FXにも板情報はあるの?
板情報はどのように活用したらいいの?
FXの板情報に関して上記のようにお悩みの方も多いのではないでしょうか?
結論から言うとFXでも板情報を公開している業者は存在し、活用することでより深い相場分析を行うことができます。
しかし実際のところ、FXの板情報の読み方を理解している人は少ない上に、板情報に関して多くの人が誤った認識を抱いていることも見えてきました。
FXの板情報についての正しい知識を身につけることで、他のトレーダーを出し抜くことができます。
この記事では以下の6つについて解説していきます。
- FXの板情報って何?どんな見方をすれば良いのか解説
- FXの板情報を利用する利点を解説
- FXの注文情報って何?どんな見方をすれば良いのか解説
- FXの注文情報を利用する利点を解説
- FXの板情報や注文情報を利用する際の注意点
- よくある質問
この記事を読めば、正しく板情報を利用する方法について理解することができます。
FXの板情報って何?どんな見方をすれば良いのか解説
株取引には頻繁に使用されることのある板情報ですが、FXにも板情報は存在しています。
しかしFXの板情報は株取引の板情報ほど頻繁に利用されていないので、そこまで深く説明されることもありません。
FXの板情報を理解することは、為替市場の仕組みの理解につながると共に相場の分析にも役に立つので、ここで理解しておきましょう。
- 板情報って何?
- FXの板情報の見方は?
板情報って何?
板情報とはDoM(Depth of Market)やMarket Depthとも呼ばれ、その市場がどの程度の数量の注文なら処理できるかを表しています。
大口のトレーダーでない限りは意識することは少ないとは思いますが、為替市場は買いと売りのマッチングが成立して初めて注文を執行することができています。
つまり取引している通貨ペアに十分な注文が集まっていなかった場合、そもそも注文が執行されないか、約定された価格が注文者にとってかなり不利になるといった現象がおこります。
マッチング先が乏しい状態を「流動性が低い」と言います。
十分なMarket Depth(市場の深さ)がある状態というのは、大きな注文を出したとしても約定価格にそこまでズレを生じさせることなく、マッチングを成立させられるほど注文数が市場にあることを指しています。
FXの板情報の見方は?
では実際に板情報の見方を解説していきます。
上図はCMC Marketsが提供しているゴールド(金)の板情報の様子です。
パネルの中央には番号が並んでいますが、「1」が最も良い約定価格で「10」が最も悪い約定価格になります。
番号ごとに「第○順位」と呼ぶことが多いです
ただし、最も良い価格(ベストプライス)で約定されるのには数量が限られており、このDoMを見ると500単位までの注文ならベストプライスの1,816.71/1816.85で約定させることができます。
見ればわかるように、約定価格が良いほど約定できる注文数量が少なく、約定価格が悪いほど約定できる注文数量が多くなっていきます。
もし1,000単位の買い注文を出した場合は500単位分の注文は第「1」順位の価格で約定されますが、残りの500単位は第「2」順位の価格で約定されます。
こうなった場合1,816.85で500単位、1,816.89で500単位なので、平均約定価格は
(1,816.85+1,816.89)/2=1,816.87
になります。
このように板情報は大口の注文を行うにあたって、どれだけの数量の注文ならどのぐらいの価格で約定してくれるのかを知るために便利なツールになっています。
FXの板情報の利点は?
次にFXの板情報を使うことの利点を解説します。
FXの板情報はMT5で標準実装されているので、まずはMT5で板情報を表示させる方法を解説していきます。
まずMT5にログインして、画面左上の「表示」、「注文板画面」の順にカーソルを合わせて、板情報を見たい通貨ペアをクリックします。
すると以上のような板情報が表示されます。
ではFXの板情報を使う利点を2つ解説していきます。
- 利点①:スリッページの有無を確認できる
- 利点②:価格の動向を知ることができる
利点①:スリッページの有無を確認できる
板情報を見れば、この時点でどのくらいの注文数ならスリッページを起こさずに実行できるかを知ることができます。
スリッページとは注文を出した価格と実際に約定した価格の差のことを言います。
例えば上の板情報ではEUR/USDは2ロットの買い注文ならスリッページを起こさずに1.02089で約定され、41ロットの売り注文ならスリッページを起こさずに1.02083で約定されます。
このように板情報を見ることでそのFX業者でどれくらいの流動性が確保されているかを確認することができ、注文を出した場合にどれだけのスリッページが生じてしまうかを測ることができます。
利点②:価格の動向を知ることができる
板情報の流動性の偏りから、どちらに価格が進みやすそうかを判断することができます。
例えば、買いの数量が1,000で売りの数量が500だったとすると、買いの流動性が優っていることがわかります。
相場は流動性が高いエリアに向かって値動きしていく特性があることを考えれば、よりMarket Depth(市場の深さ)のある買い方向に値動きしやすいことが読み取れます。
相場は価格のマッチング先を探して値動きをしているとイメージしてください。流動性が高ければ、それだけマッチング相手がいるということです。
このように板情報を有効活用することで、他のトレーダーとは違う目線でのトレードが可能になります。
FXの注文情報って何?どんな見方をすれば良いのか解説
FXの板情報はチャート分析を行う上で様々な利点があることがわかりました。
次に注文情報について解説していきます。
板情報と注文情報はかなり似ており板情報の一種として扱われることもありますが、表示されているデータやデータから読み取れる内容は異なります。
ここでは以下の2つについて解説します。
- 注文情報って何?
- 注文情報(オープンオーダー)の見方は?
注文情報って何?
注文情報とは、顧客からの実際の注文数を価格帯ごとに見ることのできるツールのことを指します。
注文情報は様々な種類があり、FX業者が抱えている顧客の注文状況を元に作成されています。
注文情報には以下の2つの種類があります。
- オープンオーダー
- オープンポジション
オープンオーダーではFX業者に出ている指値注文や逆指値注文の量が数値化されているため、どの価格帯がトレーダーにとって重要なポイントなのかを把握することができます。
オープンポジションとはトレーダーがどの価格帯でポジションを保有して、その時点で含み益と含み損のどちらが出ているかを把握することができます。
中でもオープンオーダーは市場に溜まっている注文の厚み(深さ)を調べることができるので、FXの板情報として説明されることがあります。
ここでは注文情報の中でも最も頻繁に活用される「オープンオーダー」の見方について解説します。
注文情報(オープンオーダー)の見方は?
ここでは具体的にオープンオーダーがどのようなことを示しているかをパターンごとに解説していきます。
今回の解説で使用するオープンオーダーは外為どっとコムの「外為注文情報」です。
このオープンオーダーは4分割されており、それぞれが「買い/売りの指値注文量」「買い/売りの逆指値注文量」を表しています。
パターン①:売り買いどちらかの指値注文が厚い
上図のようにどちらか片方に厚い指値注文が並んでいる場合、その価格での押し目買いや戻り売りを狙っている可能性が高いです。
例えばテクニカル分析で上昇トレンドを形成している際に、現在価格よりも下の価格で買いの指値注文が厚めに溜まっているとします。
その場合、同じく上昇トレンドと判断した多くの人が押し目買いで上昇トレンドに乗ろうと考えていることがわかります。
したがって、もし自分もポジションを持っておらずトレンドに乗ろうと考えている際には、指値注文が厚めに溜まっている価格帯でポジションを取ることを検討することができます。
パターン②:売り買いどちらの指値注文も厚い
上図のように現在価格を中心に、売り方向と買い方向のどちらにも厚い指値注文が並んでいた場合、レンジ相場を形成していることを示唆しています。
レンジ相場でトレードをする人にとってはかなり値動きが読みやすい相場が形成されていると言えます。
このようなオープンオーダーが見られた場合は、厚めの売りの指値注文が溜まっている価格付近で売りを仕掛け、厚めの買いの指値注文が溜まっている価格付近での買い戻しを行うことで比較的安全にトレードすることができます。
パターン③:売り買いどちらかの逆指値注文(ストップ注文)が厚い
上図のようにどちらかに逆指値注文が溜まっている場合、現在ポジションを持っているトレーダーの多くが、その価格の上抜け、または下抜けを警戒していることを表しています。
多くのトレーダーはポジションを持つ際に自分なりの相場観やトレード計画を持っており、「ここまで価格が逆行したら損切りする」と損切りの逆指値注文をあらかじめ置いていることもあります。
損切りの逆指値注文とは現在持っているポジションとは逆の注文が執行されることになるので、逆方向への値動きが加速することになります。
したがってポジションを持っている際は、逆指値注文が多く溜まっている場所を一つの損切りの目安にすると良いでしょう。
パターン④:同水準の価格の指値注文と逆指値注文がどちらも厚い
1つの価格に指値注文と逆指値注文が同じくらいの厚さで溜まっている場合、その価格帯でもみ合いの相場になっていることを示しています。
前述したように、もみ合いの相場では価格がどちらの方向に動き出すかがわからないため、リスクが高い相場になっています。
したがってこの価格でのエントリーは避けて、値動きの方向がわかるまでは相場を静観することをオススメします。
FXの注文情報を利用する利点を解説
ここでは注文情報の中でもオープンオーダーを利用する具体的な利点を3つ紹介します。
- 利点①:相場の反転位置をチェックできる
- 利点②:売買が盛んなポイントが分かる
- 利点③:相場が加速するポイントを確認できる
利点①:相場の反転位置をチェックできる
FXではテクニカル分析を通じて相場が反転するポイントを予測することができますが、オープンオーダーを参照することでも相場の反転位置を予測することができます。
例えば上昇トレンドが進んでいたとしても、その先の価格に大量の売り注文があった場合、相場は一時的に売りが優勢になることが考えられます。
当然その売り注文を上回る買い注文が市場に存在していた、または成り行きで出された場合は、全ての売り注文を約定させた上で価格は上昇することになります。
ポジションをすでに持っていた場合は、オープンオーダーで確認した相場の反転が予測される位置を一つの利確目標にすることができます。
利点②:売買が盛んなポイントが分かる
相場にはある一定の価格水準を行ったり来たりする、いわゆるもみ合いの状態が存在します。
このような相場は買いと売りの注文量が拮抗しているため価格が停滞していますが、どちらか一方の注文に偏りができた瞬間に大きく値動きする可能性があります。
値動きの方向にポジションを持つことができれば大きな利益を期待できますが、その一方で大きな損失を出してしまうリスクもあるので、ポジション管理に気をつけなければならないポイントになります。
オープンオーダーを見ればどの価格帯に注文が多く集まっているかを確認することができるので、もみ合いになりそうな価格でポジションを抱えてしまうリスクを排除することができます。
利点③:相場が加速するポイントを確認できる
相場が加速するポイントはテクニカル分析だけでは確信が持てない場合がありますが、オープンオーダーを見ればある程度の確信を持って予測することができます。
例えば、買いの勢いの強い相場で売りの逆指値注文が大量にある場合は売りポジションを持っているトレーダーがその価格帯の上抜けを警戒していることを示しています。
このような価格帯を抜けた時には逆指値注文を巻き込んでさらに相場が加速することがあります。
相場が加速するポイントでポジションを持っていれば大きな利益を期待することができます。
FXの板情報や注文情報を利用する際の注意点
ここではFXの板情報や注文情報を利用する際の注意点について解説していきます。
- 板情報のみで売買タイミングを図ることはできない
- 板情報と注文情報で分かるのは利用しているFX業者内の注文量だけ
- 板情報だけでは相場の方向性は分からない
板情報や注文情報のみで売買タイミングを図ることはできない
エントリーや決済のタイミングを図るために板情報や注文情報だけに頼るのはあまり得策ではありません。
まずFXの板情報は高頻度に更新されるので、板情報のみを使ってトレードを行うことはかなり困難です。
板情報で分かる流動性のギャップを利用したトレードを行う場合は、自動売買など機械的なエントリーに頼る以外方法はありません。
また、注文情報のみでエントリーや決済のタイミングを図るのもあまりオススメできません。
例えば買いの指値注文の多い価格帯を板情報で確認し、その価格付近で買い注文を出したとします。
指値注文が多いということは、比較的この価格帯はロングを仕掛けるトレーダーにとって一つの区切りとなっている可能性が高いです。
板情報の上ではロングが有利だと示していても、直後に大量の売り注文が成り行きで出されてポジションとは逆方向に価格が動くこともあります。
また、そもそも板情報や注文情報だけでは大きなトレンドを読むことはできないため、チャート分析の補強材料として扱うことをオススメします。
板情報と注文情報で分かるのは利用しているFX業者内の注文量だけ
株取引における板情報は証券取引所に出された全ての買い注文と売り注文の数量を確認することができます。
一方でFXは基本的にFX業者との相対取引やFX業者が契約しているLP(リクイディティ・プロバイダー)における流動性で注文が約定されるので、インターバンク市場全体の注文の数量が把握できるわけではありません。
板情報上の注文量はインターバンク市場全体の注文量の氷山の一角にすぎません。
つまり注文情報で厚く注文が溜まっていることがわかったとしても、FX市場全体の注文量を考えれば大して重要なラインではない可能性があるということです。
板情報や注文情報だけでは相場の方向性は分からない
板情報や注文情報だけに頼ってしまうと、短期的な目線でしか相場を見ていないことになってしまいます。
分足でエントリーを行うにしても、時間足や日足などでマルチタイムフレーム分析を行なった上でトレード計画を立てるのがFXの基本です。
短期的には注文が集中していた価格であったとしても、長期的に見れば単なる押し目やもどり目であることがあります。
したがって、板情報はあくまでもテクニカル分析やファンダメンタルズ分析を行なった上での補強材料として扱うことをオススメします。
よくある質問
ここでは板情報と注文情報に関してよくある質問に回答していきます。
- 板情報(DoM)を確認できるFX業者は?
- 注文情報を利用できるFX業者は?
板情報(DoM)を確認できるFX業者は?
板情報を確認できる取引プラットフォームはMT5かcTraderで、MT4では板情報が未実装になっています。
つまりMT5かcTraderのいずれかを取引プラットフォームとして使用することができるFX業者であれば、板情報を利用することは可能です。
以下の国内FX業者はMT5の使用が可能で、板情報を確認することができます。
- Oanda Japan
- 外為ファイネスト
- AvaTrade Japan
以下の海外FX業者では「MT5」と「cTrader」の使用が可能で、板情報を確認することができます。
- Exness(MT5)
- XM(MT5)
- TitanFX(MT5)
- FBS(MT5)
- FXGT(MT5)
- Gemforex(MT5)
- AXIORY(MT5、cTrader)
- Tradeview(cTrader)
- Fx pro(cTrader)
- IC Markets(cTrader)
cTraderは利用できるFX業者は少ないものの、標準機能としてリアルタイムの板情報を見ることができます。
このようにあらゆるFX業者で板情報を利用できますが、トレーダーの母数が大きいFX業者が出している板情報である方が、より信憑性の高いデータになります。
注文情報を利用できる国内FX業者は?
ここではFXの注文情報をインジケーターで確認できるFX業者を紹介していきます。
- 外貨ex byGMO
- 外為オンライン
- 外為どっとコム
- デューカスコピー・ジャパン
- ヒロセ通商
- マネックス証券
- マネーパートナーズ
- みんなのFX
- DMM FX
- IG証券&DAYLY FX
- SBI FXトレード
- Oanda Japan
国内FX業者で板情報を確認できるFX業者は以上の12社です。
このうち「マネックス証券」「外為オンライン」以外はスマホアプリでも注文情報を確認することができます。
ここで紹介したいずれも無料で使用できるので、トレードに活用してみてください。
まとめ:板情報や注文情報を活用してチャート分析に磨きをかけよう
ここまでFXの板情報について解説してきました。
この記事のポイントは以下の通りです。
- 板情報からはどの程度の注文数なら処理できるかを読み取ることができる
- 注文情報からは相場で重要視されている価格を読み取ることができる
- 板情報や注文情報だけでFXをすることは難しいが、テクニカル分析と併せて行うと良い
ここでは板情報と注文情報を別個に説明しましたが、サイトによっては注文情報も板情報として紹介されていることが多いです。
また大口のトレードをしない多くのトレーダーにとっては平均約定価格が問題になることはほとんどないので、板情報よりも注文情報の方が参考になると思われます。
WikiFXでは安全性に優れた国内FX業者の利用をオススメしています。
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