FXはスリッページに要注意!対策法やオススメの設定値を解説

FXのスリッページって何?

スリッページとスプレッドの違いは何?

FX取引をしていると、絶好のタイミングを狙って注文ボタンを押したはずなのに、約定された価格にズレが生じて違和感を覚えた経験はないでしょうか。

スリッページとはFXの取引で発生する価格の誤差を言いますが、対処方法を知らないと予想外の損失を増やす可能性もある重要な基本知識です。

トレーダーにとっては、出来るだけ無駄な損失を減らしつつ、利益は少しでも増やしたいと考えるのではないでしょうか。

そこで本記事では、スリッページが発生してしまう原因や有効な対策について徹底解説いたします。

この記事でわかること
  • FX取引のスリッページとスプレッドの違い
  • FXでスリッページが発生する原因と対策
  • おすすめのスリッページ設定
  • スリッページによるFX取引への影響

記事を最後まで読むことで、スリッページの基本的な知識が深まるはずです。

スリッページの仕組みをしっかりと理解することで、思わぬ損失や不利なトレードも回避できますので是非参考にしてみてください。

目次

FXのスリッページとは?スプレッドとの違いも解説!

スリッページとは、FX取引で注文時の価格と約定時の価格に誤差が発生して生まれる「差」のことを指します。

トレーダーの間ではスリッページを「滑る」と呼んでいることが多いため、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

FXの取引相場では、常に目まぐるしい速さで価格が変動しているため、トレーダーが注文ボタンを押した際のレートで約定しない場合があることは理解しておく必要があるでしょう。

下記で表すと「120.00円」で買い注文をしても、実際には「120.03円」で約定されており、この価格差がスリッページとなります。

スリッページは、実質トレーダーの負担になっているため、FX取引を繰り返す度に負担額も大きくなっている点に気付くはずです。

また、スリッページでエントリー直後から不利な方向に進んでいるように見えることから、スプレッドと混同してしまう方もいます。

しかし、FXのスプレッドは通貨ペアの「売値と買値の差」のことを指すため、スリッページとは全く違う意味となります。

例えば、FX口座でドル円の取引画面が以下の場合
買値(Ask)→120.003
売値(Bid)→120.000
0.3銭がスプレッドとなり、FX会社への手数料となります。

どちらも為替相場で起きる価格差に変わりはありませんが、取引する度にスリッページとスプレッドがそれぞれが発生すると覚えておきましょう。

スリッページスプレッド
注文と約定の価格差売値と買値の差

次に、スリッページは必ず発生するのか?スプレッドとは別になぜ毎回発生してしまうのか?解説していきます。

FXでスリッページはなぜ起きる?発生する原因とは?

常に値動きのあるFXの為替相場では、注文から約定までのわずかな時間でも遅延が発生してスリッページが起きてしまいますが、主な発生原因やタイミングには以下の理由が挙げられます。

  • タイムラグによって発生
  • 相場の値動きが激しい時
  • 流動性の低い時間帯

それぞれ詳しく解説していきます。

タイムラグによって発生する

FXのスリッページは、注文から約定までの一連の流れの中でタイムラグが発生することが原因で起きてしまいます。

エントリーまでの一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 取引画面から注文
  2. 注文がFX業者のサーバーに届く
  3. ブローカーが注文を受け付ける
  4. 約定

FXの為替相場では、コンマ何秒という速さで価格が変動しているため、上記手順の流れで一瞬のズレが起きてしまうのです。

タイムラグが発生する要因として以下の理由が考えられます。

  • ユーザー側のネット回線による遅延
  • 利用しているFX業者の「サーバーの強弱・カバー先金融機関の数」

ネット回線に問題がない場合は、利用しているFX業者のサーバーの強弱が要因になっている可能性も高いでしょう。

多くのFX業者は、公式HPで自社が取り扱うサーバーの強みやカバー先金融機関の数なども明記しているため、事前に確認しておくのもポイントです。

相場の値動きが激しい時

FXの為替相場では、様々なことがキッカケで値動きが激しくなり、あえてそのタイミングを狙ってトレードをする方も少なくないでしょう。

しかし、FXの為替相場では値動きが激しいタイミングほどスリッページの幅も大きくなるため注意が必要です。

  • 重要な経済指標が発表された際
  • 週明けなどマーケット開場直後

特に、上記のような時間帯は一時的に値動きが激しくなるため、値動きの激しさに比例してスリッページ幅も大きくなってしまうのです。

例えば、通常時と比べて値動きの速度が10倍になったと仮定すると、本来0.1pipsだったスリッページが1pipsになってしまうといったイメージです。

流動性の低い時間帯

流動性の低い時間帯もスリッページは大きく広がる傾向があります。

例えば以下のようなタイミングは相場の流動性が低く、処理が遅延してスリッページが発生する原因とも言えるのです。

  • 祝日・祭日(日本)
  • 早朝の時間帯

スリッページは、様々な要因で発生することが理解できたと思いますが、回避するための対策を知っておくと有利にトレードが出来るはずです。

次項では、スリッページを回避するための具体的な対策を紹介していきます。

FXのスリッページを回避する方法は?対策を紹介!

スリッページはタイムラグによって起きるため、100%回避することは出来ませんが、対応策が全くない訳でもありません。

スリッページ発生時に注文をキャンセルしたり、できる限り幅を狭めることは可能です。

複数の対策を知っておくと不利なトレードも避けられますので、それぞれ詳しく解説していきます。

許容スリッページを設定する

スリッページに効果的な1つ目の対策は、許容範囲の設定をすることです。

許容範囲の設定とは、事前に「どれくらいのスリッページ幅なら許容するか」を決めておくことで、設定値以上のスリッページが起きても注文自体が自動キャンセルされ、エントリーされないといった仕組みになります。

つまり、想定外のスリッページを受け入れる必要もなく、結果的に損失を防ぐことが出来るのです。

スリッページの許容範囲は、各FX会社の取引画面やMT4・MT5などの取引ツールから可能なので確認しておくとよいでしょう。

国内口座の取引ツールでは「許容スリッページ」の項目から選択可能ですが、設定しない場合は「無制限」と記載されていることがあります。

GMOクリック証券の注文画面

MT4の場合は、オプションウィンドウの「取引」タブから「デフォルトを指定」にチェックをつけて許容範囲のpipsをポイントで設定することができます。

MT4

しかし、損失を恐れてスリッページの設定範囲を小さくするほど、約定しにくい状況となるため注意が必要です。

値動きが激しい相場の取引は避ける

スリッページの対策2つ目は、値動きが激しい相場での取引を避けることです。

相場に大きな動きがある時は売買チャンスとなりますが、値動きが激し過ぎる場合は、大きな幅でスリッページが発生する可能性も高くなります。

特に経済指標発表時やマーケットの開場直後などは、激しく相場が動くためスリッページも大きく発生してしまいます。

事前に認識しておけば、予想外の損失を生むこともありませんので、トレーダー自身が取引前に取れる対策です。

指値注文を利用する

スリッページ対策の3つ目は、指値注文を利用することです。

一般的にスリッページは、成行注文を利用した際に発生しやすい傾向にあるためです。

FXの指値注文では、指定した価格に到達した瞬間に約定されますので、成行注文と比べるとスリッページの発生率は格段に下がります。

指値注文のような予約注文を入れとくことが、スリッページ対策としては有効だと言えるでしょう。

約定力が高いFX業者を選ぶ

スリッページ対策の4つ目は、約定力の高いFX業者を選ぶということです。

各FX会社は、カバー先金融機関の数やサーバーの性能などを約定力として強みを出しています。

約定力の高さでスリッページ幅や発生率も変化してくるため、FXの業者を選ぶ際にはスプレッドやスワップポイントの大きさだけでなく、約定力も注意してみておくとよいでしょう。

スリッページの許容範囲はどのくらいが良い?おすすめのpips設定

FXのスリッページ対策について複数の方法を紹介いたしましたが、許容範囲をどの程度にするのが良いのか?と疑問に感じる方も少なくありません。

トレードスタイルや取引通貨ペアによっては、勝敗に大きく影響を与える可能性もあるため、自分に合った数値を見つけていくのがベストです。

ここではスリッページのおすすめ設定値を、トレードスタイル別に紹介いたします。

スキャルピング:0〜0.3pips

スキャルピング取引の場合、0〜0.3pipsがおすすめです。

スキャルピングでは、小さな値動きから利益を積み重ねるため、小さなスリッページ幅でも勝率に大きく影響を与えてしまいます。

そのため、スリッページの設定もできる限り狭くしておく方が良いでしょう。

FXのスキャルピングは、1日を通して取引する回数も多くなることから、できる限り無駄な損失を抑えることが重要です。

一般的な取引で約定させたい:3pips

一般的なFX取引で約定を優先させたい場合には、3pips程度がおすすめです。

成行注文では、許容範囲を小さくし過ぎると「新規注文・決算」どちらも通らない可能性が高まります。

そのため、デイトレードやスイングトレードのような時間にある程度余裕を持った取引で、問題なく約定させたい場合は3pips程度を目安にしておくと良いでしょう。

値動きが激しい通貨ペア取引:5〜10pips

値動きの激しい通貨ペアでは、5pips〜10pipsの設定がおすすめです。

ポンドや南アフリカランドなど値動きが激しい通貨ペアは、スリッページによって損失が増えても、大きな値動きで見返りも見込めることから影響は少ないと言えます。

むしろ値動きが大きい通貨ペアで、許容スリッページを小さくしてしまうと注文が約定されないケースも増えるのでおすすめできません。

値動きの激しい通貨ペアで取引するときは、ある程度の幅を設けておくのが大切です。

ストップロスで必ず約定させたい:3〜5pips

ストップロスの場面では3pips〜5pipsの設定にしておくのがおすすめです。

スリッページ幅を小さくしている場合、許容範囲を超えると約定されないことから、決済注文が通らず予想外の損失を生んでしまう可能性があります。

特にストップロスでは、必ず決済させたい場面になるため余裕を持ったスリッページ設定が良いのです。

成行・指値・逆指値のスリッページ設定による取引への影響や注意点は?

FXのスリッページは、許容値の変更で不利なトレードを回避できますが、設定したことで今までの取引とは異なる影響も出てきます。

例えばスリッページ設定を設けたことで、注文が通らずチャンスを逃してしまったり、損切り時の決済も通らずロスカットされてしまった。などの影響は事前に避けておきたい問題です。

ここでは、スリッページ設定によって発生する注意点について詳しく解説いたします。

成行注文では取引チャンスを逃してしまう

FXの成行注文では、出来るだけ現時点の価格で約定させることが目的となります。

スリッページ設定によっては、設定値以上の注文を見送ることができますが、その分約定できない機会も増えることになります。

つまり、本来であればチャンス相場であっても、エントリーできず絶好のタイミングを逃してしまうデメリットも発生してしまうのです。

リアルタイムで相場を見ながらエントリーする成行注文では、ある程度のスリッページ幅を想定しておかなければ、トレードスタイルが崩れてしまう可能性があります。

指値注文のスリッページは問題ない

指値注文でも、許容範囲を設定することでスリッページ回避につながりますが、そもそもトレーダー側が不利な状況になりづらいため影響は少ないでしょう。

指値注文とは・・

  • 新規エントリーの場合「現在の価格より下がったら買い、上がったら売り」の価格指定の予約注文
  • 決済時の場合「ここまで上がれば決済・下がれば決済」の利益確定をする予約注文

つまり、指値注文でスリッページが発生しても、約定が遅れるほどトレーダーが得をするので、狭い設定にしておくより受け入れた方がメリットが大きいのです。

逆指値注文では損切りを逃すリスクあり

逆指値注文では、損切りを逃してしまうリスクがあるため注意が必要です。

指値注文同様に価格を指定する予約注文ですが、逆指値注文の場合「トレーダーにとっては不利な価格時に売買する」注文になるからです。

新規エントリーでは「現在価格より上昇すれば買い、下降すれば売り」という注文で、主にトレンドに乗ったブレイクアウト狙いとなるため、注文がキャンセルされるとチャンスを逃します。

また、決済時の逆指値注文は損切りする場面となりますので、約定されない場合は損切りが見送られ「損失が膨らむorロスカットされてしまう」リスクが大きいでしょう。

そのため、逆指値注文では多少のスリッページであっても受け入れる方が良いと言えます。

FXのスリッページは海外口座でも発生する?取引方式から比較

FX取引におけるスリッページは、海外口座でも国内口座と同様に発生します。

ネット上ではよく、「海外FXはNDD方式のほうが主流」と言われ、国内口座よりスリッページが発生しにくいと書かれることがありますが、これは間違いです。

本来NDD方式とは、スリッページが発生しやすい取引方式を指します。

NDD方式の場合、顧客の注文は「FX会社の取引サーバー」→「ブリッジ」→「リクイディティ・プロバイダ」というルートを辿ります。

ブリッジとは、FX会社の取引サーバーとリクイディティプロバイダのシステム仲介したり、リクイディティプロバイダからレート情報を引っ張ってくる役割の業者です。

複数の取引システムを経由することや、単純に距離が延びることから遅延が生じ、これが結果的にスリッページとなってしまうことが多いです。

一方でDD方式での処理であれば、FX会社の取引サーバー内でトレードが完結して約定するため遅延が少なく、スリッページを狭くすることが可能です。

FXの取引スタイルに合わせてスリッページ設定をしよう!

ここまでスリッページの基本情報や、FX取引での注意点と対策について詳しく解説してきました。

本記事のポイントは以下です。

  • FXのスリッページとは、注文価格と約定価格の差である。
  • スリッページはタイムラグによって発生するため、値動きが激しい相場は滑りやすい
  • スリッページの対策には許容範囲を設定すると良い
  • 設定によっては約定しないため、リスクにも注意する必要あり!
  • 海外業者でもスリッページは発生するが、国内業者より少ない傾向にある

FX取引において、スリッページを100%回避するのは不可能ですが、回避するための有効な手段は多数あります。

今回の記事を参考に、無駄な損失を増やさないようトレードの前には対策を実践してみてください。

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この記事を書いた人

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