海外FXに追証が無いのはなぜ?素朴な疑問についてプロが解説

国内FXには追証があるから怖い

海外FX業者なら追証がないから安心!

追証はFXで起こりうる最悪な事態のうちの1つです。

FX初心者の方や国内FX業者でトレードをしている方は、追証という制度に少なからず恐れを抱いていることと思います。

では海外FX業者には追証がないことを踏まえると、海外FX業者の方が安全ということになるのでしょうか。

この記事では以下の2つについて解説していきながら、国内FX業者と海外FX業者のどちらが安全でオススメなのかの結論を出していきます。

  1. 国内FX業者が採用してる追証とは
  2. 海外FX業者が採用してるゼロカットとは
目次

国内FX業者が採用している追証とは

国内FX業者が採用している追証について解説するイメージ

FXにはロスカットという制度があります。

ロスカットとは各FX業者が定めた一定の証拠金維持率を下回った場合に、抱えているポジションが強制的に決済されるというシステムです。

ロスカットが正常に働くのであれば口座残高以上の損失を出す事は無いのですが、相場に急激な値動きが現れた場合にロスカットが正常に執行されない場合があります。

その際に問題となってくるのが追証という制度です。

追証とは追加証拠金の略です。

国内FXの場合、全てのFX会社は損失補填が禁止されているため、口座残高が

ここでは追証に関する以下の2つについて解説していきます。

  1. 追証が執行されるタイミング
  2. 国内FX業者が追証を採用する理由

追証が執行されるタイミングは2パターン

追証が執行されるタイミングには2つのパターンがあります。

追証のルールは各国内FX業者によって異なり、追証を採用していない国内FX業者も存在します。

ここでは国内FXの追証制度のパターンを2つに分けて説明していきます。

  1. 一定の証拠金維持率を下回った場合
  2. 口座残高以上の損失が出た場合

パターン① 一定の証拠金維持率を下回った場合

1つ目のパターンは一定の証拠金維持率を下回った場合に追証が発生するパターンです。

このパターンの追証が発生してしまった場合は、決められた期日までに追加で入金しなければポジションが強制的に決済されてしまうことになります。

しかし、口座残高以上の損失を出しているわけではないので借金を背負う事はありません。

パターン② 口座残高以上の損失がでた場合

2つ目のパターンは口座残高以上の損失が出た場合です。

通常であれば、口座残高以上の損失が出る前にロスカットが執行されるはずです。

しかし、重大なファンダメンタルズ要因によって急激な値動きが発生した場合はロスカットの執行が間に合わずに、口座残高以上の損失を抱えてしまうことがあります。

この場合、FX業者への借金を返済する形で追証が発生することになります。

急激な上昇により口座残高以上の損失がでたイメージ

急激な値動きが発生したファンダメンタルズ要因として有名なのがスイスフランショックです。

スイスフランショックとはスイス国立銀行がスイスフランに関する発表を行ったことで、わずか20分でCHF/JPYで数千pipsもの値動きを見せるほどにスイスフランの価値が高騰し、世界中のトレーダーのロスカットが間に合わずに多額の追証を請求されることになってしまった出来事です。

ネットやSNSで見かける、

FXで借金地獄になった。

などの話はこのような追証によるものと考えられます。

国内FX業者が追証を採用する理由

第三十九条 金融商品取引業者等は、次に掲げる行為をしてはならない

一 有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引につき、当該有価証券又はデリバティブ取引(以下この条において「有価証券等」という。)について顧客に損失が生ずることとなり、又はあらかじめ定めた額の利益が生じないこととなつた場合には自己又は第三者がその全部又は一部を補塡し、又は補足するため当該顧客又は第三者に財産上の利益を提供する旨を、当該顧客又はその指定した者に対し、申し込み、若しくは約束し、又は第三者に申し込ませ、若しくは約束させる行為

金融商品取引法第39条

金融商品取引法ではFX業者がトレーダーの損失補填をすることを禁止しています。

つまり日本の金融ライセンスを取得して営業している限りは追証を採用することが求めらています。

したがって安全な国内FX業者を利用していたとしても、スイスフランショックのようなことが発生してしまうと大きな借金を抱えてしまう可能性があることは覚えておく必要があります。

海外FXが採用しているゼロカットとは

海外FXが採用しているゼロカットについて解説するイメージ

ここまで国内FX業者で採用されている追証という制度について解説してきました。

一方で海外FX業者には追証がありません。

その代わりに海外FX業者ではゼロカットという制度が採用されており、口座残高以上の損失を被ったとしてもマイナス分に関しては海外FX業者側が肩代わりしてくれるという制度です。

ここでは海外FX業者のゼロカットに関する以下の3つの解説をしていきます。

  1. ゼロカットが執行されるタイミング
  2. ゼロカットの注意点
  3. 海外FXで追証がない理由

ゼロカットが執行されるタイミング

海外FX業者ゼロカットが執行されるタイミング
XM次回の入金時に執行
Axiory24時間以内に自動で執行
TitanFXロールオーバー時に執行
is6FX次回の入金時に執行
海外FX業者のゼロカットのタイミング

ゼロカットが執行されるのは「有効証拠金がマイナス」「ポジションを保有してない」の2つの条件が満たされた時です。

海外FXでは有効証拠金として使うことのできるボーナスという制度があります。

「有効証拠金がマイナス」というのは、「ボーナス」と「現金」と「ポジションの評価損益」の合計が0より下の状態を指します。

また、保有しているポジションを決済しない限りゼロカットが執行されることはありません。

ゼロカットが施行されるタイミングについては上図のように各海外FX業者によって異なります。

ゼロカットの3つの注意点

国内FX業者の追証に比べて海外FX業者のゼロカットは借金をするリスクがないため魅力的ではありますが、注意しなければならない点もあります。

ここではゼロカットの以下の3つの注意点について解説していきます。

  1. 海外FX業者はそもそも違法
  2. ゼロカットを執行しない場合がある
  3. 業者がゼロカットの負担により経営破綻する。

注意点① 海外FX業者はそもそも違法

そもそもの問題として、日本の金融ライセンスを取得していない海外FX業者が日本のトレーダーにサービスを提供する事は違法であることを理解しておく必要があります。

金融商品取引法に基づく登録を受けていない海外所在業者が、インターネットに日本語ホームページを開設する等により、外国為替証拠金取引(FX取引)や有価証券投資等の勧誘を行っている例が見受けられます。

また最近、海外所在の無登録業者とバイナリーオプション取引を行い、出金に応じてもらえないなどのトラブルになっている例も見られます。

日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法です。取引を行う前に取引の相手が登録を受けているかこちらで確認して、無登録の海外所在業者との取引は行わないよう、注意してください。

金融庁公式HP

海外FX業者がゼロカットを採用しているとはいえ、そもそもの業態が違法なので利用をオススメできません。

海外FX業者を利用すること自体は合法ですが、詐欺被害に遭ってしまったり、不当に注文が執行されて思わぬ損失を被ってしまった場合でも、日本の公的機関による被害救済は大変難しいです。

注意点② ゼロカットの規約を無視する業者がいる

https://twitter.com/luckbird67/status/1122513148336959489

海外FX業者にはゼロカットがあるから口座残高以上の損失があっても安心と思いたくなりますが、そうとも限りません。

過去にはゼロカットをすることを公式ホームページで明言しておきながらも、スイスフランショックのような急激な値動きで多くのトレーダーの口座残高がマイナスになった際には、急遽追証に切り替えるという対応をした業者もありました。

海外FX業者を利用しているトレーダーはゼロカットというセーフティネットの存在を信じて、非常に高いレバレッジをかけたギャンブル要素の強いトレードをします。

そのため追証で請求される口座残高のマイナス分に関しても、国内FX業者の時とは比較にならないほどの額になってしまいます。

その点国内FX業者を利用する際は、初めから追証の存在を踏まえた上でのリスク管理やレバレッジ管理をするので、スイスフランショック並みの出来事が起こらない限りは多額の借金を背負うことはないと考えられます。

注意点③ 業者がゼロカットの負担により経営破綻する

スイスフランショックのような多くのトレーダーがゼロカットの対象になった場合は、FX業者が抱えきれないほどの負債を抱えることになり、そのままFX業者が倒産してしまうということも起こり得ます。

ここで重要になってくるのが、FX業者が採用しているトレーダーの資金管理方式です。

トレーダーの資金管理方式には「分別管理」と「信託保全」の2種類あります。

分別管理とは、トレーダーの資金と会社の資金を会社内で分離して管理する方式のことをいいます。

分別管理はFX業者内でトレーダーの資金を管理していることに脆弱性があり、もしFX業者自体が経営破綻に追い込まれた場合は、トレーダーの資金が返金されない可能性が十分にあります。

信託保全とは、トレーダーの資金を第三者機関に管理してもらうことによって、会社の資金との完全な分離を可能にする資金管理方式です。

FX業者が経営破綻に追い込まれた場合でも、トレーダーの資金だけは第三者機関で安全に守られているので、全額返金を期待することができます。

国内のFX業者では信託保全が義務化されていますが、海外FX業者では義務化されていません。

つまり海外FX業者がゼロカットを執行してくれたものの、それが原因で経営破綻に追い込まれた際は、最悪の場合トレーダーの口座資金ごとなくなってしまう可能性があるということです。

海外FX業者に追証がないのはなぜ?

では海外FX業者はなぜ追証ではなくゼロカットを採用できるのでしょうか。

理由は以下の2つだと考えられます。

  1. 日本のトレーダーの獲得につながるから
  2. ゼロカットにしても採算が取れるから

ここではそれぞれの理由について説明していきます。

理由① 日本のトレーダーを獲得したいから

前述のように、日本の金融ライセンスを取得しているFX業者はトレーダーに対して損失補填ができないことを金融商品取引法で定めています。

裏を返せば、日本の金融ライセンスを取得していない海外FX業者ならゼロカットによる損失補填をメリットとして押し出すことで、追証を嫌がる日本のトレーダーからの人気を獲得することができます。

また、日本の金融ライセンスを取得していない海外FX業者は日本の居住者に対して勧誘を行うことはできません。

そこで、日本国内で宣伝を行ってくれるアフィリエイターに多くの報酬を払うことで、積極的にブログやメディアなどでゼロカットの魅力を発信させれば、より多くの顧客層に対してアプローチすることができます。

このように、海外FX業者は日本の金融ライセンスを取得していないという違法性は隠す一方で、ゼロカットなどを撒き餌に使うことで日本のトレーダーの口座開設数を着々と伸ばしていると考えられます。

理由② ゼロカットにしても採算が取れるから

ゼロカットは基本的にFX業者の収益にとっては大きなマイナスとなります。

特に、何百倍から何千倍ものレバレッジでトレードをできる海外FXでは、ロスカットが正常に執行されなかった時のマイナスはかなりな額になります。

それを全て損失補填しながらも運営を続けられる理由は、海外FX業者の注文処理方式に隠されていると考えられます。

多くの海外FX業者はNDD方式を採用していると公式HPなどで明言していますが、それを信じるには少し疑問が残ります。

NDD方式を採用しているのであれば、海外FX業者の収入源はマークアップと呼ばれるスプレッド分と取引手数料になりますが、マークアップ と取引手数料だけではトレーダーの損失補填ができるほどの利益を期待することはできません。

ただし、DD方式も併用しているのであれば話は違ってきます。

海外FX業者内に優秀なディーラーや自動化されたディーリングシステムがある場合、DD方式で注文を執行した方がFX業者側の収益に繋がります。

海外FX業者がゼロカットを採用できるのは、DD方式とNDD方式をうまく使い分けることで、効率よく利益を出し続けているからだと推測します。

まとめ:国内FX業者で追証に気をつけながらトレードしよう

ここまで、国内FX業者の追証と海外FX業者のゼロカットについて解説してきました。

スイスフランショックのような相場が急激に動いたときに国内FX業者でポジションを持っていた際は、ロスカットが正常に執行されずに追証を請求される可能性があります。

国内FX業者の追証で多額の借金を抱えないためにも、国内FX業者でトレードする際には以下の2つに注意しましょう。

  1. マイナーな通貨ペアには手を出さない
  2. なるべくポジションを翌週に持ち越さない

マイナー通貨ペアとしてあげられるのは、RUB(ロシアルーブル)、MXN(メキシコペソ)、CHF(スイスフラン)などが絡んだ通貨ペアです。

マイナーな通貨ペアは市場参加者が少なく流動性が低いため、突発的な値動きを見せやすいので、追証リスクが高いと言えます。

また休日明けの市場は大きな値動きを見せることが多いので、追証リスクが高いと言えます。

大きなポジションを持っている際はなるべく週末のうちにポジションを手仕舞ったり、両建てをしておくなどリスクヘッジを行うことをオススメします。

海外FX業者はゼロカットを採用していますが、日本の金融ライセンスを取得していないことからそもそもオススメできません。

WikiFXでは資金の安全性やサービスの観点から、基本的にWikiFXでは国内業者をオススメしています。

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