MT4のホワイトラベルとは?知っておきたいFX業者の裏側をプロが解説

MT4について調べていると、ホワイトラベルという言葉を目にしたことはありませんか?

MT4はわかるけど、ホワイトラベルって何?

どういう意味で使われているの?

そんな疑問を本記事では解決したいと思います。

目次

そもそもMT4とは?

出典:MetaQuotes

ロシアのメタクォーツ社によって開発されたトレーディングプラットフォームです。

FX取引を経験されている方の中では、もはや”定番”とも言っていいのではないでしょうか?

知らない人はいないとも言っていいレベルですよね。

筆者が海外のFX業者で働いている時も、クライアントに提供しているメインの取引プラットフォームはMT4でした。

MT5も開発されていますが、MT4の方が圧倒的にユーザーからの支持が高かったように思います。

ホワイトラベルとは?

では、ホワイトラベルとは一体なんでしょうか?

具体的にイメージをしていただくために、ものすご~くザックリ解説をすると、OEMのようなものをイメージされるとわかりやすいと思います。

OEMとは、「Original Equipment Manufacturer」の頭文字をとった言葉で、一般的には他社のブランド製造をする意味で使われています。

自動車のOEM場合、同じモデルにも関わらず、販売会社が違うとモデルの名称が違うケースを見たことがありませんか?

まさにこのイメージです。

MT4のホワイトラベルの場合、例えばホワイトラベル提供会社であるA社が、顧客であるブローカーB社にMT4を提供します。

その際、A社はブローカーB社向けにカスタマイズし、MT4を含むシステムをパッケージ納品。

提供されたブローカーB社は、それを自社ブランドとして自社の顧客(投資家)に提供する。

ざっくりですが、これがMT4のホワイトラベルのスキームです。

MT4のホワイトラベルを利用すると、自社の顧客にMT4を提供することができます!

ホワイトラベルビジネスの体験談

筆者が過去に勤務していた某外資系FX会社では、主力のビジネスモデルがこのホワイトラベルでした。

その会社はMT4ではなく自社のオリジナル取引プラットフォームを保有しており、そのプラットフォームをホワイトラベルとしてクライアント企業に提供していました。

クライアント企業は国内の大手証券会社だけではなく、FX業界に参入する新興企業など。

当時はFXブームの背景もあってか、どんどんクライアント企業が増えていったことを今でも覚えています。

筆者は各社からのカスタマイズの要件をヒアリングしたり、海外の開発部門に依頼したり、トラブルシューティングをしたり。

時にはシステム障害の対応をしたりと、そんなお仕事をしておりました。

【FX目線】MT4のホワイトラベルのメリット

ホワイトラベルというキャラクター上、FX取引をする個人投資家というよりは、FX取引業者(FXブローカー)目線になりますが、ホワイトラベルのメリットについて個人的な見解を書かせていただきます。

①:自前のシステムを用意しなくてもいい

ホワイトラベルのメリットはこれですね。

自前のFX取引システムを開発するとなると、その投資額は莫大です。

フロントの取引プラットフォームだけではなく、管理システムであるバックオフィスや流動性提供元との接続、法廷帳簿の整備、サーバーの維持管理など、ソフトウェア周りの様々なことをゼロから立ち上げなくてはいけません。

ホワイトラベルの場合、すでにシステムがパッケージングになっていることが多く、ゼロから立ち上げる必要がありません。

また、操作方法や設定についてはサポートが用意されています。(業者によって違いがあります)

「まずは初期コストを抑えてFXビジネスを立ちあげたい!世界中で使われているMT4を顧客に提供したい!」

そんな方(または法人)の場合、MT4のホワイトラベルは魅力的な選択肢の一つです。

②:導入からローンチまでのスピードが早い

ホワイトラベルの場合、自前でシステムを用意しなくてもいい。

ということは、システム開発にかける時間が大幅に避けられるため、ローンチ(サービス開始)までのスピードが早くなるということ。

素早くビジネスを開始することができる点も、非常に大きなメリットだと思います。

ホワイトラベルを利用すると様々な恩恵があります!

【FX業者目線】MT4のホワイトラベルのデメリット

MT4のホワイトラベルのデメリットについてまとめます。

結論から言うと、デメリットというデメリットは思いつきません。

あえていうのであれば、自社システムではないため、社内の財産とはならない、という点くらいでしょうか。

ただ、MT4のように世界中で使われているプラットフォームの場合、取引プラットフォームにMT4の指名する投資家の方も多く、MT4を提供しないデメリットの方が大きい部分もあります。

誤解を恐れずに言うのであれば、多額のコストをかけてそれなりの取引プラットフォームを作るくらいであれば、MT4をホワイトラベルする方がコストや時間の削減に大きく貢献することになるのではないかと考えます。

ユーザー目線から考えるデメリット

一般ユーザー(個人投資家)目線からあえてデメリットを考えてみると、ホワイトラベルの気軽さゆえ、それを逆手にとって、有象無象のFXブローカーが立ちあがってしまう懸念があるのではないかと考えます。

代表されるのが、ライセンスを保有していない悪質な海外FX業者。(または、ライセンスを保有しているが悪質な意図を持った海外FX業者)

そうした業者が、MT4を提供することで投資家に信頼感と安心感を与えるという意図があるのなら、それはかなり大きなデメリットではあります。

とはいえ、MT4のホワイトラベル自体に問題があるとか、そういう意味ではありませんので、そこは誤解しないてください。

大切なのは、このMT4のホワイトラベルというビジネスモデルが存在するのを知っておくこと。

そうすることにより、MT4を提供しているからといって、安易に「すごい!」「この業者は信頼できる!」という思考になるのを防ぐことができると思います。

色んなFX業者がMT4を取り扱っている理由の一つがホワイトラベルにあると考えます。

MT4のホワイトラベルを使ってビジネスをする際に注意すべき点

さて、ここからは実際にホワイトラベルを使ってビジネスをする際に注意すべき点について解説をします。

①:国内でFXビジネスをするならライセンス取得は必須

日本国内でFXビジネスをする際は、金融庁への登録が必要となります。

その要件を満たすのはかなり厳しく、以前ウィブル証券の記事の中でも少し触れたように、イチからではなく、すでに金融庁に登録されている会社を買収する戦略を取る企業もあるほどです。

MT4のホワイトラベルを利用し、FXビジネスを始めたとしても、金融庁に登録がないのであれば違法です。

どうしてもFXビジネスを始めたいのであれば、まずはきちんとライセンスを取得してからです。

なお、違法にFXビジネスを開始した場合、金融庁から警告が出され、「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」に掲載されます。

②:コンプライアンスに合わせた運用が必須

日本でFXビジネスを始めるのであれば、日本で定められているコンプライアンスは遵守しなければいけません。

顧客勧誘方法だけではなく、新規口座開設のプロセスがきちんとAML(アンチマネーロンダリング)の観点から問題がないかどうか、取引プラットフォームから法廷帳簿はきちんと抽出できるのかどうかなど、日本に合わせた運用が必要となります。

もちろん、システムに何かしらの障害が起きた場合は、その対応と周知、金融庁への報告義務も発生します。

そのようなコンプライアンスの要件を満たしながらシステムを設定や社内フローを構築していく必要があるのがFXビジネスです。

未経験の素人がすぐにできるようなものではないため、人材確保やノウハウ習得など、そこにかかるコストは非常に大きいです。

それらを考慮すると、ソフトウェアが充実したからといってすぐにFXビジネスができるものではないということがお判りいただけるはずです。

③:システム運用のトレーニングが必要

MT4は取引プラットフォームだけではなく、顧客管理のバックオフィスなどのソフトウェアも存在します。

口座開設、入出金、各取引銘柄のパラメーター設定などは、そのバックオフィスシステムを使用するのですが、それらを滞りなく運用するとなると、熟練したミドル・バックオフィス経験者が必要となります。

自身で未経験からゼロイチでやる場合、それなりの時間をかけてトレーニングが必要となります。

FXのビジネスを立ちあげるのなら、ちゃんと法律を守って、相応のコストと時間をかける必要があります。

MT4のホワイトラベルまとめ

今回の記事では、ほぼ業者目線でMT4のホワイトラベルのメリット・デメリットについて解説をさせていただきました。

ホワイトラベル自体は非常に優秀なビジネスモデルであり、予算と用途に合わせて利用すれば大きなメリットを享受できるものであると考えます。

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この記事を書いた人

大地正紘 金融ライター

海外留学後、某外資系FX企業に勤務。大手証券会社や個人クライアントを対象に、FXのトレーディングツールのサポート業務を担当。その後、外資系銀行に転職し、シンガポールに滞在。帰国後に自身で起業。途中、海外のFX会社のプロジェクトに参画するために上海駐在し、ミドルオフィス・バックオフィス業務を幅広く担当。現在は地方創生の様々なプロジェクトに携わる。

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