FXの聖杯を探しているけど一向に見つからない。
FXに聖杯って本当に存在するの?
「FXの聖杯」と聞くと上記のようなお悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、FXの聖杯は存在しません。
実際、ある一定期間において相場で利益を出し続けることができる手法は存在します。
しかし利益を出すことができる手法であっても、相場環境の変化などにより時間が経つにつれて勝つことができなくなっていきます。
したがって勝てる手法であっても、相場で勝ち続けるためには環境の変化に常に対応をし続ける必要があるのです。
この記事ではなぜ聖杯は存在しないのかに関して、以下の7項目で解説します。
- FXにおける聖杯とは?
- 聖杯探しを誰もが一度はする
- 聖杯は本当にあるのか?
- 「聖杯を見つけた」という言葉に騙されてはいけない
- 過去に聖杯と呼ばれていた手法まとめ
- ほぼ聖杯に近い2つの手法
- どのようにFX手法を組み立てたらよいのか
この記事を読めばFXの聖杯について詳しく理解することができ、どのようにFXの戦略を立てていけばよいのかを理解することがいいのかがわかります。
聖杯探し。FXに関わった人の多くが(多分ほとんどの人)が陥ったことがあるのではないでしょうか?
これって初心者に限ったことは無く、FX暦〇年といったベテランの方でも「聖杯模索中」って方が驚くくらい多い印象を受けます。
タイトルにもある通り、FXに聖杯は存在しません。
これについては、多くの方が薄々気づいていながら、いざ自分がトレードに参加すると、答えのない聖杯探しをしてしまう傾向にあります。これはなぜなのでしょうか。
FXに聖杯がない理由や、多くのトレーダーが聖杯探しに陥ってしまう原因と理由について考察していきましょう。
FXにおける聖杯とは?
FXで永久的、そして絶対に勝つことができる必勝法のことを「聖杯」といいます。
「聖杯」の語源は13世紀、中世西ヨーロッパのアーサー王物語にあるといわれています。
アーサー王物語では、聖杯が「至高なるもの」や「絶対的価値を求める行為」の象徴として捉えられており、その意味が派生して今日でも使われています。
FXでは、例えば
インジケーターの数字に従って取引をしていればいい。
など、ある決まったルールに従って取引を続けていればFXで絶対に勝つことができるという意味で、聖杯という言葉が使われています。
聖杯探しを誰もが一度はする
聖杯探しはFXをしている誰もが一度は通る道です。
トレーダー達が聖杯を探してしまう理由は主に以下の2つがあります。
- FXで勝つためには聖杯が必要だと思い込んでしまう
- 苦労せずにFXで勝ちたいと思っているから
FXは10%の人が勝って、残りの90%が負ける世界だといわれています。
FX初心者や負けている人達は、FXで勝っている人は絶対に勝つことのできる手法を持っていると思い込み、聖杯を探してしまいます。
またFXにはチャートの見方やインジケーターの使い方、資金管理など身につけなければいけない知識がたくさんあります。
FXにおけるこのような知識は身につけるのに多くの時間が必要となるため、面倒くさがったり、諦めたりしてしまう人がたくさんいます。
したがって、苦労せずにFXで勝ちたいと思っている人たちは聖杯を探し続けてしまうのです。
FXに限らず「苦労せずに成果を上げ続けられる」なんて、どんな世界であってもあり得ないと思います。その理由の一つに考えられるのは、web上でのいかがわしい投資商材などの「雑音」の存在では無いでしょうか。以下で詳しく説明しています。
聖杯は本当にあるのか?
FXをしている誰もが一度は探す聖杯ですが、実際は存在しません。
聖杯が存在しないことを裏付ける理由は主に以下の2つがあります。
- 聖杯が存在すると市場が崩壊してしまうから
- 相場を手法で推し量ることは不可能だから
FXは株式市場とは違い、特にゼロサムゲームの性質をもっており、誰かが得をすると誰かが損をする仕組みとなっています。
FX相場は、そのようなゼロサムゲームの過程を経て適正価格に推移するため聖杯が存在することはありえないのです。
もし聖杯が存在していると、聖杯を持っている投資家が勝ち続けてしまうため、相場価格が一方的に崩れてしまい市場自体が崩壊してしまうのです。
また、聖杯とは1つの必勝法さえしていればFXで永遠に勝つことができるという定量的なものです。
それに対して相場とは相場参加者は日々入れ替わり、それに伴って取引参加者の異なった様々な思惑が入り乱れる定性的なものです。
定性的な性質を持つ相場を定量的な聖杯で攻略するのは不可能なのです。
「聖杯を見つけた」という言葉に騙されてはいけない
ここまでFXの特性上、聖杯が存在することはないと解説しました。
しかし多くのWEBサイトや書籍、2chなどの掲示板において、
長年かけてついに聖杯を見つけた!
実際に聖杯は実在する!
などと、聖杯の存在をほのめかす発言を見かけることがあります。
聖杯は存在しないのにも関わらず、なぜ聖杯があるかのような発言をする人がいることについては、主に以下の2つの理由があります。
- FX初心者や負けている人を狙った詐欺をするため
- 聖杯を見つけたと勘違いしているため
ここではそれぞれの理由について詳しく解説していきます。
理由1: FX初心者や負けている人を狙った詐欺をするため
FXの詐欺業者は
FXで絶対に勝てる聖杯を教えます!
ついに聖杯を見つけました!
など聖杯をキャッチコピーにして、事実とは異なる過剰な宣伝文句を使い初心者や負けている人を狙った詐欺を働きます。
このような宣伝文句はあまり知識のないFX初心者にとっては魅力的に感じるかもしれませんが、詐欺であるため信じてはいけません。
FX詐欺業者に関しては以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
理由2: 聖杯を見つけたと勘違いしているため
詐欺を働こうなどという悪意はなく、聖杯を見つけたと勘違いしている場合もあります。
FXをしていると、手法のおかげで大きな利益を出すことができる場合があります。
手法のおかげで大きな利益をあげることが可能な理由は、主に以下の2つを挙げることができます。
- 手法が相場環境に偶然かみ合ったから
- 手法を見つけている人が少ないから
FXでは相場と手法が偶然かみ合って利益をだすことが可能な場面が度々あります。
かみ合っている期間は利益を出し続けることができますが、相場環境の変化に伴って勝てる手法が勝てない手法になってしまいます。
また、勝てる手法を見つけた人がまだ少ないから利益を出すことができているという場合もあります。
一定期間聖杯のような手法であっても、時間が経つと同じ手法を思いつき実践する人がたくさんでてきてしまうと手法は機能しなくなってしまいます。
したがって、一定期間大きく勝つことができたからといって、その勝てる手法が聖杯だとは限らないのです。
更に、聖杯を見つけたと勘違いして1つの手法に固執し使い続けてしまうと、相場環境の変化に対応できず大きな損失に繋がる可能性もあるため注意が必要です。
過去に聖杯と呼ばれていた手法まとめ
ここまで、聖杯は存在せずネット上で言われている聖杯は詐欺であると解説しました。
実際、過去に以下の4つの手法がネット上などで聖杯だと言われていました。
- マーチンゲール
- 両建てとナンピンの組み合わせ
- ADXと移動平均線の組み合わせ
- 異なるFX業者間のスプレッド裁定取引
ここではそれぞれの手法がなぜ聖杯ではないのかについて解説していきます。
その1: マーチンゲール
カジノなどで用いられる、マーチンゲールと言われる資金管理手法があります。
手法は非常にシンプルで、連敗中に掛け金を倍々にしていくことで、一度勝つことができればそれまでの損失が補填でき、尚且つ利益も出るというものです。
マーチンゲールによる資金管理は、理論上では破綻することがないため過去に聖杯だと言われていました。
しかし、マーチンゲールは聖杯として機能しません。
なぜならマーチンゲールは手持ち資金が無制限であることを前提にしているからです。
FXでは10連敗することが当たり前のようにあります。
マーチンゲールを用いると、10連敗した時の負けを回収するためには1回目に投じた1024倍の資金が必要になります。
したがって一度10連敗してしまうと投資資金を回収することすら到底不可能となってしまうのです。
また、FXはリスクリワードの良い取引を行う必要があります。
しかしマーチンゲールでは勝つまでにどれくらいの回数負けるのかが分からず、リスクが底知れないためリスクリワードを計算することができないという欠点もあります。
その2: 両建てとナンピンの組み合わせ
相場が保有しているポジションと逆に動いた場合、損切をせずにポジションを増して平均取得単価を下げる取引手法をナンピンといいます。
ナンピンを使い、より安定する手法を求めた結果にできた両建てとナンピンを組み合わせた取引手法が過去に聖杯といわれていました。
まず、あるポジションを作って、そこから相場が逆行すると損切をせずに両建てポジションを形成し損失額を固定します。
そこから相場の方向にナンピンをすることで平均取得単価をさげ、トータルで利益がでた段階で決済するという手法です。
この手法には以下の2つのデメリットが存在するため聖杯とはいえません。
- 逆行方向にトレンドが発生した場合、いつ利益がでるか分からない
- ナンピンを行う際、ポジション数量などの資金管理が難しい
その3: ADXと移動平均線の組み合わせ
ADXでトレンドの強さを把握して、移動平均線を基準にトレンド方向に押し目買い、戻り売りをするという手法が順張り取引の聖杯だと過去にいわれていました。
ADXは「Average Directional Movement Index」の略で、トレンドの方向性や強さを分析するために使われるインジケーターです。
0〜100までの数値で表示され、25以上を超えるとトレンドの勢いが強いと判断できます。
ADXを使った手法の欠点は主に以下の2つがあります。
- トレンドが出ている相場でしか使えない
- インジケーターの数字のみを頼りにしている
インジケーターが有効に効き利益をあげることができる相場はあります。
しかしADXに限りませんが、インジケーターの組み合わせによるトレードは相場環境の変化に影響を受けやすく、すぐに機能しなくなることがよくあります。
したがってインジケーターだけに頼るのではなく、実際の価格の動きをよく見ることが重要です。
その4: 異なるFX業者間のスプレッド裁定取引
市場間の価格の歪みを利用して利益を積み重ねる取引のことを裁定取引といいます。
異なるFX業者を使い、スプレッドの小さい取引所で銘柄を購入してスプレッドの大きい取引所で売却することでスプレッド分の利益を稼ぐという手法が聖杯と呼ばれていました。
スプレッド裁定取引は、スプレッドが業者間で大きく開いていた過去では利益をだすことができる手法でした。
しかし、現在はFX業界全体のスプレッドが狭くなりそれぞれのFX業者間の差もほぼなくなってしまった結果、機能しない手法となってしまいました。
現在でも使えるほぼ聖杯に近い2つの手法
ここまで過去に聖杯といわれていた手法は聖杯ではないことを解説してきました。
しかし、現在でも以下の2つの聖杯に近い手法が存在しています。
- EAによる裁定取引
- HFTを用いたスキャルピング
ここでは2つの手法について詳しく解説していきます。
手法1: EAによる裁定取引
EAつまり、自動売買プログラムによる裁定取引は取引参加者が少ない新興銘柄を扱う際には聖杯に近い手法です。
新興銘柄の場合、相場参加者も少ないため適正な相場価格が判明しておらず、取引所間で価格差が生まれることがあります。
取引所間で生まれる価格差を自動売買システムが検知して取引する手法は現在でも利益をだすことができる手法です。
しかし、EAによる裁定取引は時間が経過するにつれて機能しなくなるという欠点があります。
なぜなら、取引参加者が増え同じような裁定取引をする人が多くなるに従って、取引所間の価格差がなくなってしまい利ざやを確保することができなくなってしまうからです。
手法2: HFTを用いたスキャルピング
HFTとはHight Frequently Tradingの略で、日本では高頻度取引と言われています。
高頻度取引とはその名の通り、1000分の1秒という人間では到底判断できないような速度で高性能コンピューターが何度も売買を繰り返す取引です。
HFTは様々な情報に対して人間よりも早く反応して取引ができるため、大手金融機関でも使われているほど聖杯に近い手法です。
現在でもHFTによる取引は十分利益をあげることができますが、今後以下の2つの欠点が出てくると言われています。
- HFTを使う業者の増加に伴う競争の激化
- HFT運用における情報コストの上昇
HFTは聖杯に近い取引法ですが、高速売買をすることができる高性能コンピューターを何台も用意する必要があります。
高性能コンピューターの価格は非常に高く個人では到底手に入れることができないため、HFTを個人で行うことはできません。
どのようにFX手法を組み立てたらよいのか
ここまで過去に必勝法といわれていた手法は聖杯ではなく、個人が扱える聖杯など存在しないと解説しました。
聖杯が存在しないからといって、FXで勝つための手法を考える必要がないわけではなく、常に手法を模索し続けることが重要です。
長期的に使うことができるFX手法を組み上げるためには以下の2つのコツがあります。
- 単純な手法を使い続ける
- 手法の実証、検証をし続ける
ここではそれぞれのコツについて詳しく解説していきます。
その1: 単純な手法を使い続ける
FXにはたくさんのインジケーターがあり、複雑に考えなければいけないように思えるかもしれませんが、単純な手法で十分に利益をあげることが可能です。
また手法を考えることも重要ですが、1つの手法を使い続けることが更に重要です。
単純な手法を使い続けることには以下の2つのメリットがあります。
- 自分のトレードに足りない部分が見えやすくなる
- 経験値が積まれやすくなる
FXには様々な手法があり、数回勝つことができないと他の手法に目移りするかもしれませんが、一つのシンプルな手法を使い続けることが最も重要なのです。
その2: 手法の実証、検証をし続ける
FXをしていると、一定期間利益を出すことができる手法を発見することがあります。
相場環境は日々変化していくため、一定期間利益が出たからといって油断してはいけません。
相場環境の変化によって自分の手法はどのくらいの利益がでるのか、また損をするのかを日々実証、検証し続ける必要があります。
実証、検証を続けていると手法の欠点が見つかり、それを修正することでより良い手法を作り上げることができます。
手法を実証、検証してブラッシュアップしていくことは相場で勝ち続けていくためには重要なのです。
FXで勝ち組になるために絶対にしなければいけないのが『検証』です!
ただ、リアルトレードでの検証には膨大な時間が必要です…
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買い切り型ソフトで価格がリーズナブルなのもポイントですね!
手法が実際の相場で通用するか、チェックしてからトレードに臨めば怖いものナシです!
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まとめ:FXに聖杯など存在しない
ここまでFXの聖杯について解説してきました。
この記事のポイントは以下の通りです。
- FXに聖杯は存在しない
- 聖杯探しをやめて、自らの手法の開発に専念すべき
聖杯探しは誰もが最初に犯してしまう大きな過ちの一つです。
トレード手法において「正解」は存在しないことをしっかりと認識し、自らの手法に磨きをかけていくことこそが、FXで成功するための近道といえるでしょう。
猪首顧問のFXコラム:聖杯は探すものではなく、自分自身で作り上げるもの
聖杯というのは、いわゆるトレードにおける「必勝法」のことですね。
FXの個人参加者の間では、この「聖杯」って表現が一般的になっているようですね。
この必勝法ですが、FXトレードに関わらず、金融マーケットの世界では、株式トレードや商品先物トレードの世界でも、昔から模索され続けて来ました。
古くは世界最古の先物市場とも言われています、大阪・堂島米相場(享保15年・1730年)の時代にも、様々な「必勝法」が語り続けられたと言われます。
現代まで続いている、酒田五法などもその一つでは無いでしょうか。
しかし、この古典的な酒田五法も、現在もなお日進月歩の勢いで日々開発されている新しいインジケータ等々、これらは何も必勝法では無いのです。
「ある時の相場付きには有効に機能することがある」くらいに捉えることが必要です。
どの相場の時に活用するか、その判断は機械的にするのではなく、人それぞれ上手い下手があるものです。
「楽して簡単に…」といった発想から安易にFXの必勝法を追い求めてはいないか、自身の思考や行動を振り返ってみてください。
最も重要なのは、地道にトレードの経験値を増やしながら、自分自身の「聖杯」を作り上げることなのです。
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