マルチタイムフレームの手法を解説|相性抜群のインジケータは?

マルチタイムフレーム分析は、1つの時間軸だけではなく上位足や下位足の時間軸を総合的に分析していきます。
勝率をアップさせたり、相場の環境認識をしたりするのに役立つチャート分析方法です。 

マルチタイムフレーム分析全体について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 

今回の記事では、より具体的なマルチタイムフレーム分析の手法を解説していきます。
使用するテクニカルツールによって、判断するポイントが全く異なります。
インジケータの性質を理解しなければいけません。 

ところで、テクニカルインジケータは、大きく2種類に分けられます。 

  • トレンド系インジケータ 
  • オシレーター系インジケータ 

どちらの種類のインジケータにも強みと弱点があり、弱点の部分を補いあうインジケータを組み合わせてマルチタイムフレーム分析をすることが1つのポイントです。 

この記事では、以下の7種類のテクニカルインジケータをマルチタイムフレーム分析で活用する方法を解説していきます。 

インジケータ名称 MT4表記 
移動平均線 Moving Average 
ボリンジャーバンド Bollinger Band 
一目均衡表 Ichimoku Kinko Hyo 
パラボリック Parabolic SAR 
ピボット Pivot (ダウンロードの必要あり) 
MACD (移動平均線収束拡散法) MACD 
CCI (商品チャネル指数) CCI 

各インジケータの基本的な見方はもちろん、マルチタイムフレーム分析で見るべきポイントを各章で解説していきたいと思います。 

記事の注目ポイント!TOP3 

  • 人気インジケータの基本的な見方は? 
  • マルチタイムフレーム分析で実際に活用する手法は? 
  • マルチタイムフレーム分析で有効なインジケータの組み合わせは? 

注意 
この記事では、自分のトレード判断に利用する時間軸を『メイン時間軸』と表現します。記事の中に出てくるメイン時間軸は『1時間足』とします。 
1時間足よりも短期の時間軸である5分足や15分足のことを『下位足』、4時間足や日足など長期の時間軸を『上位足』と記載します。 

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目次

人気インジケータの基本的な見方を覚えよう【準備編】

ここでは、人気インジケータの基本的な見方を解説していきます。
マルチタイムフレーム分析をするときに、ポイントとなるインジケータの見方を理解していれば、短時間で相場環境を認識することができるます。 

自分が普段利用しているインジケータはもちろん、インジケータを選ぶときの参考にしてみてください。 

移動平均線でトレンドの方向を確かめる

移動平均線のマルチタイムフレーム分析は単純移動平均線(SMA)を利用しましょう。 

トレンド系指標の代表格が、移動平均線(Moving Average)です。
最も基本的なインジケータなので、活用している方も多いと思います。 

移動平均線には、いくつかの種類がありますが、マルチタイムフレーム分析で活用するのであれば、『単純移動平均線(SMA)』がおすすめです。 

1時間足をメイン軸として、4時間足、日足のトレンドを下記のチャートで確認してみましょう。 

チャート:左から1時間足、4時間足、日足

移動平均線で確認するのは、 

  • 価格と移動平均線の位置関係 
  • 移動平均線の傾き 

です。 

上記のチャートを見ると、すべての時間軸で移動平均線よりも価格が上にありますね。
さらに、移動平均線の傾きも緩やかに傾斜しています。どの時間軸でも上昇トレンドになっていると判断できます。 

移動平均線の見方をまとめてみました。 

移動平均線と価格の位置関係 価格>移動平均線⇒上昇基調 価格<移動平均線⇒下落基調 
移動平均線の傾き 45度の角度が理想 

ところで、移動平均線の期間設定方法が気になるトレーダーも多いと思います。 

200移動平均線、28移動平均線といった期間設定が有名ですね。
中には、52や90といった期間設定をするトレーダーもいます。どれがいいか迷ってしまうトレーダーもいると思います。 

マルチタイムフレーム分析をするときには、以下の設定方法がおすすめです。 

時間軸ごとに根拠をもった移動平均線の期間を設定しましょう!

根拠を持った移動平均線の期間設定を時間軸ごとに決めるのが、おすすめです。 

時間軸移動平均線の期間設定
1時間足 240(2週間) 
4時間足 120(1ヶ月) 
日足 200(約1年の営業日) 

上記は一例ですが、大きな視点の相場のトレンドを判断するのに役立つと思います。移動平均線と価格の位置関係を見るだけで、トレンドの方向を知ることが可能です。 

ぜひマルチタイムフレーム分析をするときに活用してみてください。 

ボリンジャーバンドはボラティリティの大きさを判断する 

チャート:NZドル円 1時間足

ボリンジャーバンドも移動平均線と並んで人気のインジケータですね。ボリンジャーバンドは、相場のボラティリティに注目しているインジケータです。 

最初に基本的な見方を紹介します。 

イメージ:ボリンジャーバンドの見方

ボリンジャーバンドの上下のバンドは、価格データの〇%が収まる確率をしまします。
最も基本的なのは、(シグマ)、です。 

偏差価格データ
3σ 約99.7%がバンド内に収まる 
2σ 約95%がバンド内に収まる 
1σ 約68%がバンド内に収まる 

価格が3σを超えて推移する確率は、わずか0.3%ということですね。つまり、3σにタッチしたら反発する確率が極めて高いということになります。 

バンド幅が大きいほどボラティリティが高いことを示し、バンド幅が小さいほどボラティリティが低いことを示します。 

ボラティリティとは?

相場の価格変動の度合いを示す。ボラティリティはリスクの大きさの目安とされる。 

ボリンジャーバンドの形は3段階に分かれています。 

スクイーズ バンド幅が狭まっている相場 レンジ相場の特徴となる 
エキスパンション バンド幅が急激に広がっている相場 レンジ相場からトレンド相場への移行期 
バンドウォーク ボリンジャーバンドの1σ~3σで価格が推移 トレンド相場になっている可能性が高い 

時間軸ごとに相場がどの段階になっているのかを確認すると、相場の環境認識ができるようになります。 

詳しくは以下の動画でも解説しています。 

関連動画:【FX】ボリンジャーバンドって何? 

具体的なマルチタイムフレーム分析の実践方法は、2章で解説します。 

一目均衡表は遅行線と雲に注目しよう

一目均衡表は慣れるまでに時間が掛かりますね。 

一目均衡表は日本が生んだ傑作ともいえるテクニカルツールです。他のインジケータと異なる点は『将来の支持線/抵抗線となる価格帯を予想できる』という点です。 

一目均衡表は、特に遅行線と雲に注目しましょう。慣れてきたら、転換線や基準線などを表示させると良いと思います。 

一目均衡表を開発した一目山人という人は、『遅行線に最も価値がある』という内容の言葉を残しています。 

遅行線が価格を上抜けたりした抜けたりするタイミングは、トレンドが変化するタイミングとなる確率が非常に高くなります。雲と遅行線の位置関係に注目したマルチタイムフレーム分析をすれば、勝率をグッと上げることができるでしょう。

パラボリックでトレンド転換を判断できる

チャート:ポンドドル

パラボリックが上下のどちらに表示されているかに注目すべき!

パラボリックは、トレンドフォロー系のインジケータで、トレンドが転換したかどうかをみるのに有効なツールです。
例えば、強い上昇トレンドが継続し、高値を更新しているのであれば、パラボリックが加速しながらローソク足に追従していきます。 

基本的売買サイン
買いサイン 下降しているパラボリックが上昇しているローソク足にタッチした地点 
売りサイン 上昇しているパラボリックが下降しているローソク足にタッチした地点 

パラボリックは常に買いか売りかのポジションを持つ『ドテンシステム』としても活用できます。レンジ相場ではダマシが連続しますが、トレンド相場では非常に有効に活用することが可能です。 

レンジ相場を見極めることが1つのポイントです。 

マルチタイムフレーム分析であれば、複数の時間軸で価格とパラボリックの位置関係を確認しましょう。 

ただ、パラボリックだけでエントリーや決済の判断はせず、移動平均線や他のインジケータを組み合わせて総合的に判断する必要があります。 

ピボットポイントと抵抗線/支持線

ピボットポイントと価格の位置関係に注目しましょう!

ピボットポイントは、基本的にデイトレードで活用するインジケータです。
TradingViewであれば、設定を変更するだけで週足ピボット、月足ピボット、年足ピボットも簡単に表示できます。 

上記のチャートを見ると、ピボットポイントがサポートラインになっていますね。
上昇トレンドが続いている相場であれば、ピボットポイントよりも上に価格が推移しているときに買いエントリーを検討できます。 

R3 (ハイブレイクポイント) 売りポジションを持っていたら損切り 
R2 (レジスタンスライン2) 強いレジスタンスライン 
R1 (レジスタンスライン1) もみ合いになる可能性がある価格 
P (ピボットポイント) 価格とピボットポイントの位置関係でトレンド方向を予想できる 
S1 (サポートライン1) もみ合いになる可能性がある価格 
S2 (サポートライン2) 強いサポートライン 
S3 (ローブレイクアウトポイント) 買いポジションを持っていたら、損切り 

ピボットポイントについては、下記の動画でも詳しく解説をしています。 

関連動画:Pivotポイント1時間足チャートで勝率を高くする方法

MACDはダイバージェンスとトレンド分析に活用する

チャート;ダイバージェンス説明

MACDはオシレーター系指標としてもトレンド系指標としても活用できるマルチインジケータです。ダイバージェンスを確認して相場の反転を予想したりヒストグラムの方向からトレンド方向を見極めたりすることができます。 

MACDで確認するポイントは以下の2つです。 

  • MACDのダイバージェンス 
  • ヒストグラムがゼロ交差しているか 

ダイバージェンスが発生していれば、相場の転換が近いことを予想できます。注意したいのはダイバージェンスが発生したら、すぐに相場が転換するわけではないことです。 

ヒストグラムがゼロより上にあり山がどんどん大きくなっているときは上昇基調と判断します。一方、ヒストグラムがゼロより下に推移しており谷がどんどん深くなっているときは下落基調と判断します。 

CCIって何?基本的な見方 

商品チャネル指数 (CCI) は、価格の変動が統計的な平均からどの程度離れているかを測定することで、主に買われすぎ売られすぎを判断するインジケータです。 逆張りと順張りで利用することができるインジケータです。

チャート:CCI説明

もともと、商品先物のインジケータとして開発されましたが、現在では通貨ペアを含む幅広い金融商品で活用されています。 

CCIの基本的な使用方法は、以下のとおりです。 

  • CCIが+100を上回ったときに買い仕掛け、+100を下回れば買いポジションを決済。 
  • CCIが-100を下回ったときに売り仕掛け、-100を上回った時点で売りポジションを決済。 

CCIも奥が深いインジケータで、CCIのみを使ったトレードをする人もいます。CCIでマルチタイムフレーム分析をする人もいますが、あまり一般的ではありません。 

逆張りでも活用できますが、CCIだけでは利益を出すのは極めて難しいと思います。 

マルチタイムフレーム分析ができるインジケータ【実践編】 

1章では、人気インジケータの基本的な見方や売買シグナルについて解説してきました。

この章では、マルチタイムフレーム分析に活用できるインジケータの特性を活用してマルチタイムフレーム分析に応用する方法を解説していきたいと思います。 

移動平均線がパーフェクトオーダーになっているか

移動平均線のマルチタイムフレーム分析で注目するのは、『トレンドの方向と安定性』です。
トレンドが安定していれば、大きな利益を狙うことができます。安定してできるだけ長く続きそうなトレンド相場を見つけるのが理想です。 

そこで活用するのが、移動平均線のパーフェクトオーダーです。 

マルチタイムフレーム分析で移動平均線を活用する場合、パーフェクトオーダーの形になっているかに注目しましょう。 

上記はユーロドルの1時間足、日足チャートです。
どちらも上昇トレンドが発生していますね。移動平均線の並び方に注目してください。 

上昇トレンドのパーフェクトオーダー :価格>短期MA中期MA長期MA 

下落トレンドのパーフェクトオーダー :価格<短期MA<中期MA<長期MA 

どちらのチャートも価格が移動平均線を上回っており、パーフェクトオーダーになっていますね。 

複数の時間軸でパーフェクトオーダーになっていることを確認してエントリーをすると、勝率が上がりやすくなります。 

移動平均線の手法まとめ! 

STEP
3本の移動平均線を表示
STEP
メイン時間軸と日足でマルチタイムフレーム分析
STEP
どちらもパーフェクトオーダーになっているか確認

ボリンジャーバンドの形に注目しよう

1章でも解説したようにボリンジャーバンドは3段階に分類することができます。 

マルチタイムフレーム分析でボリンジャーバンドを活用する場合、注目したいのがバンドウォークです。上位足でバンドウォークが発生していれば、メイン時間軸で押し目買い/戻り売りを検討することができます。 

NZD/JPYの1時間足と4時間足チャートを例に考えてみましょう。 

チャート:NZドル円 4時間足

上記のチャートを見ると、4時間足できれいなバンドウォークが発生していることが分かりますね。4時間足ではー2σ(シグマ)がレジスタンスラインとして機能しています。 

1時間足をみると下落トレンドが続いていますが、ミドルバンド(オレンジ線)付近で戻り売りができるタイミングが何回かあります。 

1時間足と4時間足であれば、1時間足のミドルバンド付近で押し目や戻り売りができると予想できるでしょう。 

ボリンジャーバンド手法まとめ【短期スイングトレード】 

STEP
1時間足と4時間足に3つのボリンジャーバンドを表示
STEP
4時間足でバンドウォークが発生していることを確認
STEP
1時間足のミドルバンド付近で押し目/戻り売りを検討

一目均衡表とマルチタイムフレーム分析

一目均衡表のマルチタイムフレーム分析は、『三役好転/三役逆転』という状態になっているかどうかを各時間軸で確認するのがおすすめです。 

三役好転:転換線が基準線を上回っている ローソク足が雲を上抜けしている 遅行線がローソク足を上抜けしている
三役逆転:転換線が基準線を下回っている ローソク足が雲を下抜けしている 遅行線がローソク足を下抜けしている 

下記のチャートはAUD/JPYの1時間足と4時間足です。

一目均衡表を表示しています。どちらも『三役好転』の強い上昇シグナルが出ていることが分かります。 

基準線と転換線、雲とローソク足、遅行線とローソク足の3つの位置関係を複数の時間軸で調べてみましょう。
三役好転/三役逆転になっていれば、強いシグナルです。 

一目均衡表手法まとめ 

STEP
1時間足と4時間足に一目均衡表を表示
STEP
基準線と転換線、雲とローソク足、遅行線とローソク足の3つの位置関係を調べる
STEP
遅行線がローソク足を抜けるタイミングや雲を抜けるタイミングでエントリーを検討する

ピボットポイントを応用した週足ピボットを活用する

ピボットポイントはデイトレードで活用するインジケータです。ピボットポイントの考え方を応用すると、週足ピボット、月足ピボット、さらには年足ピボットも算出することができます。 

TradingViewの『Pivot(ピボットポイント・スタンダード)』を利用すると、Dailyピボット~年足ピボットまで簡単に表示できます。 

Tradingview画面

上記のAUD/JPYチャートにはDailyピボット週足ピボットを表示しています。週足Pivotは週単位の支持線/抵抗帯を示すので、Dailyピボットよりも反応しやすいというメリットがあります。 

Dailyピボットと週足ピボットを同時表示させることで、利益目標にしたり損切りポイントの目安にしたりなど様々なトレード戦略に活用できますね。 

ピボットポイントを中心に価格が動くという考え方なので、Dailyピボット、週足ピボット、価格の位置関係を確かめるのも重要です。 

ピボットポイント手法まとめ 

STEP
メイン時間軸にDailyピボット、週足ピボットを表示する
STEP
各ピボットポイントと価格の位置関係を確認する
STEP
週足ピボットとDailyピボットが重なったポイントに要注意

マルチタイムフレーム分析でMACDを活用する方法

TradingViewの『MTF MACD』というインジケータを利用します。 

チャート:

『MACD』で注目するポイントは、ヒストグラム、MACD線とシグナル線の交差の2つです。 

注意! 
MACD(マックディー)
とはインジケータの名称、MACD線はMACDを構成するシグナルの一部を示します。
間違えやすいので注意しましょう! 

上記のチャートは、1時間足のEUR/USDです。『MTF MACD』というインジケータで上位足である4時間足の『MACD』を表示させています。 

上記のチャートでは、1時間足MACDでMACD線とシグナル線がゴールデンクロスをし、ヒストグラムがゼロ交差しています。また、4時間足チャートでも同じタイミングでMACD線とシグナル線がゴールデンクロスをし、ヒストグラムがどんどん上昇しています。 

マルチタイムフレーム分析をすると、強い買いシグナルが発生していますね。MACDは移動平均線(EMA)を基にしているインジケータなので、上位足のMACDを含めて判断できれば、勝率の高いエントリーポイントを見極めることが可能です。 

MACD手法まとめ 

STEP
メイン時間軸に『MTF MACD』を表示する
STEP
『MTF MACD』で上位足のMACDを確認する
STEP
メイン時間軸と上位足のMACDが同じタイミングでシグナルが発生したときにエントリーを検討する

相場に合わせたインジケータを活用する 

テクニカル分析で重要なのが、

『相場に適したインジケータ』を活用することです。

もちろん、自分が得意とするインジケータを活用するのも大切ですが、それに加えて、弱点を補いあうインジケータを組み合わせると、勝率の高いエントリーポイントを見極めやすくなります。 

記事内でも紹介しましたが、TradingViewであれば、マルチタイムフレーム分析に対応したインジケータが数多くあります。MT4よりも使い方が非常に簡単で直感的なテクニカル分析が可能です。 

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