海外FXの信託保全とは?顧客資金を守る仕組みをプロが解説

信託保全って何?

海外FXの信託保全でも安心していいの?

FX業者は顧客から資金を預かっており、その資金を安全に保管しておく必要があります。

信託保全は、資産の管理法としては一番安全な方法とされており、FX業者を選ぶ際の一つの指標とも言えます。

この記事では、信託保全に関する以下の6つについて解説していきます。

  • FX業者の資金管理方法は?
  • FX業者が破綻した場合の保有ポジションはどうなる?
  • 国内FX業者で信託保全が義務化されている理由
  • 海外FXに信託保全の会社が少ない理由
  • 信託保全のある海外FX業者は?
  • 海外FX業者の信託保全は日本でも適用されるのか

この記事を読めば、トレーダーの資産はどのように守られているかについて理解することができます。

目次

FX業者の資金管理方法は?

FX業者の資金管理方法について解説するイメージ

FX業者が顧客の資産を管理する方法は大きく分けて2つあります。

  • 分別管理
  • 信託保全

ここでは以上2つの仕組みについて解説していきます。

分別管理

分別管理とは、「顧客の資産」と「会社の運転資金」をそれぞれ別の銀行口座で管理することをいいます。

顧客の資産には、証拠金やスワップポイントの損益、トレードの損益が含まれます。

分別管理の中でも、「顧客の資産」を扱う口座の管理方法は2種類あります。

  • FX業者が単体で管理する
  • FX業者と他の会社が共同で管理する

FX業者が単体で管理する

1つ目は、「顧客の資産」をFX業者単体の銀行口座で管理するパターンです。

このパターンの分別管理は、顧客の資産の管理を外注しなくて済むので、FX業者にとっては、手間がかからない上に、コストも抑えることのできる資金管理法です。

ただし、FX会社が独自の判断で顧客の資産を引き落とすことができるため、顧客の資産の安全性は低いと言わざるを得ません。

FX業者が顧客の資産を経営資金に流用してしまう可能性があるのです。

また、FX業者が破綻してしまった場合は、分別管理されていた顧客の資産も債権回収の対象になってしまうので、預託している証拠金が返還されないというリスクがあります。

FX業者と他の会社が共同で管理する

2つ目が、FX業者と第三者機関の共同の口座で「顧客の資金」を分別管理するパターンです。

外部の資金管理会社との共同口座で顧客の資金を管理することで、FX業者が顧客の資金を流用するリスクを大幅に減らすことができます。

ただし資金管理会社に依頼する分、単独で分別管理するときよりも、FX業者にコストがかかってしまいます。

信託保全

信託保全とは、顧客から預かった資産をFX業者の資産とは完全に分離して管理する資金管理法です。

信託保全では、顧客の資産は信託銀行口座に預けられており、口座名義もFX業者のものではないので、顧客の資産は流用されることなく安全に保全されています。

分別管理では、顧客の資金をFX業者の口座で管理しているので、破綻時には顧客の資金は差し押さえの対象になってしまいますが、信託保全では外部弁護士によって顧客の資金は全額返還されます。

信託保全の中でも、補償金額に上限があるものを「一部信託保全」といい、法相金額に上限がないものを「完全信託保全」といいます。

以上のように、信託保全は顧客の資金を守る制度としては最も安全ですが、その分FX業者にかかるコストは大きいです。

金融ライセンス自体が信託保全を義務付けていなくても、海外FX業者が信託保全を行うケースがあります。

以下では2つのケースを解説します。

  • 政府機関による信託保全
  • 保険による信託保全

政府機関による信託保全

海外FX業者に多いパターンですが、金融規制当局が政府機関と連携して、顧客の資産を補償することがあります。

CySEC(キプロス証券取引委員会)やFCA(金融行為監督機構)は信託保全を義務付けていない代わりに、それぞれの政府機関が顧客の資産の補償制度を設けています。

例えば、キプロスの金融規制当局であるCySECの金融ライセンスを取得している海外FX業者は、ICF(投資家補償基金)へ登録する義務があります。

ICFでは、FX業者が破綻した場合に、そのFX業者を利用していた顧客に対して、資産の一部を最大2万ユーロまで補償しています。

ICFは加盟しているFX業者から資金を集めています。

イギリスの金融規制当局であるFCAの金融ライセンスを取得している海外FX業者は、FSCS(英国金融サービス補償機構)へ加入することが義務付けられています。

FSCSでは、FX業者が破綻した場合には、顧客に対して最大で8.5万ポンドを補償することを定めています。

このように、信託保全の義務がない海外FX業者でも、取得している金融ライセンスによっては、信託保全を行う政府機関への登録が義務付けられていることがあります。

保険による信託保全

保険会社が、加入しているFX業者から資金を集め、FX業者の破綻時に顧客への補償を行うこともあります。

これを投資家資金補償保険といいます。

以前XMが加入していた、AIG保険は投資家資金補償保険の一例で、FX会社破綻時には、1人100万ドルまでの補償を認めていました。

顧客の資産の補償は第三者の保険会社が行うので、分別管理より資産流用のリスクは低いです。

ただし、FX業者と保険会社間でどのような契約をしているかは、顧客には分からない点には注意する必要があります。

金融ライセンスで義務付けられている信託保全であれば、信託保全の条件や内容は顧客でも知ることができます。

しかし、損害保険契約はあくまでも、FX業者と保険会社の間で交わされた、クローズドな契約なので、信託銀行による信託保全よりは信頼性が低いです。

FX業者破綻した場合の保有ポジションはどうなる?

FX業者破綻した場合に保有ポジションがどうなるのかについて解説するイメージ

FX業者が破綻した場合は、分別管理か信託保全で顧客の資産は保護されます。

一方で、FX業者が破綻した時点で抱えていたポジションは、強制決済されてしまいます。

ただし、くりっく365で取引所FXをやっている場合は、顧客のポジションの扱い方が通常の店頭FXとは異なります。

くりっく365の場合、顧客の資産は取引所に預託されるので、FX業者が破綻した場合でも顧客の資産は守られます。

また、東京金融取引所が認める場合にのみ、FX業者が破綻する前に抱えていたポジションは、別のくりっく365の取引業者に移管されます。

国内FX業者で信託保全が義務化されている理由

国内FX業者で信託保全が義務化されている理由について解説するイメージ

日本の金融ライセンスを取得している国内FX業者は、信託保全を採用することが義務化されています。

しかし、以前の日本では、顧客の資産の管理方法が厳格に決定されているわけではありませんでした。

日本でFXが流行りだした2006年頃には、多くの日本人がFX口座を開設し、日本人トレーダーが「ミセスワタナベ」と言われるほどに、為替レートに大きな影響をもたらしていました。

日本人の主婦を始めとした小口のトレーダーが、相場に大きな影響力を持つことが判明し、英国の経済誌が「ミセスワタナベ」と呼称したことが発端とされています。

しかし、サブプライムローン問題が発生した2007年には、多くの国内FX業者が倒産に追い込まれました。

国内FX業者の倒産に伴って、多くのFX業者が顧客の資産を不適切に管理していることが発覚し、顧客の資金もほとんど返還されない状況に陥ってしまいました。

この出来事をきっかけに、2010年の金融商品取引法の改正で、FX業者が顧客から預かった資金は信託保全するように義務化されました。

海外FXに信託保全の会社が少ない理由

海外FXに信託保全の会社が少ない理由について解説するイメージ

海外FXに信託保全を採用している会社が少ない理由は、海外FX業者が取得している金融ライセンスに、信託保全の義務がない場合が多いからです。

金融ライセンスの取得にはそれなりのコストがかかります。

例えば、FCA(イギリス)の金融ライセンスを取得するには、17万5,000ドル、ASIC(オーストラリア)の金融ライセンスを取得するには、4万ドルのコストが発生します。

海外FXは「ハイレバレッジ」「ゼロカット」「豊富なボーナス」を顧客に提供するために、多くのコストが発生するので、なるべく金融ライセンスの取得にコストをかけたくないと考えています。

それゆえ多くの海外FX業者は、手続きが簡単で、ライセンス費用も安い金融ライセンスをあえて取得しています。

このような金融ライセンスは、FX業者に対する規制も弱いので、信託保全は義務化されていない場合がほとんどです。

信託保全が義務化されていなくても、前述したICFやCASSなどの信託保全に代わる制度はあります。

以上のような理由で、海外FX業者に信託保全の会社が少ないのです。

信託保全のある海外FX業者は?

信託保全のある海外FX業者について解説するイメージ

海外FXでは信託保全を行っている業者はほとんどありませんが、資金補償という形で信託保全に似た制度を独自に持っている海外FX業者も存在します。

FX業者補償額資金補償
AXIORY入金分全額補償The Financial Commission
XM口座残高分全額補償ICF(投資家補償基金)
TitanFX全額補償The Financial Commission
Tradeview3万5,000ドルFundAdministration Inc
FxPro2万~5万ユーロ
8.5万ポンド
ICF(投資家補償基金)FSCS(金融サービス補償機構)
海外FX業者の資金補償制度

ここでは、それぞれどのような資金補償を行っているのかを解説していきます。

WikiFXでは海外FXの利用をオススメしていません

海外FXの利用には大きなリスクが伴うため、WikiFXでは海外FXの利用をオススメしていません。

理由は以下の2つです。

  1. 海外FXは金融庁から認可を得ておらず、違法であるから
  2. 海外FXは詐欺被害に遭いやすい上に、救済手段が限られている

海外FX業者は日本の金融ライセンスを取得しないまま日本の居住者に対してサービスを提供していますが、これは金融商品取引法違反になります。

トレーダーが無登録の海外FX業者でトレードすることは違法にはなりませんが、詐欺被害に遭った際には詐欺被害を回復することが困難です。

FX取引は、金融商品取引法上のデリバティブ取引に該当します。日本に居住する投資者に対してFX取引を業として行うには、金融商品取引業の登録が必要です。たとえ海外で金融商品取引のライセンスを持つ業者であっても、日本で登録を受けずに日本に居住する者に対して金融商品取引を業として行うことは禁止されています。

無登録業者と取引した場合は、トラブルが生じても無登録業者への追及は極めて困難です。取引を始める前に、取引の相手が金融商品取引法の登録を受けている業者であることを必ず確認してください。

金融庁公式HP

また海外FXで得た利益に対しては高い税金が課されるという税金面でのデメリットが存在します。

したがって、WikiFXでは安全面、税金面で優れている国内FX業者の利用をオススメしています。

AXIORY

AXIORYがベリーズのFSCの金融ライセンスを取得しているイメージ

AXIORYはベリーズのFSCの金融ライセンスを取得しています。

お客様からお預かりした資金は、口座タイプを問わず、信託保全先である「Doha Bank」の信託口座に委託され、弊社の資金と区別し管理されます。(クレジットカード決済代行会社、その他集金代行業者の場合、一旦弊社コーポレートアカウントに入金され、お客様の預託該当資金分を信託口座に預託いたします。)

AXIORY公式サイト

FSCは海外FX業者に対して、信託保全を義務付けていませんが、AXIORYはPwCの監視のもと、ドーハ銀行への信託保全を自主的に行っています。

The Financial Commissionの決定した処分に加盟会社が従わない場合、The Financial Commissionは、すべての加盟会社の基金からなる特別補償基金から、1件の苦情につき最大20,000ドルを上限に、お客様に対し直接、損害の補填を実行します。

AXIORY公式サイト

またAXIORYはトレーダーとFX業者の間に発生した紛争を、第三者の立場で解決してくれる「The Financial Commission」にも加盟することで、サービスの透明性を高めています。

XM

  • ASIC(オーストラリア)
  • CySEC(キプロス)
  • FSC(ベリーズ)
  • FSA(セーシェル)
  • FSC(モーリシャス)
  • DFSA(スペイン)

XMは以上5つの金融ライセンスを取得しています。

いずれの金融ライセンスにも信託保全の義務はありませんが、CySECのICF(投資家補償基金)により、信託保全を行っています。

また、EU圏の金融ライセンスを取得している海外FX業者は、MiFID(欧州金融商品市令)に準拠する必要があり、小口トレーダー保護のための政策を行っています。

Tradexfin Limitedは、証券ディーラーライセンス番号SD010の下、セーシェル金融庁(FSA)により規制されています。

Fintrade Limitedは、証券ディーラーライセンス番号GB20025835の下、モーリシャス金融サービス委員会(FSC)より、規制されています。

XM公式サイト
XMが信託保全をしていないイメージ

XMはもともとCySEC(キプロス)の監視下で日本へのサービスを提供していましたが、2016年以降はFSA(セーシェル)とFSC(モーリシャス)の監視下でサービスを提供しています。

したがって、現時点でXMは信託保全を採用しておらず、破綻した場合に日本のトレーダーに対して、補償が行われるかは不明です。

TitanFX

TitanFXがVFSCの金融ライセンスを取得しているイメージ

TitanFXはVFSC(バヌアツ共和国)の金融ライセンスを取得しています。

VFSCでは信託保全を義務付けておらず、分別管理を行っています。

お客様からお預かりした資金は全て、Titan FXの事業資金とは完全に区分して保管されており、世界有数のトップ銀行で信託保管されています。個人及び機関投資家の皆様からお預かりしている顧客資金は、口座残高だけではなく含み益も合わせて分別管理されており、他の目的で使用されることは決してありません。

TitanFX公式サイト

TitanFXはAXIORYと同様にThe Financial Commissionに加盟しており、苦情1件につき2万ユーロの補償を行っています。

Tradeview

TradeviewはCIMAの金融ライセンスを取得しているイメージ

TradeviewはCIMA(ケイマン諸島)の金融ライセンスを取得しています。

CIMAの金融ライセンスには信託保全の義務はありませんが、外部機関のFundAdministration Incの監視の下で、サンタンデール銀行の口座に分別管理しています。

FundAdministration Incは機関投資家が預かる顧客資産に対して、財務会計やコンサルティングのサービスを提供している金融機関です。

また、Tradeviewが破綻した際には、FundAdministration Incによって最大で3万5,000ドルの補償が行われます

FxPro

FxProはFCA(イギリス)とCySEC(イギリス)の金融ライセンスを取得している海外FX業者です。

FxProがFCAとCySECの金融ライセンスを取得しているイメージ

FCAの金融ライセンスはFSCSの加盟を義務付けているので、FxProが破綻した際には最大で8.5万ポンドの補償を受けることができます。

FXPROが破綻した際に補償が受けられるイメージ

また、CySECの金融ライセンスはICFの加盟を義務付けているので、FxProの破綻時には最大で2万ユーロの補償を受け取ることができます。

海外FX業者の信託保全に関する注意点

海外FX業者の信託保全に関する注意点について解説するイメージ

ここまで、信託保全について解説してきましたが、海外FXの信託保全には注意点があります。

まず、海外の金融ライセンスで信託保全が義務付けられているからと言って、日本のトレーダーが補償の対象になるとは限りません。

そもそも、日本でFXなどの金融サービスを提供するためには、日本の金融ライセンスを取得している必要があります。

日本の金融庁は、無許可でサービスを提供する海外FX業者に対して警告を行うことはできますが、強制的に禁止することはできません。

そこで日本の金融庁は、他国の金融規制当局に対して働きかけることで、海外FX業者が日本での営業を行えないようにしています。

金融庁は、日本の金融ライセンスを取得してない海外FX業者へは、直接働きかけることができないので、他国の金融規制当局に協力してもらっています。

実際日本の金融庁は、CySECの金融ライセンスのもとでは日本にサービスを提供できないように、CySECに対して働きかけています。

このことから、海外FX業者はCySECの規制下では日本へのサービスの提供が難しくなり、別の国の金融ライセンスの規制下でサービスを提供するようになりました。

2016年以降XMがCySECではなく、FSA(セーシェル)の監督下でサービスを提供しているのも、同様の理由です。

したがって、CySECが義務化しているICFに関しても、日本のトレーダーは対象外になっている可能性は高いと考えておきましょう。

まとめ

ここまで海外FXの信託保全について解説してきました。

この記事のポイントは以下の通りです。

  • 海外FXの資金管理は「分別管理」と「信託保全」に分けられる
  • 海外FX業者が取得している金融ライセンスで「信託保全」を義務化していることは少ない
  • 海外FX業者は取引条件の強化のために、信託保全をあえて採用していない

WikiFXでは安全性に優れた国内FX業者の利用をオススメしています。

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

早稲田大学法学部を卒業後、FXでトレードを続けながらFX専門のWebライターとして活動。
海外滞在を通して身につけた英語力を武器に、英文献を用いた多角的な記事の執筆が得意。

コメント コメント 0

コメントする