ビットコインのマイニングは儲かる
こんな話を聞いて、ビットコイン(Bitcoin)のマイニングに興味を持ったかもしれません。
ところで、あなたはご存じでしたか?
ビットコインのマイニングには多額の電気代をかかることを。
ビットコインのマイニングで稼げるかどうかは、電気代にかかります。
そこで、ビットコインのマイニングの電気代について解説します。
- マイニングについて
- ビットコインのマイニングの収益性
- ビットコインのマイニングの電気代を節約する方法
- マイニングが環境に与える影響
マイニングとは?
電気代について話す前に、マイニングについて説明します。
マイニングとは、トランザクションの承認作業です。
トランザクションとはビットコインの個々の取引データです。
トランザクションをまとめブロックを作ります。
ブロックには、いつ、どのアドレスが、どのぐらいの量を取引したかという情報が書き込まれます。
そして、第三者がこの取引情報をチェックし承認します。
この取引情報のチェック・承認がマイニングです。
なぜ、第三者がチェックするのかと言うと、暗号通貨には円やドルなどの法定通貨とは違い、管理者がいないからです。
管理者がいないから、みんなでチェックしようというのがトランザクションの承認作業なのです。
トランザクションの承認は膨大な計算をしなければなりません。
そして、一番最初に計算を終えた人がデータを承認して報酬として暗号通貨を手に入れることができます。
このビットコインを手に入れるプロセスがまるでゴールドラッシュで金を掘り当てた採掘者のようなのでマイニングと呼ばれるようになりました。
一番最初に計算を終えた人がデータを承認する仕組みをプルーフ・オブ・ワーク(PoW:Proof of Work)と言います。
ビットコインのマイニングとは要するに、みんなでその取引が改ざんや不正がないか計算してチェックして、一番頑張った人に報酬をあげようという仕組みです。
それでは、なぜマイニングで電気代が問題になるのでしょうか?
さっき、少し触れましたが、トランザクションの承認作業は膨大な計算を必要とします。
あなたがいつも使っているPCやスマホでもできなくはありませんが、効率が悪く時間がかかるので、一番になって報酬を得ることはできません。
なので、膨大な計算を誰よりも早く処理して報酬を手に入れるには、高度な処理能力を持ったコンピュータが必要となります。
マイニングに特化したマイニングマシンまであります。
コンピュータは高性能になればなるほど、エネルギー(電力)を消費します。
痩せている人よりもマッチョの人の方がカロリーを多く消費するのと同じ原理です。
このようにマイニングは多くの電力を消費するため、電気代が問題になってくるのです。
さらに、ビットコインは半減期を経ると消費電力が上がります。
ビットコインの半減期とは、新規発行枚数が半分になるイベントです。
要するに、マイニングの報酬が半分になるイベントです。
半減期はビットコインの価値を維持するため、発行量を調整する目的で設けられました。
半減期はこれまで3回行われました。
- 2012年:50BTC → 25BTC
- 2016年:25BTC → 12.5BTC
- 2020年:12.5BTC → 6.25BTC
半減期の具体的なスケジュールは決まっていませんが、今のところ4年ごとに実施されています。
半減期を経ると消費電力が上がるのは、マイニングの報酬が今までの半分になって、同じ量を獲得するのに2倍のエネルギーが必要になるからです。
ビットコインのマイニングには多額の電気代がかかります。
ビットコイン(BTC)のマイニングにかかる電気代と収益
ビットコインのマイニングの電気代はいくらかかるの?
ビットコインのマイニングはいくら稼げるの?
こんなことが気になったかもしれませんね。
そこで、ビットコインのマイニングでいくら稼げるのかシミュレーションしましょう。
マイニングの収益はNiceHashというサイトでのシミュレーションできます。
NiceHash:https://www.nicehash.com/
NiceHashでは、マイニングに使うデバイスと電気代を入力するだけで、いくら稼げるのかが簡単に計算できます。
例えば、GPU(グラフィックカード)のNVIDIA RTX 3090でシミュレーションします。
1kWhあたりの電気代を日本の相場の27円とします。
1日の収益が-104.16円で赤字です。
Innosilicon T3 50Tというマイニングマシンでシミュレーションします。
1日の収益が-1442.12円で赤字です。
GPUよりもマイニングマシンの方が高性能ですが、その分消費電力が多いため、電気代の高い日本ではかえって赤字になってしまうという結果になりました。
なお、電力消費量が小さいマイニングマシンを使ったり、電気代が値下がりしたり、ビットコインの価格が上昇すれば、利益が出ることもあります。
しかし、たとえこれらの要因で利益が出たとしても、電気代の高い日本でのビットコインのマイニングは採算が取れないと言えます。
ちなみに、世界の電気代はどうなっているのでしょうか?
GlobalPetrolPrices.comで世界中の電気代を調べることができます。
GlobalPetrolPrices.com:https://www.globalpetrolprices.com/
なお、このサイトの日本の電気代は0.217ドル(約31円)でした。
ビットコインのマイニング量の多い国の電気代を見てみましょう。
参考までに、2021年のビットコインのマイニングランキングは以下でした。
- 1位:アメリカ(35.4%)
- 2位:カザフスタン(18.1%)
- 3位:ロシア(11.2%)
- 4位:カナダ(9.6%)
- 5位:アイルランド(4.7%)
これらの国の電気代は次の通りです。
- アメリカ:0.162ドル(約23円)
- カザフスタン:0.042ドル(約6円)
- ロシア:0.079ドル(約11円)
- カナダ:0.11ドル(約15円)
- アイルランド:0.286ドル(約41円)
ちなみに、2021年にビットコインのマイニングが禁止されるまで、マイニングシェアの50%を占め、世界第1位だった中国の電気代は0.078ドル(約11円)です。
世界のマイニングランキングと電気代を見てみると、アイルランドは例外ですが、電気代が安い国はマイニング量が多いと言えます。
ビットコイン(BTC)のマイニングの電気代を節約する方法
もしもビットコインのマイニングで稼ぎたいのであれば、電気代を節約するのが一番の近道です。
そこで、電気代を節約する方法を解説します。
電気プランの見直し
かつて電力会社に独占されていた日本の市場ですが、2016年4月1日以降の電力自由化により、消費者は電力会社や料金プランを自由に選べるようになりました。
なので、探せば今の料金プランよりも安いものを見つけることができるかもしれません。
日本の電気代は電気の使用量を3段階に分け、段階ごとに単価を設定する仕組みを取っています。
- 第1段階:使用量が少なく割安な料金単価
- 第2段階:使用量が普通の平均的な料金単価
- 第3段階:使用量が多い割高な料金単価
日本の電気代は使用量が増えれば増えるほど割高です。
ビットコインのマイニングには普通以上の電気を使用します。
そのため、マイニングを行うと第3段階の料金単価となります。
なので、第3段階の料金単価が安いプランを選ぶことで、マイニングの電気代を節約することができます。
また、Looopでんきにマイニング専用の料金プラン「マイニングフラット」があります。
マイニングフラットはマイニングを行うのに有利な料金プランとなっています。
Looopでんきマイニングフラット:https://mf.looop-denki.com/
なお、マイニングフラットは東京電力エリアのみとなっています。
東京電力エリアでマイニングをおこなっている人は検討してみてはいかがでしょうか?
マインニング専用の料金プランはまだ少ないですが、今後、新しいプランが登場するかもしれませんので、新しいプランが出たら、チェックしましょう。
また、電気プランではありませんが、電気代の安い地域に引っ越すという手もあります。
日本の電気代と一言で言っても、地域ごとに価格は異なります。
1位の北海道電力と10位の北陸電力で約3,000円の差があります。
日本で一番安い北陸電力エリアに引っ越せば、電気代を節約できます。
北陸電力エリア:
- 富山県
- 石川県
- 福井県の一部(美浜町以西を除く)
- 岐阜県の一部(飛騨市と郡上市の一部)
- 関東地方
マイニングサービスの利用
マイニングには3つの方法があります。
- ソロマイニング
- マイニングプール
- クラウドマイニング
ソロマイニングとは個人で行うマイニングです。
採掘したビットコインを全て手に入れることができますが、報酬は一番最初に計算を終えた人が手にできるので、他の人やグループに負けて手に入らないことも多いです。
マイニングプールはグループで協力して行うマイニングです。
採掘したビットコインはグループで分けるため取り分は減り手数料も払わなければなりませんが、複数で協力することで処理能力が上がるため、報酬を手にする頻度が上がります。
代表的なマイニングプールにAikaPoolがあります。
AikaPoolは、マイナーが多く、アクセスが早く、手数料が安いという特徴があります。
AikaPool:https://aikapool.com/
クラウドマイニングとは、暗号資産のマイニングファーム(マイニングを専門に行う企業)に出資してマイニングを代行してもらい、配当を受け取る仕組みです。
一種の投資と言えます。
自分でマイニングのためのマシンを用意する必要もなく、電気代に悩まされることもありません。
主なマインニングクラウドにジェネシスマイニング(Genesis Mining)があります。
Genesis Miningは2013年に設立したアイスランドに拠点を置くクラウドマイニング業者です。
豊富な実績、日本語対応という特徴があり、人気があります。
Genesis Mining:https://www.genesis-mining.com/
また、フエルマイニング(FUELMINING)という日本のクラウドマイニングもあります。
日本の企業で安心でき、しかも1万円から投資できるので、初心者におすすめのクラウドマイニング業者です。
FUELMINING:https://fuel-mining.com/mining
クラウドマイニングを行う場合、気を付けなければならないことがあります。
1つ目は、マイニングファームが破綻するリスクです。
ビットコインのマイニングは採掘したビットコインの価格が電気代などのコストを上回れば黒字となり、逆にコストが価格を上回れば赤字となります。
ビットコインの価格が上昇し続けていれば問題ないのですが、ビットコインはボラティリティが高いため、暴落することも少なくありません。
暴落すると、赤字になってしまいます。
すぐにビットコインの価格が回復すれば問題ないのですが、時には長く弱気相場が続くこともあります。
(実際、ビットコインは過去に何回か弱気相場を経験しています。)
弱気相場が長く続くと、経営破綻するマイニングファームも出てきます。
2018年の弱気相場では多くのマイニングファームが経営破綻しました。
ビットコインの暴落の原因については、こちらの記事で解説しているので、ご覧ください。
2つ目は、ねずみ講や詐欺です。
現在、世界中で暗号通貨に関連したねずみ講や詐欺事件が多発しており、マイニング投資を謳った事件は多いです。
例えば、海外で有名な事件のBitClub Network、日本で有名な事件のマイニングエクスプレスはマイニング投資という名目で勧誘した詐欺でした。
暗号通貨のねずみ講や詐欺について、特徴や対策をこちらの記事で解説しているので、ご覧ください。
なお、ビットコインのマイニングを行う場合、個人でのマイニングでは稼げなくなっているので、マイニングプールに参加するかクラウドマイニングに投資しましょう。
マイニングの環境へ与える影響
ビットコインのマイニングには非常に多くの電力がかかります。
そのため、世界中で電力不足の問題が起こっています。
また、大量の電力を生み出すために石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を大量に燃やします。
そのため、大量の二酸化炭素が発生し、地球温暖化を加速させる要因となっています。
さらには、大気汚染など環境汚染を悪化させる原因の一つともなり得ます。
マクロソフト社の共同創業者のビル・ゲイツ氏は「ビットコインは、1トランザクションごとの電力消費量が、人類が知っている他のどの方法よりも多い」と語り、さらに「気候に良い影響を与えない」と言っています。
また、テスラ社CEOのイーロン・マスク氏はテスラ車購入時のビットコインの決済を検討していましたが、マイニングにかかる環境負荷を理由に、取り止めました。
2021年5月、中国政府が暗号通貨のマイニングを禁止しました。
これにより、ビットコインの価格は50%も暴落しました。
この中国政府の暗号通貨マイニング禁止の理由の一つに電力の大量消費による環境への負荷があります。
実際、ビットコインのマイニングの電力問題はどのぐらい深刻なのでしょうか?
以下のグラフはビットコインの電力消費量を各国の総電力消費量と比較したものです。
ビットコインのマイニングの電力消費量はオランダの約1.2倍、チェコの約2倍です。
この状況を改善するため、マイニング企業は再生可能エネルギーを積極的に活用し始めています。
しかし、電力問題や環境問題が改善されるにはまだまだ時間がかかることでしょう。
まとめ
ビットコインのマイニングには多額の電気代がかかります。
日本で個人でマイニングすると、採算が合いません。
なので、もしも日本でマイニングをするのであれば、電力プランを見直したり、電気代の安い北陸に引っ越すなどして、電気代を節約した上でマイニングプールに参加の良いでしょう。
または、自分でマイニングを行うのではなく、クラウドマイニングに投資するという手もあります。
その場合、ねずみ講や詐欺が多いので、気を付けましょう。
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