否などのトラブルの噂が絶えないというのが実情です。
節税のための法人口座となると、決して少なくない金額の資金を入れることになるわけですから、安全面は最重要事項になるのではないでしょうか。
また、海外FXの最大の魅力である高レバレッジに関しても、国内で法人化すればそれに近いレバレッジでトレードすることが可能です。
最大レバレッジを高く設定できるのは海外FXですが、実際の取引で500倍や800倍などの実効レバレッジでトレードすることはまずありえません。



もしそのような超ハイレバトレードをしていたなら、それはただのギャンブルになってしまうでしょう。
また、海外FXでは最大レバレッジの高さに目が行きがちですが、多くの場合は口座資金に応じてレバレッジ制限がされます。
制限によってレバレッジが100倍になってしまう会社はざらにあります。
中には20倍のレバレッジ制限がかかる会社もあるほどです。
以上のことから、法人口座についても、国内FX会社のものを利用されることをおすすめします。
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