ステーブルコイン市場の現状解説

過去1年間、ステーブルコイン市場は規制の変化、危機、チャンスによって、状況が大きく変わりました。時価総額で見ると、USDTが大きく上昇した一方、USDCは2023年3月シリコンバレー銀行の破綻を受けデペッグし、信頼性を失い大きく下落しました。DAIは裏付け資産を現金と短期米国債のみに限定することで、発行枚数を大幅に増やしました。

以下はステーブルコインの時価総額のチャートです。以下のチャートから、USDTの時価総額が最近では史上最高にあり、最も広く流通しているステーブルコインとなっているのがわかります。

引用:IntoTheBlock

ステーブルコインの主要銘柄にはこの1年で、多くのことがありました。世界最大の暗号通貨取引所バイナンスが発行しているステーブルコインBUSDは時価総額第3位でした。しかし、バイナンスが6月には米証券取引委員会(SEC)に提訴されて以降、規制当局からの圧力が強まりました。その結果、発行元のPAXOSがBUSDの発行停止命令を受け、ユーザーの出金が増え、時価総額が減少しました。

USDCは準備金のうち33億ドルが破綻したシリコンバレー銀行に預金されていたため、一時ドルとのペッグを維持できなくなりました。

BUSDとUSDCの失墜により、USDTへ注目が高まり、シェアが急成長しました。執筆時点、USDTの時価総額は850億ドル、ステーブルコイン市場におけるUSDTのシェアは68%を占め、USDTはトップのステーブルコインとしての地位を固めています。

引用:IntoTheBlock

ステーブルコインには成長と革新の可能性があります。一部のステーブルコインは裏付け資産として米短期国債を購入しています。現在、国債の利回りが2007 年以来の高水準となっているため、多くの収益を生み出しています。これはステーブルコインを保有することで、間接的に米国債券に投資していると言えます。

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米国債の利回り上昇により、DAIを運営するDeFiプロトコルMakerDAOは DSR(Dai Savings Rate)の金利を3.19パーセントから8パーセントに引き上げました。これにより、DAIの発行数が大幅に増加しました。なお、DAIの全取引高の90%以上が10万ドル以上の取引であることから、大口投資家が高いリターンを求めて投資していることがわかります。過去2週間において、DAIは出来高でステーブルコインチェーンのトップとなりました。

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現在、暗号通貨取引所への資金の流入が顕著となっています。取引所に資金が流入するということは、ユーザーが取引所に資産を移動していることです。このことは、ユーザーは保有しているステーブルコインで暗号通貨を購入しているということであり、最近の暗号通貨の価格高騰の要因の一つにもなっています。

免責事項
暗号通貨は価格変動が激しく、トレードの際は自身の投資経験、目標、財務状況、リスクを取る能力等について十分検討する必要があります。
本記事はあくまでも情報提供を目的としており、投資を推奨するものではありません。
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