エンベロープはFXのテクニカルの中でもトレンド系に分類されるインジケーターです。
FXではとてもメジャーなインジケーターで、FX会社が提供しているチャートの多くにエンベロープは標準で備えられているほか、MT4やMT5、スマートフォンアプリなどでも表示させることができます。
実際にエンベロープのことが気になっていた方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、エンベロープについてプロが徹底解説していきます。
使い方や設定方法、エンベロープを用いたトレード手法についても解説していきますのでぜひ最後までご覧ください。
FXテクニカル「エンベロープ」 とは
エンベロープはFX初心者から中上級者まで、あらゆるトレーダーの手助けをしてくれるインジケーターです。
まずはエンベロープがどのような特徴があるインジケーターなのかを見ていきましょう。
FXのエンベロープは乖離率を示すインジケーター
エンベロープは別名「移動平均乖離率バンド」とも言われる、移動平均線との乖離率を2本のバンドで示すインジケーターです。
このような上下のバンドが一定の幅を保って価格を追いかけ、価格が移動平均線からどれだけ離れているのかを示します。
移動平均線も一緒に表示させるとわかりやすいでしょう。
価格が移動平均線からどれだけ離れているかがわかることによって、トレンドの方向性や、現在の相場が「買われすぎ」なのか「売られすぎ」なのかを判断することができます。
こうした特性を活かし、FXのトレードにおいて様々な場面で活用できるのがエンベロープというインジケーターです。
エンベロープの計算式
エンベロープの2本のバンドは、移動平均線の上下どれくらいの幅で表示させるのかを決める「乖離率(偏差)」をもとに計算されます。
計算式は以下の通り。
上のライン=移動平均線値 ✕(1+偏差)
下のライン=移動平均線値 ✕(1−偏差)
例えば乖離率を3%に設定すると、移動平均線の値の±3%にバンドが表示されるということです。
FX「エンベロープ」と「ボリンジャーバンド」の違い
2本のバンドが価格を挟む形のエンベロープは、一見するとボリンジャーバンドによく似ています。
ともにトレンド系のテクニカルに分類されることや、価格の変動範囲を視覚的に確認しやすいことも似ている要因と言えるでしょう。
しかし、大きく違うのはエンベロープはバンド幅が一定であるということです。
前述したように、エンベロープは乖離率をもとに計算され、移動平均線の上下に一定の幅を保ちながら表示されます。
それに対しボリンジャーバンドは標準偏差を使って算出され、価格変動によってバンドが収縮するのが特徴です。ボリンジャーバンドでは価格変動が大きくなるとバンド幅が広がり、変動が小さくなると幅が縮まります。
このように、値動きに対するバンドの動き方がエンベロープとボリンジャーバンドの大きな違いです。
FXでエンベロープの使い方は自由自在
エンベロープは相場の様々な局面で使用できる汎用性の高いインジケーターです。その具体的な使い方を見ていきましょう。
【FXエンベロープ使い方①】順張り・逆張り両方に使える
エンベロープは順張り・逆張り両方に使えるインジケーターです。
どちらかというと一般的なのは逆張りの方。価格が多少のブレをともないながらも移動平均線に絡みつくように動き、上下のバンドの範囲内に収まるという特性を活かし逆張りに使用します。
上のチャートのようにバンド到達で逆張りするといった具合です。
また、トレンド発生時には順張りにも使用できます。
上のチャートでは強いトレンドが発生し、バンドの外で価格が推移しています。このうような状態の時には順張りにも使えるというわけです。
【FXエンベロープ使い方②】スキャルピングとも好相性
エンベロープはスキャルピングを行うのに適しているインジケーターです。価格が上下のバンド内にとどまる特性を活かし、バンドでの反応を取るスキャルピングに用いることができます。
上のチャートのようなレンジ相場では、短い時間足で逆張りする絶好のチャンスです。
もちろんトレンドが発生してバンドを上に抜けていくこともありますので、よりリスクを限定できる短い時間足でのスキャルピングがエンベロープと相性が良いと言えます。
【FXエンベロープ使い方③】利益確定の目安
エンベロープを利益確定ポイントとすることも効果的な使い方になります。
例えば次のような場合。
下のバンドでロングのエントリーができていれば、上のバンドは絶好の利益確定ポイントです。
このようにエントリーポイントとしてだけでなく、決済ポイントとしてもエンベロープを使うことができます。
FXエンベロープ設定方法
エンベロープのひとつ難しい点が設定に関してです。ボリンジャーバンドなどと違って、エンベロープはデフォルトの設定ではあまり機能しない場合があります。
ここではエンベロープの設定値について詳しく見ていきましょう。
FXエンベロープ設定値【期間・種別・偏差】
エンベロープをチャートに表示させようとした時、MT4の場合ですと次のような設定画面が表示されます。
ここで設定しなくてはいけないのが、期間・種別・偏差です。
設定項目 | 意味 | 推奨の設定値 |
期間 | 移動平均線の期間 | 12・20・24・25など |
種別 | 移動平均線の種別 | Simple・Exponential |
偏差 | 移動平均線との乖離率 | 0.01〜3% |
期間・種別に関しては、普段使用している移動平均線があれば、それと同じ設定で問題ありません。
偏差(乖離率)に関しましては、短い時間足になるほど値を小さく、長い時間足になるほど値を大きくした方がエンベロープは上手く機能する傾向にあります。
そのため使用する時間足によって値を変えることを推奨します。ちなみに設定の目安は以下の通りです。
時間足 | 乖離率 |
15分〜1時間足 | 0.05〜0.40 |
4時間足〜日足 | 0.60〜2.0 |
エンベロープの設定値が適切かどうかの検証法
エンベロープの設定で難しいのは乖離率です。
上のチャートはUSD/JPYの1時間足。エンベロープの期間を20日、種別をSimple、偏差を0.50%で設定しているのですが、上下のバンド乖離しすぎておりエンベロープが機能していないのがわかります。
この場合は偏差の値が大きすぎるのが原因。偏差の値が大きすぎても、小さすぎてもエンベロープは機能しないということです。
ではどうすればいいかというと、地道にチャートで検証するしかありません。
上のチャートは偏差だけを「0.25%」に変更したものです。
このチャートでは上下のバンドに価格が抵触して反発や反落しているのがわかります。
このように、エンベロープの偏差=乖離率は上下のバンドに価格がギリギリ触れるよう検証をしながら設定しなくてはいけません。
FXスキャルピング用エンベロープ5分足・1分足設定例
エンベロープがスキャルピングと相性が良いことは前述した通りですが、スキャルピングを行うための5分足と1分足のエンベロープの設定例をご紹介します。
まずは5分足。
【期間:14〜20日】【種別:Exponential】【偏差:0.05%〜0.10%】
上のチャートでは期間を14日・偏差を0.10%で設定していますが、しっかりと上下のバンドで価格が反応しているのがわかります。
スキャルピングを行う際の移動平均線の種別は、より直近の価格に反応しやすいExponentialの方がおすすめです。
続いては1分足の設定例になります。
【期間:14〜20日】【種別:Exponential】【偏差:0.01%〜0.05%】
こちらのチャートでは期間を14日、偏差を0.05%で設定しています。
取引する通貨ペアによっても価格の変動幅は変わってきますので、設定を変更する場合は必ず検証を行うようにしましょう。
エンベロープはトレードスタイルや扱う通貨ペアによって設定値をカスタマイズすると、より効果を発揮するインジケーターです。
FXで勝つ!エンベロープによる最強トレード手法
ここからは実践編です。エンベロープを使ったトレード手法をいくつかご紹介していきます。
FXエンベロープ手法①レンジ逆張り
エンベロープはその特性から、レンジ相場に強いインジケーターと言うことができます。
上のチャートのような水平線が引けるようなレンジ相場はエンベロープによる逆張りの大きなチャンス。バンドと水平線が重なったところは絶好のエントリーポイントです。
レンジを抜けたら損切りすればいいので、損切りポイントも明確でリスクの低いトレードを行うことができます。
FXエンベロープ手法②レジスタンス・サポート逆張り
たとえレンジ相場でないとしても、強力なレジスタンス・サポートではエンベロープを使った逆張りが効果的です。
強力なレジスタンス・サポートというのは何度も価格が止められているところや節目の価格など、多くのトレーダーが意識しているポイントになります。
例えば上のチャートはドル円の日足ですが、上値が赤枠部分で抑えられているのがわかります。
このポイントはエンベロープを使った絶好の逆張りのポイント。そのまま日足でエントリーしてもいいですし、短い時間足でエントリーすることも可能です。
高値を抜けたら即損切りをすれば良いわけですから、優位性が高くかつリスクの低いトレードを行うことができます。
FXエンベロープ手法③バンドウォークからの順張り
ボリンジャーバンドでバンドウォークと言えば強いトレンドの発生を意味します。
このバンドウォークはエンベロープでも起こり、その際は順張りの絶好のチャンスです。
上のチャートはではバンドウォークから強いトレンドが出ているのがわかります。
エンベロープで強いトレンドが出た際には、バンドウォークからさらにバンドを飛び超えて価格が推移することは珍しいことではありません。
この場合のエントリーポイントはバンドウォークが続いた時、もしくはバンドをローソク足が超えてからになります。
決済ポイントは再びバンド内にローソク足が戻ってきた時。これは損切りも利益確定場合も同じです。バンド内に価格が収まったということで、トレンドが終焉したと判断しましょう。
FXエンベロープ手法④RSIスキャ
エンベロープを使ったスキャルピングは、他のインジケーターと合わせて行うとより精度が高まります。
おすすめなのはオシレーター系のインジケーターであるRSIです。RSIは一定期間の相場における値上がり幅と値下がり幅を活用し、値動きの強弱を数値で表すインジケーター。
簡単に言うと、エンベロープと同じく相場が「買われすぎ」なのか「売られすぎ」なのかを判断するインジケーターということです。
RSIでは上70%以上が「買われすぎ=売りシグナル」、下30%が「売られすぎ=買いシグナル」となっています。
そのためエンベロープとRSIを組み合わせて使うことによって、より精度の高いトレードができることになります。
上のチャートのようエンベロープのバンド付近に価格が達していて、なおかつRSIのシグナルが出ていれば絶好のエントリーポイントということです。
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まとめ
ここまで見てきて、エンベロープが優秀なインジケーターであることがおわかりいただけたことと思います。
エンベロープはFX会社が提供している多くのチャートで標準で備えられていますし、アプリでも表示させることができるため、あらゆるトレーダーにとって役立つインジケーターです。
ぜひエンベロープを使って新たなトレードスタイルにチャレンジしてみてください。
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