FXに関心を持ったことがある人は誰しも「自動売買」という言葉を一度は聞いたことがあるでしょう。
しかし残念なことに、「楽に稼げる!」、「絶対に儲かる!」との甘いうたい文句でお金を集めて詐欺を働く業者が多数存在するのが実態です。
そこでこの記事では以下の6つについて解説していきます。
- FXの自動売買は詐欺?3つの手口を解説
- FX自動売買詐欺で逮捕された2つの事例
- 無料FX自動売買ツール詐欺に遭ってしまう人の2つの特徴
- YoutubeでのFXの自動売買システム宣伝詐欺。その手口とは?
- 詐欺じゃないFX自動売買システムの見分け方、対策5選
- FXの自動売買詐欺にあってしまった際の3つの対処法
この記事を読んで自動売買による詐欺の被害を未然に防ぎ、より安全なFX取引を行うことができるようにしていきましょう。
FXの自動売買は詐欺?3つの手口を解説
FXの自動売買とはある決まった取引方法をあらかじめプログラムに組み込み、そのシステムが自動的に売買を繰り返す仕組みを指します。
このように「FXの自動売買」そのものが悪質なものなわけではありません。
しかし仕組みをうまく利用して、機能しないシステムに対し「絶対に儲かる」等の嘘の宣伝を流したりまた高額で売りつけたりと悪質な詐欺行為が横行しています。
ここではそのような詐欺行為の手口を大きく3つに分けて解説していきます。
- 手口1:誇大広告で指定海外FX業者に入金させる
- 手口2:機能しない自動売買システムを高額で売りつける
- 手口3:利益また元本の出金、返金に応じない
手口1:誇大広告で指定海外FX業者に入金させる
FX自動売買なら「誰でも簡単に勝てる!
何もしなくても月収〇百万円!
以上のような甘いうたい文句を使い、「お金持ちになりたい」「楽にお金を稼ぎたい」と思っている人をターゲットに海外FX口座を開設させ、入金させる手口です。
また自動売買ツールを使用した詐欺師は以下のような手段で巧妙に消費者を騙そうとしてきます。
- プログラム作成者が相場分析のプロだと自称する
- 画像加工で作り上げられた派手なFX取引口座等の損益画像を掲載する
- 自動売買の結果の裏付けとして入出金画像を掲載する
このように、利用価値のない自動売買ツールでも取引の結果を良く見せるために、取引結果を偽装する行為もよく見受けられます。
手口2:機能しない自動売買システムを高額で売りつける
SNS上で誇大な広告に惹きつけられたFXの知識のない初心者をターゲットに、実際にはその内容とはかけはなれたシステムを法外な価格で売りつけます。
システムの中身はいい加減で、FXの基本的なノウハウすら入っていないものが多数です。
〇〇人に限定販売します!
後〇日で販売終了!
この手口の悪質な点は以上のように購買を過大に煽って、購入者に冷静な判断をさせないところにあります。
より悪質なケースでは、業者からFXの基本的な用語の解説が送られてくるだけで自動売買システム自体を渡さないこともあります。
手口3:利益また元本の出金、返金に応じない
この手口では実際に利益が出ていたとしても、さらに継続してシステム使用や更なる入金を強要させるために「一定数量の取引が必要」等の様々な理由をつけて出金させません。
またこのようなケースでは利益だけではなく元本すらも出金させないことがほとんどです。
最悪の場合詐欺業者と音信不通になってしまい、どうしようもできない状況になります。
また購入や入金の際にクレジットカード番号や住民票等の個人情報を不正利用が目的としている業者も多数存在するため注意が必要です。
FX自動売買詐欺で逮捕された2つの事例
FXの自動売買詐欺被害は全国で多数発生しており、実態が明らかになっているだけで被害総額は数百億円にのぼっているといわれています。
特にここ最近の投資ブームも相まって昨今被害者が非常に増えています。
ここでは実際にあった詐欺による逮捕事例を2つ紹介します。
- 事例1:約700人から2億円を集めた男を逮捕
- 事例2:被害総額1億5000万円!8人グループを逮捕
事例1:約700人から2億円を集めた男を逮捕
令和3年2月28日「FXの自動売買システムのモニターに当選した。このシステムをつかえば必ず儲かる」 「入金額の50%をボーナスとして上乗せする」等の嘘の投資話をもちかけ、30代男性から現金約100万円をだまし取ったとして、詐欺グループのナンバー2である住所不定・無職の男性(39)が逮捕されました。
この詐欺グループは架空の実在しないFX自動売買システムを扱っており、その被害総額は全国690人から2億1000万以上にのぼっていることが確認されています。
関西テレビ
事例2:被害総額1億5000万円!8人グループを逮捕
令和3年2月FX自動売買への投資で高配当が得られると偽り、「利益を上げるには現金で投資する必要がある」などと嘘を言い、50代男性から約70万円を銀行口座に振り込ませた疑いで東京都在住・無職の男性(35)ら8人が逮捕されました。
電話で自動売買の勧誘を行い、また取引状況が分かるとするスマートフォンアプリをインストールさせることで被害者を信用させていたとされていますが実際には運用はされていなかったようです。
同様の手口で20都道府県の約50人から1億5000万円相当を集めたとみられています。
産経ニュース
無料FX自動売買ツール詐欺に遭ってしまう人の2つの特徴
最近では高額でFX自動売買システムを購入させるだけではなく、SNSやウェブ上で「絶対に儲かる自動売買システムを“無料”で提供します!」等の宣伝を流し、手軽に自動売買システムを使用させようとする手口も蔓延しています。
このような”無料”のFX自動売買システムの大部分はシステム利用者に利益が出ようが出なかろうが業者が儲かる仕組みになっています。
そのような詐欺の仕組みに騙されやすい人の特徴を2つ紹介します。
- 特徴1:楽をしてお金を稼ぎたい人
- 特徴2:トレードを初めて間もない人
特徴1:楽をしてお金を稼ぎたい人
もともと働かずにお金を稼ぎたい等の動機でFXを始めた方も多いでしょう。
そのような方は必然的に、自分は何もしなくてもよく、かつ無料で利用できてしまう「”無料”自動売買システム」という甘い文言に惹かれてしまいます。
しかし一度使い始めてしまうとシステムに依存してしまい、FXについて勉強するのではなく「より利益のでる無料自動売買システム」を探すことに躍起になってしまう傾向があります。
FXではこの行為のことを「聖杯探し」と呼びます。
このような事態に陥ってしまった場合、無料自動売買システムを購入することで起きる負の連鎖から抜け出すことが難しくなってしまいます。
この負の連鎖を断ち切るためには、FXで稼ぐためには継続的な努力や自己観察が必要であることをしっかりと受け止める必要があります。
特徴2:トレードを始めて間もない人
トレードを始めて間もない方は自動売買詐欺の被害に遭ってしまう可能性が高いといえます。
トレード初心者の方は、FXでトレードを行うにあたってまず何をしたらよいかがわからない人も多いと思います。
- テクニカル分析の方法
- ロット計算の方法
- 利食いや損切りのタイミング
- トレードする通貨ペアの選び方
以上のような要素はFX初心者が一番最初に直面することになる問題の一部分であり、これらを習得するにはかなりの鍛錬を要します。
一方で無料のFX自動売買システムを利用することで、FXに関して無知である初心者でも手軽にトレードを始めることができます。
しかしトレードを始めて間もない方が無料の自動売買ツールを利用することはかなり危険です。
なぜならFXに関する十分な知識を持っていなければ自動売買システムで採用されているトレード手法に対して正しい評価を行うことができず、トレード中に発生している違和感に気付くことができなくなるからです。
自動売買ツールは自分のトレードを効率化するための手段として捉えるようにしましょう。
YoutubeでのFXの自動売買システム宣伝詐欺|その手口とは?
最近ではSNSやインターネットよりもYoutubeを見ている時間の方が長い人もたくさんいるのではないでしょうか?
それに伴ってYoutube上での宣伝広告や動画が、詐欺の手口として用いられるケースも増加しています。
その宣伝の大部分が
1日で〇十万円儲けました!
1,000円から〇百万円に!」
リスクなし!
などをキャッチコピーに、実際に自動売買システムを使用している様子や実際に利益が出ているところを動画や宣伝にしています。
しかし実態は詐欺まがいの自動売買システムの普及を目的としていたり、実際は全く利益のでないものであることがほとんどです。
動画になっていることで投資初心者がより容易に自動売買の詐欺システムを信用してしまいやすくなっているという現状があります。
実際に某有名youtuberも「初心者が100万円をFX自動売買システムに入金してみた」という動画をYoutube上にアップし、最初の数か月ほどで投資資金のほとんど全てがなくなってしまったことで話題をよびました。
Youtube上でのこのような詐欺は実際に被害にあっても投資残高を失うまで気が付かないことが多く、インターネット上のものと比べてより悪質な可能性が高いため、このような宣伝動画には十分に注意してください。
詐欺じゃないFX自動売買システムの見分け方、対策5選
これまでの話でFX自動売買システムには詐欺の可能性がたくさん潜んでいることをご理解いただけたと思います。
自動売買詐欺をはじめとしたFX詐欺は一度被害にあってしまうとお金を取り返すのが非常に困難です。
そのため被害被害に遭わないためには実際にどういう対策をとればよいのか、またどのように自動売買システムの正しさを見極めればよいのかその方法を紹介します。
- 対策1:高額な自動売買ツールは買わない
- 対策2:派手な宣伝や画像は信用しない
- 対策3:知人からの突然の勧誘は疑う
- 対策4:自動売買ツールを海外FX業者で使わない
- 対策5:自分で検証してみる
対策1:高額な自動売買ツールは買わない
FX自動売買の詐欺システムには数十万円もする高額なものがたくさんあります。
高額だからといって一概に詐欺システムだとは言えませんが、価格に見合う成果を上げられる自動売買ツールでないことがほとんどです。
そもそもFXとは検証と実践の中で経験値を積み、徐々に稼げるようになっていくものです。
優秀な自動売買システムも中には存在しますが、それを見極めるためには自分自身でFXに関する正しい知識をつけていくことが必要となります。
したがってFXに関する知識が十分に身についていない間は、高額な自動売買ツールの不用意な購入は避けるべきでしょう。
対策2:派手な宣伝や画像は信用しない
皆が惹かれるような宣伝文句や見栄えのいい画像をつかって関心をもってもらうことは詐欺の常套手段の一つです。
なぜなら「お金持ちになりたい」「いい暮らしをしたい」等の人間の欲求をダイレクトに刺激し、心を揺さぶることができるからです。
何の保証もない誇張された宣伝に騙される可能性を少なくするためにも、Twitterやネット検索を用いてあらかじめ口コミや評判をチェックする習慣をつけておきましょう。
対策3:知人からの突然の勧誘は疑う
ほとんどの人が赤の他人からの勧誘を怪しむことができると思います。
しかし知人からの自動売買ツールなどのFX商材の勧誘を受けたときには特に注意が必要です。
知人からの勧誘というだけで警戒心が解けてしまい、
一緒に稼ごう
知人にしか紹介していない
などの勧誘に対して心を許してしまい、購入に到ってしまうケースも多く報告されています。
友人から儲かる話があるということで海外FXのサイトを紹介してもらいました。
出どころを確認したく、どこからの話かと聞いてみると別の知人からの話だということでした。
それでは信用ができると判断して海外FXを始めました。
海外FXで利益が出ていたので出金しようとしましたが、出金できず、税金を払わないと出金できないと・・・結局は詐欺サイトでした。
その後友人にを問い詰めたところ知人からきた話というのは嘘ということが判明しまた。
友人を通じて詐欺サイトで騙されました。
弁護士ドットコム
上記は実際に弁護士ドットコムに寄せられていたFX詐欺の相談事例です。
このケースでは友人からオススメされた海外FX業者で口座開設をしたら、出金拒否に遭ってしまったと報告されています。
少しでも怪しいと感じたらたとえ仲の良い友人であっても疑いをもつようにしましょう。
対策4:自動売買ツールを海外FX業者で使わない
自動売買ツールの販売はハイレバレッジで取引可能な海外FX業者への入金を条件に行われることが多いです。
無登録の海外所在業者は、業務の実態等の把握が難しく、仮にトラブルが生じたとしても業者への追及は極めて困難ですので、無登録業者との契約は行わないようにしてください。
金融庁
しかし海外FX業者は金融庁に登録されていないことから、出金やシステムに関するトラブルが発生したとしても日本で取り締まることは非常に困難です。
金融庁の公式HPでは海外FX業者による勧誘に対して注意喚起をしており、実際に発生しているトラブルについても紹介されています。
またハイレバレッジの取引は長期的に見ると投資資産を毀損する可能性が非常に高いと言われています。
したがって、そもそも金融庁に無登録である海外FX業者の利用は避けることがFX詐欺の対策につながるといえます。
対策5:自分で検証してみる
オススメされた自動売買ツールに入金する前に、うまくいくかをバックテストやデモトレードで試してみることもFX詐欺の対策になります。
自動売買ツールの販売の際には、開発者が検証したバックテストの成績などが公開されていることがありますが、そのデータが信頼できるものとは限りません。
したがってMT4に備わっているバックテスト機能を用いて、自分自身の目でバックテストの結果を確かめてみることをオススメします。
またバックテスト後もしばらくはデモトレードで運用することで、現在の相場でも十分なパフォーマンスを発揮できるのかを検証することができます。
リアル相場での運用成績を確かめる行為のことをフォワードテストと呼びます。
実際に自動売買ツールの運用を始める際には一度に大金を入金するのではなく、無理のない程度のお金をまず運用資産に回して、うまくいくたびに徐々に増やしていくことも対策になるでしょう。
FXの自動売買詐欺にあってしまった際の3つの対処法
これまでFXの自動売買詐欺の手口やFX詐欺に遭わないための対策を紹介してきました。
これらを理解していたとしても、悪質な販売業者にお金を騙しとられてしまう可能性は依然として存在します。
もし詐欺被害に遭った場合でも冷静かつ迅速な行動がとれるように、ここでは自動売買ツールの詐欺被害に遭ってしまった際の対処法を3つ紹介していきます。
- 対処法1:消費生活センターに電話相談をする
- 対処法2:警察に連絡する
- 対処法3:弁護士に相談をする
FX詐欺全般の対処法に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
対処法1:消費生活センターに電話相談をする
日本には売買契約をして8日以内であれば、契約を解除できる「クーリングオフ」という制度が存在しています。
クーリング・オフは、いったん契約の申し込みや契約の締結をした場合でも、契約を再考できるようにし、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。
国民生活センター
FXの自動売買システムの売買も法的にはクーリングオフが適用されるのですが、詐欺販売業者が対応してくれる見込みはかなり薄いと考えて良いでしょう。
このような商品の売買トラブル全般をサポートしてくれるのが消費生活センターです。
消費生活センターは土日も連絡をうけつけているため、「188(消費者ホットライン)」に電話をするといつでもトラブルに関するアドバイスをもらうことができます。
対処法2:警察に連絡する
非常に悪質な詐欺に遭ってしまったと判明したときには警察に相談することも選択肢となります。
昨今ではFX関連の詐欺事件も多く発生しているため、警察は投資に関する詐欺事件に対して目を光らせて捜査、摘発するようになりました。
したがって同様の被害届が多数報告された場合、捜査に動く可能性は十分にあるでしょう。
警察に連絡をする際は110番ではなく「9110(警察相談専用窓口)」を利用することで被害届の出し方や、他に役に立つ相談機関を紹介してもらえるでしょう。
しかし詐欺被害が民事事件の範疇に収まると判断された場合には警察は動くことはできないので、注意しましょう。
対処法3:弁護士に相談をする
業者との返金交渉や裁判を考える際に弁護士に相談することは非常に効果的です。
特に投資やFX等詐欺被害を専門にしている弁護士事務所に相談するとより解決できる可能性は高まります。
上記二つとは異なり有償になってしまいますが、法テラスでは弁護士の紹介もしてくれますし、無料相談をしてくれる事務所もたくさん存在するため、費用のことを含めて相談してみてください。
また、弁護士ドットコムでは無料の相談を受け付けている上に、同様の被害に遭った方の相談も閲覧することができるのでトラブル解決の助けになるかもしれません。
まとめ:自動売買詐欺の手口を知り、詐欺に備えよう
FX自動売買詐欺ではネット上で巧みな広告、宣伝を使い価値のない自動売買システムを売りつけてきます。
さらにこれらの詐欺では海外FX業者に口座開設させ、そこで長期的には利益を出すことが難しいハイレバレッジを利用した運用を強要してきます。
万が一被害にあった場合は迅速に公的機関に連絡をしましょう。
FX初心者には国内FX業者で安全に資産を運用していくことがオススメです。
国内FX業者はトラブルに遭った場合のサポート対応も手厚く、レバレッジも低く設定されているため安定した投資生活を送ることができるでしょう。
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