FXの取引の仕組みを詳しく知りたいな。
よく聞く「インターバンク」ってなんのことだろう?
本記事ではこのような疑問に答えます。
FXをやられている方であれば「インターバンク市場」という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれません。
なぜなら、インターバンク市場の為替レートが基準となり、世界中のFXの取引レートが決められているからです。
私たちがFXのトレードができるのは、インターバンク市場のおかげだといっても過言ではありません。
こうしたFXの基礎の部分を理解することは、FXをやる上で必ずプラスにはたらきます。
そこでこの記事では、インターバンク市場の詳細や「NDD方式」や「DD方式」というFX会社の取引方式、そしてそうした取引方式も含めたFX会社選びのポイントについて徹底解説していきます。
- インターバンク市場とは
- FXの取引の仕組み
- 「NDD方式」や「DD方式」を含めたFX会社選びのポイント
インターバンク市場とは
インターバンク市場とは、銀行・証券会社などの金融機関同士が資金調達や運用のために取引する為替市場のことです。
インターバンクに参加する銀行は、それぞれの金融機関の自己ポジション(持ち高)を調整すると同時に、お客様(生命保険会社・商社・メーカー)から注文を受けたものを、自己ポジションとともにインターバンク市場で売買を行います。
インターバンク市場に個人や企業は参加できません。
しかし、金融機関を通して間接的には参加をしています。
通常、外国為替市場という場合はインターバンク市場のことを指し、ここで形成される為替レートが「インターバンクレート」と呼ばれ、FX会社や個人投資家(または、マネーブローカー&顧客取引のために参入する銀行など))に対して提示される売買の基準為替レートは、インターバンクレートから参照されます。
銀行やFX会社などの金融機関が個人や企業などの顧客と取引を行う外国為替市場のこと。
インターバンクレートが「卸値」として、FX会社などの企業や銀行に提供されるイメージですね。
インターバンク市場では24時間365日取引が行われており、取引される売買単位は100万通貨単位(100万ドル)が多く、1日の総取引金額は1兆5千億ドルから2兆ドルにまでのぼります。
なお、インターバンク市場に参加しているのは以下のような金融機関です。
金融機関 | 説明 | 具体例 |
---|---|---|
中央銀行 | 各国や地域の金融政策を決定する機関 | 日本銀行、連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)など。 |
商業銀行 | 一般の企業や個人に対して預金や貸付などのサービスを提供する銀行 | 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、シティバンク、JPモルガン・チェース、ドイツ銀行、HSBCなど。 |
証券会社 | 株式や債券などの有価証券の売買や仲介を行う会社 | 野村證券、大和証券、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、UBSなど。 |
保険会社 | 生命保険や損害保険などの保険商品を販売する会社 | 日本生命、東京海上日動火災保険、AIG、メットライフ、アリアンツ、AXAなど。 |
外国為替ブローカー | 金融機関同士の取引を仲介する会社 | 上田東短フォレックス株式会社など。 |
政府系金融機関 | 政府が出資する公共的な目的で資金を供給する機関 | 日本政策投資銀行、米国海外民間投資公社(OPIC)、欧州復興開発銀行(EBRD)や欧州投資銀行(EIB)など。 |
電子ブローキング | コンピューターを使って為替取引の仲介を行うシステム | EBS、Reutersなど。 |
日本でFX(外国為替証拠金取引)が始まったのは、1998年10月8日からになります。
いわゆる「金融ビッグバン」によって外国為替及び外国貿易法(外為法)が改正され、外国為替業務が自由化されました。
それまでは、外国為替公認銀行(為銀)と呼ばれる一部の金融機関しか外国為替取引を行うことができませんでしたが、改正によって一般企業や個人も外国為替取引ができるようになりました。
ちなみに、当時はインターネット取引も普及しておらず、取引はほぼ電話注文で行われていました。
FX(外国為替証拠金取引)とインターバンク市場の関係【取引の仕組みを完全解説】
ここからは、FXの取引がインターバンク市場とどのように関わっているのか、FXの取引の仕組みを見ていきましょう。
また、FX会社の注文の処理方式である「NDD方式」と「DD方式」についても詳しく解説していきます。
FX会社が顧客に提示するプライスの仕組み
FX会社は、インターバンク市場に直接参加できないため、LP(リクイディティ・プロバイダー)と契約して為替レートの提供を受けます。
流動性(リクイディティ)を提供する大手銀行や証券会社などの金融機関のこと。
流動性プロバイダーやマーケットメーカーとも呼ばれる。
通常、FX会社は複数のLPと提携してリスクを分散させるのが一般的です。
FX会社は、そうしたLPから受け取ったレートにスプレッドや取引手数料を加えて、顧客に提示するプライスを決定します。
この際、LPによる配信レートの違いや、「ブリッジ」と呼ばれるFX会社からLPへの注文や約定の情報を送受信するシステムの性能の違いからも、スプレッドや手数料、そして約定力が変わってきます。
FX会社の中には、提携しているLP(リクイディティ・プロバイダー)をホームページ上で公開しているところも多くあるのでチェックしてみてください。
ちなみに、LPは世界中に複数存在しますが、有名なLPは以下の通りです。
- バークレイズ(イギリス)
- モルガン・スタンレー(アメリカ)
- ゴールドマン・サックス(アメリカ)
- ドイツ銀行(ドイツ)
- BNPパリバ(フランス)
- UBS(スイス)
- SBIリクイディティ・マーケット(日本)
- 野村証券(日本)
- 大和証券(日本)
また、FX会社の中には、日本の「くりっく365」やイギリスの「LMAX(エルマックス)」のように、取引所取引を提供しているところもあります。
取引所取引とは、複数のマーケットメイカー(LP)が為替レートを提示し、最も顧客に有利なレートが適用される仕組みです。
そのため、取引所取引のメリットとして、為替レートの中立性や透明性が高いことがあげられます。
なお、各FX会社が顧客に対して提示するプライスは、採用している注文処理方式(NDD方式・DD方式)によっても変わってきます。
次のパートでは、「NDD方式(A-book)」と「DD方式(B-book)」の違いについて詳しく解説していきます。
NDD方式(A-book)とDD方式(B−book)の違い
FX会社の注文処理方式には、「NDD方式(A-book処理)」と「DD方式(B−book処理)」の2種類があります。
この2つの注文処理方式の違いは、顧客が出した注文を直接カバー先に流すかどうかです(カバー取引)。
リスクヘッジを目的として、LP(リクイディティ・プロバイダー)などのカバー先に顧客から受けた注文とは逆の注文を出す取引のこと。
NDD方式(A-book処理)では、FX会社は顧客の注文をそのままカバー先へと流し、自動的にカバー取引が行われます。
一方のDD方式(B−book処理)は、FX会社は顧客から受けた注文を自ら約定し、カバー先へ流すかどうかはディーラーの判断に委ねられます。
DD方式では「顧客の利益=FX会社の損失」「顧客の損失=FX会社の利益」といった、利益相反関係が生じるのが大きな特徴です。
一方のNDD方式の場合は、FX会社の利益はスプレッドや手数料のみになるので、顧客とFX会社は相反関係にはなりません。
ちなみに「NDD方式」と「DD方式」の正式名称は「No Dealing Desk方式」と「Dealing Desk方式」です。
NDD方式のメリット・デメリット
NDD方式のメリットは以下の通りです。
- 透明性が高い
- 取引の制限が少ない
- 約定力が高い
NDD方式では、インターバンク市場のレートや流動性をそのまま反映することができ、なおかつ顧客との利益相反がなく公平で透明性の高い取引ができます。
FX会社が顧客の注文に介入しないため、スキャルピングや自動売買などの取引手法に制限がない場合が多いのも大きなメリットです。
また、流動性が高い複数のLPと提携しているFX会社では、大量の注文でもスムーズに約定でき、約定拒否やリクオート、スリッページなどのトラブルが起きにくくなるメリットもあります。
一方、NDD方式のデメリットは以下の通りです。
- スプレッドが広い
- 取引手数料が発生する場合がある
NDD方式を採用しているFX会社の利益は、主にスプレッドや取引手数料から発生しています。
そのため、スプレッドは変動制の場合が多く、必然的に広くなりがちです。
取引手数料に関しても、FX会社や口座タイプによって1回の取引にかかる手数料が大きく違ってくるので注意が必要になります。
ボラティリティが低下する、日本時間の早朝のような時間帯には、スプレッドが広がりやすくなります。
DD方式のメリット・デメリット
DD方式のメリットは以下の通りです。
- スプレッドが狭い
- スワップポイントに幅を持たせられる
DD方式を採用しているFX会社は、顧客の注文を自社で約定させることができるので、スワップポイントを極端に狭くしたり、本来マイナスのスワップポイントをゼロにするようなことが可能になります。
スプレッドを原則固定にしているFX会社はほぼDD方式を採用しています。
DD方式のデメリットは以下の通りです。
- 透明性が低い
- 取引の制限が多い
DD方式を採用しているFX会社の自社で顧客の注文を約定させるシステムというのは、透明性の部分では大きなデメリットです。
顧客と利益相反関係というのも相まって、公平な取引が行われない可能性もあり、注意が必要になります。
DD方式のFX会社には、約定拒否やスリッページといった問題が多いのも事実です。
また、取引量の制限があったり、スキャルピングや自動売買などの取引手法の制限が設けられやすいのもDD方式のデメリットになります。
国内FXはDD方式が多い
ここまでNDD方式とDD方式について見てきましたが、国内FX会社に限って見てみると、圧倒的に多いのはDD方式を採用しているFX会社です。
たしかに、ドル円スプレッド固定で0.1銭とかなのは、海外のFX会社ではなくて国内のFX会社ですよね。
ちなみに、DD方式を採用している主な国内FX会社は以下の通りです。
- SBI FXトレード
- GMOクリック証券
- DMM.com証券
- FXブロードネット
- トレイダーズ証券
- セントラル短資FX
- 外為どっとコム
- 外為オンライン
- 松井証券
- 楽天証券
国内では少数派のNDD方式を採用している主なFX会社は以下の通りになります。
- ヒロセ通商
- OANDA
- 外為ファイネスト
- アヴァトレード・ジャパン
- フィリップ証券
国内のFX会社で口座を開設する際には、こうした傾向があることを覚えておきましょう。
海外FXにA-book業者が多いというのは間違い!?
国内のFX会社にDD方式(B-book処理)が多いのに対し、海外FXの場合はホームページ等でNDD方式(A-book処理)を謳っている会社が多い傾向にあります。
しかし実際は、NDD方式を掲げているFX会社でも、A-book処理とB-book処理を使い分けているというのが実際のところです。
つまり、NDD方式と言われている海外FX会社でも、ある程度注文を呑んでいるということです。
そのため、透明性があり公正な取引ができると、NDD方式の海外FX会社を選んだとしても、会社によっては約定拒否やスリッページが頻繁に起きることもあるので注意が必要になります。
なお、このあたりの真相に関しては、下記の記事で詳しく解説してるのでチェックしてみてください。
NDD方式orDD方式?国内or海外?FX会社選びのポイント
ここまでNDD方式とDD方式の違いや、国内と海外のFX会社の傾向の違いについて見てきましたが、ではFX会社はどのような基準で選べばいいのでしょうか?
ここからはFX会社選びのポイントについて解説していきます。
トレードスタイルと取引環境の合致
自身のトレードスタイルと、FX会社が提供する取引環境にミスマッチが起きていては、良いトレードは行えません。
例えば、短期のスキャルピングがメインのトレード手法だとして、スプレッドが狭いからとDD方式のFX会社を選択したとします。
しかし実際は約定力が低く、自分の望んだレートでエントリーできずに結果的に取引コストが高くつくといったことが起きてしまいます。
スキャルピングの場合、過度なスキャルピングを禁止しているFX会社も多くあるので、その点の注意も必要です。
逆に、デイトレードやスイングトレードがメインであれば、NDD方式のリアルなスプレッドやスワップポイントが不利にはたらくこともあるでしょう。
このように、自身のトレードスタイルと取引環境が合っているかどうかの見極めが、FX会社選びでは重要になります。
「ドル円スプレッド固定0.1銭!」とかの数字だけに惑わされてはいけないということですね。
安全性・信頼性
安全性や信頼性というのは、FX会社選びの大きなポイントです。
ちなみに、安全性や信頼性が高いFX会社とは、法令や規制を遵守していることや、顧客の資金や個人情報を安全に管理していることなどを指します。
この点で日本国内と海外のFX会社を比較すると、国内のFX会社の方がはるかに優れていると言えます。
なぜなら国内のFX会社は、日本の金融ライセンスを取得しており、厳しい規制や監督のもとでサービスが提供されているからです。
それに対して海外FX会社は、ほぼ全ての会社が日本の金融ライセンスを取得していません。
そのため海外FXの場合は、出金拒否や顧客の資金が不正に流用されたりするリスクが常につきまといます。
実際に海外FX会社の出金拒否や口座凍結といった話はよく聞きます。
その点、日本のFX会社は信託保全が義務づけられているので、たとえ会社が経営難になったとしても、出金拒否は起こりません。
FX会社が顧客から預かった証拠金や取引の損益などを、自社の財産とは別に信託銀行などに預けて管理すること。
これにより、FX会社が破綻しても顧客の資産は必ず返還される。
海外FX会社の高いレバレッジや多種多様なボーナスキャンペーンなどは、非常に魅力的に映りますが、その分リスクもあることをしっかり理解してFX会社を選ぶようにしましょう。
FX会社には大事な資産を預けることになるわけですからね。
最大レバレッジ1,000倍とかよりも、安全性や信頼性を重視したいところです。
取引ツール
取引ツールもFX会社を選ぶ際の重要なポイントになります。
取引ツールとは、FX会社が提供するプラットフォームやソフトウェアのことです。
一般的な傾向だと、国内FXではそれぞれの会社ごとの独自の取引プラットフォームがあり、海外FXではMT4・MT5が主流になっています。
FX会社の独自プラットフォームには、注文方法や注文の種類、チャート分析ツールやニュース配信ツールなど、それぞれの特徴があり、使い勝手も様々です。
また、独自プラットフォームの中には、EAによる自動売買に対応していないものもあります。
自動売買で最も多くのEAに対応しているのはMT4です。
ただ、最近ではMT4以外の、AIによる自動売買というのもあったりします。
現在では多くのFX会社でデモ口座の開設が可能です。
プラットフォームの確認という意味でも、新規で口座を開設する前に、デモ取引を何度か行ってみることをおすすめします。
取扱通貨ペア
FX会社によっては、取引できる通貨ペアの数や種類が異なります。
多くのFX会社では、取扱い通貨ペアを公式サイトに載せているので、特にエキゾチック通貨ペアを取引したい方は必ずチェックすることをおすすめします。
スワップポイントも各FX会社の公式サイトから確認できます。
ちなみに、以下のエキゾチックを含む通貨ペアは、スワップポイントが高くなる傾向があります。
スワップポイント狙いのスイングトレードを行う方は、各FX会社の公式サイトから取扱いがあるかどうかチェックしてみてください。
- トルコリラ(TRY)
- 南アフリカランド(ZAR)
- ハンガリーフォリント(HUF)
- メキシコペソ(MXN)
- ノルウェークローネ(NOK)
入出金のしやすさ
入出金の方法や手数料、速さといった入出金のしやすさもFX会社選びの重要なポイントです。
トレードチャンスが来たのに、入金が口座に反映されるのが遅くて、大きな利益を逃すなんてこともあったりしますからね。
FX会社によって、銀行振込やクレジットカード、電子マネーやウォレットなど、入出金方法は様々で、それぞれの口座反映の速度も違ってきます。
また、普段使っている銀行からの振込だと、余計に手数料がかかってしまうといったこともあるので、入出金方法や速度に関しては必ずチェックするようにしましょう。
自分の都合の良い入出金方法があるのが一番です。
サポート体制
サポート体制とは、何かトラブルがあった場合のカスタマーサービスや、FX会社が提供する教育サービスなども含みます。
独自ツールの使い方の動画があったりするととても助かりますね。
カスタマーサービスは、FX会社によって電話やメール、LINEやチャットなど、問い合わせ方法が異なります。
また対応時間も、365日24時間いつでも対応してくれるところもあれば、平日の9:00〜17:00のみといったように様々なので、しっかり確認しておくことをおすすめします。
サポート体制は圧倒的に国内FXの方が充実しています。
海外FXの中には、公式サイトの日本語からしておかしい場合があり、そうしたところのカスタマーサポートには注意が必要です。
まとめ
ここまでインターバンク市場や、FXの取引の仕組みについて詳しく見てきました。
FX会社がどのようにプライスを提供し、そして私たちの注文をどのように処理しているのかがおわかりいただけたかと思います。
最後にNDD方式とDD方式のメリットとデメリットをおさらいしておきましょう。
- 透明性が高い
- 取引の制限が少ない
- 約定力が高い
- スプレッドが広い
- 取引手数料が発生する場合がある
DD方式のメリットとデメリットは以下の通りです。
- スプレッドが狭い
- スワップポイントに幅を持たせられる
- 透明性が低い
- 取引の制限が多い
これら注文処理方式によるメリット・デメリットをしっかり理解し、自身のトレードスタイルにあったFX会社を選ぶことが重要です。
ぜひ、自分にぴったりのFX会社を見つけてトレードを重ねていってください。
なお、WikiFX(ウィキエフエックス)では、各FX会社の評価を随時更新しています。
気になるFX会社があった場合はチェックしてみてください。
WikiFX(ウィキエフエックス)は、FX会社の安全性・信頼性を評価している第三者機関です。
全世界3万以上のFXブローカーの情報を収集し・格付けを行っています。
FX会社の安全性スコアや詐欺被害のリアルな口コミは『wikifx.com』で確認できます。
安全性・信頼性を重視するなら国内FX会社一択ですよ!
コメント コメント 0