「ストキャスティクス」と聞いて、FXトレーダーの皆さんは何を思い浮かべますか?
移動平均線やRSIほどよく見かけないけど、聞いたことはあるような印象ではないでしょうか。
FXのテクニカルでオシレーター系ツールであるストキャスティクスは、実際にどんな分析指標なのでしょうか?
今回はFX上級者に人気のあるストキャスティクスについて、基礎的な読み方から実際のチャート上での設定方法、ストキャスティクスを用いたトレード手法をご紹介します。
✔ ストキャスティクスの基礎知識
✔ ストキャスティクスの使い方
✔ ストキャスティクスを用いたトレード手法
✔ ストキャスティクスと相性のいいインジケーター
この記事を読めばストキャスティクスをチャート上で使いこなすことができるようになるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ストキャスティクスとは?
ストキャスティクス(Stochastic oscillator)は、相場の過熱度を示すオシレーター系インジケーターのひとつで、米国人でシカゴを拠点とするトレーダーのジョージ・レーンによって、1950年代に開発されました。
相場の過熱度を表す
ストキャスティクスは相場の過熱度がわかるので、「売られすぎ」や「買われすぎ」といった過度の状態を見極めるのに適しています。
そのため、トレンド転換を見つけやすくなります。
つまり逆張り相場に有効ということです。
ストキャスティクスは一定期間内の価格の相対的高さを数値化し、「%K」と「%D」の2本のラインで相場の過熱度を表します。
ファスト&スロー・ストキャスティクス
ストキャスティクスは、おもに2種類あります。
ファスト・ストキャスティクス
「%K」と「&D」という2本のラインを使用するのが、ファスト・ストキャスティクスです。
相場の動きに素早く反応できるので、スキャルピングなどの短期売買に向いている一方、ダマシが多くなるのが特徴です。
スロー・ストキャスティクス
「Slow%K」と「Slow%D」の2本のラインを使用するのが、スロー・ストキャスティクスです。
スロー・ストキャスティクスはファスト・ストキャスティクスの欠点を補う役割があり、一般的にはスロー・ストキャスティクスのことを、総じてストキャスティクスと言っています。
ストキャスティクスとRSIの違い
ストキャスティクスもRSIも、「売られすぎ」や「買われすぎ」といった相場の過熱度を示すオシレーター系インジケーターです。
ストキャスティクス ➡ 買われすぎが80以上・売られすぎが20以下
RSI ➡ 買われすぎが70以上・売られすぎが30以下
という特徴があります。
ストキャスティクス | RSI | |
買われすぎ | 80以上 | 70以上 |
売られすぎ | 20以下 | 30以下 |
どちらも一定のラインが過剰基準となっています。
ただ、ストキャスティクスは現状価格が瞬時に反映されるため、ラインが明確に示されやすく、エントリーポイントを絞りやすくなります。
一方のRSIは相場の強弱を示し価格の遅効性があるため、ラインがストキャスティクスに比べて滑らかに表示されます。
売買タイミングを計るには、現状価格が瞬時に反映されるストキャスティクスが適していると言えるでしょう。
ストキャスティクスの読み方
オシレーター系インジケーターのストキャスティクスを使うことで、相場をどのように分析できるのか見てみましょう。
ストキャスティクスの計算式
ストキャスティクスは、大前提として以下の条件で動きます。
① 0~100の間で動く
② 「%K」と「%D」の2本のラインが表示される
③ 80以上なら「買われすぎ」・20以下なら「売られすぎ」
「%K」と「%D」の2本を表示することで、現在価格が高いのか安いのかを判断します。
なお「%K」と「%D」は以下のように求めます。
要は…
- 「%K」 ➡ 現在の価格が過去の最高値・最安値と、どれだけ近い位置にあるか?
- 「%D」 ➡ 「%K」の単純移動平均線(SMA)
ということです。
「%K」と「%D」のラインが80を超えてきたら売りサイン。
逆にラインが20を下回ってきたら買いサインと捉えましょう。
ストキャスティクスのレンジ
相場の過熱度を計り、売買タイミングを知らせてくれるストキャスティクスですが、当然レンジもあります。
トレンド相場は3割、レンジ相場が7割と言われているくらいなので、ストキャスティクスのレンジにも対応できるようになりましょう。
20-80の間ならレンジになる
ストキャスティクスは、以下の条件が売買シグナルとなります。
・0-20 ➡ 過剰に売られている状態(買いシグナル)
・20-80 ➡ 相場が継続している状態(一定の範囲内:レンジ)
・80-100 ➡ 過剰に買われている状態(売りシグナル)
要は、ストキャスティクスが20-80の間に収まっていれば、それはレンジと見なされます。
実際のチャートを見てみましょう。
上記はEUR/USDの30分足です。
上昇するでもなく、ローソク足が一定区間で停滞しています。
その時のストキャスティクスは、20-80の間にキレイに収まっています。
ストキャスティクスが20-80の間に位置している限りは、トレンド判断が難しいということです。
実際のローソク足の方向性と照らし合わせながら、慎重に判断して下さい。
ストキャスティクスのダイバージェンス
では、ストキャスティクスにはダイバージェンスはあるのでしょうか?
結論、あります。
ダイバージェンスとは、ローソク足とインジケーターの向きが逆方向になることですが、ダイバージェンスはトレンド転換探しに大いに役立ちます。
ローソク足が下降している中、ストキャスティクスは20を超過後、上へと切り上げていきました。
その後価格は上昇。ふたたびアップトレンドを継続させていきました。
オシレーター系インジケーターのダイバージェンスは非常に強力なシグナルとなるため、ぜひ見方を攻略しましょう。
ストキャスティクスの設定方法
ここからは実際にストキャスティクスをチャート上で使うための設定値について解説します。
ストキャスティクスの設定値(期間)
ストキャスティクスの設定では、一般的に「%K」を5日間とします。
「%K」を9日間に設定することで、自動的に「%D」の単純移動平均線も設定されます。
9日や14日と示しているサイトもありますが、多くの投資家が一般的に用いている5日を使うことで、大衆との乖離が生じにくくなります。
なおスローストキャスティクスの場合は、3日を使用します。
MT4での設定
ストキャスティクスはMT4に標準装備されているため、他サイトからのダウンロードが必要ありません。
インジケーターの表示は、いつも通りの手順を踏みましょう。
「表示」タブから「ナビゲータ」をクリック。「オシレーター」の中にある「Stochactis Oscilator」を選びましょう。
※「挿入」タブから「インディケータ」▶「オシレーター」▶「Stochactis Oscilator」でも設定可能です。
MT4では、初期設定値は…
「%K」期間 ▶ 5
「%D」期間 ▶ 3
「スローイング」 ▶ 3
となっています。
多くのトレーダーが使用している5・3・3の初期設定のまま使用しましょう。
FXプライムby GMOでの設定
FXプライムby GMOでも同様に、ストキャスティクスが標準装備されています。
インストール不要のウェブブラウザにて「ちょいトレFX」を開き、インジケーター内からストキャスティクスを選択しましょう。
ストキャスティクスを用いた手法とは?
チャート上へのストキャスティクスの設定方法がわかったところで、いよいよ実際にストキャスティクスを用いてトレードしてみましょう。
今回は短期売買のスキャルピングから、数日保有のスイングトレードでのストキャスティクスの活かし方を見てみます。
ストキャスティクスのみを用いる
ストキャスティクスは相場の過熱度を測るオシレーターのため、一般的には移動平均線やボリンジャーバンドなど、他インジケーターとの併用が推奨されています。
しかしながら、ストキャスティクスのみでのトレード手法が存在するのも事実です。
ストキャスティクスの見方は、以下の通りです。
① ローソク足にトレンドが発生しているかを確認
② ストキャスティクスが80超過(買われすぎ)か20未満(売られすぎ)の水準に達しているか確認
③ 80超過・20未満の水準で、2本のストキャスティクスがクロスしているポイントをみつける
ストキャスティクスのクロスをみつける
ストキャスティクスで表示されるラインは、「%K」と「%D」の2本です。
上記のように表示されているメインライン(緑色)とシグナル(赤色)のクロスを見つけましょう。
ポイントは、80オーバー・20アンダーのみのゾーンで見つけることです。
ストキャスティクスの20未満のポイントで「%K」と「%D」のクロスが確認され、下落から一転、上昇していきました。
メインラインとシグナルのクロスが見つけられたら、20アンダーでのクロスで「買い」・80オーバーのクロスで「売り」エントリーをしかけます。
利確ターゲットは、20アンダーでの買いエントリーなら、ストキャスティクスが80到達・80アンダーの売りエントリーなら、20到達付近に設定します。
ストップロスは、エントリーの30pips上下程度においておきましょう。
ただ、ご自身が売買する通貨ペアの特徴により、利幅と損切りラインを柔軟に見極めることが重要です。
とくにXAU/USDやGBP/JPYのようなボラティリティの高い通貨ペアでは、臨機応変に対応しましょう。
ストキャスティクスでのスキャルピング
時間軸は1分足を使用します。
設定値は…
「%K」期間 ▶ 5
「%D」期間 ▶ 3
「スローイング」 ▶ 3
を使用します。
利確ポイントは、ストキャスティクスの次の反転タイミングです。
要は、ストキャスティクスが反転するまで保有し続けます。
ストップロスは、10pips上下に設定します。
スキャルピングは短期決済のため、ダマシだとわかった時点でストップロスに到達する前に早めに切り抜けるのも得策です。
ストキャスティクスでのスイングトレード
スイングトレードでのストキャスティクス使用も、基本的には同じ見方です。
ただ、短期決済のスキャルピングのままでは反応速度が早すぎてしまうため、設定値を変更しましょう。
「%K」期間 ▶ 14
「%D」期間 ▶ 3
「スローイング」 ▶ 3
単純移動平均線 ▶ 20
とします。
反応速度を遅延化することで、ダマシに遭う確率を軽減できます。
エントリーポイントは、ストキャスティクスが20アンダーで買いエントリー、80オーバーで売りエントリーとします。
利確ポイントは、スキャルピング同様、ストキャスティクスが次の超過ポイントに達した時点です。
ストップロスは、エントリーポイントから50pipsほど離れた場所に設置しましょう。
ストキャスティクスを用いたスイングトレードは、エントリー回数を減らせる一方、保有時間がスキャルピングに比べ長くなるため、その時々の要人発言や重要指標などのファンダメンタルズの確認も必須となります。
ストキャスティクスと相性のいい組み合わせ
ストキャスティクスは、他のインジケーターと組み合わせることにより、精度をより高めることができます。
まずはRSIとの組み合わせから見てみましょう。
ストキャスティクスとRSI
RSI(Relative Strength Index)もストキャスティクス同様、「買われすぎ」や「売られすぎ」といった相場の過熱度を計ります。
ただし、ストキャスティクスは最高安値に重きを置く一方、RSIは一定期間の上昇幅と下落幅の比率に重きを置きます。
このことから分かるように、「ストキャスティクスは短期売買向き」、「RSIはスイングトレード向き」という特徴が見られます。
そこで両者を同時に使うことで、長期足のトレンド転換が短期足まで浸透しているのか、真偽を確認することができるのです。
基準値超過が売買タイミング
ストキャスティクス | RSI | |
買われすぎ | 80以上 | 70以上 |
売られすぎ | 20以下 | 30以下 |
RSIでは70より上、ストキャスティクスでは80より上の状態で、売りエントリー開始です。
反対に、RSIが30より下、ストキャスティクスが20より下の状態になったら買いエントリーの準備をしましょう。
・RSIが70超過・ストキャスティクスが80超過 ➡ 過剰に買われている状態(売りシグナル)
・RSIが30未満・ストキャスティクスが20未満 ➡ 過剰に売られている状態(買いシグナル)
順番としては…
① ローソク足の長期トレンドの向きを確認
② RSIの超過(70以上が30以下)を確認
③ ストキャスティクスの超過(80以上か20以下)を確認
という流れになります。
上記はXAU/USDの時間足です。
① ローソク足は上昇トレンドとなっています。
② 最下段のRSIがすでに70を超過して「買われすぎ」を示しています。
③ 同時に、上段のストキャスティクスが80を優に超過し、同様に買われすぎシグナルが点灯しています。
3つの手順を確認し、条件がそろったところで逆張りすると、その後キレイに下落していきました。
重要なのは、ストキャスティクスとRSIのエントリー条件の両者が満たされていることです。
どちらか一方のオシレーターのみではなく、両方の条件を満たしたところでエントリーしましょう。
ストキャスティクスとMACD
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、移動平均線をベースとしたオシレーター系インジケーターです。
2本の指数平滑移動平均線(EMA)を用いて、ヒストグラムとシグナルが交差したタイミングでエントリーをします。
・ヒストグラム:MACDとシグナルの差異(MACDの短期移動平均線ー長期移動平均線)
・シグナル:短期移動平均線
MACDでは、ヒストグラムとシグナルが交差したタイミングを、エントリーポイントとします。
なおMACDの交差タイミングは、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」の2種類があります。
① ゴールデンクロス:ヒストグラムがシグナル線を下から上にクロスすること ➡ 買いシグナル
② デッドクロス:ヒストグラムがシグナル線を上から下にクロスすること ➡ 売りシグナル
順番としては…
① ローソク足の長期トレンドの向きを確認
② MACDのクロス(デッドクロスかゴールデンクロス)を確認
③ ストキャスティクスの超過(80以上か20以下)を確認
という流れになります。
以下のUSD/JPYの時間足チャートを見てみましょう。
① ローソク足が順調に上昇しているアップトレンドの最中です。
② MACDがデッドクロスとなりました。
③ 同時にストキャスティクスも80超過で「買われすぎ」サインを点灯させています。
MACDとストキャスティクスの2つの条件が重なったことで、その後米ドル円は反転し下落トレンドへとシフトしていきました。
おすすめのMT4インジケーター
ストキャスティクスは、MT4に標準装備されています。
そのため、ウェブサイトからのダウンロードは必要ありません。
ただ、よりエントリー精度を上げるため、今回2つの異なる特徴があるインジケーターをご紹介します。
どちらもウェブサイトで無料ダウンロードできます。
売買ポイントが明確になるColor Stochastic
ストキャスティクスの売買ポイント(80超過と20未満)に色をつけて分かりやすく教えてくれるインジケーターが、Color Stochasticです。
ストキャスティクスの「%D」ラインがベンチマークの80と20を超過した部分に、色づけされます。
視覚的にポイントが分かりやすくなるため、エントリー機会を逃すことが減少するでしょう。
Color Stochasticはこちらから無料でダウンロードできます。
アラート機能があるSTHCH and RSI Alert
STHCH and RSI Alertは、ストキャスティクスの「%D」と「スロー%D」が80・20の超過ゾーンでクロスしたタイミングで、アラートを鳴らしてくれるインジケーターです。
ポイントをローソク足上に矢印で示してくれ、アラートでもお知らせしてくれます。
チャートのそばから離れていても、音で知らせてくれるためエントリータイミングを逃す心配がありません。
STHCH and RSI Alertはこちらから無料ダウンロードできます。
FXで勝ち組になるために絶対にしなければいけないのが『検証』です!
ただ、リアルトレードでの検証には膨大な時間が必要です…
本当に稼げる手法なのかスグに検証できたらいいのに…
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まとめ
今回はMT4に標準装備されているオシレーター系インジケータのストキャスティクスについて解説してきました。
同じく相場の過熱度を測るRSIの影に隠れている印象のストキャスティクスですが、短期売買のスキャルピングとの相性はバツグンです。
ご自身のトレードスタイルやその日の相場環境に合わせて、ぜひストキャスティクスを取り入れてトレード精度を向上させてみてください。
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