エリオット波動理論は20世紀初頭の1938年、アメリカ株式アナリストのラルフ・ネルソン・エリオットによって発案されました。
それから100年近くの時を経た現在においても、エリオット波動理論は投資の世界で重要な役割を果たしています。
それはもちろんFXにおいてでもです。
そこで本記事ではFXにおけるエリオット波動についてプロが徹底解説していきます。
エリオット波動の波の見つけ方やトレード手法についても詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
【FXテクニカル】エリオット波動理論とは
エリオット波動理論とは、相場の値動きにはある一定のパターンがあり、それが繰り返されるとする理論のことです。
エリオット波動理論はもともと株式の分析手法として用いられていましたが、現在ではFXや暗号資産といったあらゆる相場の分析手法として使われています。
詳しく見ていきましょう。
FXにおけるエリオット波動サイクル
エリオット波動は「推進5波・修正3波」によって成り立っています。
相場はこの「推進5波・修正3波」で成り立っており、これが繰り返されるとしているのがエリオット波動の考え方です。
エリオット波動がもともと株式の分析手法だったことや、20世紀初頭のアメリカが経済成長真っ只中だったこと、また当時「空売り」のシステムが無かったことから、エリオット波動は相場の上昇局面の分析に用いられることが一般的でした。
しかしFXの場合、株価と違って一方の通貨が上昇するということは、もう一方の通貨が下落するということですので、下落局面でもエリオット波動は表れます。
FXの下落局面でのエリオット波動の数え方は以下の通りです。
これらエリオット波動のサイクルを覚えておくことによって、チャート分析や実際のトレードに活かすことができるというわけです。
FXエリオット波動の3原則
エリオット波動には成立するための以下の3つの原則があります。
【原則①】
【原則②】
【原則③】
まとめると以下の通りです。
- 推進波において3波は1波・3波・5波の中で最も短くはならない
- 推進波の中で2波が1波の始点を超えて修正することはない
- 推進波の中で4波が1波の高値を割り込むことはない
上記の原則が当てはまらない場合は、エリオット波動のサイクルが適用されないということであり、もみ合いやトレンド転換に備えなくてはいけません。
3つの原則を満たしていても、相場環境によってはエリオット波動サイクルの動きにならないこともありますので注意しましょう。
FXエリオット波動「推進5波・修正3波」の特徴
ここではエリオット波動のそれぞれの波の特徴について見ていきます。
前述したエリオット波動の3原則と合わせて確認することによって、よりエリオット波動の動きのイメージをつかんでください。
【推進5波の特徴】
波動の種類 | 特徴 |
推進1波 | じわじわとした動きで徐々に方向性が明らかに |
推進2波 | 第1波の大半を打ち消す反対方向のかなり強い動き |
推進3波 | 通常はもっとも強く長い動きで、5波のうち最大値幅動くことが多い |
推進4波 | 乱高下が続く複雑な動きで持ち合いに近い |
推進5波 | 相場の高値(安値)不安から値動きのスピードが緩やかになる もしくは3波が小さかった場合は大きく伸びることがある |
【修正3波の特徴】
波動の種類 | 特徴 |
修正A波 | 調整局面で、推進4波の底が修正A波のサポート・レジスタンスラインになりやすい |
修正B波 | 戻しにも見えるが、一時的な値動きになることが多い |
修正C波 | 修正A波の底を抜けると値動きが加速しやすい |
FXエリオット波動の理解が深まるおすすめの本
ここまでの解説でエリオット波動のイメージはつかめたかと思いますが、さらに深くエリオット波動について知りたい方は次にあげる2冊の本をチェックしてみることをおすすめします。
✔「エリオット波動入門 」|A・J・フロスト/ロバート・R・プレクター・ジュニア共著
✔「FXエリオット波動実践投資術」|杉田勝著
20世紀初頭に発表されたエリオット波動理論にいくつかの修正を加え、現代版にアップデートされたのが「エリオット波動入門 」になります。
現在ではこちらがエリオット波動の教科書と言われているくらいです。
もうひとつの「FXエリオット波動実践投資術」は、元ヘッジファンドマネージャーである日本人の著書によって書かれた本です。
こちらもエリオット波動の入門書として高い評価を受けています。
どちらもエリオット波動への理解が深まる非常におすすめの本です。
Amazonリンクを貼っておきますのでトレードの合間にチェックしてみてください。
FXでエリオット波動は使えない?メリット・デメリットを検証
エリオット波動はあらゆる相場に転用できる優れたテクニカルです。
しかし一方で、FXではエリオット波動は使えないという声もブログやSNS等で一部見かけることがあります。
はたしてそうなのでしょうか?
そこでここからはエリオット波動のメリット・デメリットについて深堀りしていきます。
エリオット波動のメリット
①フラクタル構造のためあらゆる時間軸で分析・検証ができる
エリオット波動は、波のひとつに更に5つの推進波があるといったフラクタルな構造になっています。
そのため、日足・4時間足・1時間足・15分足といった具合に、あらゆる時間軸でエリオット波動によるチャート分析やトレード検証を行うことができます。
短期で取引することの多いFXでは大きなメリットと言えるでしょう。
②波動サイクルからチャートの値動きを予測できる
エリオット波動のサイクルと3大原則を理解していれば、チャートがどう動いていくのかをある程度予測することができます。
そのためFXではエリオット波動によってエントリーポイントを探ることもできますし、利確・損切りポイントの目安をつけることも可能です。
このように実践的に利用できるのもエリオット波動のメリットになります。
③国内外問わず信奉者が多い
海外ではエリオット波動を信奉するトレーダーのことをElliotticians(エリオティシャンズ)という造語で呼んだりします。
それだけ熱狂的なエリオット波動信者がいるということです。
それは日本のFXトレーダーも同様で、エリオット波動をもとにチャートの分析・検証をしているトレーダーは数多くいます。
つまり、多くのトレーダーがエリオット波動サイクルを意識しているということであり、エリオット波動のサイクルに沿ってトレードが行われているということです。
したがって、エリオット波動の予測のもとに行うトレードは非常に優位性の高いトレードと言うことができます。
この点もエリオット波動の大きなメリットです。
エリオット波動のデメリット
①具体的なエントリーポイントを示すものではない
エリオット波動はあくまでも値動きのパターン示すものです。
他のインジケータのように具体的なエントリーポイントや損切りポイントを示すものではありません。
ましてや自分の思惑通りに動いてくれるものでもありません。
したがって、FXをエリオット波動理論のみを根拠にトレードを行う場合には、チャート分析や検証など相当な訓練が必要になり、大きなデメリットとなり得ます。
②人の主観が関わってくる
前述したようにエリオット波動はフラクタル構造になっているため、使う時間足によっては複数の見方が出てきます。
1時間足ではきれいな推進5波が出ていても、日足では方向感の無い動きのこともあるでしょう。
そのため、波の捉え方も人それぞれになります。
同じチャートを見ていてもある人は推進1波と認識し、ある人は推進3波と認識するということも起こり得るわけです。
また、過去のチャートを遡れば、いくらでもそれらしい場所にエリオット波動をこじつけることもできます。
このように、人の主観が大きく関わってきてしまうのもエリオット波動のデメリットのひとつです。
③波動サイクルを見つけにくい
エリオット波動の最大のデメリットと言えるのが、波動サイクルを見つけにくいことになります。
前述したようなきれいなエリオット波動のサイクルが出現するのは、実はまれなことです。
実際のチャート上では波動の形状が崩れていることが多く、サイクルを見つけにくいことがほとんど。
特にFXではエリオット波動の推進1波を見つけるのは困難を極めます。
また、ファンダメンタルズの変化などによる価格の急騰・急落がおきれば、波動パターンはすぐに崩れてしまいます。
このように、実際のチャート上でエリオット波動を見つけにくいのが大きなデメリットと言えるでしょう。
メリット・デメリットを比較した結果
エリオット波動は100年近くの間、投資の世界で重宝されてきているだけあって、優れたテクニカル理論であると言うことができます。
チャートパターンがわかっていれば、トレード戦略も立てやすいですし、優位性の高いトレードを行うことが可能です。
ただ一方でデメリットがあるのもわかりました。やはり一番のデメリットは波動を見つけにくいことにあるのではないでしょうか。
そのため「FXでエリオット波動は使えない」という声も生まれると推測されます。
逆に、エリオット波動のサイクルを的確に見つけることができれば、FXにおいてもエリオット波動はメリットを存分に発揮するということでもあります。
したがって、エリオット波動サイクルをいかにして見つけるかが、エリオット波動を使いこなせるかどうかの鍵になるでしょう。
そんなエリオット波動の見つけ方については次で詳しく解説していきます。
FXでのエリオット波動の見つけ方
チャート上でエリオット波動を見つけることがでれば、それだけでトレードの優位性を手に入れることができます。
ぜひエリオット波動を的確に見つけることができるようになって、環境認識や実際のトレードに役立たせましょう。
FXエリオット波動の見つけ方①変化型エクステンション
まず知っておきたいのが、エリオット波動は変形するということです。
FXにおけるエリオット波動では、相場の勢によって推進1波・5波が長くなるケースがあります。
下落トレンドから上昇トレンドへ転換した上のチャートでは5波の方が長くなっています。
このような波動をエクステンションと呼び、エリオット波動の3原則のひとつ「推進波において3波は1波・3波・5波の中で最も短くはならない」という原則が崩れていますが、エリオット波動が継続しているとみなします。
エリオット波動のエクステンションは、ファンダメンタルズの変化や大口投資家の売買によって度々起こるものです。
突発的なエクステンション起きたからといってトレンドの方向性自体が変わるわけではありませんので、エリオット波動は継続しているとみなしトレードに活かしましょう。
FXエリオット波動の見つけ方②トレンド転換1波
FXにおけるエリオット波動の見つけ方で一番難しいのが推進1波に関してです。
推進1波は全ての始まり。何をもってサイクルの始まりとするかは非常に難しい問題です。
その際のひとつ有効な方法として、トレンド転換した地点を特定し、そこを推進1波とする方法があります。
このチャートでは下落から上昇へとトレンドが転換しています。この場合どこでトレンドが転換したかというと次のように捉えることが可能です。
戻り高値を超えたが動きがトレンド転換の始まりです。つまりこの一連の波動を推進1波と判断することになります。
これにより、その後の波動サイクルを的確に把握することが可能になりました。
このようにトレンドの転換に注目してみると、推進1波を見つけやすくなります。
FXエリオット波動の見つけ方③ダウ理論
ダウ理論とは投資の世界では最も知られた相場分析理論ではないでしょうか。
詳しい説明は割愛しますが、ここで重要なのはダウ理論が定めているトレンドの定義です。
ダウ理論では、高値・安値の切り上げが続いている状況を上昇トレンドと定義し、高値・安値の切り下げが続いている状況を下降トレンドと定義しています。
この上昇・下落トレンドの定義をもとにエリオット波動を探すわけです。
上のチャートでは高値・安値の切り上げが起きており、上昇トレンドであることが確認できます。
そして細かく見てみると、エリオット波動もしっかりと確認することができます。
ダウ理論のトレンドの定義は、エリオット波動の原則のひとつである「推進波の中で2波が1波の始点を超えて修正することはない」という部分と重なるところがあり、特にエリオット波動の推進3波を見つけるのに役立つと言えるでしょう。
FXエリオット波動の見つけ方④移動平均線
チャートに移動平均線を表示させることによって、より視覚的にエリオット波動を確認しやすくなります。
特に波が一番大きくなりやすい、推進3波を見つけるのに有効的です。
移動平均線の期間は多くの人が使用している20日に設定するのがおすすめ。
移動平均線を1本表示させるだけで、エリオット波動が格段に見つけやすくなります。
FXエリオット波動の見つけ方⑤インジケータ
MT4・MT5にデフォルトで搭載されている「ZigZag(ジグザグ)」というインジケータを使用すると、エリオット波動が見つけやすくなります。
このようにチャートの値動きを直線的に表してくれるので、エリオット波動を見つけるのが簡単になるわけです。
MT4・MT5では「インジケータ」→「カスタム」と進めばすぐに出てきます。
そのほかでも「FX エリオット波動 インジケーター」あたりで検索すると無料のインジケータが出てきますので、気になる方はチェックしてみてください。
【FX実践編】エリオット波動を用いたトレード手法
FXにおけるエリオット波動はチャート分析や検証だけでなく、実際のトレードに用いることもできます。
ここからはエリオット波動用いた実際のトレード手法について見ていきましょう。
FXエリオット波動のエントリーポイントは「3波」
FXのトレードでエリオット波動を用いる場合の最も優位性の高いエントリーポイントは推進3波になります。
なぜなら、エリオット波動の原則「推進波において3波は1波・3波・5波の中で最も短くはならない」=3波が最も長くなる可能性があるからです。
具体的なエントリーのタイミングは、1波の高値をブレイクした時、もしくはその戻りになります。
したがって、エリオット波動の3波を見極めれるかがエントリーの鍵になってきます。
FXエリオット波動を予想する「フィボナッチ」
押し目や戻りを判断するにの役立つインジケータ「フィボナッチリトレースメント」を使うことによって、エリオット波動の推進2波・3波を予想することができます。
例えば次のチャートでは下落から上昇トレンドへと転換し、エリオット波動も出現しています。
このエリオット波動の推進1波にフィボナッチを引いてみたのが以下のチャートです。
ちなみにフィボナッチでは、23.6%・38.2%・61.8%あたりが多くのトレーダーから意識されるポイントになります。
上のチャートでは61.8%の手前から3波が始まり、その後の大きな上昇を見せているのわかります。
このようにフィボナッチはエリオット波動のサイクルの予測に用いると効果的です。
【上級編】FXエリオット波動「修正C波」狙い
こちらは修正C波を狙った逆張りの手法です。
株式などと違って頻繁にトレンド転換が起きるFXでは有効なトレード手法になります。
場合によっては下降トレンドの1波・3波を捉える形になる可能性もあるでしょう。
具体的なエントリーポイントは上昇(下降)が止まったところです。
ここを再び抜けてくれば損切りすればいいわけで、比較的損切り幅を狭くすることができ「損小利大」が狙えるトレード手法になります。
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5.まとめ
エリオット波動理論は奥の深いテクニカルです。
チャートの動きというのは人の売買の結果を表しているものであり、そこに一定のパターンがあるというのは理にかなった考え方と言えるでしょう。
世界中にエリオット波動の信者がいるのもわかります。
ぜひ、ここまで見てきたエリオット波動の見つけ方や手法を用いて優位性あるトレードを目指してみてください。
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