FXで三尊ってよく聞くけど、よく分からない
三尊って手法にどう取り入れればいいの？
FXでテクニカル分析を勉強し始めると、一度は目にするチャートパターンの一つである「三尊」。
三尊は、FXにある多くのチャートパターンの中でも頻出する鉄板パターンであり、三尊を利用した手法を用いてトレードしている人も多く存在します。
しかし、FXを始めて間もない人やテクニカル分析を勉強しようとしている人の中には、三尊をあまり理解していない人もいるでしょう。
この記事では、FXの三尊についてや三尊を使ったオススメの手法、三尊と相性の良いインジケーターなど、基礎知識から正しい使い方まで詳しく解説します。
- 三尊の基礎知識
- 三尊を手法に用いる際の大切なポイント
- 三尊を使ったオススメの手法
- 三尊のだましを回避するためには
- 三尊と相性の良いインジケーター
この記事を読めば、三尊への適切な理解が深まり、三尊を活用したトレード手法を用いて勝率や利益を増やすことが可能なので、ぜひ最後まで読んでください。
FXの三尊とは？
FXの三尊とは、チャート上に連続して3つの山が現れた時の状態を指します。
連続する3つの山のうち、真ん中の山が一番高値となっている形が典型的なパターンであることから、人間の体に例えて「ヘッドアンドショルダー」とも言われています。
また、三尊の谷にあたる部分を「エッジ」と呼び、2つのエッジを直線で結んだものを「ネックライン」と呼びます。
三尊の出現はトレンド転換を示唆している
三尊は、高値更新に向けた値動きが停滞していることを表しているため、一般的に上昇トレンドの終わりとトレンド転換を示唆していると考えられています。
まず、三尊の左肩と頭が形成される段階で、2度の高値更新が行われる際に、スムーズに上昇せずに狭い価格帯で上下していることから、ロングエントリーとショートエントリーが拮抗していることが読み取れるでしょう。
既に2つの山が形成された状態で3度目の高値更新に失敗し、ネックラインを割った場合、多くのトレーダーは上昇の勢いが無くなったと判断します。
その後、ロングポジションの決済やショートエントリーが増えるため、下落への圧力が大きくなり、上昇トレンドが終わることで、トレンド転換する可能性が高くなります。
このように、三尊の出現後はトレンド転換の可能性が高くなることから、トレンドとは逆張りとなるショートエントリーや保有しているポジションの利確判断にも活用することが可能です。
逆三尊
逆三尊とは、三尊の逆パターンであり、連続する三つの谷のうち、真ん中の谷が一番低くなっている状態を指します。
三尊は、高値圏で多くみられ、上昇トレンドの転換サインとして活用されますが、逆三尊は安値圏に多く現れ、下降トレンドの終わりを示唆しているチャートパターンです。
基本的に三尊とは真逆の使い方なので、ネックラインを超えた場合はロングエントリーを検討したり、保有している売りポジションを利確するといった判断に用いられます。
【FX】三尊とダブルトップの違い
FXのチャートパターンの中でも有名な「ダブルトップ」は、2度高値をつけることからアルファベットの「M」のようなチャートを形成するパターンです。
ダブルトップは、三尊と同じように上昇トレンドの転換を示唆しますが、似たような2つのチャートパターンでは、ネックラインの引き方が異なります。
三尊は、2つのエッジを直線で結んだものがネックラインになりますが、ダブルトップは2つの山の間の谷である部分に水平なネックラインがぶつかるように引きます。
ダブルトップは、三尊のようにネックラインが斜めになることは無く、常に水平であるため、トレードの際には非常に見やすいといったメリットがあります。
しかし、ダブルトップは、実際のチャートで見ると形が崩れているものが多く、ネックラインが正しく機能しない可能性が高いため、強い抵抗帯の近くで発生した場合以外は優位性が低い傾向があります。
以下の記事では、ネックラインについて詳しく解説しています。
引き方や注意点についても解説しているので参考にしてください。
【FX】三尊の主なエントリーポイント
三尊・逆三尊を用いた手法の一般的なエントリーポイントは、いくつか存在します。
それぞれのエントリーポイントを一つずつ解説するので、エントリーポイントによって異なるメリット・デメリットを理解して、一番合っていると思うポイントでエントリーしてください。
①ネックラインをブレイクした時
一つ目は、三尊のネックラインをブレイクした時です。
ネックラインを割った時は三尊が始めて成立した瞬間でもあるため、そのまま上昇トレンドが終わり、下落トレンドに向かえば、一番利益を得られるエントリーポイントです。
しかし、ネックライン周辺の値動きは、上昇トレンドを継続させたい勢力と下落トレンドに転換させたい勢力が拮抗するため、活発な動きになります。
そのため、ネックラインを瞬間的に割ったからといって、すぐにエントリーしてしまうと、その後に反発し再び上昇してしまう危険性も少なくありません。
このように、ネックラインをブレイクした瞬間のエントリーは、最大限の値幅を狙うことができるリターンがありますが、エントリー直後に反発するリスクも高いため、非常に難易度の高いエントリーポイントになります。
もし、ネックラインをブレイクする瞬間を狙って指値注文する際は、ネックラインと同値や近場では無く、少し余裕をもって遠めに指値を入れておくと反発に巻き込まれるリスクが軽減されます。
以下の記事では、ブレイクアウトについて解説しています。
勝率が高いパターンを複数解説しているので、ぜひ参考にしてください。
②ネックラインまで反発してきた時
①のネックラインをブレイクした時にエントリーしなかった場合、次にエントリーするポイントは、ネックラインまで反発してきたタイミングになります。
三尊成立前は、ネックラインが上昇トレンドのサポートラインとして機能していましたが、ネックラインをブレイクしてトレンドが転換した場合は、下降トレンドのレジスタンスラインとして機能します。
そのため、ネックラインをブレイク後にライン周辺まで反発上昇したタイミングでのエントリーは、トレンドに沿ったトレードが出来るため、優位性が高く、比較的勝率も高くなります。
仮に、レジスタンスラインが機能せずに、上昇していった場合も損切り判断が行いやすいため、低リスク高リターンの理想的なトレードが出来るでしょう。
しかし、必ずネックラインをブレイク後に反発してくるとは限らないため、トレード機会がなかなか来ない可能性もあります。
反発したタイミングでのエントリーは、トレードチャンスは少ないですが、比較的優位性の高いトレードが出来るため、どうしてもポジションを持ってしまうFX初心者の人は、ぜひ参考にしてください。
③安値を更新した時
最後のエントリーポイントは、ネックラインがレジスタンスとして機能した後に再度下落し、安値を更新したタイミングです。
三尊完成後は、下降トレンドへの転換となる可能性が高いため、戻り反発した後は、最初にブレイクした際に更新した安値抵抗線を目指す動きが予想されます。
この安値抵抗線を下回ることが出来れば、下降トレンドの勢いがさらに強くなるため、大きな下降トレンドになる可能性が高くなります。
そのため、安値抵抗線をブレイクするタイミングで上手くエントリーできれば、①や②よりも取れる値幅は少なくなりますが、下降トレンドに乗った順張りで期待値の高いトレードも不可能ではありません。
①のエントリーポイントと同じように、エントリー直後に反発してしまう危険性は僅かにありますが、下降トレンド中の順張りトレードであるため、他のエントリーポイントよりも大損リスクの少ない点がメリットだと言えます。
【FX】三尊を用いたおすすめの手法
三尊は、基本的に似たような形をしていますが、エッジの位置やネックラインの角度が異なるなど、細かく分けるといくつかの種類に分けられます。
種類によって、予測できる相場の状況やトレーダーの心理状態が異なるため、それぞれの種類に分けて適切な手法を用いることが重要になってきます。
- 水平線を用いた手法
- 三角持ち合いと併用した手法
- 平行チャネルと併用した手法
今回は、3種類のチャートにあった手法をそれぞれ解説します。
水平線を用いた手法
一つ目の手法は、水平線を用いたとてもシンプルな手法です。
この手法は、先ほどエントリーポイントの解説の②の位置で売りエントリーします。
ネックラインと両肩が水平に近い形をしている三尊は、それぞれの水平線が多くのトレーダーに意識されるため、レジスタンス・サポートラインとして機能しやすい傾向があります。
典型的な三尊を形成しているチャートは、レジスタンスとサポートが効きやすいため、優位性が高いだけでなく、FX初心者でも比較的簡単に見つけられる点が特徴的です。
三尊形成時はネックラインがサポートとして機能していましたが、三尊完成時は下降トレンドのレジスタンスとして機能するので、売りエントリーが優位性が高いと言えます。
利確ポイントは、ネックラインブレイク時の下落トレンドの安値であるピンク色のラインまでか、同じくブレイク時の下落トレンドと同程度の値幅を狙った位置が最適です。
損切り位置は、三尊による下落トレンドへの転換が確実に否定される緑色のラインに置くか、ラインを超えた位置に置くことで最小限に損失を抑えることができます。
三角持ち合いと併用した手法
2つ目は、三角持ち合いを活用した手法です。
この手法は、三尊のネックラインが右斜めの状態の際に利用できます。
ネックラインが切りあがっている状態の三尊は、2つ目のエッジが1つ目のエッジよりも売りが弱く、上昇トレンドが強い時に発生する傾向があります。
そのため、このような三尊は右肩を作りに行く際に、そのまま上昇するケースが多くみられますが、赤線の三角持ち合いが強く意識されている場合、値動き次第では下落トレンドへの転じる可能性が高くなります。
仮に、機能している三角持ち合いを下にブレイクした場合、ネックラインと両肩の水平線がぶつかる赤丸の点では、反発意識が強まるので、一番期待値の高い売りエントリーが可能です。
しかし、エントリーした後に上昇の動きが強く、水平線やネックラインの上にブレイクする場合は、しばらく上昇トレンドが継続する危険性が高いため、すぐに損切りすることを推奨します。
以下の記事では、三角持ち合いについて詳しく解説しています。
三角持ち合いを用いた手法も解説しているので参考にしてください。
平行チャネルと併用した手法
3つ目は、平行チャネルを活用した手法です。
この手法は、三尊のネックラインと両肩が切り下がっている状態の際に活用できます。
ネックラインと両肩が切り下がっている状態の三尊は、1つ目のエッジよりも2つ目のエッジの方が売りが強い時に発生するため、売り意識やトレンド転換への意識が強まっていることを示唆しています。
そのため、平行チャネルが強く意識されている場合、平行チャネル内で徐々に下落トレンドを形成することが予測できますが、チャネルを下にブレイクした場合は、強い下落トレンドが生まれる可能性が高いです。
仮に、機能している三角持ち合いを下にブレイクした場合、平行チャネルの下辺までの反発を待ってからの戻り売りが一番期待値の高いエントリーになります。
しかし、エントリーした後に反発が強く、平行チャネル内に戻っていく可能性もあるため、チャネルの上辺で再度売り注文を行うなどの分散エントリーによって大損のリスクを下げたトレードも検討すると良いでしょう。
上昇の動きが強く、平行チャネルを上抜ける場合は、再び強い上昇トレンドになる可能性が高いため、すぐに損切りしましょう。
以下の記事では、チャネルラインについて解説しています。
平行チャネル以外も勉強できるので、ぜひ参考にしてください。
【FX】三尊を手法に用いる際の大切なポイント
三尊を用いたおすすめの手法について解説しましたが、三尊を手法に用いる際には、いくつか大切なポイントが存在します。
ポイントを理解していない状態で三尊を手法を活用すると、チャートに三尊が発生しているにもかかわらず、上手く機能せずに勝てないといったことが見られます。
それぞれのポイントについて詳しく解説するので、三尊を用いた手法を作成する場合の参考にしてください。
三尊だけを根拠にトレードしない
三尊を活用してトレードする際は、エントリーや利確、損切り位置を三尊だけで判断することはやめましょう。
FX初心者の中には、三尊だけを根拠にトレードを行っている人がよく見られますが、三尊だけで長期的にトレード利益を得られる可能性は非常に低いです。
あくまで三尊はチャートパターンの一つであり、過去の傾向で三尊が発生した場合はトレンド転換の可能性が高いといった分析の一部になります。
そのため、相場の状況やファンダメンタル要素によっては、異なる値動きが発生する可能性も低くはありません。
三尊だけでトレードしていると、そのような異なる値動きに対応できないリスクが高いため、他の指標を併用して手法に取り入れて、三尊の信頼性を正しく分析する必要があります。
複数の時間軸を確認する
複数の時間軸でチャートを確認できるFXの相場では、それぞれの時間軸で異なるトレンドを形成していることがあります。
そのため、短期足で三尊が発生したから下落トレンドへの転換に見える場合でも、長期足・中期足では、上昇トレンドの傾向が見えるケースも多く存在します。
しかし、長期・中期の時間軸で同じ下落トレンドが発生している時に、短期足で三尊が発生した場合は、全ての時間軸で下落トレンドが発生する可能性が高いため、期待値の高いトレードが出来ます。
このように、三尊を活用してトレードする際は、三尊が発生している時間軸だけを見てトレードするのでは無く、複数の時間軸のトレンドを確認してからエントリーを検討することが大切になります。
以下の記事では、複数の時間軸での分析について詳しく解説しています。
三尊以外の手法を使う時にも役立つので、ぜひ参考にしてください。
【FX】三尊のだまし（否定）を回避するためには
FXでは、各国の経済状況や要人の重要発言などのファンダメンタル要素も値動きに大きく関わります。
そのようなファンダメンタル要素の影響により、テクニカル分析で考えられる今後の値動きの予測やセオリーから異なる動きを見せる「だまし」が発生することがあります。
また、長期的に安定して利益を得ているトレーダーも、期待値の高いエントリーが出来たにもかかわらず、だましによって損切りとなってしまうことも少なくありません。
そのため、今回紹介している三尊もチャート上に発生したからといって、必ず上昇トレンドが終わり下降トレンドに転換されるといった値動きにならないと理解しておくことが大切です。
ここからは、だましが発生した場合に大きく損失してしまうリスクを避けるための方法を解説します。
指値を離れた場所に設定する
三尊を用いた手法を利用する場合は、できるだけチャートを見ながら成行注文でトレードするほうが、実際に値動きを確認しながら判断できるため、だましに遭遇するリスクが低くなります。
しかし、トレード環境によっては指値注文でトレードしなくてはならない人もいるかもしれません。
指値注文でトレードする場合は、本来のエントリーポイントよりも多少離れた位置に指値を設定しましょう。
三尊のネックラインなどの重要な抵抗線近辺は多くのトレーダーが注目しているため、複雑な値動きが起こりやすい場所になります。
そのため、ラインを一瞬ブレイクして即反発することやラインに到達する寸前で戻る動きを見せるケースも稀にあります。
もし上記のケースが発生した場合に、ラインで指値を設定していると、だましに遭遇し大損してしまうことや大体の値動きは予測できているのに、注文が成立していなかったといった失敗をしてしまうため、非常に危険です。
このような失敗が起きないためにも、リスクの高い場所での指値エントリーは避けて、少しポイントをずらして指値注文を行うように意識しましょう。
だましと分かった場合は即損切りすべき
三尊が成立したと判断してエントリーした後にだましだと分かった場合は、すぐに損切りしましょう。
エントリーした直後に、予測していた値動きと異なる動きになった場合は、どうしても動揺してしまいます。
そのため、一度三尊が完成したからといって、だましの値動きが発生しても、すぐに下落するだろうと安易に考えたり、いきなり損失を抱える焦りや損切りへの抵抗感によって、感情的な判断になってしまうかもしれません。
しかし、三尊の否定のだましの値動きは、さらに強い上昇トレンドの継続を意識していることになり、多くのトレーダーが買いエントリーを検討するため、大きな損失を出してしまう危険性があります。
このようなだましによる上昇トレンドの継続に巻き込まれないためにも、だましと分かった場合は即損切りを行い、次のトレード機会を検討するように意識しましょう。
【FX】三尊を見つけられるカスタムインジケーター
ここでは、三尊を見つけられるカスタムインジケーターの「ZigZag」をご紹介します。
「ZigZag」は、特定の条件を満たした高値と安値を自動的に直線で結んでくれるインジケーターです。
写真のように、高値と安値が分かりやすくなっているので、チャートを見ればすぐに三尊が成立していることを確認できます。
「ZigZag」は、MT4の「表示」タグの「ナビゲーター」内にある「インジケーター」から選択することが出来ます。
ダブルクリックすることですぐにチャートに表示され、直線の色や幅、細かい条件をその都度設定できるので、自分好みのインジケーターへのアレンジが可能です。
FXの取引ツールであるMT4では、誰でも利用できるため、ぜひ試してみてください。
【まとめ】三尊を正しく使えば勝率が上がる
今回は、FXの三尊とは何か、三尊を使ったオススメの手法について解説しました。
三尊とは、トレンド転換を示唆するチャートパターンであり、上手く活用できれば広い値幅の取れるトレードを行うことが可能です。
しかし、エントリータイミングや使い方を間違えると、注文直後にだましに遭ってしまい、大きな損失を抱える危険性があります。
この記事で紹介したエントリーポイントやオススメの手法を参考に、三尊を上手く活用した手法で利益を得れるように挑戦してみてください。
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