FXでHFT(高頻度取引)ができる業者は?スキャとの違いも解説

FXをしていると「HFT」という言葉を聞いたことがあるかと思います。

HFTとは、英語の「High Frequency Trading」のそれぞれの頭文字をとったものです。

これは、コンピューターのアルゴリズムを利用して高頻度で取引を実施するシステムを指しています。

本記事ではFX取引のHFTについて解説をしますので、気になる方は是非最後までお読み下さい。

超高速を一つの優位性としてFXをすることはできるのでしょうか

目次

FX取引のHFT(高頻度取引)とは?

FX取引におけるHFT(高頻度取引)とは、コンピューターのアルゴリズムを利用し、短時間で膨大な量の注文を自動売買する取引のことを指します。

英語の「High Frequency Trading」のそれぞれの頭文字をとって、「HFT」と呼んでいます。

HFT(高頻度取引)の特徴

HFTの特徴としては、その速度でしょう。

超高速取引とも呼ばれている通り、ミリ秒(1,000分の1)で売買を繰り返すことで利ざやを稼ぎます。

外国為替証拠金取引(FX)だけではなく、株式、債券、商品市場でもHFTは行われていて、その割合は今や市場の50%を超えるとも言われています。

より詳しくHFTの実態を知ってみたい方は「フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち」という本がありますので、ぜひ一度そちらを読んでみることをオススメします。

HFT(高頻度取引)は違法ではない!?

HFTは違法行為ではありません。

ただし、金融庁への登録が必要です。

金融庁のホームページによると、平成30年4月1日から、株式等の「高速取引行為」に関する新しい制度が開始され、高速取引行為を行うためには金融庁への登録が必要となりました。*

*参照元:金融庁「高速取引行為を行うみなさまへ

日本国内のHFT業者は一社のみ:ダルマ・キャピタル株式会社

現在、日本国内で「高速取引行為者」として金融庁への登録を受けている業者は「ダルマ・キャピタル株式会社」のみとなっています。

出典:ダルマ・キャピタル株式会社

ちなみに、「ダルマ・キャピタル株式会社」のホームページから求人案内を覗いてみると、「待遇:年収 2,000万円以上 経験・能力を考慮の上決定」という記載が確認できます。

「アルバイト・インターンも随時募集中。時給5,000円以上。2週間〜長期。遠方の方の交通費・宿泊費は別途全額支給。」という記載もあり、一般的なアルバイト・インターンと比較すると破格のオファーとなっております。

収益性が高い事業であることが伺えるのと同時に、優秀な人材を求めていることが分かります。

なお、金融庁登録の高速取引行為者一覧はこちらからご覧ください。

HFT(高頻度取引)が引き起こすかもしれないリスクとは?

HFTがコンピューターのアルゴリズムによって設定されているため、急激な値下がりを引き起こすリスクがあります。

短期間に大幅な値動きをすることから、フラッシュクラッシュと呼ばれており、2010年5月6日に発生したダウ工業株30種平均の急激な値下がりがHFTの影響によるものだと言われています。

フラッシュクラッシュについては下記の記事で詳しく解説をしています。

人間の意思ではなく、事前に設定された取引ルールに基づいて実行されるのがHFTです。

プログラムされている条件と市場の状況が一致した場合、そこに大量の注文がなされ、それを見た投資家がそれに追従する形で値動きが一方向に大きく動く場合があります。

なお、フラッシュクラッシュはHFTによってのみ発生するわけではありません。

商いが薄い(=流動性が低い)時間帯に大きなロットの注文が大量に発生する事でも起こりえます。

【個人投資家目線】高頻度な取引はアカウント停止になる?

FX取引中級~上級者の方の中にはEA(自動売買)を用いてFX取引をしている方もいるかもしれません。

ですが、EAを用いた取引を明確に禁止している業者もあります。

例えば、DMM FXの場合、下記のように約款に明記してあります。

(2) FX 取引を自動で行うソフトウェア又はシステム等(以下、「自動売買ソフト等」といいます。)、本取引システム以外のツール等を使用した取引、その疑いのある行為、若しくは本取引システムを改変したシステムまたは自動売買ソフト等の利用を他の顧客に勧誘する行為

DMM FX「店頭外国為替証拠金取引(DMM FX)約款

また、スキャルピングという取引手法があります。

スキャルピングとは、短期間の間に何度も繰り返し取引を行い、細かく利益を積み上げていく手法です。

人間の手で取引をするところが、コンピューターのアルゴリズムを利用するHFTとの大きな違いですが、短期間で細かく売買を繰り返して利ざやを稼ぐという思想自体は同じです。

取引手法として確立されているスキャルピングですが、FX業者によっては禁止しているところもあるので注意が必要です。

DMM FXの場合、下記のように約款に記載されています。

(10) 短時間又は合理性に欠ける頻度で注文を繰り返し行う行為

DMM FX 「店頭外国為替証拠金取引(DMM FX)約款】」

「スキャルピング」とは明確に記載はしていませんが、含みを持たせた書き方で示唆されている点に要注意。

仮に、取引内容が”短時間又は合理性に欠ける頻度で注文を繰り返し行う行為”と判断された場合、取引停止(口座凍結)になる恐れがあります。

約款の中にこのような記載が確認できる場合は、スキャルピングは避けた方が無難だと考えます。

以上のことから、仮に個人投資家がEAとスキャルピングを組み合わせてHFTを実施しようとしても、それらはFX業者によっては明確に禁止されていることがある、ということが言えます。

筆者の体験談

筆者がFX業者で働いている時も、いわゆる”スキャルパー(スキャルピングをする個人投資家)”と呼ばれている顧客はディーラーによる監視が行われることがあり、場合よっては取引停止の措置が取られることもありました。

そのような対処をする理由としては、

  • カバー取引が大変になる
  • サーバーに負担がかかる

これらが挙げられます。

FX業者もビジネスとして運営していますから、様々な自衛対策を試みているといったところでしょうか。

一方、”スキャルピング(短期間の取引)”に対する制限を設けていないFX業者もあります。

スキャルピングが取引スタイルの個人投資家の方は、そのようなFX業者を使って取引をするといいでしょう。

FX取引のHFTまとめ

本記事ではFX取引のHFTについて解説をしました。

コンピューターのアルゴリズムを駆使した取引手法であるHFTですが、今後もその存在感は増していくでしょう。

私たち個人投資家も、その特性について理解を深め、リスクに備えることが大切だと考えます。

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この記事を書いた人

大地正紘 金融ライター

海外留学後、某外資系FX企業に勤務。大手証券会社や個人クライアントを対象に、FXのトレーディングツールのサポート業務を担当。その後、外資系銀行に転職し、シンガポールに滞在。帰国後に自身で起業。途中、海外のFX会社のプロジェクトに参画するために上海駐在し、ミドルオフィス・バックオフィス業務を幅広く担当。現在は地方創生の様々なプロジェクトに携わる。

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