FXのピボットとは?使い方や計算式・トレード手法まで解説

7本ものラインが表示されるFXのピボット

チャートを複雑にしてトレードの妨げになりそうなのに、なぜ世界中のトレーダーが愛用しているのでしょうか。

この記事でわかること
  • ピボットの基礎知識と計算式
  • ピボットのメリット・デメリットと注意点
  • トレンドの方向・強さ・勢いを測るピボットの見方
  • 逆張り・順張り手法の勝率を高めるピボットの使い方
  • ピボットインジケーターの種類とMT4・MT5の設定方法

長期レンジまたはトレンドを見極めてピボット手法を使い分ければ、FXの勝率をグッと高くできます。

要点を凝縮したので、ピボットの手引書としてお役だてください。

目次

FXのピボット(PIVOT)とは

FXのピボット(PIVOT)について解説するイメージ

ピボット(PIVOT)は、短期トレードの逆張りへの使用を基本とするテクニカル指標です。

前日の終値・高値・安値の平均値をピボットポイント(Pivot Point)とし、当日の価格が上下する変動幅の予想値を7本のラインで明確にします。

トレンドの方向・強さ・勢いの把握、そして順張りにも応用できることから、さまざまなFXのピボット手法とインジケーターが考案されています。


FXでピボットが使われる理由

ピボット(PIVOT)が世界中のトレーダーに愛用される理由は、前日の価格のみで算出できる明快さにあります。

一般的なテクニカル指標は設定値を独自に変更しますが、ピボットは基本的に固定です。

例えば、移動平均線の期間設定に悩んだことはないでしょうか。「日足が25日線だと値動きに対する反応が遅すぎるのでは?」といった具合です。

ピボットはそれとは異なり、今あなたが見ているピボットを世界中のトレーダーが共有しています。

ピボットの開発者J.W.ワイルダーとは

ピボットを開発したのは、米国の投資法インストラクター「John Welles Wilder.Jr(J.W.ワイルダー)」です。

ワイルダー氏はATR、ADX、RSIなどのテクニカル指標を考案した人物。いまではTradingView、MT5・MT4のプラットフォームに標準搭載されており、彼の功績を説明するまでもないでしょう。

ピボットはワイルダー氏の著書「New Concepts in Technical Trading Systems 」において、THE REACTION TREND SYSTEMとして解説されており、レンジ相場での適用が想定されています。

さっそく勝てる手法を知りたい人は「ピボットの使い方」から読み進めてください。

【FX】ピボットの見方

FXのピボットの見方について解説するイメージ

ピボット(PIVOT)の各ラインの役割と相場で勝つための見方を解説します。

  • ピボットに表示される7本のラインと役割
  • ピボットのラインと価格の位置でトレンドの方向性を測る
  • ピボットのラインの段差でトレンドの強さを測る
  • ピボットのライン間の距離で相場の勢いを測る

7本のラインの役割から見ていきましょう。

ピボットに表示される7本のラインと役割

ピボットは中央のピボットポイント(PP)を基準にして、上下に3本ずつ引かれた合計7本のラインで構成されます。

ピボットに表示される7本のラインと役割

各ラインと役割は次のとおりです。

  • ピボットポイント(PP):基準線
  • レジスタンスライン(R1)とサポートライン(S1):前日と同範囲の値動きにおける、上値抵抗と下値支持の目安
  • レジスタンスライン(R2)とサポートライン(S2):前日を上回る値動きにおける、上値抵抗と下値支持の目安
  • レジスタンスライン(R3)とサポートライン(S3):想定を超える値動きにおける、価格変動幅の目安

R2超え・S2割れが明確になった時点でピボットの見方を逆張りから順張りへ切り換えるのが基本です。

チャートにピボットを表示すると複雑に見えますが、R = 抵抗線、S = 支持線の役割を知っておくだけでスッキリするでしょう。

ちなみにWeb検索すると、上記「R1, 2」表記が「S1, 2」に、「S1, 2」表記が「B1, 2」と記載されているページもあります。

開発者ワイルダー氏の原著において、レジスタンスラインで売る(Sell)、サポートラインで買う(Buy)ポイントとして記載されていたことに由来しています。

R1, S1タッチで即逆張り!と単純にはいかないのが相場です。勝つための使い方は後ほど解説しますね。

ピボットのラインと価格の位置でトレンドの方向性を測る

価格がレジスタンスライン(R3)またはサポートライン(S3)に近い位置にあるほどトレンドの方向性が明確になります。
中立・買い優勢・売り優勢を場合分けしてみます。

ピボットのラインと価格の位置でトレンドの方向性を測るイメージ

価格がピボットポイント(PP)近辺では方向感がなく(①、③、⑤)、上昇トレンドが優位になると価格がレジスタンスラインに接近します(②、⑥)。

ピボットポイントのライン切上げ(段差アップ)、その後レジスタンスライン(R3)のブレイクで上昇トレンド入りが明確になりました(⑦)。

価格がピボットポイントより上にあれば買い方優勢、下にあれば売り方優勢の見方になります。

ピボットのラインの段差でトレンドの強さを測る

ピボットのラインの段差の高低差を見ることでトレンドの強さを測ることができます。

ピボットポイント1本に注目することは、チャートを複雑に見ないで済むコツです。

ピボットのラインの段差でトレンドの強さを測るイメージ

日付の変更とともに各ラインに段差が生まれます。

見方はピボットポイントの段差①よりも②→③→④→⑤・・・→⑩と高くなっているので上昇トレンドが強くなっている。

逆に⑩→①’→②’→③’と弱くなっていく仮定では上昇トレンドが終了するかもといった具合です。

大地の歴史が刻まれた地層のごとく、ピボットは相場の事実を階層で美しく表現してくれます。

ピボットのライン間の距離で相場の勢いを測る

相場の勢い(モメンタム)の高まりとともに、各ピボットのラインは乖離します。

レンジやもみあい相場のときにピボットポイントを交錯する価格とは真逆の値動きです。

ピボットのライン間の距離で相場の勢いを測るイメージ

ピボットの見方は、ピボットポイントから他のラインが乖離するほど相場が勢いづいたことを示します。

ただし、継続性を示さないことに注意です。次に解説するピボット計算式の通り、あくまで前日価格から算出された結果のラインであることを留意してください。

【FX】ピボット 4つの計算式

ピボット 4つの計算式について解説するイメージ
ピボット 4つの計算式ローソク足の詳細

ピボット(PIVOT)の計算式は、前日の終値・高値・安値から各ラインを算出します。

開発者ワイルダー氏の母国アメリカそして欧州では近年まで3本値のバーチャートを多用していたためです。

ピボットのラインは7本ありますが、セットにして4つの計算式にまとめます。

  1. ピボットポイント(PP)
  2. レジスタンスライン(R1)とサポートライン(S1)
  3. レジスタンスライン(R2)とサポートライン(S2)
  4. レジスタンスライン(R3)とサポートライン(S3)

1つずつ説明していきます。

計算①:ピボットポイント(PP)

ピボットポイント(PP)は7本のラインの中心に位置し、その日の値動きを想定する基準になります。

ピボットポイント(PP):(C + H + L)÷ 3
(C:終値、H:高値、L:安値)

ピボットポイントは、前日の終値・高値・安値の平均値です。

よって、価格がピボットポイントより上に位置すれば前日よりも買いが強く、下に位置すれば前日よりも売りが強いと考えます。

計算②:レジスタンスライン(R1)とサポートライン(S1)

レジスタンスライン(R1)はピボットポイントのすぐ上、サポートライン(S1)はピボットポイント(PP)のすぐ下に位置します。

  • レジスタンスライン(R1):PP + (PP – L)
  • サポートライン(S1):PP – (H – PP)

上式は次を指しています。

  • R1:PPの上に、前日安値分を引いたライン
  • S1:PPの下に、前日高値分を引いたライン

ポイントは、前日の安値と高値を用いて算出していることです。

つまり、レンジであれば前日と同じ位の値幅(R1~S1)で動くと想定し、ショートとロングの目安になります。

計算③:レジスタンスライン(R2)とサポートライン(S2)

レジスタンスライン(R2)はR1の一つ上、サポートライン(S2)はS1の一つ下に位置します。

  • レジスタンスライン(R2):PP + (H ー L)
  • サポートライン(S2):PP – (H – L)

上式は次を指しています。

  • R2:PP上に、前日の値幅分を引いたライン
  • S2:PPの下に、前日の値幅分を引いたライン

ポイントは、前日の高値と安値の差を用いて算出していることです。前日の最大値幅分をPPの上下に示したラインとなります。

つまり、価格のボラティリティが高まっても(R2~S2)に収まることを想定し、ショートとロングを狙う目安になります。

一方でR1とS1をブレイクしていることから、トレンドが作られるサインとしての見方が必要になります。

計算④:レジスタンスライン(R3)とサポートライン(S3)

レジスタンスライン(R3)はR2の一つ上、サポートライン(S3)はS2一つ下に位置します。

  • レジスタンスライン(R3):R1+(H−L)
  • サポートライン(S3):S1−(H−L)

上式は次を指しています。

  • R3:R1の上に、前日の値幅分を引いたライン
  • S3:S1の下に、前日の値幅分を引いたライン

ポイントは、PP基準に換わりR1, S1を用いて算出していることです。上記の通り、R1とS1は昨日と同じ位の値動きで収まる範囲を示しています。

これらに昨日の最長の値幅分を乗せた価格がR3とS3であり、想定を超える値動きをした際の上限・下限の目安になります。

R3とS3は基本的に逆張りポイントとして利用しないことが、R2, S2, R1, S1と異なります。R2とS2をブレイクした価格がR3, S3に迫ってくる時点で新たなトレンド形成を想定していきます。

FXで勝つには各ラインの役割が大切です。長期レンジにおける基本の考え方を踏まえて、実際の使い方を見ていきましょう。

【FX】ピボットの使い方

FX・ピボットの使い方を解説するイメージ

ピボット(PIVOT)は前日の終値・高値・安値から算出されるため、当日のチャートのみに使用するのが一般的です。

よってピボットはデイトレードのエントリーに使う1時間足以下で多用されています。

また、レジスタンスライン(R2)とサポートライン(S2)の範囲で価格が動いている間はレンジ相場と考えるのが基本です。

ピボット手法の基本

FXにおけるピボット手法は逆張りを基本とし、レジスタンスライン(R1、R2)またはサポートライン(S1、S2)から反転し出したらエントリーすることを想定しておきます。

勝率を高くする逆張り手法の条件は次の通りです。

  • 長期トレンドに沿った方向に対する短い時間足の逆張り
  • 長い時間足がレンジにおける短い時間足の逆張り

ドル円30分足にピボットを表示し、基本的な逆張りを見ていきましょう。なお、日足もレンジの環境です。

ピボット手法の基本のイメージ

各ラインにおける値動きとエントリーについて、次のように考えます。

  1. R2交錯のもみ合いでショート
  2. R2反発でショート、翌日にR2とPPの段差アップで同値決済
  3. R2反発でショート、S1到達で利益確定
  4. S1上安値切上げの流れでロング、PP到達後のもみ合いで利益確定
  5. R1反発でショート、翌日にR1の大きな段差アップで損切り
  6. R1交錯のもみ合いでショート、R2到達で損切り
  7. R2反発でショート、PP到達後のもみ合いで利益確定

※の急反転について、反発の様子を見ながらエントリーする時間的余地はありません。
トレードをするなら、ラインの価格で逆指値をするか、その後のローソク足1本分のプライスアクションでエントリーを決めていきます。

R2~S2ラインの価格帯における反発の値動きを見ながらエントリーするのが、ピボット手法の基本です。

なおエントリー精度を高めるため、値動きの反転・転換のサインとなるプライスアクションをご参考ください。

ピボットの逆張り手法

それではピボットの逆張り手法をドル円の30分足で試していきましょう。
日足レンジ相場(点線枠)を4時間足・1時間足・30分足に表示しています。

日足レンジ相場(点線枠)を4時間足・1時間足・30分足に表示しているイメージ

ドル円が完全にトレンドを見失っている中、ピボットのラインにおける逆張りを狙います。
拡大した30分足で解説します。

ピボットのラインにおける逆張りを狙うイメージ

レジスタンスライン(R1)タッチ、または反発の値動きを見ながらショートします(①)。

利益確定はサポートライン(S1)を目安にしますが、当日中にピボットポイント(PP)でもみ合ったところで手仕舞いも考えます。

サポートラインやレジスタンスラインから到達直後の急反転(②、④)で勝つためには、ラインタッチで入ると決めて逆指値する必要があります。反発の値動きを見てから判断する時間的余地はありません。

その他、ピボットの逆張り手法は次の通りです。

  • S1上もみあい確認でロング(③)、PPもみ合いで利確
  • R1反発でショート(⑤)、翌日大きなR1段差アップで損切り
  • R1もみ合いでショート(⑥)、R2到達で損切り
  • R2反発でショート(⑦)、S1・S2利確目標で保有

ピボットの逆張りの基本ルールは次の通りです。

  • R1で売り、利益確定はS1またはS2が目標、損切りはR2
  • R2で売り、利益確定はS1またはS2が目標、損切りはR3
  • R1で資金の半分売り、残り半分はR2で売り、利益確定はS1またはS2が目標、損切りはR3
    ロングの場合はSをRに換える

FXのピボット逆張り手法は3つのシンプルなルールの元、S2~R2のレンジ内で決着をつけるトレードを基本とします。

価格が目標値になかなか到達しないときには上記「ピボット手法の基本」の通り、ピボットポイントにおける値動き等で決済を判断してください。

ピボットの順張り手法

ピボットの順張り手法はR2またはS2を抜けてから狙うのが基本です。

R2~S1はレンジ相場とするピボットの一般論を踏まえると、R2~S2内における順張りでエントリーしないことになります。

レジスタンスライン(R3)とサポートライン(S3)はターニングポイントととも呼ばれ、レンジからトレンド相場に転換する目安にされています。

ただし、R3とS3をブレイクしてそのまま走り続けるトレンド相場はそうそうありません。

実際にはR2~S2を抜けたことをトレンドが転換するサインとしてとらえ、各ラインの反転を目安に戻り売り・押し目買いを狙います。

ターニングポイントのブレイク

ターニングポイントの名称は、ピボットでトレンド転換の目安となるレジスタンスライン(R3)とサポートライン(S3)の別名に由来します。

  • R3の別名 HBOP(High Break Out Point):上方ブレイクアウトポイント
  • S3の別名 LBOP(Low Break Out Point):下方ブレイクアウトポイント

ピボットの順張り手法ではR3とS3をターニングポイントとして定め、価格がそれぞれ上抜け・下抜けしたときにレンジが終了すると想定してトレンドに追従します。

ターニングポイントのブレイクをドル円で確かめましょう。まずはマルチタイムフレーム分析です。

マルチタイムフレーム分析のイメージ

ドル円は完全にトレンドを見失っていた中で高値116.35円をブレイク!「押し目まちに押し目なし」の格言が胸にしみるブル相場に入りました。

ドル円の30分足でピボットを見てみましょう。

ドル円の30分足でのピボットイメージ

ターニングポイント(R3)をブレイクした後、右肩上がりで上昇しています。
利益確定は30分足の上昇トレンドが崩れる安値更新(①)、またはピボットポイントで売買を交錯しているときです。

長期トレンドの転換を踏まえると、ピボットの順張り手法としてピボットポイントから押し目買いを狙える環境に変わっている点にも注目です。

30分足で判断すると全ポジションを手仕舞いたくなりますが、長い時間足のトレンドにあわせて利益を伸ばしたり、ピボットの各ラインで追加の押し目買いを想定しておきたいですね。

ピボットのラインでのエントリー

続いて、ピボットのラインを活用した順張り手法です。

上記で日足が強い上昇トレンドに転換したドル円の続きを見ていきます。

日足が強い上昇トレンドに転換したドル円相場のイメージ

上記「ピボットのラインの段差でトレンドの強さを測る」を踏まえると、長期トレンドに沿って上昇すると仮定すれば、ピボットの段差が切り上がることを予想できます。

よって以下のピボット順張り手法は、エントリーに使用する短い時間足において有効性が高くなります。

  • ピボットポイント(PP)の押し目買い
  • レジスタンスライン(R1~3)のブレイク

ピボットの順張り手法における各ラインでのエントリーは次の通りです。

  1. PPでWボトムのネックライン・ブレイクアウト
  2. PP上の押し目買い
  3. R1のブレイクアウト
  4. PPでWボトムのネックライン・ブレイクアウト
  5. R1のブレイクアウト
  6. PP上の押し目買い
  7. R1とR2のブレイクアウト
  8. R3のブレイクアウト
  9. PP上の押し目買い
  10. R1のブレイクアウト

レジスタンスライン(R1、R2)を押し目にしながら上昇し続ける強い相場が少ないため、ピボットポイント(PP)を押し目買いの目安にした順張りが堅実です。

注意点は、レジスタンスライン(R1、R2)から逆張りのショートで狙わないこと。「長期トレンドは短期トレンドよりも優先する」ことは、世界中のトレーダーの共通認識です。

長期上昇トレンドでは、レジスタランスライン(R1、R2)がサポートラインに転換することや、ブレイクエントリーの基準として思考を切り換える必要があります。

なお、FXのエントリー精度を高める押し目買いとブレイクアウトは以下をご参考ください。

ピボットのスキャルピング手法

ここからは1時間足以下に適用するピボットインジケーターを用いたスキャルピングをご紹介します。

4時間足と1時間足に通常のデイリーピボットを表示し、5分足と1分足には1時間足以下用にカスタマイズされたMT4のピボットインジケーター「Hourly Pivot Points with Color Filling」を適用しました。

ピボットのスキャルピング手法のイメージ

Hourly Pivot Points with Color Fillingのピボット表示は、直近3時間(オレンジ点線枠)のみとなります。
スキャルピング手法のアイデアは次の通りです。

  1. 4時間足と1時間足がレンジであれば、5分足と1分足のレジスタンスライン(R1、R2)とサポートライン(S1、S2)で逆張り
  2. 4時間足と1時間足にトレンドがあれば、5分足と1分足におけるピボットポイント(PP)の押し目買い・戻り売りや、レジスタンスライン(R1、R2、R3)とサポートライン(S1、S2、S3)のブレイクエントリー

例えば上図において、直近3時間の4時間足と1時間足はデイリーピボットのレジスタンスライン(R1)をブレイクした強い上昇トレンドです。

よって、1分足のピボットポイント(PP)上での押し目買い、またはレジスタンスライン(R1、R2、R3)のブレイクアウトで有利なスキャルピングができるでしょう。

ピボットのスキャルピング手法におけるエントリーのタイミング

なお1分足スキャルピングは時間軸が短くなったのみで、上記「ピボットの逆張り手法」や「ピボットの順張り手法」と基本的な考え方は変わりません。

ちなみに、1時間足以下に適用するピボットインジケーターは直近数時間分しか表示されないものが多いようです。過去検証が難しいかもしれないことをご了承下さい。

ピボットを使う時間足とトレードスタイル

ピボットは前日の終値・高値・安値から算出されるデイリーピボットが一般的です。

一方で週足と月足をベースにカスタマイズされたウィークリーピボットとマンスリーピボットもあります。

ピボットの種類基準となる時間足トレードスタイル
デイリーピボット 日足デイトレード
ウィークリーピボット週足スイングトレード
マンスリーピボット月足長期保有

デイトレードで見落としがちな長期時間足の節目も分かります。また、スイングトレードや長期保有をメインにする人も参考になさってください。

FXのピボットで勝てる人の共通点とは

FXのピボットで勝てる人の共通点を解説するイメージ

「ピボットを使ってFXで稼ぎたい!」と意気込みトレードしたものの、実際に勝てる人は少ないものです。

R1で売ったら上抜けされた…。

R3付近で買ったら天井だった…。

ピボットを使って勝てない人には何が足りないのでしょうか。

結論を言うと、マルチタイムフレーム分析です。勝てるトレーダーは長期トレンドを把握した上でエントリー時間足に表示したピボットを巧みに利用しています。

【例】ドル円:4時間足以上の全てが上昇トレンドにおける1時間足チャート

ドル円:4時間足以上の全てが上昇トレンドにおける1時間足チャート

長期トレンドに合わせ、上昇モメンタムが高いときにはピボットポイント(PP)の押し目買いをベースにします。

天井圏からの下落で一旦損切り(青矢印)した後は、短い時間足のレンジ入りを想定してサポートライン(S1、S2)の押し目買いに切り替えます。

長期トレンドを無視し、FXピボット手法の基本とされるR1やR2からの盲目的な逆張りショートをしていたら、即損切りが続いてしまいますね。

世界中のFXトレーダーは「長期トレンドは短期トレンドよりも優先する」ことを共有しています。テクニカル的な相場の本質です。

ぜひマルチタイムフレーム分析により、勝てるFXのピボット手法に磨きをかけていきましょう。

FXでピボットを使うメリットとデメリット

FXでピボットを使うメリットとデメリットを解説するイメージ

FXトレードの勝率を高めるため、ピボット(PIVOT)のメリットとデメリットを確認しましょう。

メリットデメリット
・計算がシンプルで同じ設定を共有できる指標
・前日の価格を重視しており短期トレードに有効
・価格の変動幅が明示されてリスク管理を容易にする
・スイングトレードには不向き(カスタマイズなしの場合)
・チャートが複雑に見える
・R3、S3を抜けてからの順張り機会が少ない

ピボットの最大のメリットは、世界のトレーダーと同じチャート分析ができることです。

FXチャートは大衆心理によって形作られる面があると言われており、ある程度パターン化されてきます。

つまり、多くのトレーダーが見るテクニカル指標ほど有効と言われる所以であり、FXのピボットが愛用される理由です。

よって、カスタマイズされたピボットを利用する前に、基本のインジケーターを1つだけ表示して使い倒すことが大切です。

FXでピボットを使うときの注意点

FXでピボットを使うときの注意点を解説するイメージ

続いてはFXでピボット(PIVOT)を使うときの注意点を3つまとめます。

  1. 長期トレンドの分析を怠らない
  2. ピボットポイントで売買をしない
  3. ピボットポイントの基準値を変えない

1つずつ解説します。

注意①:長期トレンドの分析を怠らない

FXでピボットを使うとき、長期トレンドの分析を怠らないでください。

上記「FXのピボットで勝てる人の共通点とは」の通り、短い時間足に表示したピボットの有効性は長期トレンドが左右します。

各ラインにおけるエントリータイミングに集中する前に、大きな流れに乗る想定を重視してください。

注意②:ピボットポイントで売買をしない

2つ目に、ピボットポイント(PP)で売買をしないことです。

トレーダーの様子見がレンジとなりピボットポイントを交錯する値動きに表れます。また「計算①:ピボットポイント(PP)」の通り、前日の平均値です。

レンジ相場におけるPP上のエントリーは含み損を抱える最大の原因です。

注意③:ピボットポイントの基準値を変えない

3つ目に、マイナーなピボットインジケーターを使う際には設定値を確かめてください。

上記「FXでピボットを使うメリットとデメリット」の通り、多くのトレーダーと共有できないピボットの有効性は低下するでしょう。

インジケーターの設定値をカスタマイズする際には、ピボット手法の十分な検証をおすすめします。

FXでピボットをMT4・MT5に表示する方法

FXでピボットをMT4・MT5に表示する方法を解説するイメージ

取引プラットフォームMT4・MT5でピボット(PIVOT)を使うため、インジケーターを表示する方法をご案内します。

先に無料インジケーターを把握して、最初に使う一本を決めていきましょう。

ピボットの無料インジケーターの種類

MT4・MT5と利用者の多いTradingViewから、無料で使えるピボットインジケーターのごく一部を紹介します。

ピボットの種類MT4MT5TradingView
デイリー・ピボットPivotPivotPointPivots(ピボットポイント・スタンダード)
ウィークリー・ピボットPivotPointPivots(ピボットポイント・スタンダード)
マンスリー・ピボットPivotPointPivots(ピボットポイント・スタンダード)
スキャルピングに便利なピボットPivot Timeframe、Hourly Pivot Points with Color FillingPivot MTFCM_Hourly Pivots
ピボット+フィボナッチAll Pivot Points、Hourly Pivot Points with Color FillingFibo PivotsFibonacci Pivot Points
ピボット+移動平均線Moving Averages & Pivot Points Traderspro

MT4とMT5用インジケーターについては、MQL5コミュニティで公開されているものです。

各プラットフォームにおいてキーワード「pivot」をベースに検索することでピックアップできます。なおMT4とMT5についてはMQL5フォーラムコミュニティ内のフォーラムをご参考ください。

Web上の情報・開発元が分からないピボットインジケーターは、ファイルの安全性についてさらに注意なさってください。

PivotをMT4にダウンロードして表示する

上記のPivot(基本のピボットインジケーター)をMT4に表示する方法ご案内します。

MQL5コミュニティには設定値がカスタマイズされたピボットインジケーターが多数ありますが、まずは基本の「PIVOT」からの使用をおすすめします。

それでは、MT4を起動してメニューバーの「表示」をクリック(①)、「ターミナル」をクリックします(②)。

ターミナル内の「ライブラリ」をクリックします(①)。「インディケータ」以外の使用しない情報を消すため、「エキスパートアドバイザ」(②)と「スクリプト」(③)をクリックします。

ライブラリには検索機能がないため、「Pivot」(①)が表示されるまで下にスクロールし、右クリックをします。ポップアップで「ダウンロード」(②)をクリックするとMQL5への新規登録を求められます。

今回は作業を減らすため、以下の画面で新規登録をせずにPivotをダウンロードしていきます。前回の画面に戻りますね。

ターミナルに表示された「Pivot」(①)を右クリック、「表示」(②)をクリックします。

MQL5コミュニティ内(①)のCodeBase(②)にあるPivot(③)のダウンロードページに自動で移動します。「Pivot.mq4」(④)をクリックします。

パソコンで指定されているダウンロードページに「Pivot.mq4」(①)が表示されたら順調に進んでいます。②はデスクトップに移動した際の表示です。

続いてMT4に移り、メニューバーの「ファイル」(①)をクリック、「データフォルダを開く」(②)をクリックします。

「MQL4」をダブルクリックします。

「Indicators」をダブルクリックします。

開いた「Indicators」フォルダの中に、先ほどダウンロードした「Pivot.mq4」をドラッグアンドドロップします。

このままではMT4にPivotを表示できないので、一旦MT4を終了して再起動します。続いてメニューバーの「表示」(①)をクリック、「ナビゲーター」(②)をクリックします。

ナビゲーター内のインディケータに表示された「Pivot」をダブルクリックまたはチャートに向かってドラッグアンドドロップします。

Pivotのバージョン情報が表示されるので「OK」をクリックします。

日足以下の時間足にピボットが表示されたら設定完了です!

MT5でも設定方法は同じなので、この記事をお気に入りに登録してピボットインジケーターの設定の際にお役立てください。

週足・月足のピボット無料インジケーター

スイングトレードや長期保有の場合、週足(ウィークリーピボット)と月足(マンスリーピボット)が参考になるでしょう。

MT5用の「ピボットポイント(ファイル名:pivotpoint.mq5)」をドル円の1時間足に表示します。

週足・月足のピボット無料インジケーター

各ラインの段差が1週間区切りです。

デイトレードで見落としがちな週足・月足の重要な節目もひと目で分かりますね。

【FX】ピボット手法の勝率を高める組み合わせ

ピボット手法の勝率を高める組み合わせを解説するイメージ

ピボット手法の順張りと逆張りの勝率を高めるインジケーターの組み合わせをご紹介します。

  • ピボット+フィボナッチのトレード手法
  • ピボット+移動平均線のトレード手法
  • ピボット+RSIのトレード手法

1つずつ解説します。

ピボット+フィボナッチのトレード手法

押し目・戻り目のタイミングを測るフィボナッチ・リトレースメント足すことで、ピボットの順張り手法を補強できるか見ていきましょう。

上記「ターニングポイントのブレイク」におけるでドル円30分足の起点から深い押し目を入れた高値に向け、フィボナッチリトレースメントを適用します。

ピボット+フィボナッチのトレード手法

ドル円高値116.35円のブレイクからの急上昇をみて、誰もが押し目をまつブル相場。ようやく大陰線を確定させて明確な高値となりました。

上記「ピボットのラインの段差でトレンドの強さを測る」で解説した通り、ピボットポイント(PP)の高低差が大きく強烈な上昇トレンドと判断できます。

加えて各ラインの距離が縮まらないことからモメンタムの高さを保っていることも分かり、深い押し目を待つ環境ではありません。

ピボットポイントとフィボナッチリトレースメント23.6%で見せた反発の値動きを見せたところで買っていくのも良いでしょう。

安値切上げ型のWボトム形成、ネックライン(①)のブレイクアウトでのロングは順張り手法の鉄板です。

ピボットにフィボナッチリトレースメントを補足することで、トレンド相場のトレード根拠を補強できます。

さらには水平線やチャートパターンを組み合わることで、FXピボット手法の勝率を一段と高めることができます。

ピボット+移動平均線のトレード手法

トレンド相場において有効な移動平均線を足すことで、ピボットの順張り手法の勝率を高くできるか見ていきましょう。

上記「ピボットのラインでのエントリー」で紹介したドル円の30分足に48期間(ピボットに合わせて1日分)の移動平均線を表示しました。

ピボット+移動平均線のトレード手法

ピボットのみで10ヶ所あったエントリーポイントは、移動平均線の上のみを対象にすると①、④が外れて合計8ヶ所になります。

価格が移動平均線の上にある間は利益を伸ばし、ピボットで当日の値幅を確認しながらレジスタンスライン(R2、R1)で一部決済するなどの判断に活かせます。

また、ピボットポイント(PP)上である程度時間をかけて作られた高値②・⑥・⑨は、順張りでロングする目安になります。

ピボットのみでは心もとないとき、トレンド相場においては移動平均線で補足。さらには水平線等を組み合わてエントリー根拠を強化することで、ピボットの順張り手法の勝率を高めていけるでしょう。

ピボット+RSIのトレード手法

レンジ相場にRSIを足すことで、ピボットの逆張りトレードで勝てるかを見てみましょう。

上記「ピボットの逆張り手法」で紹介したドル円の30分足に14期間(標準設定)のRSIを表示しました。

ピボット+RSIのトレード手法

ピボットのみで7ヶ所あったエントリーポイントは、RSIの70超・30割を対象にすると⑥・⑦のみとなります。

レジスタンスライン(R1)でのもみ合いかつRSI70超でのショートは、R2超えで損切りになります。一方で⑦は高値を切下げて値幅を伴った下落、大きな利益を得ることができます。

レンジ相場ではRSI等の逆張り指標を組み合わせることで、ピボットの逆張り手法の勝率を高めていけるでしょう。

FXのピボットについてよくある質問

FXのピボットについてよくある質問に答えるイメージ

ここからはFXのピボット(PIVOT)についてよくある質問をまとめます。

FXのピボットでおすすめの本は?

「しろふくろうのPIVOTトレード術 (WINNER’S METHOD SERIES) 」は評判の良いおすすめ本です。

  • 出版社 ‏ : ‎ 日本実業出版社
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/10/28
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4534047687

「ピボット・ポイントとは何か?」の基本に始まり、PIVOTトレードの基本→応用→総合戦術に至るまで体系的にまとめられています。

FXでピボットが使えるスマホアプリは?

セキュリティリスクの点から口座開設した証券会社のスマホアプリの利用をおすすめします。国内の大手証券会社は高機能なFX専用のスマホアプリを顧客に無料提供しています。

IG証券(トレーディングアプリ)、SBI証券、OANDA証券、サクソバンク証券(SaxoTraderGO)、DMM.com証券、松井証券、マネックス証券(マネックストレーダーFX)、楽天証券(iSPEED FX)
※一例を紹介、( )内はアプリ名称

ピボットが使えるか否かは、カスタマーサポートに直接お問い合わせください。

トレーディングビューでおすすめのピボットインジケーターは?

トレーディングビュー(TradingView)の「インジケーター、指標、ストラテジー」をクリックして「pivot」と検索した際の一例は次のとおりです。

Pivots、Pivots HL、Pivot Extension Strategy、Pivot Reversal Strategy、Pivots Fibonacci Retracement、Auto Pivots with S/R Levels、Price Change Rate by Pivot Points – Dynamic、PivotPoints with Momentum confirmation

大半は詳細説明とソースコードを確認できます。

上記のPivotsは日本語の説明があり、基本のデイリーピボットは表示が見やすくて使いやすいです。また、時間軸をウィークリーやマンスリーなど切替えられ、フィボナッチ等との組み合わせもできる優れたピボットインジケーターです。

日足以外のピボットポイントを調べる方法は?

取引プラットフォームMT4・MT5・TradingViewでインジケーターを使う他にも、ピボットポイントをはじめR3~S3の価格をデータ化して無料公開しているWebページがあります。

  • Investing.comの為替(FX)ピボットポイント分析
  • FOREX.comのピボットポイントデータ

いずれもFXの銘柄はドルストレートの主要銘柄からマイナー通貨ペアまで、時間足はデイリー・ウィークリー・マンスリーピボットを表示できます。

Investing.comについては、時間足の短いピボットを表示でき、さらには指数・株式・先物・商品の一部に対応しています。

まとめ:ピボットはFXトレードを明確にする

記事をまとめるイメージ

世界中のトレーダーと同じものを見れるFXのピボット、7本の明確なラインが指針となり、切れのあるFXトレードに役立ちますね。

この記事のまとめ
  • ピボットはピボットポイント(PP)を基準に7本のラインで構成される
  • ピボットはトレンドの方向・強さ・モメンタムを示す
  • ピボットは長期トレンドに沿った方向に対する短い時間足の逆張りに有効である
  • ピボットは長い時間足がレンジにおける短い時間足の逆張りに有効である
  • ピボットは長期トレンド方向へのモメンタムが高いとき各ラインがブレイクアウトの目安になる

今では基本のデイリーピボットの他、カスタマイズされた派生型ピボットにあふれています。

ときにはTradingviewやMT5で使える高機能なピボットに目移りしてしまうかもしれません。

迷ったときにはMT4の「Pivot」を原点にし、本記事でお伝えした長期トレンドに逆らわないFXのピボット手法をお役立てください。

 

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

WikiFXでは、テクニカル分析のやり方から、FX会社の安全性に関する情報まで『今日から役立つFXの情報』を幅広く発信しています。
そして私たちは、FX会社アフィリエイトを一切していません。
だからこそ、正しく・信頼性の高い情報を読者の皆様にお届けする自信があります。

コメント コメント 0

コメントする