FXのバックテストとは、どのタイミングでトレードすべきか?このやり方で勝てるのか?とトレード手法・ストラテジーの有効性を事前にシュミレーションしてみることをいいます。
バックテストには大きく2つタイプがあって、裁量トレードのテストとEA・自動売買のテストがあります。裁量トレードよりもEA・自動売買でのテストをバックテストを呼ぶ場合が多いです。
でも、自動売買のバックテストなんていわれても
ちょっと戸惑ってしまいます。
今回は、EA・自動売買のバックテストについて、基礎知識ややり方、結果の見方、勝つためのコツを解説していきます。
- FXのバックテストとは?
- おすすめのバックテスト・ソフト MT4/MT5
- MT4/MT5のEAとバックテストの概要
- MT5バックテストのやり方
- テスト結果の見方と勝つためのコツ
FXのバックテストとは
FXのバックテストとは、計画しているトレード手法・ストラテジーで果たして勝てるのかどうかを、過去のチャートを使って検証することをいいます。
バックテストは、大まかに裁量トレードの場合と、EA・自動売買の場合と、2つのパターンに分けることができます。
最初に、バックテストを裁量トレードと
EA・自動売買とで概要をまとめておきましょう。
裁量トレードのバックテストとは?
裁量トレードのバックテストとは、次のトレードを、スキャルピングでいくかスイングでいくか、またはRSIを使うか移動平均線を使うかなどの各自のトレード戦略を、過去のチャート、検証ソフトやデモトレードで検証することです。
裁量の場合は「テスト」いうよりも、「検証」と表現する傾向にあります。
軽く手応えを調べるテストもあれば、本格的にバックテストツール(過去検証ソフト)を使って、細かいデータを調べるケースもあります。裁量トレードのバックテストは、過去検証ツールや、検証ソフトを使うトレーダーも多く、有名な検証ソフトにForexTesterがあります。
EA・自動売買のバックテストとは?
通常は、バックテストといえば、EA・自動売買のストラテジーテストのことを指す場合が多いです。EA・自動売買を提供しているFX業者、またはプラットフォームでは、大抵バックテスト機能がついていますので、その機能を使って、トレード前に検証を行います。
EA・自動売買のバックテストでは、どのストラテジーを利用すべきかをテスト結果から判断します。ストラテジーが決まっている場合でも、通貨ペアや時間足、パラメーターの設定を探る方法として使えるのです。
裁量の場合でも、EA・自動売買の場合でも、バックテストを通して通貨ペア、ロット数、エントリー・利確設定をテストすることで資金マネージメントやリスク管理も行うことができます。
FXのバックテストでおすすめソフト
さて、今回の記事ではEA・自動売買のバックテストについて、基礎知識をわかりやすく解説して、おすすめのソフトなどもご紹介していきます。
そもそもバックテストはどこで使えるの?
EAって何?
など、疑問に思うことも多いですよね。
まずはバックテストの基礎から
詳しく見ていきましょう。
バックテストが使えるのは?
バックテストは、基本的に自動売買サービスの機能の1つです。国内FX業者でよく使われている自動売買には、トラリピ、トライオートFX、みんなのシステムトレードなどがあり、バックテスト機能を使って運用した場合のトレード結果を、事前にテストすることができます。
自分でバックテストができるものもあれば、ループイフダン、iサイクル2のように、過去の成績が提示されていて、それを参照にする場合もあります。イフダン注文をExcelで検証したりするトレーダーもいますが、いずれの場合も、国内FX自動売買のバックテストは機能面でやや物足りないのが現状です。
そこで、自動売買トレーダーに人気があるのが、優れたバックテスト機能が搭載されているMT4/MT5です。バックテストに必要なあらゆる機能が揃っていて、おすすめナンバーワンのソフトです。
MT4/MT5はもともとは海外で主流のトレードプラットフォームで、ここ数年、国内FXでも導入する業者が増えています。MT4/MT5の自動売買とバックテストが国内でも多くのトレーダーに利用されています。
無料で使えるバックテストツールMT4/MT5
MT4(エムティーフォー)/MT5(エムティーファイブ)はMetaTrader(メタトレーダー)というFXトレードプラットフォームのバージョン名のことです。
MT4→MetaTrader4、MT5→MetaTrader5のことです。
MetaTraderは、ソフトウェア会社のMetaQuotes (メタクウォーツ)社が開発、世界中で最も使われているプラットフォームです。2005年に、世界で初めて自動売買を搭載したプラットフォーム・MT4がリリースされ、爆発的な人気を呼びました。自動売買の歴史はMT4とともに始まったといっても過言ではないのです。
参照:Company History – MetaQuotes
MT4が登場する以前は、難解な操作とプログラミングを要するアルゴリズムトレードがごく一部の大手投資機関によって使われていました。そんな中、独自のプログラミング言語(MQL)を搭載したMT4によって、誰でも方法さえ覚えれば、比較的簡単に自動売買が作成・利用できるようになったのです。
オンライントレードの第一線を走っていたトレーダー達の間で、瞬く間にMT4の自動売買システムが使われるようになり、現在に至るまで数百~数千を超える膨大な数の自動売買やシグナルが作成されたのです。
そのMT4(MT5)で作成された自動売買のことを、EA(Expert Adviser/エキスパートアドバイザー)といいます。
やがて、日本にもMT4から派生したミラートレーダーといわれる自動売買が上陸し、日本のFX業者でも開発が進められて行きました。ちなみに日本で最初に自動売買を導入したのは2012年のインヴァスト証券です。
参照:シストレ24、日本のミラートレーダー取り扱い業者「口座数No.1」- PR TIMES
MT5は、MT4がバージョンアップされたプラットフォームのことで、基本的な機能や操作方法はMT5もMT4も同じです。数多くのEAが搭載されている(ダウンロードできる)ことと、EAのバックテスト機能や、裁量向けの高性能の分析ツールを有していることが大きな特徴です。利用するFX業者を問わず、MT4/MT5は誰でも無料でダウンロードして使うことができます。
MT4のEA・バックテストとは?
MT4のEAとは、MT4のプログラミング言語「MQL4」を使って作成されたEAのことです。
プログラミングするにはMQL4を理解する必要がありますが、EAの利用・バックテストに関しては全く知らなくとも大丈夫です。MQL4で作成されたEAはMT4のマーケットやMQL4公式サイト、ネット検索などから簡単に探すことができます。EAは無料、有料と幅広い幅から選択可能で、無料のEAでも優秀なものがあります。
MT4で利用可能なファイルは、拡張子が「.ex4」「.mq4」のものです。
MQL4で作成されたEA、インジケーターはすべてMT4で利用可能、バックテストを行うことができます。
MT4のバックテストでは、「利益」「プロフィットファクター」「総取引数」「勝トレード」「敗トレード」「絶対ドローダウン(最大ドローダウン)」などの基本情報、グラフ、トレード履歴(ポジション履歴)などが確認できます。テストの設定項目は、MT5に比べるとシンプルでわかりやすいですが、最適化や表示できるデータはMT5よりも少ないのが特徴です。
テストしたい期間に応じて、他からヒストリカルデータを入手・インポートしなければならないのがMT5との大きな違いです。
MT5のEA・バックテストとは?
MT5のEAとは、MT5のプログラミング言語「MQL5」を使って作成されたEAのことです。
MT5とMT4はそれぞれ、異なる言語を使いますので、互換性はありません。インジケーターもEAもMQL5で作成されたものはMT5でしか使えないのです。MT5のリリースは2010年で、近年までMT4の利用者が圧倒的に多かったこともあり、EAの数もMT4よりは少なくなります。
利用可能なファイルは、拡張子が「.ex5」「.mq5」のものです。
バックテストは、「利益」「勝率」「敗率」「最大ドローダウン」などMT4と同じ基本情報に加えて、表示できるグラフも多彩、最適化機能が非常に充実していることがMT5の特徴です。設定方法も簡潔化されていて、ヒストリカルデータもひとまずはMT5に内蔵されているものがダウンロード可能です。操作しやすく、初心者でも取り組みやすいといえます。
EAのバックテストのやり方 4ステップ
それでは、実際にEAを使ってバックテストを行ってみましょう。ここでは、MT5のバックテストを例に挙げて、まずは初歩的なやり方をシンプルに解説していきます。
設定したら、
後はテストが終わるのを待つだけだから。
思った以上に簡単にできます。
EA・自動売買を選択する
EAを選ぶ方法は、すでに搭載済みのものを使う方法とマーケットから探す方法があります。もともと搭載されているEAは無料で使えるサンプルのようなものです。マーケットから探す場合は、有料と無料と色々なタイプのEAがあります。
搭載済みのEA
搭載済みのEAは、MT5のメニュー「表示」→「ナビゲーター」で確認できます。「ナビゲーター」の一覧から、「エキスパートアドバイザー(EA)」をクリックしてメニューを開きます。この欄にあるのが、EAです。各自の利用状況によっては、EA以外のプログラムが挿入されている場合もありますので、EAっぽい名称(インジケーター名のものが多い)を試しにドラッグ&ドロップでチャートに入れてみると、EAかどうかがわかります。
パラメーターの設定画面が出てきますので、「OK」で閉じるとチャートにEAが挿入されます。
自動売買のアイコンが赤から緑に変わって、チャートの右上にEAの名称とニコニコマークが出てきたら、挿入可能なEAということになります。
ちなみに、ニコニコマークの時は「EAが稼働中」、残念マークの時は「停止中」となります。停止や稼働は自動売買のアイコンをクリックです。
マーケットから探す方法
マーケットかがEAを探す方法もあります。MT5の一番下にあるメニュー「マーケット」を開いて、画像をドラッグして上に拡大すると、EAの一覧が見れます。マーケットのウィンドウをドラッグして外に出してもいいでしょう。マーケット画面の右上にあるフィルターメニューを「フリー」にすると、無料のものだけ表示されます。
各EAのアイコンをクリックすると詳細が確認でき、利用したい場合はダウンロードすれば、ナビゲーターに反映されます。
マーケットからダウンロードする時には、MQLコミュニティへの登録が必要です。登録は、「ダウンロード」ボタンを押すと表示されますので、「新規登録」をクリックして登録を行います。
詳しいEAの挿入方法は下記でご紹介していますので、合わせて参考にして下さい。
バックテストの基本設定
次に、EAで利用したい通貨ペアや時間足をいくつか決めておいて、バックテストの画面に行きます。通貨ペアや時間足はテストで色々試してみて最終的に決める方向で、候補を挙げておくイメージです。
バックテストの画面は、MT5のメニュー「表示」→「ストラテジーテスター」で開くことができます。
最初に上図のようなメニューが出てきますので、「単一」を選択します。「単一」は「シングルテスト」のことです。次にテストの設定画面が出てきますので、基本設定を行います。
- エキスパート:EAの名称
- 銘柄:通貨ペア、時間足
- 日付:テスト期間
- 入金:資金額、ベース通貨、レバレッジ
最初のシングルテストでは、以上の基本設定で始めていくのがおすすめです。あとはデフォルトで試してみて、使いこなせるようになったら、徐々にその他の設定を試していけます。
スプレッド その他条件設定
参考までに、基本設定以外のその他の設定を簡単にご説明しておきます。
- フォワードテスト → 指定した期間以降のテスト
- 延滞 → スプレッド、スリッページ
- モデル → 対象とするローソク足のタイプ
- オプティマイズ → 最適化機能
「フォワードテスト」は、テスト期間以外(通常は期間以降)においての、ストラテジーの有効性を確認するために行います。「延滞」を設定すれば、リアルタイムで起こりがちなスプレッドやスリッページを考慮することができます。「モデル」は、優先的に使うローソク足(価格の目安)の設定のことです。
現段階では、こういった設定項目もあるのだな、と知っておくだけでよいです。
バックテストの結果の見方・勝つためのコツ
基本設定を入力したら、右下にある「スタートボタン」を押して、テスト開始です。期間にもよりますが、通常は数分~数10分程度で完了します。
では、次にテスト結果の見方やEAで勝つためのポイントをご紹介しましょう。
色んな設定を試してみて、勝てるEA
へと導いていくイメージです!
テスト1回目から3回目までの段階を踏んで、設定を変えながらテストしてみる方法を、わかりやすく教えていきます。
バックテストで確認すべきデータ
バックテストの結果は、ストラテジーテスターの一番下にあるメニュータグ「バックテスト」から確認できます。最初に表示されるのが統計データです。
バックテストの統計データ
かなりたくさんの数値が表示されるので、慣れないうちは戸惑うかもしれません。ここでは、最低限に抑えておきたいテスト結果の項目を見ていきます。
- 総損益 → 最終的な損失または利益(一番重要)
まず一番重要なのが、最終的にこのEAでいくら稼げたのか?(損したのか?)ということです。ここがプラスにならなければ、EAを運用する意味がありません。
- プロフィットファクター(PF) → 総利益が総損失の何倍にあたるかを表す数値
- 最大ドローダウン → 最大の損失額と比率
- 勝率(敗率)→ 勝てる確率(負ける確率)
- トレード回数 → 勝ちトレード数、負けトレード数
このあたりの数値をまずは見れるようになって、各テストの結果を比較していきましょう。
プロフィットファクターを目安にするトレーダーは多いです。この数値が最低でも1.0以上であれば、勝てる(負けない)EAと見なすことができます。PFは高いほどいいとされますが、あくまでも判断材料の1つです。
テスト結果のグラフ
統計結果はグラフでも確認できます。
- 時間毎の取引 → どの市場が強いのか
- 週ごと、月ごとの取引 → どの月・どの週の取引が多いか
- 損益(時間、週、月)→ どの時間帯・月・週に結果を出しているか
など目安にすることができます。
例えば、上図グラフを見ると、取引をしているのは最初の3か月のみです。このEAは長期向けか、あるいはパラメーターの設定に問題がある、と見るのも判断の1つです。
最初は、手始めに数回のテストを行い、どの通貨ペア、どの時間足で結果が出しやすいか調べていきます。最後に、EAで勝つためのコツとして、設定を変えながらテストを重ねていく方法を解説しておきます。
テスト1の結果
- EA:MAMA
- 銘柄:USDJPY、1H足
- 期間:2020年1月~2020年12月
- 純損益:-26.86(USD)
「MAMA」というEAを、USDJPY、1時間足で運用した場合の結果は-26.86で、損失となりました。そこで、通貨ペアをEURUSD、GBPJPY、AUDJPYと3パターンに変えてみたいと思います。(その他の条件はそのまま)
通貨ペアを変更 USDJPY → EURUSD、GBPJPY、AUDJPY
テスト2の結果
- EURUSD 1H足 → 純損益:-90.61
- GBPJPY 1H足 → 純損益:+45.91
- AUDJPY 1H足 → 純損益:+70.71
通貨ペアを変えたところ、EURUSDでは総損益は-90.61に拡大、GBPJPYで+45.91、AUDJPYだと+70.71という結果になりました。このEAの場合、AUDJPYとの相性が良さそうですので、AUDJPYに通貨ペアを設定して時間足を3パターン変えてみたいと思います。
AUDJPYで時間足を変更 1H足 → 30分足、15分足、4H足
テスト3の結果
- AUDJPY 15分足 → 総損益:+50.64
- AUDJPY 30分足 → 総損益:-2.46
- AUDJPY 4H足 → 総損益:66.06
AUDJPYで時間足を変えてみた結果、30分足の場合はマイナスとなるため30分足に不向きだとわかりました。そして、15分足、4時間足では利益が出ているものの、1H足の方が運用益が良いようです。従って、この段階では、「MAMA」を利用するなら、AUDJPYのテスト2で見たように1H足が最も利益が期待できる設定ということになります。
以上のように、テストを重ねながら、EAのレベルを上げていけるのです。テストの回数は多ければ多いほど、よりリアルな検証結果を得ることができます。
まとめ
今回はバックテストの特徴やおすすめのソフトMT4/MT5をご紹介しながら、最後にやり方についても解説させて頂きました。ここまで見てきたように、1つのEAでも、通貨ペアや時間足が変わるだけで結果が大きく違ってくることがわかりました。
バックテストは優れたEAを選ぶためだけでなく、どのような設定が最適なのかを探るためにも欠かせないツールなのです。
ただし、必ずしも「バックテストの結果 = 本番トレードの結果」となるわけではありません。チャートはつねに変動し続けるもので、先のことは誰にもわからないのです。十分に注意して、あくまでも参考としてバックテストを活用するようにしましょう。
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