メキシコペソを始めとした新興国通貨は、高い成長率が見込めるため、大きな利益を上げられる可能性があります。
「海外FXでのメキシコペソ取引は稼げる!」
と聞いたことがある人は多いでしょう。
しかし一方で、流動性の低さや暴落のリスクから、新興国通貨の取引は危険です。
加えて、日本の金融庁に認可されていないため、海外FX業者の利用自体も危ないでしょう。
そこで、特に人気が高いメキシコペソと南アフリカランド・トルコリラを中心として、本記事では新興国通貨に関して解説します。
合わせて、新興国通貨を取引するメリットとリスクも説明するので、ぜひ参考にしてください。
最後に、海外FX業者が危険な理由も紹介します。
海外FXでも人気の『新興国通貨』とは?
まずは、新興国通貨のことを正確に把握しましょう。
新興国とは、先進国よりは遅い経済発展だが、経済成長の初期から中期段階にある国を指します。
そして、新興国通貨とは、将来的に高い成長を見込める新興国で流通する通貨のことです。高い成長率から、新興国通貨は『エマージング通貨』とも呼ばれます。
他にも多々ありますが、主要な新興国通貨は以下の通りです。
・トルコリラ
・南アフリカランド
・メキシコペソ
・ブラジルレアル
・中国人民元
・ロシアルーブル
・インドルピー
・タイバーツ
・ポーランドズウォティ
新興国通貨は著しい成長性を期待できるため、高い収益性を見込めるでしょう。
反面で、流動性が低く、暴落するリスクがある点も新興国通貨の特徴です。
それでは、特によく取引される以下の3つの新興国通貨について、本記事では詳しく見ていきましょう。
・メキシコペソ
・南アフリカランド
・トルコリラ
代表的な新興国通貨①:メキシコ・ペソ
始めに紹介する新興国通貨は、メキシコペソです。
金融大手のゴールドマンサックス社が、「2050年には世界第5位の経済大国になる」と予想するメキシコです。
現在課題となっている治安の悪さが改善されると、更なる海外企業の進出が予想され、さらなるメキシコの経済発展が期待できるでしょう。
メキシコペソの特徴は、以下の3ポイントです。ここでは、それぞれのポイントについて、具体的に見ていきましょう。
- アメリカに左右される
- 原油価格に左右される
- 安値が継続している
アメリカに左右される
1つ目のメキシコペソに関する特徴は、アメリカ合衆国に左右されることです。
米国と陸続きの隣国であるメキシコですが、輸入先は、なんと約8割を米国が占めています。
したがって、米国の景気が、そのままメキシコの景気に影響するでしょう。
逆に言うと、米国の経済が支えとなっているため、メキシコのGDPは成長し続けています。
そのため、新興国通貨の中では珍しく、メキシコは失業率や債務残高などの問題を抱えていません。
また、メキシコペソは米国大統領選によっても左右されます。
たとえば、メキシコに対して強硬姿勢だったトランプ大統領が就任した際には、メキシコペソが暴落しました。
一方、メキシコと対話路線のバイデン大統領が就任した後は落ち着きを取り戻しています。
ただし、コロナウイルスショックにより、メキシコペソの価値も、米ドルと同じく下がっている点にはご留意ください。
原油価格にも左右される
2つ目のメキシコペソに関する特徴は、原油価格に左右されることです。
イランを始めとした中東諸国と同じく、メキシコは世界有数の原油産油量を誇ります。
したがって、原油価格の上昇に伴い、メキシコペソの価値は上がるでしょう。
反対に、原油価格が下がった場合は、メキシコペソの価値も下がる傾向があります。
なお、特にメキシコペソへの影響が大きい原油の種類は『WTI原油』です。
メキシコペソ安が続いている
3つ目のメキシコペソに関する特徴は、メキシコペソ安の継続した状態でしょう。
2008年までは10円台にもなったメキシコペソですが、リーマンショック以降は安値が続いています。
一時は8円台にまで回復しましたが、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、メキシコペソは4円台にまで暴落しました。
2022年1月現在は5円台を推移中と、これまでにメキシコペソ安が継続しています。
代表的な新興国通貨②:南アフリカランド
続いては、メキシコペソと同じく、人気が高い新興国通貨である南アフリカランドについて見ていきいましょう。
日本のFX会社でも「ランド円」を扱っているところは多いです。
近年は激しい値動きが見られる南アフリカランドですが、特に以下の4ポイントが特徴です。ここでは、それぞれのポイントについて、具体的に解説します。
- 国営電力会社が計画的停電を行う
- 深刻な失業率問題を抱えている
- 鉱物資源価格に左右される
- 中国経済に左右される
国営電力会社が計画的停電を実施する
1つ目の南アフリカランドに関する特徴は、国営電力会社が計画的に停電を行うことです。
南アフリカは、深刻な電力不足に悩まされています。政府は、慢性的な電力不足を解消するために、国営電力会社は度々計画的停電を行っています。
2019年から2021年にかけては、電力不足問題の解決を目指して、政府は国営電力会社への計590億ランド(42億8,700万円ほど)の出資を決めました。
しかし、政府による莫大な資金援助で、通貨供給量が過剰であるため、国の経済の悪化が心配されています。
深刻な失業率問題を抱えている
2つ目の南アフリカランドに関する特徴は、深刻な失業率問題を抱えた点です。
かつては「アパルトヘイト」と呼ばれる、厳しい人種隔離政策が行われていた南アフリカですが、当時よりは改善された状況とは言え、長時間の差別問題によって、就職がまだまだ難しいことが実情です。
2021年3月には、南アフリカの失業率は32.6%を記録しました。依然継続しているコロナ禍の影響で、さらに失業率が高くなる可能性があります。
万が一失業率が上昇し続けると、南アフリカの経済が後退するリスクは否めないでしょう。
鉱物資源価格に左右される
3つ目の南アフリカランドに関する特徴は、鉱物資源価格に左右されることです。
全世界の金産出量のうち、南アフリカが4分の1を占めています。南アフリカは、他にも、自動車製造に不可欠なパラジウムやダイヤモンド、プラチナ、鉄鉱石などの輸出が盛んな資源大国です。
よって、鉱物資源の価格が上昇すると、南アフリカランドの価値も上がります。
反対に、金などの価格が下落した場合は国の貿易収支が悪化して、南アフリカランドの価格も下がる傾向があるでしょう。
中国経済にも左右される
4つ目の南アフリカランドに関する特徴は、中国経済にも左右されることです。
南アフリカにとって、最大の貿易先は中国です。中国経済の変化が、南アフリカランドの価値にも直撃します。
現在、米国からの経済制裁が強化されている中国ですが、万が一、今後中国経済が大きく減速すると、南アフリカランドが暴落する可能性も否めません。
代表的な新興国通貨③:トルコリラ
最後に、もう1つの人気新興国通貨であるトルコリラについて見ていきましょう。
最高時の2018年には24%と、代表的な高金利通貨として長年人気を博していたトルコリラです。
トルコは、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に次ぐ、21世紀有数の経済大国となる可能性を秘める「NEXT11」の1ヶ国でもあります。
「NEXT11」はBRICs の次に、
成長が期待される新興11か国の呼称です。
しかし、将来的な成長の可能性が大きい反面、トルコリラは大暴落で現在市場を騒がせています。
ここで紹介するトルコリラのポイントは、以下の4点です。ここでは、それぞれのポイントを具体的に解説します。
・慢性的な経常赤字国である
・先進国の経済情勢に左右される
・政治的リスクにも左右される
・トルコリラ安が続いている
慢性的な経常赤字国である
1つ目のトルコリラに関する特徴は、慢性的な経常赤字国であることでしょう。
欧米などを中心として、トルコは自動車や自動車関連部品、工業製品、貴金属などを輸出しています。ところが、輸出品を製造するために必要な機械設備や大半の燃料は輸入に依存していることが現状です。
そのため、結果的に輸出で得る収入よりも輸入コストの方が上回り、トルコでは慢性的な経常赤字が続いています。
さらに赤字の状態が続いた場合、国の経済が破綻する恐れがあるでしょう。
しかし、赤字を補うためにトルコリラを発行すると、すでに問題になっているインフレがさらに悪化する可能性が否めません。よって、さらにトルコ経済が衰退するリスクがあります。
加えて、原油価格が高騰したの今に、ますますトルコ経済が圧迫されてトルコリラの価格が下がる可能性が高いでしょう。
先進国の経済情勢に左右される
2つ目のトルコリラに関する特徴は、先進国の経済情勢に左右される点です。
海外からの資金流入が、トルコの主要な収益になっています。具体な産業について、トルコは輸出貿易や観光事業からの収入に依頼していることを判明しています。
結果として、トルコは、先進国の経済情勢や金融政策の方針に左右されます。
特に、EU圏の国々や米国からの影響が大きいと考えられています。
たとえば、EU加盟国がトルコから輸入していた製品を、自国で生産し始めると、トルコ経済が悪化する可能性があります。
すると、トルコの経済が後退するため、トルコリラ安につながる可能性が高いでしょう。
政治的リスクにも左右される
3つ目のトルコリラに関する特徴は、国際問題などの政治的リスクにも左右されることです。
地理的に、トルコはヨーロッパとロシア、中東に囲まれています。さらに、米国からも影響を受けることが多いです。
2016年にはクーデターで拘束されたアンドリュー・ブランソン氏の解放をめぐって、トルコは米国と対立しました。
結果として、米国はトルコの大臣たちの米国にあった資産が凍結します。さらに、トルコからのアルミ製品や鉄鋼の輸出に対する関税を2倍に引き上げました。
加えて、直接的な米国との関係だけではなく、トルコはロシアと米国の関係にも影響されます。
たとえば、ロシアとトルコの関係が深まると、トルコは米国から経済制裁が加えられる確率が高いでしょう。すると、必然的に、トルコリラの価値は下がります。
以前には、シリア内戦やギリシャとの関係性悪化によっても、トルコリラの価格は下がりました。近年では、トルコの首都イスタンブールで発生したジャマル・カショギ氏の殺害事件によって、サウジアラビアとも緊張状態が続いています。さらに、トルコとエジプトやUAE(アラブ首長国連邦)との関係も悪化。
このように、トルコは多くの政治的リスクを抱えています。
政治的ならびに軍事的な問題は、すぐに収束できず、継続的にトルコリラの価格を左右する材料となるケースが多いでしょう。
トルコリラ安が続いている
4つ目のトルコリラに関する特徴は、トルコリラ安が継続していることです。
経済も財政状況も、脆弱な状態が続いているトルコ。2007年には100円を超えていたトルコリラも、リーマンショックやコロナウイルスショックの暴落を経て、現在は8円を超えたところで推移しています。
2019年以降は米国やEUとの関係が悪化し、国内でも多くの政治的な問題を抱えていることから、トルコリラ安は依然解消の見込みがありません。
さらに、2021年には対ドルの年初来下落率は44%となり、トルコリラは近年の新興国市場で最悪の結果となりました。2022年1月現在も、トルコリラは大暴落の影響を脱していません。
メキシコペソなどの新興国通貨をトレードするメリット
続いては、メキシコペソなどの新興国通貨をトレードするメリットに関して見ていきましょう。
新興国通貨をトレードするメリットは、主に以下の2点です。ここでは、それぞれのメリットを具体的に解説します。
- 高水準の政策金利を掲げている
- 少額投資で大きく稼げる可能性がある
高水準の政策金利である
新興国通貨をトレードする1つ目のメリットは、高水準に設定された政策金利を活かせることです。
メキシコペソなどの新興国通貨は、各国の中央銀行が設定する政策金利が高いケースが一般的でしょう。反対に、日本や米国・EUなどの政策金利は低く抑えられています。
よって、新興国通貨と円や米ドル・ユーロとの政策金利の差は大きいことが通常です。
そのため、新興国通貨のトレードに対して、各FX業者は高いスワップポイントを設定することが多いでしょう。
低い金利の通貨を売って、高い金利の通貨を買った場合は、スワップポイントの受け取りが可能です。
一方、高い金利の通貨を売って、低い金利の通貨を買った場合には、スワップポイントの支払いが必要となります。
したがって、たとえば日本円を売ってメキシコペソを買う場合は、スワップポイントで稼ぐことが可能でしょう。
少額投資で大きく稼げる可能性がある
2つ目の新興国通貨をトレードするメリットは、少額投資で大きく稼げる可能性がある点です。
日本通商白書2020年によると、コロナウイルスショック以前の2017〜2019年における、先進国の実質GDP成長率(経済成長率)は年平均2.07%となっています。一方、新興国の実質GDP成長率は4.10%と、実に先進国の2倍ほどの成長率です。
「2030年には全世界のGDPの半分を新興国が占める」と予想されるほど、新興国には今後の経済的成長を見込めるでしょう。
よって、新興国通貨のトレードでは、少額投資で大きく稼げる可能性があります。
しかし、予想と反対の方向に相場が進むと非常に危険であることは理解しておきましょう。
新興国通貨をトレードする危険性に関しては、続いて解説します。
新興国通貨をトレードするリスク
では、メキシコペソなどの新興国通貨をトレードするリスクについて、ここでは見ていきましょう。
主な新興国通貨をトレードするリスクは、以下の3点です。ここでは、それぞれのリスクに関して、具体的に説明します。
- 暴落のリスクがある
- 流動性が低い
- 為替手数料が高くなるケースが多い
暴落のリスク
新興国通貨は経済・社会情勢や政治に左右されやすく、暴落のリスクが大きいことが特徴です。
たとえば、メキシコペソが暴落したケースを確認してます。
以下のように、今までの経済危機などが起こった際には、メキシコペソは毎回暴落しています。
時間 | 経済事件 |
---|---|
1998年 | アジア通貨危機 |
2002年 | ITバブル崩壊 |
2008年 | リーマンショック |
2016年 | トランプ大統領就任によるショック |
2020年 | 新型コロナウイルス感染症拡大 |
流動性が低い
2つ目の新興国通貨をトレードするリスクは、流動性の低さです。
それぞれの新興国通貨における市場規模は、米ドルやユーロの市場より、小さくなります。
新興国通貨は市場規模が小さいことから、流動性が低いケースが一般的にと考えられます。取引量が少ない市場に、仮にまとまった資金が流入した場合は、大きな価格変動を避けられません。
加えて、新興国通貨のスプレッドは高いケースが多いでしょう。スプレッドが高いことと伴い、取引コストが高くかかります。
たとえば、某FX業者のスプレッドでは、米ドルの1.0銭に対して、トルコリラのスプレッドは6倍で、6.0銭と設定され、非常に高いですね。
為替手数料が高くなるケースが多い
3つ目の新興国通貨をトレードするリスクは、為替手数料が高くなるケースが多いことです。
円から新興国通貨に交換する際の為替手数料は、〜%ではなく、〜円としている証券会社や銀行が多く見られます。
たとえば、手数料が1円と仮定しましょう。
米ドルの場合は、為替手数料は約0.86%(1ドル:116円)になります。
一方、トルコリラでは約11.5%(1トルコリラ:8.72円)もの為替手数料を取られることになるでしょう。
為替手数料が高い場合も、実質的にはトレードに高いコストがかかる結果になります。
まとめ
以上、本記事では主要な3つの新興国通貨と新興国通貨をトレードするメリット、ならびにリスクについて、詳しく解説しました。
スワップポイントの大きさや大きく値上がりする可能性が魅力的な新興国通貨です。
しかし、スプレッドが広く、流動性の低さや暴落のリスクから、新興国通貨の取引は危険です。
さらには、為替手数料が高くなるケースも一般的で、手元に残る利益は期待できないトレードも多いでしょう。
加えて、ほとんどの海外FX業者は、日本の金融庁からの認可を受けていません。国内で登録していない海外FX業者について、金融庁は、トラブルの危険性や追求の困難さを警告しています。
また、日本の業者ではないために、海外FX会社では入出金や取引のルールが分かりにくいことも多いでしょう。
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